代理人大好きエリザちゃん!   作:答えてくれドルフRO

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前話の後、2人は何をしていたのか
読者様のご想像にお任せします……(投げ)
1話は飛ばしすぎたって思いました。


※今更ですが一部ネタバレと捏造が入ります


2.エリザちゃんの昼下がり

 

 

 

 

「エージェント、外に行きたい」

 

 昼下がり。鉄血本社にて、エリザは隣を歩く代理人にそう告げた。

 

「外……ですか」

 

「だめ、なの……?」

 

「そういうわけでは……ありませんが……」

 

「……おねがい」

 

「うぐぐ……」

 

 小首を傾げたエリザの直接攻撃に、代理人の(メンタル)が揺れる。

 代理人も心底反対というわけではないのだ。しかし、いつどこからエリザを害そうとする不埒モノが現れるかわからない。

 

(万が一にもそんなことはさせません……それでも億が一(IF)があってはならないのですわ…………)

 

 代理人が電脳内で闘志を燃やしていると、エリザは代理人のスカートの裾を掴んだ。

 

「遊んでくれるって、言った…………」

 

「はうっ……」

 

 それは朝の約束。拗ねたエリザの機嫌を直すためにしたこと。そう言われては仕方ない。あの後も2人で遊んだのだが、どうやらまだ物足りないようだった。

 だが不安なものは不安なのである。代理人は最後の抵抗を試みた。

 

「理由を窺っても……よろしいですか?」 

 

「…………」

 

「…………」

 

 数秒の沈黙をして、エリザは答えた。

 

「…………花」

 

「……花、ですか?」

 

「うん。この前、上から見たときに……見つけたから」

 

「ああ……きっとジャッジの花畑ですわね」

 

「ジャッジの?」

 

「はい。最近どうもお熱なようですの」

 

「あのジャッジが……ふふ」

 

 仏頂面な裁判官が花を愛でる光景を想像して、エリザは僅かに微笑んだ。

 

「本人は真面目なようですから、あまり笑わないであげてくださいまし」

 

「わかってるよ」

 

(しかし、ジャッジの花畑ですか……防御に特化したあの子が側にいるなら)

 

 

 

『ジャッジ、聞こえていて?』

 

『んごふぉっ…………ん"ん"、エージェントか。どうした?』

 

 代理人は通信で裁判官を呼び出した。

 

『……ご主人様があなたの花畑へ赴きたいと仰せですわ。手は空いていますの?』

 

『ああ……問題ないはずだ。今からか?』

 

『ええ、今からですわ』

 

『了解した』

 

 

 

「それで……駄目なの?」

 

「…………わかりました。今ジャッジにも確認を取りましたが、大丈夫なようですわ」

 

 代理人はいくつかのシミュレーションを終え、許可を出すことにした。

 

「やった。それなら早く行こう?」

 

「仰せの通りに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────鉄血本部敷地内にあるジャッジの花畑

 

 

 

 

「わたしの花畑へようこそ。主、エージェント」

 

 到着した2人を出迎えたのは、裁判官だった。

 

「急にごめんね」

 

「とんでもない、主ならいつだって大歓迎だ」

 

「わたくしは歓迎してくださらないのですか?」

 

「主がいるならお前もいるだろううが」

 

「ええ、勿論」

 

「はぁ……さて、まあ。花畑とはいったが、あまり大きなものでもない。そこは予め言っておくぞ、主を空喜びさせたくはないからな」

 

「うん……大丈夫」

 

「……ならついてきてくれ。こっちだ」

 

 

 

『────ジャッジ』

 

『わかっている。範囲最大でフィールドは展開済みだ』

 

『他には?』

 

『外縁部に偵察部隊と遊撃部隊も待機させている』

 

『それならよろしいですわ』

 

『まったく……わたしはローエンドじゃないんだ、1度言われたことをすぐ忘れたりなんかしないぞ』

 

『信頼していますわ。それでも、念には念を入れておくべきでしょう?』

 

『それはそうだが、お前は過保護すぎるんだよ……影にもまだ潜ませてるだろ』

 

『メイドとして当然のことですわ』

 

『そうかいそうかい……お前も目を離すなよ』

 

『当たり前ですわ』

 

 

 

 エリザたちが裁判官の後を着いていくと、目の前に大きな門が現れた。

 

「ここだ。主、準備はいいか?」

 

「う、うん……出来てるよ」

 

 ごくり、と唾を飲み込むエリザ。その顔には緊張と期待が入り混じったものが浮かんでいた。

 

「よし。3、2、1……」

 

