4/11 梅雨ちゃん→蛙吹さんに修正。
その動画はインタビューの様子だ。
インタビュアーは雄英高校放送部所属である桃髪のセーラー服少女。
インタビューの対象は我らがヒーロー、スーツ姿のオールマイトだ。
内容を要約するとこうだ。
・私も良い年だけど、新しい事にチャレンジしたくなったんだ。だから雄英高校で教師をやるよ!
・これまで通りヒーロー活動は続けるからね。市民の皆も心配しないでね。
・何故なら、私はヒーローだからな! がはは。
まさにカートゥーンの中から飛び出てきたヒーロー。
そんないつものオールマイトだった。
『君の挑戦、待ってるぞ!』
「やっぱりオールマイトは凄いなあ」
授業における、バスでの移動時間中。
ローンは手元のスマホで今の動画を見ていた。
今が旬の動画投稿サイト”Big Brother”による独占配信動画である。
かれこれ二十回は見ているが、興奮は未だ冷めない。
「これ、昨日の動画?」
「う、うん」
明らかな異形系少女がひょこっと声をかける。
対して、画面に集中していたそれは反応がやや遅れた。
「私たち、オールマイトからもう教わっちゃったもんねー」
「ところで、登校時のマスコミの人たち見た?」
「あったあった。でも、そんなに多くなかったかなー?」
それは年頃の少女の会話についていけない。
何というか、話のテンションが早くて高いのだ。
今はピチピチのJKをやってはいるものの、元は無個性のクソナードである。
女性との会話も叢雲さん達で慣れたつもりだったんだけどなあ、と現実逃避を始めた。
叢雲たち艦娘は穏和な気質もあって非常に話しやすかった。
思えば随分と気を使われていたものだ。
ここは殆ど女子しかいない空間。
男の夢なんて甘いものではない、控えめに言って地獄である。
イケイケ押せ押せのヒーロー女子と会話し続けるのは辛いものがありすぎるのだ。
「ローンちゃんもそう思うよね?」
途中から全く参加出来ておらず。
話を振られても、返答に困る。
何かしゃべらないと、と思って適当な話題を振ることにする。
「え、えと。そういえば気づいたのですけど。相澤先生って、イレイザー・ヘッドですよね?」
突然話を逸らされたが、女子たちに不満はない。
しかし、彼女たちは互いに顔を見合わせた。
「へ。誰?」
「個性を消す能力を持った、抹消ヒーローですよ。アングラ系で、人知れずの活動を好むことから人気は高くないけど。その個性から何かと重宝されているようで、知る人ぞ知るヒーローと言った所でしょうか」
「生徒で知ってる奴も増えてきたものだな」
すると反応するように、引率としてついてきていた話題の本人がぬっと現れる。
相変わらず陰キャ系の服装で、バスの中にも拘わらず寝袋の中に入っている。
どうやら今回、何か言いたげのようであるが。
「相澤先生」
「個性を知られることは、それだけで不利になる。有名になることは当然、それだけヴィランに警戒されるということでもある」
重ね重ねになるがヒーローは人気稼業だ。
人気になる程仕事は増え、確かに収入は上がるだろう。
しかし代償としてそれだけの激務をこなす必要があり、難易度も上がることを意味している。
「有名税とマスコミは主張するが、全くもって合理的ではないよ。ヒーローを目指すならば、お前達も気をつけることだ」
より純粋なヒーロー活動を求めて、影に徹するヒーローもいる。
当然面白くはないので、給料は下がるだろうが。
そういうヒーローは大抵長続きするので、一長一短といった所か。
「でも、オールマイトだけは別」
「ああ。そうだな」
そういった意味でオールマイトは光と影の両方を背負う数少ないヒーローであろう。
彼はヒーローの頂点に立ちながら、その個性を隠し続けている。
その点に不満が無いわけではないが、彼の実績から言えばあまりに些細な問題だ。
「先生なら。オールマイトの個性を知っているかも?」
「知らん。そもそも、本人が隠したがっていることを俺が言える訳もないよ」
またか、と思われながら雑に対応される女子たち。
その中でそれは、少し別のことを考えていた。
(オールマイトの個性は。アカギ先輩や、フォックスハウンドさんなら知ってそうだ。聞いたら案外教えてくれるかも)
