ISーインフィニットストラトスー とある少年のドタバタ転生録   作:クロイツヴァルト

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転校生は中国人? ①

 

 

 「ここが・・・IS学園」

 

 もうすぐ日が変わろうとしている時間帯にIS学園の正門の前で一人の少女が学園を見上げて呟く。

 

 「ここにアイツ(・・・)が」

 

 そう言って少女は正門を潜って大きなキャリーバッグを引きながら正門を潜り学園の中に入って行った。

 

 ―――――――――――――――

 

 「ヒレン君に織斑君、おはよー。 ねえ、転校生の噂って聞いた?」

 

 「転校生? こんな時期にか」

 

 「そうなんだよ。 しかも中国の代表候補生で二組に編入されるって話だよ。」

 

 一組の女子の言葉に怪訝な表情をしながらも中国と聞いて数年間だが一緒の学校に通っていた少女の事を思い出していたヒレンと何でとばかりに不思議そうな表情をする一夏

 

 「あら、私の存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら」

 

 「それよりも転校生ってどこから来たやつなんだ?」

 

 「い、一夏。 その転校生とやらが気になるのか?」

 

 セシリアの言葉を見事にスルーした一夏の言葉に箒が焦ったような口調で聞く。

 

 「そりゃ、気にもなるさ。」

 

 それを当然とばかりに返す一夏

 

 「一夏の考えている事は理解できないが、途中入学では色々と面倒な手続きに加えて入学試験よりも数段難しいと聞く。 それを突破して編入してきたのだから気にはなるな。」

 

 「ヒレンさんもですか!?」

 

 少々呆れの入った表情で一夏を一瞥した後に、IS学園の転校手続き、編入の為の試験、実技試験の内容を思い出しながらヒレンは言葉を洩らす。 その際にセシリアがヒレンの方へと身を乗り出し気味になりながら焦ったような表情で聞く。

 

 「・・・セシリア、お前がどういう風に考えているか知らないが俺は純粋に興味を持っただけだ。 そこらの一組はどうか知らないがどこぞの馬鹿共みたいに野次馬根性丸出しで見に行くほど馬鹿では無い。」

 

 「そ、そうですわよね」

 

 「ハッキングをして情報を手に入れるだけだ。」

 

 「十分に駄目ですわよ!?」

 

 ヒレンの言葉にセシリアはすかさずツッコみを入れる。

 

 「・・・・・・真に受けるな冗談だ。」

 

 「その微妙な間がとても気になりますが」

 

 「でもさ、今更転校生が来た所で専用機持ちは一組と四組だけなんだし楽勝でしょ」

 

 「・・・その情報、古いよ。」

 

 女子の言葉を間髪入れずに告げた言葉に教室内にいた生徒が全員振り向く。 ヒレンは直ぐにその声で誰が来たのか判断して苦笑していた。 一夏はその少女を見て唖然としていた。

 

 「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。 だからそう簡単には優勝できないから」

 

 不敵に笑う茶髪のツインテールに肩の部分がざっくりとカットされて大胆に肌が露出している制服に身を包んだ少女が不敵に笑いながらそう宣言する。

 

 「・・・お前、鈴か?」

 

 「そうよ。 中国代表候補生、鳳鈴音。 今日は宣戦布告をしにきたってわけ」

 

 一夏は僅かに腰を浮かしつつ、入口に立つ少女の方を見て

 

 「なに格好つけてるんだ? すげえ似合わねえぞ」

 

 「んなっ・・・!? なんてこというのよ、アンタは!」 

 

 苦笑しながら鈴の事について一夏が笑いながら指摘すればツインテールを振り乱しながら一夏を睨み付ける。

 

 「え、でもクラス代表はこの前決まったって」

 

 「お願いして貰って変わって貰ったわ。」

 

 女子の言葉に中国少女【鳳 鈴音(ファン・リンイン)】は腕組みをした状態のままで教室の入り口に仁王立ちの恰好で決めていた。 先程の一夏とのやり取りで色々と台無しな気もするが

 

 「・・・鈴、久しぶりだな。」

 

 「そうね。 一夏もそうだけどアンタには一番驚かされたわよ。 アンタの正体が紅天使ってだけでも驚いていたけど、年数的に考えても中学の時に何度か学校に来なかった時の事も考えると色々と思う所があるのよね」

