元柱で現上弦な鬼殺隊士のお話   作:揚げ物・鉄火

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長らく更新せずお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
シンプルに存在を忘れていただけです。
滅相もありません。


第三話

 

「う、う~ん…どのくらいの時間が経ったのかな?」

鬼と化した天空時 輪…改め『輪廻』は本来鬼が必要としない睡眠から目を覚まし辺りを見渡す。

 

「夜か…丸一日寝ていたのか?それともそれ以上かな?」

外の様子を見に洞窟から出ると満天の星空と綺麗に輝く満月を確認する。

 

「綺麗な夜ねぇ…月を見ながら月見酒してみたかったなぁ」

「はぁ…出来れば行冥君や天元君と一杯飲み交わしたかったな…クソッ!無惨め…次あったらその昆布みたいな髪を切り刻んでやる!」

無惨への怒りを確認しながら今後どう行動するかを考える。

 

「う~ん、出来れば誰か私の言葉を聞き入れてくれる人に会って匿って貰うか直接お館様の元に向かうかしたいんだけど…実弥君とか絶対殺しに来るだろうなぁ。杏寿郎君は…殺しに来るね。その継子の娘はまだ分からないかな?行冥君は殺しに来るだろうし、天元君の方は派手派手言いながら刀振り回して来るし…聞き入れてくれるとすれば錆兎君とカナエちゃんくらいかな?他の鬼殺隊士は論外だし…あれ?もしかして詰んだ?」

考察を終えると自分が置かれている状況に気づき血の気が引いていくのを感じた。

 

「ああ、やばいね!どうしようかな!?このままじゃ死んじゃうじゃん!?どうしようどうしよう!!誰か助けてぇ!誰か誰かぁ!?」

ゴキッ!

「痛っ!ありゃー!」

走り回っているとうっかり足を挫き山から転げ落ちる。

 

 

「あ~れ~」

ゴッ!ガッ!ドガッ!バキッ!ゴキン!

転げ落ちながら全身の骨を折ってはすぐに上弦の回復力ですぐに再生するを繰り返しやっと山道に出れた。

 

ズザーッ!

「痛い…あれ?」

止まった場所で顔を上げると女性の鬼殺隊士3人と赤い着物を着こなした白髪の鬼…十二鬼月下弦の肆が向かい合った状態でこちらを見ていた。

 

「…お邪魔しましたか?」

軽く声を掛けると女性隊士達が一気に顔を引き攣らせた。

「十二鬼月…上弦の鬼!?」

「な、なぜこんな所に上弦が!?」

「ふ、二人とも逃げて!私が時間を稼ぐ!」ガタガタ

 

「こ、こいつらは…」

「ん?」

「こいつらは私の獲物だ!貴女に奪わせな…い…です。ごめんなさい」

そして一方の下弦の鬼(零余子)は、何故か私を見てビビり散らしていた。

 

「別にこの子達を殺そうとなんか思ってないし、あなたから奪う気もないわ。けどね…今助けられるこの子達の命を見捨てる気も無い!」

「クッ!私より上位の鬼の癖に!鬼狩りに肩入れする気か!?」

「その通り!」

 

天の呼吸 弐の型 神隠し

 

「なっ!消え…」

ザン…

下弦の肆が怒りながら仕掛けた攻撃を見切り特殊な足捌きで相手の意識から自分の存在を消し後ろに回ってから頸を斬り落とす。

 

「え…?」

「おやすみなさい…」

頸を斬り落とされた事を認識した下弦の鬼は腕の中で崩れて無くなった。

 

 

「あ、貴女は…」

「ん?なに?」

「貴女は何者なんですか!」

後ろを振り向くと三人の女性隊士が日輪刀を構えた状態で震えながら立っていた。

 

「はてさて、何者なのかな?鬼狩りの味方をする鬼のかもしれないし、そうじゃないかもしれない。ただの気紛れで君達を助けただけかもしれないし、違うかもしれない。私が何者かは君達の考え方次第だよ?」

「では、失礼!」

言うだけ言って森の中へ走って逃げた。

 

 

 

 

 

「はあ…何か食べれる物が欲しい…」

相変わらず何もない。

野兎や猪一匹見つけられない。

見つけた者と言えば少し前に討伐した鬼が一匹と女性隊士を助けるため討伐した下弦の鬼。

後は少し前にこの山に来た天狗の仮面を被ったご老人。

他には何も見つからなかった。

 

