十禍絶傑の九、視えざる真実。
人々の本性を晒すために、世界に真実の試練を与える。
輝く小剣・「誠実なる友」は、命を侵し、その本能を強制的に呼び覚ます。
試練によって崩壊した世界に
十禍絶傑の十に手渡された光を喰らう水晶を子機として、他の世界を観測しているのだ。
「…この世界は嘘に満ち溢れている」
知の雨に濡れそぼる者よ、何処へ行く。
意思、希望で、何故偽る。装い、嗤う。
曝け出せ、深奥を。本質、本能、本当を。
――では、世界に試練を与えるとしよう。
十禍絶傑は集団で行動する訳では無い、敵対関係に有る者だって存在する。
それが真実だ、人間には相性と言うものがある。全てと仲良く手取り足取りなどあり得ない。
私も
しかし私も友が欲しい、笑い合える仲間と言う友が。誠実なる友が欲しいのだ。
確かに
従者や使徒達は確かに笑い合える仲間だが友では無いではないか。
「ただのエゴ…それも良い」
私は誰もが嘘で自分を着飾らない世界を目指す為に何度も試練を与え続けた。
結果は散々な物だったが嘘を捨てられた突破者も存在した。だからこそ私はまだ期待しているのだ。
人間の可能性、世界の可能性を。
十禍絶傑の試練を乗り越え、静止する事無く進み続ける世界を探すのだ。
……ついでに友を集めたい。
さて、ローテーションに試練を与えた後は何時もの様に世界を眺めるとしよう。
「お前達、準備は出来ているか」
手を振ると蒼き小剣が魔力を帯び、私の周りをフヨフヨと浮き始める。
私の装備…【誠実なる友】だ。
「「「「「「はっ!!」」」」」」
総勢99999999999人以上居ると言われている従者や使徒、信者達が一斉に手を挙げる。
真実の世界を目指し、私について来てくれた仲間達だ。
信者達は私を好きに呼ぶ、「管理者」と呼ぶ者や「ライオ様」と呼ぶ者…様々だ。
私はどんな呼び方でも拒もうとは思わない、それが嘘で飾った物でない限り…
「ローテーション環境に試練を与える」
「…あのお言葉ですが管理者様」
青髪の信者が頭を下げ、こちらに意見を投げかける。
「私達…ローテーション落ちしてます」
「なんだそれは」
「ローテーション出禁なんです」
……なんだと?なんと言ったのだ。
出禁?試練を与える十禍絶傑の一人である私が?何故だ?
「か、管理者様!アンリミテッドではまだ参加できます!」
アンリミテッド…。
それこそカオスと呼んでも良いだろう、次元の区切りも無く倉き底の怪物がウヨウヨと蔓延り、屍の群勢が肉を貪る。
妖精は牙を剥き森に入った物を骨も残さず消し済みに、龍達は群れを為して一人を襲う。
古代の兵器は機械の神に集結し他を寄せ付けない。そんな環境に嬉々として冥府の神は力を吸い寄せている。
祈りを捧げる聖職者達は日々日々祈る余り私の筋肉でも敵わないほど屈強な肉体を手に入れている。
まさに地獄、おぞましい世界だ。
「…今日は解散だ、私は筋トレに勤しむことにする」
「「「「「はっ!」」」」」
「否定する事をしないからな。張り合いが無い…」
そうだな筋トレを終えたら適当な世界に行き、試練を与えるとしよう。
また私と同格の戦士に出会えるかも知れないからな…