ISーインフィニットストラトスー とある少年のドタバタ転生録   作:クロイツヴァルト

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青の雫の変化

 

 

 セシリアはヒレンとの試合が終わり自室のシャワーを浴びていた

 

 「ヒレン・E・アスティ」

 

 自身の体を抱いた状態で口から出て来る男の名前。 奇しくも昔会った少年と同姓同名の男性

 

 自分の父とは全く違う。 悲しげな瞳に決意を秘めた瞳を持つ男。 そして、戦って分かった男の所作と考え

 

 ――――――――――――父親は彼女から見ても弱い人間だった。

 

 婿入りだった所為もあるのか、父は母と接する時には常にどこか顔色を窺って言葉を選んでいる様子がよく見られる。ISが登場してからはそれが顕著になり、父と母の会話を聞く事が殆どなかった。

 

 そんな様子を目にして、セシリアは絶対にこんな情けない男とは結婚しないと子供心ながらにも固く自身に誓った。

 

 そんな父と違い母はとても強い女性だった。

 

 一人でいくつもの事業を経営し、成功を収める程の才能を持ち、高貴と気品を併せ持ちながらもプライドが高く厳しい人。 しかし、そんな母がセシリアにとって誇りであった。

 

 将来の夢は母の様に強くありたいと幼い日より今も思っている。

 

 だが、そんな母は死んでしまう。自分が疎ましく思っていた父と一緒に・・・事故で呆気なくこの世界から姿を消す。 当時の母は高名だった所為か陰謀説まで出たが被害の規模と状況からみて間違いであると判断された。

 

突然の訃報に悲しくない訳がない。 涙も流したし落ち込みもした。 母親への尊敬や父親への卑下も関係なく、両親が死んだと言う事実にただ悲しんだ。

 

 しかし、残酷にも悲しみに暮れる事を世間は・・・醜かった。

 

 母の残した莫大な遺産を目当てに群がる汚い大人たちから誇るべき人のそれを護る為にセシリアはその日から血の滲む様に勉強を始めた。 一般教養はもとより礼儀作法から経営に政治まで。 同年代の子供ならとうの昔に音を上げても仕方が無い教習を涙を流さずに成し遂げる頃にはセシリアの心は貴族としての心構えが出来上がっていった。

 

 そして、その過程で受けたIS適性試験を受けた判定結果がA+という好成績を出し、国からの国籍保持を交渉カードとし様々な好条件が出され、代表候補生として認められた後に最新鋭機が授与された。

 

 その機体の稼働データと戦闘経験得る為に日本の学園に来た。 セシリア本人もその為に来ただけで、史上初のISを動かした男とIS開発者の篠ノ之束の護衛をしていた男の二人が現れた事には憤りを感じながらも興味を抱かずにはいられなかった。

 

 ―――――――――――――――――そして、彼女の価値観を一変させる存在に出会った。 その始めは第二回モンドグロッソで、二回目は今回のクラス代表選考会で

 

 貴族である自分に媚び諂う事無く物怖じしない態度、その決意に満ちた瞳・・・彼を彼たるものとした理由を。 彼のこれまでを。

 

 感情の奔流が意味するところに、最早疑問を持つことは無かった。 それが何かは判らない。 しかし、間違いなく自分はヒレン・E・アスティと言う男性の事を知りたいのだから。

 

 「私、こんな気持ちを持ったのは初めてですわ。 ですから貴方の事をもっと知りたいのです。 覚悟して下さいな」

 

 抱きしめていた体を解き胸に手を当てて静かにセシリアはシャワールームの中で呟いた。

 




三月七日加執修正
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