異界からの来訪者である彼女たちは、多くの知識を持っていた。
その中には何故か、この世界のものも多く含まれている。
その一端に触れることは、恐らくそんなに難しい事ではない。
(それに。あの時に見たオールマイトの傷。何故かこうもひっかかる。ひょっとしなくても、多分。今回の雄英就任と関係あるのかもしれない)
恐らく、オールマイトも限界が近いのだろう。
そのために、後進を育てるというのも分かる。
だが、何かが足りない。
このことを考えると、彼の持つ原点的な何かが必死に這いうねり、のたうち回るのだ。
**
バスの着いた先は学内の施設である、ウソの災害や事故ルーム。
通称、USJである。
ここは製作者でもあるヒーロー、13号が管理している。
クラスの女子たちは仲良く集まって先生方の話を聞こうとしていた。
「えー。訓練を始める前に小言を一つ。二つ―」
人命救助を主とするヒーロー、13号は宇宙服姿がコスチュームだ。
音声は恐らく合成音声を通しているのだろうが。
地方のミュージアムとかによくあるお金をケチって更新されてない古い音声ガイダンスのようで、極限まで圧縮されてノイズだらけだ。
彼(推定)の話によると、個性とは簡単に人を殺せる力なのだと。
例として13号の個性はブラックホール、あまりに強力すぎる個性。
だが、ヒーローとは人を傷つけるだけの存在ではない。
皆さんも人助けの為にその力を使ってくださいね、とのことだ。
そんな有難い話が終わり、いよいよ授業に入ろうかという所。
何の兆候もなく異変が起きた。
黒い霧のようなものが現れ、そこから多くの人間が現れる。
彼らは屈強な男が多く、何というか一目でわかるほど柄が悪い。
ただの個性を持った人間にも見えないし、何よりこの学校という場に相応しくない。
その中でも目を引くのは三人。
影を作り出した張本人の、霧そのもののような男。
脳がむき出しで、明らかに正気に見えない大男。
そして数多の”手”をアクセサリーとして身に着ける若者。
「
そして、質の悪いことに。
これは演習でも何でもない、ただの現実だった。
生徒や先生がスマホで外部と連絡を取ろうとするがつながらない。
恐らく、敵側にいるであろう電気系の個性で妨害されているらしかった。
「そ、そうだ! アカギ先輩の式神! これなら。つ、つながった?!」
ローンは、入学時に手渡されたそれのことを思い出す。
機械はダメだが、スタンド能力などの精神的なものならどうだろうか?
恐らく、この式神の通信なら電気系の妨害は受けないはず。
『はあい。こちらアカギよ』
「アカギ先輩!」
予想が辺り、外部との連絡が取れて思わず安堵する。
『アカギは只今オハナシ中だけど、急を用する事かしら?』
「敵襲です! 学内のUSJにヴィランが現れましたッ!」
端的に重要な説明をする。
『あら、あらあらあら。うふふ。何とも都合の良いことに、目の前に校長先生が居るので御繋ぎしますわ。ローン、テレビを出しなさい』
「はい!」
それに対して、疑うことなくとんとん拍子で話が進んでいく。
「何をするつもりだ?」
そして、ローンは自らの”
全員の注目が集まる。
暫く画面は砂嵐を映していたが。
電波が合ったのか、ある映像を映し出した。
『やあ。敵連合、だったかな。僕たちの学校でよくもやってくれたね』
「こ、校長先生!」
その場にいた敵味方一同がどよめく。
映し出されたのは、学校側の責任者である根津校長。
ネズミを人間の子供サイズに拡大した姿で、コーヒーカップを片手に余裕を見せている。
『敵連合なんて名乗るのだから、さぞかし大層な目的があるのだろう? 僕にも聞かせておくれよ』
「時間稼ぎのつもりか? まあいい」
恐らく敵側のトップであろう、若者が陰湿に語りだす。
彼らは個性により社会からはみ出たものである。
自分たちを産んだ今の個性社会、それを守るヒーロー達は間違っている。
なるほどなるほど、と校長は相槌を打つ。
『あえてハッキリ言おう。君たちの主張は、子供の我儘だ』
聞いていた若者は、首を少しかきむしる。
『確かに君たちには多くの賛同者がいるのだろう。だが、それは暴力に訴えて良い理由にはならないね。他に手段があるかは知らないが、暴力に訴えてしまえば。僕たちは守るべきもののために戦わざるを得ない』
