「ふあ?」
拍子抜けたような声と共に、むくりと布団が持ち上がる。
布団が持ち上がると共に、顔が体が柔らかな光に照らされ露わになっていく。
そうして現れゆく者ー
白く透き通るような肌に髪、人ならざるものが持つ耳ー
忘れるはずもない。
それはまごうことなき昨日の少女だった。
「ああああああああ?!!!!!」
驚嘆が自分の中から出た声とは思えぬ声量で体を震わせ空間を満たしていく。
俺とて男に生まれた以上、この上ない理想的展開だろう。わかる。
でも今じゃない。
これはムードとか、いろんな事を経験してからとか…そういうモノではないのかと思うが状況はそうはいかない。
せめてもの救いは相手が普通の人間じゃない事、そして自分が思った以上のロマンチストでこの状況を好機と見る事すら出来なかった事だ。
「んー…。」
布団から這い出た少女がアクビをして四肢を伸ばす、その姿はさながら野生の生き物そのまま。
言うなれば、そう。狼の遠吠だ。
ただ、身体は人そのモノ。当然見えてはいけないもの、今まで見てはなかったものが見えてしまっているわけだ。
昨晩は暗くて良く見えなかったが随分と改めて見るとあまりに華奢、ただ緩やかな自然光に照らされるそれはまるで1つの芸術作品とまで言える位にキレイだった。
一が見惚れていたのも束の間。彼女が外に出ようとしていることに気がついた。
「わぁぁあ!待った待った!そのカッコはマズイ!」
そのままでは変質者扱いされてしまう。
キョトンとした目つきを向けるのを他所に恥も構わず思い切り彼女の腕を引っ掴み向かい合う。
「ふぁ?」
「いいかい?君は全裸。スッポンポンなの。そのまま出てったらとんでもない事になるんだ。わかるかい?」
「…あー…」
真剣な声音で少しは伝わったのだろうか。少女が少ししおらしい返事をする。
だが、相変わらず言葉がわからないのかこちらの言葉を理解しての事ではなさそうである。
一体どうしたものか…
悩む背中を聞き覚えのある声が叩く。
「おはようございます。」
忘れもしない椛、その人だ。
「あ、どうも。じゃあないっ!」
「朝からノリツッコミ激しいですねー。」
「な・ん・でコイツがいるんですかぁ!!」
激昂するコチラを他所に椛が近寄るが少女は何か察したかのように俺の後ろに隠れてしまう。
全く笑っていない目。
彼女を捉える椛のそれは離れろという言葉そのもののように感じた。
コレが自分を救ってくれた椛その人だというのか?
いささか信じられない感傷に心を打たれつつ無意識に少女を庇う体勢になる。
「っ……」
少女の震える手が服の裾を伝って心臓に訴えかける。
助けて、助けてと声にならない叫びを何度も何度もさながらモールス信号さながらに問いかけてきた。
恐らくこの上ない屈辱を受けたのだろう。
その震えが俺にホンの少しの勇気を与えたのか張本人である椛との会話を成立させた。
ども。相も変らない旧世紀の漂流者です。
最近色々な作品を見て少しずつですが前の感覚を取り戻しつつあります。
とはいえ相変わらず拙い文なんで恥ずかしいんですけどね。
でも読んでくれる人がいるなら止めたくはないので出来る限りしっかり書いていけたらと思います
ではでは