「はぁ・・・帰りたくないなぁ・・・」
アホ天狗がもう17回目の愚痴をこぼす。
時雨さんから聞いた話によるとこのアホ天狗はおおよそ10年前にあの山から家出したらしい。それでとある国でお世話になっていたところをこの旅に出る前の時雨さんと出会い。こうしてついてきてるらしい。
「でも久々の里帰りでしょ?もうちょっと胸を張りなよ」
「・・・・・それでも嫌なんですよぉ。」
グズグズと言い訳をする。
そんなに嫌ならさっさとどこかに行けばいいのに。
「そういうわけにもいかないんだよぉ、ゆかりんはまだまだ子供だなぁ。」
「・・・」イラッ
イラっと来たのでアホ天狗の頭をつかんで力を籠める。
アホ天狗は悲鳴を上げつつ抵抗するも、妖力込みで掴んでいるためろくな抵抗ができてなかった。
「い”に”ゃあ”あ”あ”あ”あ”あ”っ、バッバカにしたことは謝る!!謝るからぁッ!!」
「・・・」ジト…
なんかあほらしく思えたので手を離す。
頭がつぶれるかと思った。と、天狗は額をさすりながらそういう。
こいつ懲りてないな。そう思い、少し妖力を出すとアホ天狗はピィッ!!と情けない声を出して怯えだす。
・・・こいつ、本当に天狗なのだろうか。私の中の天狗ってもっと・・・こう。
【ふははは、どうした・・・その程度?】って感じなんだけど。
「それはただの魔王ですよゆかりん。」
「・・・」
「い”だぁぁぁぁあああっ!!」
やっぱりこりていないのでアホ天狗の頭をつかんで締め上げる。
そんなあほなことをやってても時雨さんは、ふふふ。と笑いながら歩いている。
その後ろ姿を見るとなぜだか、胸のあたりがあったかく感じた・・・
「・・・・・・」
「ゆかりさーん、そろそろ放してくれないかな?爪が食い込んでいたいんだけど」
「・・・」イラッ
「ぎゃぁあああっ!!ちょっ、本当につぶれ、あっおばあちゃ・・・あっあっ」
こいつ本当にアホ天狗だ。
このアホ天狗は天狗の里で呑気に暮らしていればいいのに、どうして家出なんてして時雨さんと一緒に旅をしてるんだろう。そう考えると、なぜだかさらにイラっとする。
「はぁ・・・やっと解放された。」
だけど、そろそろ時雨さんに怒られそうなのでアホ天狗の頭から手を離す。
・・・まあイラっとするけど、このアホ天狗はどこか憎めない。
でも本当に気がかりなのは・・・
なんで、人当たりがよさそうなのに家出なんてしたかってことである。
「はぁ・・・帰りたくないなぁ・・・」
また同じセリフ言いつつ、アホ天狗はため息をつくのであった。