 ギギ、と音を立てて門が開く。

 

 

 

「わぁ…………すごい…………」

 

 そこに広がっていたのは、色彩の暴力。ガツン、と頭を殴られたような。

 どこを見ても色、色、色。鮮やかな景色がそこにはあった。

 

「どうだい、主。ご満足戴けると嬉しいんだが」

 

「うん……うん……」

 

 ただただ、目の前の光景をメモリに焼き付ける。

 

(これが、自然の()。識っていた……識っていたはずなのに、実際に見るとこうも違うんだ…………)

 

 エリザは誕生以来、鉄の壁に囲まれて生きてきた。最近になって状況は変わり始めたものの、それでも箱入り娘だということに変わりない。

 電子の海で色々と情報を仕入れてはいたが、実際に見たものはそう多くないのだ。

 

「風で、揺れてる…………あっちは太陽に向いてる……ほんとなんだ……」

 

 自分が手に入れた情報と、実際にあるものとを見比べていく。

 

「すごい……すごい、すごいすごいすごい!」

 

 エリザの感情はある意味で暴走状態だった。そしてそれを誰かと共有しかたがない。

 

「ねぇ、エージェント! すごいよ! すごいの!」

 

「ええ、そうですわね……ええ…………」

 

 言語モジュールがまともに作動しないエリザは代理人に抱きつき、代理人もそんなエリザを微笑みながら受け入れた。

 

 

 

 

 

「落ち着きましたか? ご主人様」

 

「…………うん」

 

 冷静になってから羞恥心が帰って来て、代理人の服にエリザは顔を埋めていた。

 

「わたしも主にそこまで喜んでもらえるとは……光栄だよ」

 

「うん…………」

 

「ご主人様、まだ入り口ですの。奥にもあるのですわ」

 

 エリザの頭を撫でながら、代理人は言い聞かせる。

 

「ほんと?」ひょこっと見上げるエリザ。

 

「ええ。ですわよね、ジャッジ?」

 

「その通りだ、エージェント。主、よければわたしに案内させて貰いたいのだが……いいだろうか?」

 

「うん……お願い、ジャッジ」

 

「お任せあれだ」

 

 

 

 

 3人は花畑を歩いて回った。ジャッジはそれぞれの花の性質や歴史、小話などを2人に説明する。その内容は観光ガイドと言われても通じてしまうほどの知識量だった。

 

「というわけでひと口にバラといっても、実は近縁種も含めると200種以上あって────」

 

 話の合間にもエリザの目は、どんな色も見逃すまいとせわしなく動き回る。青、赤、黄、緑……etc、etc。

 

「絵画や叙事詩、戦争なんかにも出てくるほどに歴史あるものでな────」

 

 花畑は確かに大きなものではなかったようで、しばらく歩くと1週し、中心部にたどり着いた。

 

「……っと、ここまでか」

 

「それにしても、随分詳しいのですね。ジャッジ」

 

「ん? ああ、まあ。調べていたら覚えてしまったというか……」

 

「すごかった」

 

「……そう言って貰えるならわたしも頑張った甲斐があったようだ」

 

「こんなにいっぱい、どこで?」

 

「花のことなら、アーキテクトからだ。あいつ、突然やってきてわたしに押し付けていったからな…………何が『弄ってたら復元できたからあげるよ! 何の趣味もないのは寂しいよね☆』だ……」

 

「でも育てたんだ」

 

「……貰った手前、捨てるんじゃあいつら(種たち)に誠実じゃないからな……お陰でゼロからのスタート。資料もあるにはあったが、昔と土壌の勝手も違って苦労したよ…………」

 

「ありがとう、ジャッジ。育ててくれなかったら、こうしてわたしが色を見ることもできなかった」

 

「…………」

 

「…………どうか、した?」

 

「いや……なんでもないぞ、主。エージェントが過保護になるわけだ……

 

「そっか」

 

「……そうだ、主。せっかく花に囲まれているんだ。空気を吸ってみてくれないだろうか?」

 

「空気?」

 

「ああ。きっと違うはずだ」

 

「わかった。すぅ…………はぁ…………」

 

 息を大きく吸い込む。この世界の空気は()()()()()はずなのに、エリザの肺を満たしたのは、甘くて、透き通った空の風味だった。

 

「ほんとだ……全然違う」

 

「なるほど、室内ではなく外に作ったのは…………」

 

「うむ。こういう、小さな差異も楽しめるようにしたかったからでな」

 

「……考えてるんだね」

 

「確かにそうだが、面と向かっていわれるとなんだかこそばゆいぞ…………」

 

