ISーインフィニットストラトスー とある少年のドタバタ転生録   作:クロイツヴァルト

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転校生はドイツ人!?

 

 

 シャルルの正体がヒレンに露呈して数日

 

 「えー、今日はまた転校生の紹介をしたいと思います」

 

 教卓に立つ山田教諭の横に立つ女生徒はヒレンと同じ銀髪に左目を隠す眼帯をし、軍人としての空気を纏っていた。

 

 「ラウラ、自己紹介しろ」

 

 「はい、教官」

 

 「私はもう教官では無い。 ここでは先生と呼べ」

 

 「ラウラ・ヴォーデヴィッヒだ。 ドイツ代表候補生にしてそこにいるヒレン教官補佐の相棒を務めている」

 

 織斑教諭と話をしていた少女【ラウラ・ヴォーデヴィッヒ】はそうクラスの者達に宣言する。 その言葉に女子の絶叫が響き渡る

 

 「え、なになに? ヒレン君の相棒!?」

 

 「ど、どどどどういう事ですの!?」

 

 「ヒレンの相棒だと!?」

 

 「えっと・・・ヒレン、本当なのか?」

 

 「一時期ドイツの軍事演習で一緒になる事が多かったが、その所為なのかもしれん。 本人がああも声を大にして宣言している所を見るとそういう認識なのかもな。」

 

 様々な反応を見せている中でラウラが教卓から離れてヒレンの下へと訪れる。 そしてその場面を見ようと先程まで騒いでいたクラスの人間達は打って変わって静かになる。

 

 「アスティ教官補佐殿、お久しぶりです。 」

 

 「織斑教諭も言った通り俺もここでは一生徒に変わりないのだから普通に接してくれると助かる。 いや、お前にはそもそも無理からぬ事だなラウラ・ヴォーデヴィッヒ」

 

 「辛辣な事を言ってくれますね、しかし私も反論が出来ないところです」

 

 「なら、少しは慣れる事だ。 この学園はお前の知る軍では無く、生徒として学園生活を満喫しろとは言わないが軍人だという事を少しの間忘れる事だ。」

 

 「はい!」

 

 ヒレンの言葉にラウラは気合いの入った返事をした後に一夏の方へ視線を向ける。

 

 「・・・貴様が織斑一夏か」

 

 「・・・そうだけどなんだ?」

 

 「ヒレンの手前だが、私はお前を認めない! あの人の弟であり私の尊敬する相棒の親友といわれるお前を!」

 

 ラウラの瞳には憎悪と怒りが混じった視線で一夏を射抜く。 その瞳を見た一夏は人知れず威圧されている事に気付き

 

 「お前に・・・ラウラに言われる筋は無い。 俺はヒレンの事を親友と思っているし、千冬姉は俺の最高の姉さんだ。 それは変えようの無い事実だ」

 

 真っ向から睨み返した一夏の視線と言葉にラウラは

 

 「ッふん! ならばせいぜい私に認めさせてみろ!」

 

 言い切った直後にラウラと一夏の頭頂部に鋭い痛みが走る。 そして、気の所為なのか一夏の方から聞こえてきた音が打撃音では無く破砕音の様な音だった気もしなくもない。

 

 「バカ者共、今がHR中だという事を忘れたのか? それと織斑は何度言えば分かるんだ? 学園では先生と呼べと言っているだろうが」

 

 出席簿を片手に持った織斑教諭は溜め息ひとつして、山田教諭の方へと戻る。

 

 「それでは山田先生」

 

 「は、はい! これでHRを終わります。 後はこの後の授業ですが」

 

 山田先生の連絡事項を聞きながらヒレンは思考していた。

 

 (こんな時にラウラが転校して来るとは・・・向こうの上層部は何を考えて・・・確か総司令がラウラの後見人だったな)

 

 (しかし、なんでまたこの時期なんだ? 前回の襲撃の情報は漏洩していない筈だが・・・一夏の事や俺が学園にいる事が分かった事からゆくゆくは軍もしくは国への引き抜きなのか?)

 

 一人で思案していても判断材料が少なく埒が明かないと判断したヒレンは後でティエリアに通信して確認しようと決定していた。 そんな背中を見つめる銀髪の少女はヒレンへと熱い視線を送っていた。

 

 (取り敢えずは様子見だな。 一夏に対しての意識を変えようとしたが徒労に終わってしまったが、それはこれからでも変える事が出来ると思うが・・・)

 

 ――――――――――――――

 

 「だからココでズガガーンと行ってドカンだ!」

 

 「だから感覚よ感覚! ハァッ!? なんで分からないのよ!?」

 

 「だから回避行動の時には右斜め45度にして反撃の際には・・・」

 

 「一遍に喋られても分からないし言ってる意味が割と本気で理解できないってどういう事だよ!?」 

 

