ISーインフィニットストラトスー とある少年のドタバタ転生録 作:クロイツヴァルト
IS学園の地下深くに存在するある区画
「結局、この機体はなんなんだ?」
「私と篠乃之博士で解析を進めていますがその殆どがブラックボックス化されていて未だに分からない事が多いですが、搭乗者がいない事からして無人機である事は判明しております。」
山田教諭と篠乃之博士が座るコンソールの後ろで腕組みをしながらほぼ全壊している今回の侵入者にして学園を混乱に陥れかけた三機の機体が中央の台座にそれぞれ寝かされていた。
「システムの方はヒー君が破壊しちゃってるし、エンジンみたいな物は赤いのの一基だけで、他の機体のは見事に破壊されているね。」
「しかし、先のジャミングをしたのはこの赤い機体なのは確実なのだな」
「ヒー君が言うにはこの三機とエクシアの核は同じものだけど同じじゃないって言ってたね」
「・・・ヒレンがか? しかし、同じであって同じじゃない・・・か。 謎々か」
「そこはヒー君に聞かないと分からないかな~」
千冬の言葉に束が欠伸をしながら答える。
「そういうと思って一応連れて来た。 まぁ、本人たっての希望だったから丁度いいと言えば丁度いいのだがな」
千冬の言葉に反応するように後ろの扉が作動する音と共に山田教諭と篠乃之博士が振り向くと
「この学園にはこのような施設も存在するのか」
「極一部の教員のみが知る区画だ。 おいそれと外部に漏らしていい物ではないからな」
「・・・それで、機体の解析は進んだのか?」
「まるっきりだな。 無人機だということ以外は全く分からない」
「だろうな。 元々この機体はある人間が作りだした物だ。 そしてその機体の動力部分は公表するには色々と憚れるからな」
ヒレンの言葉に千冬を始め、山田教諭と束は驚く
「どういう事なのかな? ヒー君はこの機体を作った人間の事を知っているの?」
「・・・織斑教諭」
ヒレンの言葉の意図に気付いた千冬は軽く頷く
「・・・織斑教諭は既に気付いているから良いとして、その人間は俺を作りだした男だ。 狂気を宿し己の欲求を満たす事にしか意義が無いような狂った人間」
「え・・・ヒレン君が」
「作られた・・・存在?」
「あの男は織斑千冬をベースとして俺という存在を作りだした。 そして幾つもの薬物投与に人体改造・・・俺の前に生み出された者は悉くがその最中に拒絶反応を起こし、肉体崩壊を起こした。 そんな中での成功体が俺だったと言う訳だ」
ヒレンの話す内容の酷さに山田教諭は絶句し、束は以前聞いた事よりも更なる大きな内容に、千冬は詳しく聞いていなかった事を後悔した
「そして、俺はあの紅白事件を契機にして紅天使としての名が俺の肩書に付く。 その後はご存じの通りだな」
「お前は・・・その男の事をどうしたい」
「・・・どうもなにも、向こうがちょっかいを出さない限りはこちらも手の出しようがないからどうしようもないが俺の様な存在をまた生み出さない様に次に見つけた時には・・・殺す」
ヒレンは最初苦笑交じりだった言葉の最後に表情を全て消して一言だけ明確な殺意を持って告げる。
「私からは止める事は出来ないが、お前のそれは決して褒められる事では無い事は理解しているのか?」
「そもそも俺は人間という枠組みの中に収まる事が出来ない化物だ。」
「そんな事ッ」
「あるんだ。 山田教諭、俺は薬物投与により人よりも強靭な肉体を、人体改造により隔絶的な能力を、脳を弄られた事による難解な並列思考演算をも可能とし、その副産物としてESP能力を保有する。 これだけでも俺を人とし足り得る要素があるのか?」
「私はそういう事を言いたいわけじゃ・・・」
「・・・すみません、重い空気にしてしまったが注意するべきところはあの男の異常なまでの技術力だ。 俺のエクシア・・・以前の姿であればアストレアというがそれもまたあの男が造りだした物だ。 大きな違いがあるとすればその動力炉。 贋作のGNドライブ」