明らかに拒絶の意志だった。
説得しようという意思は最初からない、相手も恐らく説得なんぞ期待していない。
どちらも対話を目的としていない以上、これ以上の会話は特に意味を持たないのは分かり切っている。
そして同時にお前を倒すという意思表示でもある。
「安全な画面の向こうから説教か。いいからさっさとラスボスを出せ。平和の象徴とやらを殺してやるよ。それともお前から殺してやろうか?」
『ハッハッハ。それもいいかもね』
校長は明るく、若者は暗く笑う。
暫くお互いに笑っていたが。
すぐに飽きたのか笑いを一瞬で消した。
「まあ、いい。どうせこっちに向かってるんだろう。まずは小手調べだ」
『先生方、申し訳ないが少しの間耐えてくれたまえ。既に増援を向かわせているよ』
お互いのそれぞれが、戦闘態勢に入る。
『生徒の皆は戦う事を許可できない。迂闊に動かないで、自己防衛に徹するように。守られるのも学生の仕事さ』
学生たちも戦闘態勢に入っていたが。
血気盛んな彼女等に戦うな、というのは不満が残った。
それでも、何かがあってはならないと準備だけは整えるのだった。
『それと、ローン君。あってはならないことだが、いざという時は生徒の殿を任せるよ。君が一番頑丈だからね』
「分かりました! 喜んで務めさせてもらいます!」
それはすぐさま、ぴしっと敬礼を決める。
敵から守るように、学生の誰より前に出て陣取った。
そうして、生徒たちは先生二人の戦闘を様子見していたが。
暫くして女子たちが異変に気づく。
「何かしら、あれ」
USJという建物はドーム状構造になっており、天井もそれなりに高いのだが。
目でわかるぐらいに何かハエのようなものが無数に空を飛んでいる。
「たしか、零式艦上戦闘機と九九式艦上爆撃機、ですわね。随分と、小さいですが」
あるものは生徒に向かったヴィランに肉薄し、あるものはカプセル状のものを辺りに投下している。
投下したものは足が生え自立歩行しだし、それもまたヴィランに突撃するのだった。
「あれは味方ですよ。2-Aのアカギ先輩のコンバット・ドローンだとか。個性の遠隔操作でここまで飛ばしているのでしょう」
アカギ先輩は直接来ないのですか。
来てくだされば心強かったのですけど。
仕方ありませんね、とそう一人で納得した。
そうした状況は、最初こそ良くなるものと思われた。
暫くは、相澤先生が雑魚相手に無双していたのだが。
相澤先生は個性の使いすぎで体力が切れ、大男に倒された。
13号も強力なブラックホールで霧の男を足止めしていたが、個性を逆利用されて倒された。
大男は素でとんでもない力持ちで。
霧の男は強力なワープの個性を持っているようだった。
「平和の象徴、遅いな」
パーカーの男は倒れたヒーローたちを見下ろしている。
「いや、このままなら確実に来るはず。ああ。その前に、とどめ。刺しとくか」
せっかくだから殺しとくか、と自らの手を伸ばす―
しかし、それを黙ってみていない人間がいた。
「ヴィランの分際でッ! 小汚い手で相澤先生に触るなッ!」
いつの間にか消火器を持っていたローンが、ホースで大量の石灰を噴射した。
明らかに見た目の容量を超えた白い粉が主犯格たちに殺到する。
「落ち着いて下さい。ただの煙幕です。私の個性で排出。これはっ?!」
「何だコレ。目に纏わりついて離れねえ!」
「蛙吹さん! 今のうちに先生をお願いします!」
勿論、この消火器は単なる市販品ではない。
消火器はスタンド能力の一部であり、粉の一つ一つが彼女の意志によって動き回る。
恐らく窒息死ぐらいなら余裕であろうそれが、今は単なる目つぶしとして機能する。
「クソっ! 脳無っ! そいつから殺せ!」
今まで棒立ち同然だった大男、脳無。
彼は指示を受けた途端、目にも止まらぬ速さで動き出す。
そうして拳で強力な一撃をそれに喰らわせた。
「かはっ」
それは斜め上方向へと吹っ飛ばされたが。
防御で出そうとしたアンカーを地面に投げ、なんとかその場へと踏みとどまった。
(痛い、けど。アカギ先輩ほどじゃない! まだ全然耐えられる! でも、”解除”してしまった!)