 アリーナにて訓練の為に来ていたヒレン達であったが一夏の事を三人娘に任せたヒレンはシャルルとの模擬戦をしていた。

 

 「砂漠の逃げ水(ミラージュ・デ・デザート)か。 確かにあらゆる距離を把握している者でも初見では苦手となるな。」

 

 「そうは言ってもヒレンはなんだかんだで対応して来ているじゃないか」

 

 「そこは場数と経験でなんとかなる所だ」

 

 「ヒレンの今までが物凄く気になる反面、聞いたらいけないと思うなぁ」

 

 空中で模擬戦闘を繰り広げていた二人は降下しながらそんな会話をしていた。 ヒレンは真面目な顔で、シャルルは呆れと苦笑交じりの声と表情で

 

 「一夏、お前はその三人の説明で何か理解したか?」

 

 「いや、理解しろってのがそもそも難しい事をヒレンは理解しているよな!?」

 

 「擬音語説明に感覚派と理論派の説明だろ? 俺はどれも理解できるが?」

 

 「なんだそれ! なに理解できないのって顔は!? 俺が可笑しいのか!?」

 

 ヒレンの言葉に一夏はすかさずツッコみを入れるが当のヒレンは訳が分からないという表情をしており、傍らに立つシャルルに関しては苦笑するばかりで一夏を助けるという気配が無くツッコみを入れた一夏は項垂れるのであった。

 

 「はぁ、こんな事ばかりしている所為なのかここの所勝率が伸びない上にセシリアや鈴に対して負け越しな気が」

 

 「えっと・・・一夏がセシリアさん達に勝てないのって単純に射撃兵装に関しての知識が足りないからじゃないかと思うんだけど・・・」

 

 「そうだな・・・頭で理解しろと言っても理解できないのが一夏だしな・・・」

 

 「ヒレン、お前ってほんとに容赦ないな」

 

 「なに、事実を言ったまでだ。 それに頭で理解できないのに実際に実戦形式で訓練した所で一分も持たないだろうが」

 

 「・・・それはヒレンの射撃兵装の雨を一分も耐えられるのって織斑先生位じゃないの?」

 

 「・・・確かに千冬姉って何気に人類を止めていそうだしなぁ」

 

 「一夏、本人の前で絶対にそれを口にするなよ?」

 

 「分かってるって。」

 

 「じゃ、先ずはシャルルに射撃兵装に関してのレクチャーを受けてこい。 俺はセシリア達の訓練に行く」

 

 そして、アリーナにてシャルルが一夏に対して射撃兵装について講釈しながら実践する形で一夏に教えていた。

 

 「銃を使った感想はどう?」

 

 「ん~、兎に角速いって感想しかないな」

 

 「その感想でだいたい合ってるよ」

 

 シャルルに銃を使った一夏は銃を片手に感嘆の声を出すしかなかった。 そしてそこへ

 

 「ねえ、アレってドイツの第三世代機じゃない?」

 

 「うそ! まだ試験段階のはずじゃ」

 

 「ドイツの第三世代機【シュバルツェア・レーゲン】すでにロールアウトしていたのか」

 

 「ラウラ・ヴォーデヴィッヒ」

 

 「織斑一夏、お前も専用機を持っているそうじゃないか」

 

 ヒレンの呟きに一夏がラウラの名前を呟くとそれを聞き取ったのか挑発気味に一夏に問う

 

 「・・・だったらなんだって言うんだ」

 

 「この私と戦え」

 

 「戦う理由が無い」

 

 「ならば否応なく戦ってもらうぞ!」

 

 そう言ってラウラはシュバルツェア・レーゲンの肩に搭載されているレールカノンを起動してそのまま発砲する。

 

 「まったく、ドイツ人は頭の中までビールの様にホットなのかい?」

 

 「第二世代(アンティーク)如きがこのシュバルツェア・レーゲンの前に立ちはだかるのか? 世代差という物を知らんのか?」

 

 「未だに量産化の目処すら立たない第三世代(ルーキー)よりはマシだと思うけど?」

 

 「このっ!」

 

 ≪そこの生徒、何をしている!≫

 

 今正にラウラがレールカノンの第二射を放とうとした所へ騒ぎを聞きつけた教師が管制室から横やりが飛んできて、ラウラは舌打ちひとつしてISを解除する。

 

 「興が削がれたな・・・織斑一夏! 私はお前を絶対に認めない!」

 

 ISを解除したラウラは鋭い視線を一夏に向けてそう言い放ちその場を後にする。

 

 「・・・なんなんだいったい」

 

 「一夏、今回の件はあの時の事が起因していると思うが俺に任せておけ。 ・・・元々は俺の責任の様な物だからな」

 

 訝しむ一夏に対してヒレンは真剣な表情で呟きながらラウラの立ち去った方向をみていた。

 

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