「いつまでそれが持つことやら…ねぇ?」
椛の少女に放つ言葉のそれはまるで彼女がこの状況を楽しんでいるように思わせるに充分であった。
そして同時に味方で良かった。と思える瞬間でもあった。
ほどなくして椛は再び彼女の身体に手を添える。
「…‥‥‥‥っ」
月明かりに照らされた少女の体が頼りなさげにビクリと跳ねる。
それは先程のように痛いことをされるという恐怖からなのか反射的な物なのか。
微動だにしない表情からは読み取る事は出来ない。
椛は特に少女の反応に興味は示さず先程とは違い、くるくると肌に円を書いてみたりと指で遊び始めた。
「あっ‥ふひ‥あは‥」
少女がもぞもぞと体を揺らしくすぐったそうに声を漏ら始める。
それでも構わず椛は触り続けていた。
「ひぎゅっ‥?!」
しばらくして、少女が断末魔のような驚嘆の声を上げる。
それが椛が先程のように彼女をつねったことであると分かるのには大して時間はかからない。
何がなんだかわからず呆然とする彼女を他所に椛は再び同じように触り始める素振をみせた。
「ひっ…」
涙を滲ませ身体も少しばかり震えているのを見れば、明確に怯えていると分かる。
言葉を交わすことはないものの、それが軽い辱めであることは明確なものであると言えた。
「椛さん助けてくれてありがとうございました…‥‥その‥‥‥これ以上は…」
もう止めてあげて欲しい。
そう言い続けようとしたのもつかの間。
「いいえ。疲れていますでしょうから、今日のところはお休みになってください。」
その言葉の続きを遮るように椛は軽く俺に会釈し少女に向き直ってしまった。
言葉を遮られ、俺は椛の肩越しに少女の不安げな表情をただ見送り寝床へ戻る。
布団に戻り蹴破られ外の敷居が無くなった部屋。
夜風がそっと差し込み睡魔の微睡みが身体を包み込む感覚に一人、身を委ね微睡みに意識を預けた。
朝。
木漏れ日と少し冷えた空気に頬を突かれ目を覚ます。
「ううん…」
ふと昨日の出来事が目に浮かぶ。最悪だ。
心象的に良い目覚めじゃない。
環境で言ったら自然空調で環境音楽付きの宿のようなものなのだから、とても悪いとは言えない。
ただ、先の事や着替えられていないのでベタついて感触が良くないのも手伝って良い心地と悪い心地が同居しているのがとてもストレスだ。
お風呂でも入れればいいが、昨日の今日でそこまでの贅沢を言っていられない事を悟っていた。
そこまで思考がついた時、ふと隣に妙な違和感を覚える。
不自然な布団の膨らみ。
一人分にしては、どうも温い。
そう、まるでもう一人横に寝ているかのよう―
ちらとキレイな白い肌の背中が隙間から見えた瞬間、俺は自分でも驚く位の後ずさりで布団から出た。
―誰かが隣にいる。それも半裸。
何が何だか理解し難い気に駆られつつも必死に思考を回していた。
―まず、寝ているとしたら椛か少女そのどちらかである…が、そもそも一夜程度共にしたどこぞの馬の骨も分からない人間と一緒に寝るだろうか?
というか全く理解出来ない。
と、なれば良識有るかどうかは別として椛は対象から外れる。
ならばここにいるのは、十中八九あの少女だ。
しかし何故また隣にいる?
寝る直前、少女は紛れもなく柱に縛り付けられていた。
あれこれ考えていたその時。
嘘であれば良かったが現実は非情だった。
一週間ぶりの執筆です。
かなーり文書がまとまらずあんまり出来には満足してませんが…とりあえず、続編です。
まだまだブランクが抜けきらないですが、多めに見て読んであげてください。