あの日からわずか1週間、私は私が住んでいた森とは別の森で木々を蹴って移動していた。
もちろん、時雨さんがついてこれるように若干スピードを落としている。
「あやぁ・・・早いですね。」
「しかもこっちをチラチラ確認してて、相当余裕そうだね。」
時雨さんとバカ天狗が何かを話しているが無視する。
戌より利く鼻を使ってこの森の全体図を覚える。
ここから西にしばらく歩けば川、南の近くに洞穴、北に人里のにおいで・・・東は元の森。
肉食動物や妖怪はいないけど・・・鹿か。
私は二人から離れてその鹿を狩りに行く。
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木の上から鹿をしっかりと観察する。
4年は生きたであろうオス鹿、角はかなり立派だ。少しだけ感じられる妖力からもしかしたら最弱な妖怪を倒して吸収したかもしれないな。
その鹿は、開けた平原のような場所で草を食べている。
周りにはその鹿の群れの仲間なのか大勢の鹿が静かに座っていたり眠ったりしている。
・・・やるか。
足に力を込めて一気に飛び出し、その鹿の首がけて妖力で硬化させた爪を振り下ろす。
その鹿はとっさのことに気づけないようでそのまま首をボトリと落とす。
「おー・・・これは立派な牡鹿。」
いつの間にか追いついていたのか時雨さんが見ていた。
見ていたのならもう少し早く出てきてほしいものだ。
・・・まあ、いいやいただきます。
「まった。」
狩った鹿をその場で食べようとすると時雨さんから待ったがかかる。
何で止めるんだろう、早く食べないと腐ってしまうのに。
そんなことを考えながら時雨さんを見ると、どうやら考えがあるようなのでおとなしく従う。
時雨さんが懐から包丁を取り出すと、慣れた手つきでその鹿を解体しだした。
そして後から来た天狗に何かの指示を出して焚火をし始めた。
「生で食べるより、焼いて食べたほうがおいしいよ。」
そういって少し焦げ目の付いたお肉を渡してくる。
私はそれを受け取り、猫舌なのでちょっと食べずらかったけど食べた。
それは、生で食べる肉よりもおいしくて、何個でも食べたくなるような味だ。
「・・・!」
「気に入った?お代わりいっぱいあるから、食べた食べた。」
そう言って、新しいお肉を渡してくれる時雨さん。
私はそれを受け取りかぶりつくのであった。
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「・・・♪」
渡されたお肉を全部食べ切るといつの間にか時雨さんは、余ったお肉を燻製肉にしてしまっていた。
火を使えばそんなことができたんだ・・・あのころに人間一人とっつかまえてやらせればよかった。
まあ当時は、やるかやられるかだったからたぶんやって食べてたんだろうけど・・・
「さて、おなかも膨れたことだし。そろそろ行こうか。」
そういって時雨さんが立つ、あの天狗も満足げなちょっとイラっとする笑顔でふわりと浮かぶ。
私は、その言葉を聞いて立ち上がる。
次はどこに行くんだろう。
「んー、あの山でものぼろっか。」
「?あの山って・・・げぇ!?し、師匠!?あの山ってまさか!!」
「あ、やっぱり気づいちゃう?」
「なんで家出したのに戻らなきゃならないんですかやだー!!」
・・・うるさいなこのバカ天狗