 裁判官は困った顔で笑う。

 

「それと、ここはそれだけじゃない。主、あっちを見てくれ」

 

「ん…………何、あれ?」

 

 エリザは花の周りをふわふわ浮かぶ、小さなものを捉えた。

 

「あれはチョウだ」

 

「チョウ?」

 

「昆虫という動物の1種で、両手の羽を使って自由に空を飛べるものだ」

 

「自由に……」

 

「種族名はモンシロチョウ。けど、あれだけじゃない。あっちも、あっちにも。探せばいろいろな奴らが見つかるはずだ」

 

「ほんと?」

 

「ほんとだ。最近、見なかった昆虫たちがここにも寄り付くようになってな。当初はそんなこと考えていなかったが……嬉しい誤算だ」

 

「こんちゅう……」

 

 すると、チョウが1羽エリザの前にやって来た。なんとなしに人差し指を差し出すと、数秒滞空した後にエリザの指に留まる。

 触覚をぴょこぴょこ動かしながら、チョウはエリザの指で羽を休め始めた。

 

「わぁ…………」

 

「ご主────」

 

「まぁ待て、エージェント。スキャンしたが、害はない」

 

「……それなら」

 

 代理人は手を下ろす。

 その視線の先、エリザはチョウを見つめていた。

 

「なんだか、可愛い」

 

「……主はコイツに好かれてるのかもしれん」

 

「ほんと?」

 

「きっとな。それにチョウが指に留まるのは吉兆なんていう文献もある……願いが叶ったりするかもしれない」

 

「吉兆…………」

 

(もし、あなたにエージェントとずっと居たいってお願いしたら、叶えてくれるかな……?)

 

「ああ、主。チョウの羽は触らないであげてくれ……チョウは鱗翅目とも言ってな、羽に付着した粉がなくなると飛べなくなってしまうんだ」

 

「わかった」

 

(こんなに綺麗なのに……触られただけで飛べないなんて、可愛そう…………)

 

 ふと、エリザはチョウの複眼と目があった。見詰め合うこと数秒。

 

「あっ……いっちゃった」

 

「まぁ、奴らは気まぐれだものな……」

 

 チョウは手から飛び立ち、空の向こうへ消えていった。

 

「お礼のひとつもないとは昆虫風情がなんと不敬な…………」

 

「無茶言うなよ……」

 

「ねぇ、ジャッジ。もう少し見て回ってもいい?」

 

「ん、ああ……かまわないぞ、主」

 

「それと、お願いがあるんだけど…………」

 

 エリザは裁判官に耳打ちした。

 

「…………なるほど。わたしとしては全然構わないぞ」

 

「ありがと。エージェント、行こう?」

 

「はい、ご主人様…………?」

 

「今送った場所にベンチがある。そこでわたしは待っているぞ」

 

 

 

『ジャッジ、ご主人様はなんと?』

 

『そいつは主から聞くんだな』

 

『…………秘密事は不誠実じゃないんですの?』

 

『何事にも例外はあるものさ……主が呼んでるぞ、早くしたらどうだ』

 

『…………あとで必ず聞き出しますわ』

 

 

 

 

 

「これと……これ? うーん……こっちかも」

 

「あの…………ご主人様?」

 

「これもいいかな」

 

「ご、ご主人様…………その、先ほどから何をなさって……?」

 

「エージェントは静かにしてて」

 

「……仰せの通りに」

 

 代理人を連れ出したエリザ。しかし、やっていることは花と代理人を見比べてああでもない、こうでもないというだけ。代理人としても、目的を測りかねていた。

 それでも、手はしっかりと握られている。秘密にしたいのか、したくないのか。ソレすらもよくわからない。

 

(そういえば…………)

 

 代理人は目の前を歩く少女を見て、思う。

 

(わたくしが連れて歩いたことはありましたが、わたくしが連れて歩かれるのは……初めてでは)

 

 メモリーを確認するが、どこにも該当する記録は見当たらない。

 

(そう……ご主人様、ここまで来られたのですわね…………)

 

 感慨深さを覚える代理人。自発的に自分を連れて歩いているのだと思えば、目的もわからずエリザに連れて行かれるというのも、悪くないと思った。

 

 

 

 

 

 ほどなくして、その散策もどきは終わりを告げた。

 

「戻るよ、エージェント」

 

「はい、ご主人様」

 

 その頃にはもう、代理人はエリザがどんな目的で歩いているのかなど、考えようとはしなかった。

 

(そう、わたくしはただご主人様の隣に居られればそれでよいのです…………そのはず…………)

 

 

 

 

 

