盗賊のアジトで私は目の前にいる少女・・・って、言うよりかは少女に化けている小狐と必死に交流している。
(まさかあの時出てた悲鳴は本能的なアレだったなんて・・・)「・・・」身振り手振りで何とか伝えようとしてる。
「・・・」あせあせ。(←伝わってない )
ダメだそれは食べられるものって伝えられない・・・えぇい。でもこれは仕方ないことなんだ。私が助けちゃったんだから・・・
(時雨さんめ・・・)
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数分前・・・
「で?この人間、どうするんですか?」
と、バカ天狗が時雨さんに言う。
やせ細っており近くの村に送ってもまた出てきそうな予感もある。
「えっ、2人とも気づかないの?」
「何がですか?」「・・・?」
「その子、人間に化けてる狐だよ?」
「・・・!」ビクッ
「あや!?」「・・・」
そう言われてみれば、なんだか少なからず妖力を感じれる。多分、妖怪狐の子供で生まれたけど捨てられて人間に化けて暮らしてたんだろうか・・・あ、涙目になって震えてる・・・なんか可愛いな。
「あ、そうだ。」
いいこと思いついた。と言わんばかりに時雨さんが立ち上がり私を見据える。
なんだろう、なんだかとっても嫌な予感がするぞ。
「紫ちゃんが助けたから、紫ちゃんが責任もって育てなさい。」
「・・・・・・・・・・・・」
えっ!?
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そんなこんなで、私がこの小狐の親となり育てることになった。旅にも連れていくらしく、私が責任者になること間違いなしだった。
「・・・これ、たべる?」
と、ちょっとだけ心が通じたのか小狐が言葉を喋る。
どうやらこの小狐を捨てた妖怪狐はかなり高位のようで言葉を少し教えていたようだ。
「・・・」コクコク
私が優しく頷くと恐る恐る口をつける。
このおにぎりは時雨さんから貰ったものではなく作り方を教えて貰いながら私が作ったもの。時雨さんにおにぎりくださいって言ったら作り方教えるから自分で作ってって言われた時は、驚いた。
「・・・おいしい!」
一口食べて飲み込むと、眩い笑みを浮かべておにぎりをたべる。よかった、自信が無かったけど食べられるみたいだ・・・形が崩れたり時雨さんにダメ出しされたのをバカ天狗に与えて正解だった。
「おいしい・・・おいしいよぉっ」
おにぎりを食べながら涙を流す小狐。
私はそっと、その子の頭を優しく撫でて慰めるのであった。
ウワカッタイ!!ナニコレ、イシ!?
ちょっと遠くから聞こえてくるそんな声を無視しながら。