2020/3/29内容を少しだけ修整
前回の適当なあらすじ。
・平凡な大学二年生、異世界人外転生する。
・もう何も怖くない。
・アイエエエ!ゴッドイーター!?ゴッドイーターナンデ!?
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――っべーどうっすかなっべーマジっべー
青年は超焦っていた。転生した世界が設定的にっべーなのもそうだが、天敵がドンピシャでダイナミックエントリーしてきたこの状況がマジっべーだ。チュートリアルでいきなり中ボスが現れたようなものだ。負けイベってほんと嫌い。幸い、向こうは向こうで何やら揉めているようだが……。
「いやだから何か建物突っ込んだら居たんですよちっさいのが! 倒した方がいいっすか!?」
『レーダーには目標以外反応がありませんが』
「はあ!?」
『おぉいマサキぃ、コンゴウそっち行ったぞぉ』
「えっ、どわああああああ!」
――! チャーンス!
外から風を圧縮したような砲弾が降り注ぎ、慌ててゴッドイーターの少年が装甲を展開した。轟音と共に大量の粉塵が巻き上がり、お互いの姿を包み隠す。すかさず青年は脱兎を決め込んだ。オタッシャデー!
「あっ逃げますよアイツ!速え!」
『詳細は後ほど伺います。今は目の前の目標に集中してください』
「隊長合流しましたぁっと。んー、確かになんか居たなぁ」
巨大な猿のような怪物が両腕を振り上げ、二人の神喰らいが巨大な武器を構える。建物が崩壊する音が連続し、怪物の咆哮が木霊する。ハリウッドも真っ青な大迫力な映像を尻目に、青年は逃走に成功した。
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走り続けること十数分。戦闘音が遠ざかり、やがて何も聞こえなる。どうやら十分な距離を取れたようだ。ゴッドイーターたちの通信を信じるならば、青年は彼らのレーダーでは感知できないらしい。姿さえ隠してしまえば見つかる可能性はほぼゼロと言っていいだろう。
現在、彼は降り組んだ路地を進んだ先にあった廃ホテルの一室に身を隠していた。何故かベッドがハート型で、照明が桃色で、シャワー室が丸見えガラス張りなのが特徴的だ。すっごいおしゃれだなあ(すっとぼけ)。
埃っぽいベッドの上で一息つき、思い出すのは先ほど発生した情報の濁流についてだ。
――ここ、【GOD EATER】の世界だったんかー
【GOD EATER】とは、チーム連携型ハイスピードハンティング、またはドラマティック討伐アクションというジャンル付けがされた、所謂狩りゲーに分類されるゲームシリーズだ。
例えば、第一作目のあらすじを纏めると次の通り。
『舞台は近未来の地球。突如として現れたあらゆるものを捕食する異形の怪物アラガミによって世界は崩壊し、人類は滅亡の危機に瀕していた。対抗できるのは製薬企業フェンリルが開発した対アラガミ兵器である神機とそれを操れるゴッドイーターのみ。
主人公はフェンリル極東支部所属のゴッドイーターとなり、アラガミとの終わりなき生存競争へ身を投じる。様々な味方との出会いを繰り返し、やがて組織の裏に隠された巨大な陰謀に巻き込まれていく――』
重要なのは、アラガミが人類の天敵、殲滅すべき不倶戴天の存在と認識されるこの世界において、アラガミとして転生してしまったという事実。
異世界人外転生などと浮かれている場合ではない。これから人間と出会う度にアラガミだ!殺せ!素材寄越せ!と追い回される羽目になるだろう。
そんな絶望極まる状況で青年はというと、
――つまりリアルちゃん様に会えるかもってことですね!?やったぜFOOOOO!!
コイツめげねえな。
青年、渾身のガッツポーズ。下にコロンビアの文字が見えそうだ。
狩りゲーの世界において狩られゲーを強制されたというのに、絶望するどころか思考が推しキャラと会う妄想で埋め尽くされている。ひょっとして変態なのでは?
ちなみに彼の推しキャラは、ちゃん様誤射姫でお馴染み『台場カノン』、2でヒロイン属性↑↑な整備士『楠リッカ』、垂れ眉としんなりしたポニテが可愛い看護師『桐谷ヤエ』、脇・尻・太股が眩しく名前が長いオペレーターの『フラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュ』の4人だ。
ただしカノンを除き全員非戦闘員なので、会いに行くためにはゴッドイーターの本拠地に直接お邪魔する必要がある。でもそんなことしたら鉄骨持ったおばさんに串刺しにされる可能性が大。非常に、非常に残念なことだが現場でちゃん様にぶっ放されるだけで我慢しよう。頑張って射線上に入らなきゃ……(使命感)。
だが推しに出会うのも命懸けなこのくそったれな世界。先ほどのゴッドイーターとアラガミの戦いを垣間見て確信した。今の自分の実力では到底生き残れない、と。
当前のように建物が幾つも倒壊するほどの激闘。脳内チュートリアル(笑)が正しく児戯でしかない本物の戦場。ふざけた態度の裏側で、青年は冷静に今の状況を受け止めていた。
その上で、さてどうする、という話なのだが。
――ふーむ………。……………。……うん、わかんね!おやすみ!
朗らかに思考を放棄し、そそくさと毛布を被った。
別に勇者となって魔王を倒して世界を救えだのと無茶ぶり言われている訳でもなし。
行き当たりばったり、出たとこ勝負、ケセラセラ。寝て起きればいい案も浮かぶだろう。多分、きっと、メイビー。
……まあ、つまるところ、彼は次の日の自分に全てをぶん投げたのだった。
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フェンリル極東支部、通称【アナグラ】にて。
「オウガテイルよりも更に小型の、黒い獣人のようなアラガミ、ですか」
「見た目はレポートの通りっす。まあすぐに逃げられたんで、それ以外なんも分からないんすけど」
「僕もチラッとだけ見えたよぉ。ありゃあ見事な逃げっぷりたっだねぇ。並のゴッドイーターじゃ追い付けないかも」
「……ふむ、ダイチ隊長がおっしゃるなら、死にかけたマサキさんの幻覚ということはなさそうですね。情報管理部に報告しておきます」
「うわ俺信用ねえー」
「信用が欲しいのでしたら、まずは報告書の誤字脱字を減らしていただけると」
「えっ。あ、はい。すんません」
次回は主人公初戦闘。
先に言っちゃうとクソ読みにくい描写がてんこ盛りダゾ☆