「おお、主。目的のものはあったのか?」

 

「うん。手伝って欲しい」

 

「お安い御用だ」

 

 背もたれの無いタイプのベンチが2つ、向かい合うように置かれていた。

 その片方に裁判官は座っており、エリザはもうひとつに代理人を座らせる。

 しかし。

 

「あ、あの……ご主人様?」

 

「どうしたの?」

 

「どうして、わたくしは逆を向いているのですか?」

 

「秘密」

 

「さようでございますか…………」

 

「うん。そのまま抱きしめていて」

 

「かしこまりましたわ……」

 

 裁判官は内側を向いているが、代理人は外側に向かされていた。

 それで問題のエリザは、膝たちで代理人に正面から抱きつき、上半身を裁判官と向き合うようにしている。

 傍から見ても奇妙な光景だ。

 

「ジャッジ、こう?」

 

「ううむ……主、こうだ」

 

「ああ、なるほど。じゃあこっちはこう?」

 

「そうだ。次はこれにしてはどうだ?」

 

「いいかも」

 

 代理人の後ろで2人は何かをやっているらしい。

 気になる。

 気になるのだが、振り向くわけにはいかない。というか振り向けない。

 

(いったい何が…………)

 

 

 

『ジャッジ、何をしているのです』

 

『またか。主が秘密だといったろう、大人しくまっていられんのか』

 

『ご主人様のご命令通り、動かずに待っておりますが?』

 

『屁理屈を言うな、屁理屈を…………いいから待っておれ。いいな? 切るぞ』

 

『まちなさ────』

 

 

 

(くっ、通信封鎖しましたわね…………)

 

 だからといって何もしないわけではない。先ほど納得したのはどこへやら。好奇心には勝てないのか。

 とはいえ視界ジャックも失敗、聞き出すこともできないとなれば待っているしかない。

 

 

 

 

「できた」

 

 周囲を警戒しつつ、エリザの香りを堪能しながら待つこと数分。ようやく終わったらしい。

 

「よいしょ…………」

 

 上半身を戻し、エリザは代理人と向き合う。

 

「あげる」

 

「これは…………」

 

「花冠。前に、データベースで見た……から」

 

 エリザが差し出したのは、お世辞にも上手いとはいえない、素人が作ったようなもの。

 

「わたくしに?」

 

「そう。貰ってばかりだし、何かあげられないかな……って」

 

「…………」

 

「もしかして、嫌……だった……?」

 

(そ、そうだよね……よくみたらぐしゃぐしゃだし、大きさも不揃いで、色合いも悪い。こんなのをつけたいなんて思わないよね…………)

 

「みゃっ」

 

 俯くエリザ。すると、彼女を暖かいものが包んだ。

 

「いえ……違いますわ。違いますの、ご主人様。ただ、そう……そのお心だけに留まらず、こうして形あるものを戴けるなど、どう言葉にしたらよいか…………」

 

「嫌じゃ、ないの?」

 

「そんなことありませんわ! わたくしがご主人様のくださるものを否定するなど」

 

「じゃあ、これ……貰ってくれる?」

 

「……! ええ、ええ……! 喜んで頂戴しますわ」

 

「え、えへへ……そ、そう…………ふふ。それじゃあ、頭出して?」

 

「かしこまりましたわ…………?」

 

 エリザは手に持った花冠を代理人の頭に載せた。

 

「これでよし…………」

 

「…………」

 

「エージェント?」

 

「…………」

 

「ねぇ、エージェント…………?」 

 

「…………」

 

「き、気絶してる…………」

 

「おいおい、嘘だろ…………」

 

 

 

 代理人は処理落ち(フリーズ)していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っは!」

 

「起きた?」

 

「ご、ご主人様。申し訳ありません…………」

 

「ううん、大丈夫。その……似合ってる」

 

「恐悦至極でございますわ」

 

「よかったな、主。喜んでもらえて」

 

「うん」

 

「ジャッジ……あなたまさか」

 

「勘違いされちゃ困る。わたしは主にアドバイスをしただけだ。正真正銘、それは主のハンドメイドだぞ」

 

「そう……ですのね……」

 

「頑張った」

 

「ええ、身に余る光栄でございますわ……」

 

 座り方を変え、3人──エリザは代理人の膝の上──は向かい合っていた。

 

「今日は、ありがとう。急だったのに」

 

「最初に言ったろう、主ならいつでも歓迎すると」

 

「うん…………ここに来てよかった」

 

「そう言って貰えるなら嬉しいよ。他に見たいところはあるか?」

 

「んー……ふあぁぁ…………」

 