「明日になったら町に降りて何か食べれる物を買おう…はっ!」

町に降りる計画を練っている間にある重要な事に気づいた。

 

「太陽はどうしよう?」

そもそも今の私の体は鬼の肉体になっている。太陽の下を歩く事が出来ないので町に行く事はおろか昼間で歩く事が出来ない。

 

「どうしよう?どうしよう?」

どうするか悩みながら色々と考え始める。

 

「町に降りたら…煎餅にお餅。お団子やおはぎ。白いご飯にお茶漬けとサンマの塩焼きに漬物が食べられる…ゴクリ」

自分の好物やその他の美味しい食べ物を想像して生唾を飲み込む。

「何としても食べたい…絶対に!」

それからの行動は早かった。

 

昔ある鬼との交戦中に血気術がどの様に生み出されるかを教えられた。

血気術は鬼が生前…人間だった頃の記憶を元に生み出されるらしい。

あとは、その者の深い欲求からも誕生する事があるらしい。

 

「私が望むのは…太陽の下を自由に歩き回れる力。もう一度みんなと一緒に過ごせる力」

両手を合わせ座禅を組み精神を統一させる。

そうしていると頭の奥から四文字の漢字が浮かび上がって来る。

 

「私の血気術…鬼の身でありながら人に化ける力」

『血気術――表裏反転!』

血気術を使うと同時に私は気を失った。

 

 

 

チュンチュン!

チュチュン!

「…ん?」

鳥の囀りが聞こえ目を開けると洞窟の入り口から太陽の光が差していた。

 

「あれ?もう朝?」

グググ…

鉛のように重い体を持ち上げる。

「なんで寝てたんだっけ…?」

 

壁に手を当てながら立ち上がり昨晩の事を思い出す。

「あ、そうか…血気術を使ったら眠くなったんだっけ。成功したかな?」

恐る恐る自分の右手に太陽の光を当てると…

 

「あれ?燃えない…成功した?」

腕が燃えず日の光を浴びるだけだった。

 

「イヤッホー!成功したのね!これでやっとお煎餅を食べに行けるわ!最近任務続きで蜜離ちゃんや杏寿郎くん達と一緒にご飯を食べに行けなかったから久しぶりにお茶漬けとか食べたいわぁ!ハッ!」

喜びも束の間あるとても重要な事に気づいた。

「お…お金どうしよう?確か万が一のために隊服の両袖の内側に一円札を隠しておいたはずだけど…あるかな?」

そう呟きながら袖の中身を確認すると一円札が三枚出て来た。

 

「よし…まずは、何から食べようかなぁ?」

今日のご飯を何にするか考えながら山を下りる。

 

途中で猪頭の珍獣が勝負を挑んで来たが無視した。

 

~数日後~

 

「いらっしゃい!」

「親父、鮭大根定食を二つ頼む」

「おい義勇。俺は鮭大根を食べたいなんて一言も言ってないぞ?」

「錆兎は、いらないのか?」

「ちゃんと食べるさ」

 

町の定食屋に入って来たのは、鬼殺隊 水柱 鱗滝錆兎とその継子 冨岡義勇の二人であった。

 

二人が席に着いて注文が来るのを待つ間に義勇から話を切り出した。

「錆兎…輪さんは、無事だろうか?」

「義勇?」

「輪さんは、入隊したばかりの俺を沢山世話してくれた…塞ぎ込んでいた俺を外に連れ出して鮭大根が美味しい店やお菓子の美味しい店をいっぱい紹介してくれた」

「義勇…」

「それだけじゃない…自分に自信を持てなかった俺を励ましてくれた。俺に稽古を付けてくれた…お館様は、輪さんは鬼殺隊創設以来最強の柱と言っていた。そんな人がそう簡単に死ぬとはとても思えない!」

「義勇!」

現実逃避を始めようとした義勇に錆兎は強めに声を掛けてから一度口を閉じ再び口を開く。

 

「輪さんは死んだ…上弦の鬼を相手に相打ちに持ち込んで死んだ。これは変えようのない事実だ。だけどあの人のおかげで何人もの罪の無い人の命が救われる…あの人の…輪さんの死を無駄にしてはいけない。男なら!いや男じゃなくても鬼殺隊士なら前を向いて歩かなければいけない…だから俺達には立ち止まっている暇なんて無い!一刻も早く鬼無辻を見つけ出しその頸を斬らなくていけない!」