 

 「・・・その冷静さがたまに恐ろしく感じる。」

 

 鈴の言葉にヒレンが苦笑しながら肩を竦ませる。

 

 「それにしても・・・何故恰好つける必要がある? 生来的に男勝りなのは重々承知だが女性らしく振舞う事も覚えなければ異性を射止める事は難しいぞ?」

 

 ヒレンの言葉で顔を一気に赤に染めた鈴が食ってかかろうとした所に

 

 「おい」

 

 「なによ!?」

 

 後ろから声を掛けられた鈴は勢いのまま荒い口調で振り向けば視界に広がる出席簿に一瞬思考が停止し、次いで軽快な打撃音が聞こえ頭に鈍い痛みが発生し涙目ながらにそれを行った人物をみやり口元が痙攣している事を感じながらも口を開き

 

 「もうSHRの時間だ。 教室に戻れ」

 

 「ち、千冬さん・・・」

 

 「織斑先生と呼べ。 さっさと教室に戻れ、そして道を塞ぐな。 邪魔だ」

 

 「す、すみません・・・」

 

 傲岸不遜な態度と言えばそれまでだが織斑教諭のそれは本人の威圧感と相まって様になっているからなおさら質が悪い。 一部の生徒に至ってはそれが良いと言う生徒もいるとかいないとか。 そんな千冬の前からすごすごと入口から退く鈴。 その様子からして織斑教諭に委縮しているのが見て取れた。

 

 「またあとで来るからね! 逃げないでよ、ヒレン! とついでに一夏!」

 

 「(何から逃げると言うのだ?)」

 

 「俺はついでなのか・・・?」

 

 「・・・さっさと戻れ」

 

 「は、はいっ!」

 

 じろりと織斑教諭に睨まれて告げられた言葉に鈴は二組へ向かって猛ダッシュする。 小柄な体躯の所為かすでにその姿は小さくなっていた。 本人に言えばボコボコにされる事が確定だが

 

 「アイツってIS操縦者だったのか。 初めて知った」

 

 「・・・一夏、それはこの学園は何を学ぶ場所かよく考えての発言か?」

 

 ヒレンの呆れた表情と言葉に今更になって思い出したのか乾いた笑い声で誤魔化す一夏であった。

 

 「・・・一夏、今のは誰だ? 知り合いか? えらく親しそうだったな?」

 

 「ヒ、ヒレンさん、あの子とはどういう関係で」

 

 「織斑教諭が来ているのに余裕だな」

 

 箒とセシリア、そしてクラスの大多数の女子がそれぞれヒレンと一夏に近付き質問しているが

 

 「席に着け馬鹿ども」

 

 神速で振り抜いた出席簿アタックにより頭頂部より煙を上げて突っ伏している子や、頭を抑えて唸る子などがいた。 ヒレンの目では問題なく捉えていたが常人からしたら視認すら出来ない早業である。 世界最強が無駄な所でとんでもない力を使って欲しくないと思う切実に。 そして今日も授業とIS訓練が始まる。

 

 ―――――――――――――――――――

 

 (さっきの女子はなんなのだ・・・一夏やアスティと親しそうだったが)

 

 朝の一件が気になって、箒は中々授業に集中できないでいた。

 

 (それに加えてあの二人の反応はまるで・・・)

 

 幼馴染に再開した様な反応だった。

 

 (一夏とは幼馴染だが、アスティは命の恩人なのだが・・・なぜか胸の奥がモヤモヤするな)

 

 こみあげてくる怒りをどうにか抑えながら、ちらりと教卓前の席に座る二人を窺うが、一夏はまじめにノートを取りヒレンは何事か呟きながら何枚もの紙の束を量産していた

 

 (・・・アスティ、その紙の量はなんなのだ? 何処からそれだけ出て来るのだ? それにしても私が授業に集中できていないというのに、お前はっ・・・!)