「ん、主。眠いのか?」

 

「うん、たぶん…………」

 

「…………でしたら、わたくしの膝をお使いください」

 

「いいの?」

 

「ええ、勿論ですわ」

 

「じゃあ……キスも、欲しい……」

 

「はい、ご主人様…………んっ」

 

「んっ……ふぁ…………おやす……み……」

 

 代理人の膝を枕に、横になったエリザ。ほどなくして、規則正しい息が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……エージェント、顔がすごいことになってるぞ」

 

「んんっ……気のせいでは?」

 

「取り繕うのが遅すぎる…………それより、主を中に連れて行ってくれ」

 

「……どこまで来ましたの?」

 

「安心しろ、まだ距離はある。偵察部隊が遠目に捉えただけだ」

 

「…………わかりましたわ」

 

 代理人はエリザを抱き寄せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「探したぜエージェント…………ってなんじゃそりゃ」

 

「あら、エクスキューショナー。どこかおかしなところでも?」

 

 本部に戻った代理人が出会ったのは処刑人。心なしか、肌がつやつやしているようにも見える。

 

「……いや、外に出たって聞いたから慌てたんだが杞憂だったようだな」

 

「ええ、ご主人様はご無事ですわ」

 

「それじゃ道すがら話がしたいんだけど、いいか?」

 

「ええ。問題ありませんわ」

 

 処刑人が代理人の隣に並んだ。

 

「それにしても……いい寝顔してるな、ご主人」

 

「そうですわね。やっと、やっと……ここまで来れましたわ」

 

「ああ、今までの積み重ねが漸く…………って感じだ」

 

「…………」

 

「……なんだよ、黙って。いつもなら『ご主人様に尽くすのは当たり前のことでございます』なんていうくせに」

 

「確かに……当たり前のことです。しかし、一方でこうも思うのです。『別の道もあったのでは』と」

 

「弱音なんて、あんたらしくもないな…………」

 

「ええ、らしくないのでしょう」

 

 代理人の背中ではエリザがすやすやと眠っている。

 

「わたくしたちは膨大なシュミレートの結果、最善と思われるこの道を選びました。わたくし自身、その選択を間違えているとは思っておりません」

 

「じゃあ、どうだってんだよ」

 

「…………わかりません」

 

「……はぁ?」

 

「いえ、言語化できないというべきでしょう。焦燥、不安、罪悪感、嫌悪、苦痛、悲壮感…………感情の数は多様なれど、どれかに当てはめることができずにいます」

 

「難しいことを言うな…………さっぱりわからん」

 

「あなたとわたくしは思考プロセスが異なりますから」

 

「悪かったな」

 

「褒めているのですわ。真っ直ぐだと」

 

「そうかい…………なぁ、エージェント」

 

「?」

 

「今の鉄血も、今のご主人も、俺たちが死に物狂いで守り抜いたものだ。そうだよな?」

 

「……ええ」

 

「ひとつでも歯車が違えばどうなってたかわかりゃしねえ。けど俺たちはここまで来たんだ。来れたんだ。それは絶対の事実だろうぜ」

 

「……ええ」

 

「頭のソレも、ご主人から貰ったんだろ? ソレだってお前のいう『もしも』ならご主人は作ってくれたのか?」

 

「それは…………」

 

「わからないだろ? 俺だってわからん。けどな、お前の……そして俺たちの下した決断が、その花冠をもたらしたと考えれば」

 

 代理人は頭上のモノに手を伸ばす。愛おしいヒトから貰ったものを。

 

「この()()は正解だって、俺は思うぜ」

 

「…………そう、ですか」

 

「そうさ。何もお前だけで戦ってるんじゃない。俺やハンター、スケアクロウ……他の奴らだって今この瞬間も戦ってる。あまり気負うなよ」

 

「ええ、感謝していますわ。本当に」

 

「ハッ、そいつはよかった。まぁ、悩むことがあれば俺とはいわん。もっと頭の良いヤツ……イントゥルーダーにでも聞くといいさ」

 

 処刑人は立ち止まった。

 

「ああ、そうだ。そのイントゥルーダーから伝言だ」

 

「彼女はなんと?」

 

 

 

 

 

 

「『まもなく暗転のお時間です』だとよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





100%チョコにしたいのに30%カカオが入ろうとするドルフロ世界

・ジャッジ
今ではお花マニアの持ち物検査官。撤退しろ!のインパクト強くて口調がわからない



DJMAXコラボ、2-3クリアした途端にフリーズしてムービー飛んでたんですけど、これもう見れないってことですかね…………


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