「贋作・・・?」
「本来のGNドライブは緑色の粒子を吐き出すが、贋作は赤い粒子を放っていただろ?」
「・・・確かに、だがそれがどうしたと言うのだ」
「そこが贋作とオリジナルのGNドライブの違いだ。 本来のGNドライブは反永久機関としての機能を持つ。 現存のシールドエネルギーをGNドライブに取り込む事によりそのエネルギー効率を格段に跳ね上げ、特殊加工していないGN粒子はその特性上ではあらゆるレーダーにも映らず周囲には強力なジャミング効果をもたらす」
「・・・あの四枚の羽のように見えた赤い粒子はその機能を補助していた・・・と言う訳か」
「おおむねその通りだ。 見て判る通りに黒い機体が砲撃支援を主眼とし、オレンジの機体は近距離、中距離を主眼とし、赤い機体は情報の規制に加え隠蔽に主眼を置いている。 あのジャミングは赤い機体の出していた大量のGN粒子が原因だ」
「対処の方法は今の所無いのか?」
千冬の言葉にヒレンは
「今の所は俺にしか対処できないだろうな。 実際に搭載型の機体は先の三機を見ても第三世代機でも苦戦するだろう」
ヒレンの告げた言葉に千冬は眉間に皺を寄せ難しい表情をする。
「今回の事で向こうもまた出方を変えて来るかもしれないが、次に起こすであろう大々的な行動を起こすのはかなり先になるかもしれん。」
「・・・なぜそう言いきれる」
訝しむ千冬に対してヒレンは
「今回の戦闘データは既に向こうに渡っていると思う。 然るに、その準備と次の戦力を整えるのにはそれ相応の時間が必要だ。 奴とて一人の人間だ」
それだけ呟いてヒレンは中央の台座に安置されている三機のガンダムを眺める
「贋作・・・疑似GNドライブ・・・あの男はもうGNドライブを解析していたのか? いや、そもそも俺の機体にはオリジナルが搭載されている事から考えてもアイツはそれを作りだすだけの年月と資産があるはずだ・・・ならば何故今になって疑似GNドライブ搭載型のスローネタイプを送って来た?」
ブツブツと呟き始めたヒレンを余所に千冬たちは三人で集まり話をしていた。
「・・・やはりヒレンはあの機体の事を知っている様だが」
「でも、あんなに厳しい表情をするなんて」
「ヒー君はあの動力炉の危険性に気付いているのかも」
束の言葉に千冬と真耶は束に問う
「危険性?」
「以前、ヒー君にエクシアを見せて貰った時のデータを照らし合わせてみたけど・・・あの赤い粒子は人体に有害な毒素を含んでいるみたい。 それは勿論エクシアの方にも大なり小なりあるけど・・・あの赤い粒子と比べると天と地との差で赤い粒子の方が危険なんだ。 もし仮にだよ、IS越しに受けたとしても後になって後遺症の様な症状を起こしたり、免疫能力の低下、臓器などにも原因不明の癌が出来たりする事も考えられる。」
束の告げた言葉に真耶は恐怖し、千冬はその事実に目を見開く。
「なら・・・あの攻撃をもしヒレンが受けていたら」
「・・・間違いなくただじゃすまなかっただろうね。 そして、それが生徒達に向かわない様に常に立ち回っていたとも考えられるんだよ」
「そんな・・・あんなとんでもない動きをする無人機を三機も相手にしてそんな事をしていたなんて」
「これからもあんなのが出て来るなんて考えただけでも私だって嫌だけど、目の前にあるのが証拠だからね」
そう告げる束は尚も問題の機体に目を向けているヒレンを見る。
(ヒー君、君の事をもっともっと知りたいって、護りたいって想うのは重荷になるかも知れない。 けれど、君のその儚さを思わせる雰囲気を感じれば感じるほど君は護られてもいい存在だって教えてあげる。 あの時助けてくれた恩返しがまだ出来ていないんだからね?)
