「すみませんが…手伝ってあげてくれませんか?」
「お、俺に?!」
「この様子だと服も着れませんから…私は警戒されてますし」
そう椛は少し意地悪そうに少女を一瞥した後、コチラへ向き直ると『後はお願いします』と言わんばかりに持っていた服一式を押し付けた。
「ええ…」
最早是非など問わぬといった感じの椛に気圧され、困惑しながらも俺は服一式を受け取った。
渡されたソレはコスプレとかでよく見る巫女服のそれに近しいもの…というかそのものだった。
「椛さん…こんな趣味が…?」
「趣味じゃないですよ!ここの正装です!」
どう見てもそれにしか見えないという困惑を他所に
少女を横目に見ながら俺は溜息をつく他なかった。
◆ ◆ ◆
―――それから彼女の着付けは難航を極め、時折噛まれそうになりつつも終了した。
少女は着付けでそれなりの身なりにはなったもののこちらは痛々しい噛み跡を腕や手に残すなんとも言えない結末にはなりはしたものの当初の目標は達成したのでとりあえずは良しとした。
「これで、なんとか外は歩けるでしょうね…はぁ……お疲れ様でした。」
「いえ……椛さんがいなければ多分終わらなかったですよ。ありがとうございます。」
押し付けられたとはいえ、ここまで見てくれた椛へ素直に感謝を述べ、ふと少女の方を見やる。
服を着たおかげで姿を見られるようになった効果は抜群で、ついでに整えた髪も相まって小さな野盗みたいだったのがウソのように可愛いらしい様相になった。
ただ1つ不機嫌そうな顔を除いてではあるが…。
今まで服という概念が無かったのだからそれも至極当然ともいえる。
恐らく抜け殻が1つ増えたとかそんな感じなんだろうか。
服の材質はけして粗悪ではないのだが、本人は布が肌にこすれ合うのにかなり嫌悪感があるようで、小さな唸り声を鳴らしっぱなしだ。
だが今はそれでもいずれは慣れるし、何より慣れてくれないと困る。
いつまでも裸のままでは流石に目のやり場に困ってしまうし何より外に出られないがこれなら外に出ても大丈夫だ。
一段落したので少女の事は後にし改めて椛に向き直り、俺は昨日から思っていた1番の疑問を投げかけた。
「色々聞きたいことは山程ありますけど…ここは一体何処なんですか…?」
少しの沈黙。
それから椛はゆっくりとした口調で話し始めた。
「ここは幻想郷という場所になります。とある人の御言葉をお借りするならば…忘れ去られた桃源郷、とでもいいましょうか…そういうところです。」
どうも、旧世紀の漂流者です
先日初の感想を頂きました。
今まで読まれている実感が全く無かったので実感を持てたという意味で嬉しい限りです。
相も変わらず文書オワコンですが、完結させる気でやって行きたいのでなんとか生暖かい目で見届けて頂けると幸いです。
ではでは