戦闘が始まってから幾時間.......
力なく倒れた勇名は天を仰いだ。
「はぁ.......はぁ.......はぁ.......やり切ったぞ.......」
長い戦闘の果て勇名はカバネを殲滅した。
辺りにはカバネの死体が山積みになっている。
「さすがに、これだけの数を相手に無傷ってのは厳しかったがもう噛まれてもカバネになることは無さそうだ。何故こんな身体になったのかは分からないが何かと都合がいい。しかしこの状態が大丈夫なのか心配だ、何か知る方法は無いものか.......」
勇名は考える。しばらく考えたどり着いた答えは、
「そうだ!金剛郭、あそこに行けば何か分かるはず、そうなればすぐに向かうしかない」
そして立ち上がり一度家に戻る。
地図、食料を持ち戦闘でボロボロになった服を脱ぎ着替える。
最低限の荷物を持ち別の場所へ。
向かったのは勇名の先祖の眠る墓。そして静かに手を合わせた。
「集落のみんなはカバネに殺されてしまった、俺はみんなの弔い合戦の為に旅に出る。どうか向こうでみんなと見守ってて欲しい。また次帰って来れるのは何年かかるかもわからない、けど必ず戻ってくるから待ってて欲しい」
そう言って勇名は墓を後にする。
向かうは金剛郭、とてつもなく長い旅になる。勇名は気を引き締め第一歩を踏み出した。
道中幾度もカバネと遭遇し戦闘が続いていた勇名。歩くこと数時間、隣の街美明(みあけ)に着いた勇名。しかしこの街も既にカバネの襲撃を受けカバネの巣に成り果てていた。
「ちっ、まさか隣の街までこんな有様になってるとはな。これじゃあ他の街もダメかも知れないな。だが何かあるかもしれない。カバネを殲滅して調べよう」
刀を抜き街に突っ込んでいく。
勇名はこの街に来るまでにいくつか気づいた事があった。それはカバネ行動と倒し方だ。
カバネは血の匂いに敏感で血を流していたりすると集まってくる。その他にカバネを倒すと他のカバネは狂ったように襲いかかって来るのだ。
倒し方は剥き出しになっている鋼のように硬い心臓を破壊するか首を落とすと倒せるということだ。
この情報を頭に入れている勇名は腰に付けている袋からあるものを取り出す。竹で出来た水筒だ。その中身を地面に流す。
するとカバネ達は一斉に勇名の方に振り向く。彼が流したもの、それは血である。
これで注意を引き付け集まったところに回り込むようにして切りかかる。
血の匂いとカバネを倒したことにより続々とカバネが集まってきた。
「数は今のところ約五十体てところか。ふん、一分で終わらせる!」
そう言って刀を一薙すると刀を左手から右手に持ち替え左手で短刀を抜き的確に急所を狙っていく。
因みにこの短刀も太刀と同じ刃でカバネの心臓を貫き断ち切ることの出来るものだ。どこで入手したかと言うと故郷のカバネ殲滅中この短刀が刺さったままのカバネを見つけて手に取ったところ持っていた太刀と同じ刃だったので妻の遺体の所へ戻ったら短刀の鞘を見つけた。
鞘には太刀の鞘と同じ家紋があり妻が使ったものだとわかったので一緒に持っていくことにしたのだ。
「やはり二刀流だと体が勝手に反応する。武家の血は争えないということか。そしてこの刀には隠された力がまだある。だが今はまだ使う必要もないな」
目にも止まらぬ斬撃で瞬く間にカバネを切り倒していく勇名。時間にして約一分カバネを全て切り伏せた。
「予定通り、だがこの街、何やら嫌な予感がする。調べるにしてももう少し警戒を続ける事にしよう」
周囲に気を配りながら街の中心へと向かって歩みを進める勇名だった。