束はそう心を決め、未だ三機のISを見つめ、何かを呟くヒレンを見つめる。
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「で、これからの方針だが」
学園の地下室での一件が終わりヒレンは自室に戻ると自前のPCを起動して月の裏側にあるヴェーダにアクセスしてティエリアと今後の方針を決めようとしていた。
《向こうの所在地が不明な現状は向こうが動くのを待つしかないな。 しかし、対抗策を講じなければ今回以上の惨事になりかねないのもまた事実だ》
「それは分かっている。 搭載型が出て来たのには驚いたが、今回の戦闘データを下にして更に能力向上をした搭載型が現れる事も考えて色々としておいた方が良いかもしれない。」
《具体的にはどうする》
「俺の持つオリジナルGNドライブ・・・それをもう一基作成しOOガンダムに移行させる。 それまでの繋ぎとしてこのままエクシアを使用するが、強襲用パッケージ【
《やる事が多いな・・・しかし、弱音を吐かれるよりは良いがな。 ヒレン、お前は僕と違って肉体という器があるあまり無茶をして倒れられては困るからな》
最初、溜め息を吐くような言葉と共に不敵に笑うティエリアだが、唐突に真剣な表情をしてヒレンを気遣う。
「そんな簡単に倒れる程、柔な体じゃないさ」
《そう言う事を言っているのではなくてだな・・・》
「あー、兎に角だ。 俺の言った装備と動力部の作成を頼むぞ」
《・・・最短でも動力炉に関しては夏の初めまで掛かると思う。 無人機で作成させるとはいえ木星圏まで行って帰ってくるのだけでもかなりの時間を要するからな。 まぁ、君がそう言うと思って既に手配だけはしてあるから開発の終了が夏の初め位にはなるが・・・それでも三か月以上先になる。 追加装甲兼兵装の事についてだが四日間もあれば完了する。 資料は既に君の頭の中にある様だからこちらから勝手に写させて貰って制作に入れる》
「そうか・・・頼んだ。」
《あぁ。 ヒレンも気を付けて》
そう言ってヒレンはティエリアとの通信を切り、PCとヴェーダのリンクを閉じる。 その後、複数のダミーを織り交ぜたセキュリティを掛け直し電源を落とした。
「・・・あのキチガイ博士・・・何を企んでいる? 一夏の持つ白式か? それともそのコアであるロット№001白騎士が目的なのか・・・はたまた俺の能力か、エクシアなのか・・・判断材料が不足している状態ではどうにもならない・・・か。」
ヒレンは椅子に背を預けたまま上を仰ぎ見る。 その時、ドアをノックする音と共に外で言い争う気配を感じた。
「・・・誰だ? まだ夕食の時間ではないがそろそろ向かっても良い頃合いだが、誰が来たんだ?」
そう呟きながらもドアを開けると篠乃之とセシリアが目と目で火花を散らしている光景に苦笑している鈴と何をしているのか全く理解していない一夏の四人であった。
「・・・お前達、なにをしている」
「さぁ、俺もさっぱりだぜ?」
「あ、あははははは」
若干だが呆れた表情をしているヒレンに気が付き慌てて取り繕う2人だが既にヒレンに見られていた事を知ると面白い位に赤面し縮こまっていた。
「・・・なんの事で言い争っていたのかは知らないがもう夕食の時間なのだから話は向こうでするとしよう。」
「それもそうね。 ほら、2人とも食堂に行くんだからいつまでも喧嘩しないの!」
学園に最近来た鈴であるがその男勝りな性格が功を成し、学園内で一年の引率の様な事をしているのである。 傍から見れば面倒見の良いお姉さんである。
「うぅ・・・分かりましたわ。」
「・・・むぅ」
若干だが恨めし気にヒレンを見るセシリアとこちらは非難がましい視線と不貞腐れたような表情の箒が反応するが、ヒレンは苦笑しかできないのであった。
「ほら、鈴の言う通りにしないと夕食の時間が過ぎてしまうぞ」
そう言って部屋を出るヒレンを追うような形で四人はついて行く。 もちろんだが左にセシリア、右に箒が陣取りヒレンを挟んでまたも視線での戦いが起きるが既にヒレンは諦めているのか放置し、そんな状況を見て鈴と一夏は乾いた笑いしか起きないのであった。 そしてその夕食の最中に篠乃之束が乱入して来て騒がしくなったのは全くの余談である
今回出た定義は所々で00の設定を流用している物でありますが、作者の独自見解もありますのでご容赦のほどを