確かに吹っ飛ばされる程に強かったが血を吐くほどではない。
感触はかつて受けた幼馴染の腹パン程度だ。
「生徒が脳無の一撃に耐えるとは」
「おいおいおいおい、どうなってるんだ先生。オールマイト用に調整したんじゃなかったのか? それとも最近の雑魚キャラはこうも頑丈なのか?」
それよりも一瞬とはいえ意識が飛び、個性を解除していしまったことが問題だ。
石灰の吹雪は既に消え去っている。
(だけど、いける。このまま時間稼ぎに徹すれば、応援が来る!)
確実に、オールマイトは来る。
相手はいずれも強敵だが、オールマイトならなんとかしてくれるだろう。
自分は、兎に角この場を死守しなければならない。
「雑魚キャラ、ですか。現実はゲームでもないでしょう」
「あ? これはゲームだよ。学生ごときが、何マジになってんだ」
―イヒヒ。プレイヤー気取りか? ゲームの駒の分際で、偉そうに。
「何か言ったか?」
「? どうかしましたか?」
若者は周囲に問いだすが。
周囲の反応がおかしい。
よってただの幻聴か、と流した。
「雑魚は雑魚らしく。俺の経験値になれ」
「そう簡単に出来るでしょうか?」
このまま耐える、と意気込んでいたが。
突如として彼女の足元が影に飲まれる。
(こ、これは! くっ、動けない!)
彼女の下半身は影に飲まれ、身動きが取れない。
必死に脱出しようとするが、謎の引力が働いている。
足は地についておらず、上半身の力でも離脱が出来ない状態にある。
「ま、まず」
そのまままた、捉えきれない脳無の一撃を喰らった。
「けほっ」
今度は影のゲートが彼女の身体を支える形になったが。
その際、背にかかる負担の強さで、思わず千切れるのかというほどだった。
「頑丈な女だ。気に食わないなぁ。おい、黒霧」
「はっ」
「そのままゲートを閉じろ」
今更だが霧の男、黒霧の個性はワープゲートを作り出す能力である。
もし、ワープゲートが閉じようとするときに、その間に物があったらどうなるのか。
当然、物体は閉じようとする力に真っ二つになる。
「な!」
「よろしいので?」
「ああ。ラスボスがまだ控えてる」
「わかりました」
あまりにも無情な選択。
だが、敵の命令はすぐさま実行される。
(これは、不味い! 死ぬ! 死んじゃう!)
閉じる影のゲート。
あまりに濃い、死の気配。
彼女は恐怖を感じたことはあっても、死を感じたのはこれが初めてだ。
―違うだろ? お前さんが取るべき行動はそれじゃねえ。私の言葉をよ~く思い出すんだ。
(ふぉ、フォックスハウンドさん! この状況で、私はどうすれば!)