「錆兎…机に乗るのはどうかと思うぞ?」

「うっ…」

熱くなり過ぎた錆兎は、自分のやってる事を認識し机から降り再び座る。

 

「お待たせしました。鮭大根定食になります。ごゆっくりどうぞ」

「「え?」」

鮭大根定食を運んで来た店員の声を聞いた二人は思わずそちらを振り向き固まった。

 

「いかがなさいましたか?」

急に見られた事に疑問を感じた店員は首を傾げながら質問した。

鮭大根定食を運んで来た店員は二人が話していた鬼殺隊 天柱 天空時輪と声、顔立ちが瓜二つだったのだ。

 

「輪…さん?」

「輪さん…なのか?」

「いいえ、私は輪廻と申します。では、失礼致します」

二人の疑問に答えた店員…輪廻は一例して厨房へ戻った。

 

「輪ちゃん、誰だいあのお二人は?もしかして恋人かい?」

「うちの看板娘は誰にもやらんぞ!」

「違いますよ女将さん。誰かと間違えただけのようです。あと店主も恥ずかしい事言わないで下さい」

「サバの味噌煮定食出来たよ!運んでおくれ!」

「あ、はい!」

厨房から賑やかな声が聞こえながら時間は進む。

 

 

一方の錆兎と義勇は、と言うと

「……」もぐもぐ

「……」パァーッ!

錆兎は黙々と鮭大根を食べ続け義勇は謎の発光をしながら嬉しそうに食べていた。

 

「なあ、義勇」

「うん?」モグモグ

「あの店員…輪さんだと思うか?」

モグモグ…ゴックン!

錆兎の質問に義勇は口に中の鮭大根を一度飲み込んでから口を開く。

「輪さんは死んだと錆兎が言ったんだろ?なら違うんじゃないのか?」

「いや、そうなんだが…あの人から輪さんと同じ臭いを感じたんだ…(あと僅かに鬼の臭いもしたが)義勇は覚えてるか?」

「(俺よりも何倍も優秀な錆兎に分からない事は俺なんかに分かるはずがない…そもそも輪さんの臭いなんてあまり覚えてないし。覚えてるとすれば入隊したばかりの俺に稽古を付けてくれた日の夜に同じ布団で抱き枕にされて寝たことくらいだから輪さんの臭いなんてあまり)覚えてない」

「何か重要な事を省いたように感じたが何か隠してるのか?」

「特に何も隠していない(そもそも『これは二人だけの秘密にしておいて下さい!』と頭を下げて頼まれたからな。いくら錆兎と言えどこれは言えない)」

「…そうか。取り敢えずお館様に報告しないとな」

義勇が食事を終えるまで待ち支払いを終えた錆兎は、鬼殺隊本部のお館様の所に向かった。

 

 

 

「ふぅ…危なかった~!まさかお世話になっている定食屋に錆兎くんと義勇くんが来るなんて思いもしなかったよ…」

山を下りた輪廻は、偶然立ち寄ったこの定食屋の店主と意気投合し食事代無料+寝床の提供との引き換えにこの定食屋の看板娘になったのだ。

その結果、店の売り上げが3倍に伸び店の名も売れ始めた。

当然それに伴い何かと因縁をつけ店を潰そうとする者達が現れたがもれなく全員、輪廻の手によって返り討ちにされる。

面子を大事にする者達がまだ若さの残る小娘を相手に手も足も出なかった事など言えるはずがないので店は見事に守られている。

 

「このままじゃいつか見つかってしまう。そうなれば店主や女将さんに迷惑が掛かる…よし、逃げよう!」

自分と恩人達の身が心配になった輪廻は、感謝の言葉を記した置手紙と僅かな金銭を置いていき夜中のうちに出て行った。

 




はい遅れてしまい申し訳ありません。
言い訳など存在しません。

天柱兼上弦の弐 輪廻のイメージ画像です。

【挿絵表示】

結構可愛いでしょう?
こんな見た目して歳は、30『グシャ…』いえ何でもありません。

輪廻が天柱だった頃の過去編(?)みたいな話を読みたいですか?

  • 見てみたい
  • 別にいらない
  • どっちでも
  • 時間があればで良いよ
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