惑星Zi西方大陸戦争録 【Zi-EX天神 ゾイド二次創作小説再掲(2002~2010)】   作:むげんゆう

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第1章 第6話 烈の旗のもとに

 オリンポス山への高速機動隊による突入を援護するために攻撃をかけていた連邦軍は、初戦の数日において優位に立ったものの、圧倒的な帝国の軍勢を前に苦戦を強いられていた。

 

 さらに数日後には戦線の維持さえ困難な情勢となり、突入部隊の回収をサラマンダーに任せて撤退せざるを得なくなっていた。だがその事が逆にオリンポス山の崩壊から連邦軍を救う事になった。一時的とはいえ指揮系統が乱れた帝国の隙を突いて、連邦軍は無事にメルクリウス湖周辺からの撤退に成功したからである。

 

 とはいえ連邦軍はその勢力圏内であるロブ平野までの長く険しい道のりを行かねばならず、復讐に燃える帝国軍の大部隊からの追撃をかわさなければならなかったのだ。

 

 

 圧倒的な帝国軍の追撃部隊を相手に、地の利を生かし、連邦軍兵士たちを救う正体不明の集団がいた。その集団の名は銀牙烈風隊。地元エウロペ大陸出身者によって結成された傭兵集団である。

 

 この傭兵団が結成されたのは数年前の北エウロペ大陸の動乱期であった。ドン・コンラッドを局長として結成されたこの傭兵団は他の傭兵集団と異なり、軍隊並みの統率力、略奪、暴行等とはまったく無縁の品行さ、そして地元商人によるネットワークを利用した情報収集能力を持っていた。

 

 また彼らの部隊は大きく5つに分かれており、その一つ一つが役割分担を果たし、烈風隊単独で、様々な任務にあたることができたのである。ハルフォード中佐率いる高速機動隊を一番隊が援護したのはその一つの例である。

 

 彼らは連邦軍に対して開戦直前から帝国側の動向を報告しており、開戦の際には率先して連邦軍に協力していた。特にオリンポス山強襲作戦の際には高速機動隊のみならず、連邦軍全軍の進撃ルートに関する情報を寄せるなど、傭兵団とは思えない活躍をこの時点ですでに見せていた。

 

 オリンポス山強襲作戦に参加した連邦軍の撤退ルートは2つに分かれていた。ヘスペリデス湖南側のヘスペリデス河を横断するルート、そしてヘスペリデス湖の北側を迂回するルートで、そのどちらも防御を固めているミューズ森林地帯へ向かうというものだった。この二つのルートに分かれ撤退する連邦軍に対して帝国軍は追撃部隊を派遣し、攻撃を開始した。

 

 巧妙に追撃を振り切る連邦軍であったが、中には捕捉されてしまった部隊も多数あった。そんな連邦軍部隊を救助するために駆けつける部隊がいた。銀牙烈風隊である。彼らはエイ型の大型飛行艇ゾイドを母船とし、短時間の間に危機に陥っている部隊の元に駆けつける事ができた。装備されているゾイドは主にコマンドゾイドであったが、巧みな攻撃で帝国軍の大群を翻弄していったのだった。

 

 

 ミューズ森林地帯を目前にして、カノントータス部隊が帝国のヘルキャット部隊に包囲されると言う事態が発生した。支援攻撃用の武装しか持たないカノントータスでは高速型のヘルキャットに対しては余りに分が悪かった。護衛のゴドスが迎撃するが、それでもどこまで持つのかわからない。直ちに発信されるSOS信号。だがその頃連邦軍のほかの部隊で駆けつけられる部隊はなかった。

 

 もはやこれまでかと思われたその時、颯爽と駆けつけたのは「烈」の旗印だった。

 

「いくぞ野郎ども!帝国の連中に俺達の恐ろしさを叩き込んでやれ!」

 

 先頭のアロザウラーを駆るのは烈風隊局長ドン・コンラッドであった。彼に続いて押し寄せるのはゴドスを前傾姿勢に改良したゴドス・ダッシュ、烈風隊の二番隊である。

 

 予想もしなかった所から突如出現した烈風隊の前に、ヘルキャット部隊は混乱した。ゴドス・ダッシュの機動力はヘルキャットにも劣らぬものであり、さらにパイロットの腕も相まって、ヘルキャットを圧倒した。

 

 

 ほうほうの体で逃げ出す帝国軍、だがその時だった。帝国軍の主力機、レッドホーンがブラックライモス3機の護衛を連れて到着したのだった。

 

 レッドホーンやライモスが相手ではさしもの烈風隊といえども分が悪かった。アロザウラーはともかく、ゴドスの改良機に過ぎないダッシュではとても歯が立たないからだ。

 

「連中の注意を我々にひきつけて後退しろ!間違っても連邦の軍勢には近づけさせるな!」

 

 後退しながらのダッシュの攻撃がライモスに命中したが、中型最強の重装甲を誇るライモスには傷一つ与えられなかった。勢いに乗る帝国部隊はさらに追撃をかけた。30分近く追撃すると、目の前に大型の飛行艇が姿をあらわした。飛行艇に次々乗り込む烈風隊のダッシュたち。

 

「あれが連中の母船というわけか。逃がすな、撃墜しろ!」

 

 レッドホーンに乗る隊長から檄が飛ぶ。先頭のライモスが飛行艇を有効射程に入れたその時だった。ライモスの足元めがけて何かが飛び込んだ。全速で突撃していたため回避する事もできずそれを踏んだその瞬間、ライモスは大音響と共に飛散した。

 

「何が起こったというのだ?!」

 

 混乱するレッドホーン。次の瞬間、彼らの周りから多数のゾイドが姿をあらわした。

 

 ライモスを粉砕した地雷を放ったのは、円盤投擲の用量で地雷を敵前に発射できるように改造を施されたガイサック・マインレイヤーであった。この改造ガイサックを中心とするのが烈風隊三番隊である。彼らはこの辺りの地理に精通しており、優位に戦える地点まで帝国軍を誘導したのであった。さらに出現する無数のコマンドゾイド達、さらには高速機動隊の道案内のために別働隊となっていた一番隊も到着したのだった。

 

 

「帝国軍兵士諸君に告ぐ、諸君らは完全に包囲されている。もはや抵抗は無意味だ、速やかに降伏する事を要求する。さもなくば諸君らは、異郷のこの地で愛機と共に永遠の眠りにつくことになるだろう。」

 

 副長、シュテッケン=ラドクリフから帝国軍部隊へ降伏勧告がなされた。だが、帝国軍は包囲を破って撤退しようとしたのだった。

 

「やむをえん、全機攻撃をかけろ!」

 

 シュテッケンの号令と共に烈風隊全機の火器が火を吹いた。いかに重装甲のライモスといえど、周囲からの一斉攻撃の前にはなす術もなく、装甲を破られ次々と炎上していった。最後に残ったレッドホーンは全身火達磨になりながらも果敢に抵抗したが、結局は追い詰められ、切り立った断崖から転落していった。

 

 

 こうした烈風隊の活躍により、カノントータス部隊は帝国軍の追撃を振り切って、無事連邦軍の勢力圏内まで撤退する事に成功したのだった。

 

 このような烈風隊の活躍によって危機を脱した部隊は数多く、烈風隊の存在は、ただの地元の傭兵団としてではなく、頼もしい友軍としてその名は前線の兵士たちに刻まれたのであった。




初出 2002年3月22日
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