 

 「・・・・・・」

 

 しかし、冷静に箒は考えて今の自分のアドバンテージを思い出す。 同じ部屋であり、ヒレンに頼まれての方が些か強いがIS訓練も行いそれなりに進んでいると思っている。 同じ部屋であるという事はそれだけ二人きりの時間を作れるという事を・・・それを思い出して漸く怒りを抑える事に成功する。 再び見れば織斑教諭の言葉に理解が追い付かないのか難しい顔をしている一夏とそれを捕捉するように一夏の方を向きなんごとかと説明をしているヒレンの姿が見られた。 それを見て箒は苦笑し

 

 (しょうがない奴だな。 またISの事でも教えてやるか・・・一夏をダシにしているのは少々心苦しいがヒレンと私の接点はあの時の事位しかないのだしな)

 

 多少だが、罪悪感を感じつつも箒は一夏の事でヒレンの近くにいようと考えるのであった。

 

 (アスティの事はまだちゃんとお礼をしていないが、どう切り出したものか)

 

 そしてあの時というのは昔姉と共に捕まり、あわや女性としての尊厳を踏みにじられようとしていた所を助けられたがこのIS学園に入るまで居場所が不明だったのである。 そして、箒はそんなヒレンに助けられたお礼をこの数週間の間に言うと決意したものの中々踏み出せずにいた。 人前で言えば色々と問題になるのは必然であるがそもそも部屋まで押しかけるのはどうなのかとも考えていた。

 

 (しかし、礼はしっかりとせねばいけないしアスティの部屋は確か私達の部屋のすぐ隣・・・行くのなら今夜あたりか)

 

 心の中で決意した事に自然と士気高揚とした雰囲気の箒だったが

 

 「篠ノ之、答えは?」

 

 「は、はいっ!?」

 

 今の今まで思考の海にドップリと浸かっていた箒は素っ頓狂な声を上げる。 そう今は山田教諭の授業ではなく、あの織斑(・・)教諭の授業である。

 

 「答えは?」

 

 「・・・き、聞いていませんでした」

 

 直後、派手な音と共に篠ノ之の頭を出席簿という名の凶器が強襲する。

 

 「・・・・・・」

 

 そして、またここにも哀れな生贄(ばか)、セシリアはノートにシャープペンを走らせているが書かれているのはおよそ意味の無い字の羅列で言葉にすらなっていない。

 

 (なんなんですの、さっきの方は!)

 

 ヒレンと親しげな雰囲気で悪友の様な感じのやり取りまで見せつけた女子が気になって気になってしょうがない。 男性操縦者としてはヒレンは一夏と違い、ミステリアスな雰囲気もあり近付き辛い物があるがそれでもこのIS学園での人気は一夏以上である。同学年の方は一夏に行きがちだが、それより上の二年、三年の生徒はヒレンに興味を持ち始めている傾向さえあるのだ。 その中で更に競争率が高くなるのかと危惧しているのである。

 

 しかし、人間関係において途中からとはいえ小中から一緒にいたという情報は更にセシリアに焦躁感を感じさせる。 それはまるで一生懸命に自分がマラソンをしていたら、途中から参加しているのに追い抜かれた選手の気分である。

 

 (それはズルですわ! 正々堂々と勝負なさい!)

 

 セシリアの台詞は良く分からないが、兎に角セシリアは気に入らずに内心で憤慨していた。

 

 (しかも、代表候補生・・・)

 

 確かに代表候補生は、ここIS学園には二十数名も在籍している。 その中で一年では五人しかいなかったはずだった。 しかも、専用機持ちは一夏とヒレンを抜かせば二人。 ・・・かなりのリードポイントの筈だった。 しかし、そのリードポイントはキャンセルされ、むこうのズルが通ったようなものだ。

 

 (専用機持ちって言っていましたわね・・・)

 

 最悪、ただこの一言に尽きるのであった。

 

 (い、インチキですわ!)

 

 しかし、今更そんな事を言ってもしょうがないのである。 なんとか主導権を取らなくてはいけない。 しかもあのとても仲よさげに会話をしていた鈴を大きく突き放すほどの物が無ければ意味が無い

 

 (ですが、ISは元より座学なども高水準のヒレンさんに対して何か決定打になるようなもの・・・)

 

 「オルコット」

 

 「・・・例えばデートに誘うとか、いえもっと効果的なものは・・・」

 

 直後、セシリアのふんわりとしたブロンドの髪は出席簿の襲撃に圧縮されるのであった。

 

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