何かの幻聴か、聞きたくない声が聞こえる。
こんな時に聞こえなくてもいいのに。
しかし、何かを伝えようともしている。
―笑えよ。ヒーローってもんはさ。ピンチの時こそ、ふでぶでしく笑うもんさ。
「た、助けないと!」
それを見ていた女学生たちも、切断される彼女を救おうとする。
「あ。あ。あなた。何をしているの?」
その中の一人が、思わずそれに声をかけてしまった。
それを救助することも思わず忘れて。
「わ、笑ってる?」
ピンチだというのに、彼女は不敵に笑っていた。
目は何かを定めるように鈍く輝き。
口元は弧を描いている。
そして―
―ぶつり。
「い、いやああああああああ!?」
ゲートが完全に閉じ、彼女の身体は二つに泣き分かれた。
下半身は霧の中から乱雑に放り捨てられ。
上半身の下から血やら何やらがこぼれおちていく。
どう見てもこの場から生きては帰れはしない。
「は、ハハハハハハ! 何が平和の象徴だ! 何がヒーローだ! お前らは所詮、子供一人守れやしないのさ!」
若者は狂ったように。
いや実際、狂っているのだろう。
自分のやったことに打ちひしがれ、ヒーローたちの無力を笑っていた。
自分が殺した、そしてヒーローも殺した。
そのことがどうしようもなく悲しく、絶望を共有できることがどうしようもないほど嬉しかったのだ。
「死柄木。気を付けて、アレはまだ終わっていません!」
突然、何かを察した黒霧が死柄木に注意を促す。
仕留めたそれの笑顔は、彼も見ていた。
もしかすると、何かがあるのかもしれない。
彼はそう思っていた。
そして、それが少しだけ間違っていたのだと彼は知った。
「な」
「入口があなたなら、出口もあなた。ですよね?」
青白い顔をさらに青白くさせながら。
彼女は黒霧を指さした。
黒霧がはっと自分を見下ろすと。
そこらに捨てた彼女の足から、何か触手のようなものが一本。
霧の身体の核に巻き付いている。
「で、電源ケーブル?」
家庭用とは違い、随分と黒くて太いそれ。
恐らくは大事なインフラを担うための、高出力のケーブルだろう。
それが明らかに断線していて、むき出しになったところがバチバチと音を立てている。
「こ、こいつ。正気か? 致命傷を負ってなお、私たちを確実に仕留めようと」
「正気ならヒーローは目指しませんよ。あなた達ヴィランだって、そうでしょう?」
色々と失いつつある中で震えながら、より一層彼女は笑みを浮かべた。
まさに、一緒に死のう? と言わんばかりに。
「あががががががががっ」
「黒霧っ!?」
小刻みに黒霧の実体のない身体が痙攣する。
死柄木はすぐに、彼女のちぎれた下半身をその両手でつかんで引き離した。
彼の個性で何かが起こる前に。
ケーブルは意思を失って、ボロボロと崩れ始めた。
そしてチリ一つなく消えていく。
「何だよ。コレ。まだオールマイトも来てねえのに。こんなの聞いてないぞ。先生」
彼は両手で首を掻きむしりだした。
オールマイトを殺すだけの簡単な遊びだったはずだったのだ。
彼一人では流石に厳しいだろうが、黒霧と脳無がいれば余裕のはずだった。
だが、現実は違ったのだ。
彼のパニックが限界まで到達しようというところ。
突然、彼ら三人の身体が光の粒子となって消え始めていた。
「先生!? まだだ! たかが、ワープゲートがやられただけだ。まだ俺は終わっていない!」
どうやら、このことは彼自身も知っている現象らしい。
何とかして抵抗しようとするが。
彼は空間系の個性ではない。
自分でも背後が見える程度に自身の身体が薄くなっているのだ。
「っ! これは!?」
ここでようやく、オールマイトを先頭とするヒーローたちの集団が現れた。
そしてこの惨状を見るなり、一同は唖然とするのであった。
「私、から逃げようとするなん、て! 許せないッ!」
「手遅れね。セーターのように入口は一つでも、出口は一つだとは限らない、ということかしら?」
息がか細くなりながらも、ローンはそれを必死に止めようともがく。
その身体を、いつの間に現れたアカギが呆れた様子で支えている。
「待てッ! この臆病者ッ! ちゃんと、殺しあえッ!」
そうして敵連合の主犯格たちは動けぬ手下だけを残して、この場から消え去ったのであった。
さて、撤収撤収。