元柱で現上弦な鬼殺隊士のお話   作:揚げ物・鉄火

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皆様お久しぶりです。
運営に連絡してゲームデータを復旧して貰って狂喜乱舞した作者です。

さて今回は、輪廻さんがちゃんと那田蜘蛛山に到着しました。
あとは各陣営の様子とほんの僅かな戦闘シーンです。

輪さんの戦闘シーンは、恐らく来年に持ち越されます。
では、どうぞ。ごゆっくり!


第九話

那田蜘蛛山へ移動中の輪廻(主導権.縁壱)が輪廻(精神体)の頼みで道中の酒屋で純米大吟醸に区別される酒の中でも度数の高い物を選び、同時に紅漆の盃を二つ(・・)購入してから任務をへ向かった。

 

「輪廻。なぜ酒を購入したのだ?」

『那田蜘蛛山…つまり、く…く、くっ、くっ!蜘蛛!…はぁはぁはぁ…。の居るところに行くんでしょ?飲まないとやってられないわよ』

縁壱の疑問に輪廻は半ば自棄になりながら答えた。

 

「そうか…では、なぜ盃を二つも購入したのだ?お前は独り身であろう?」

『うぐっ!!?』

縁壱の一切遠慮の無い素朴な疑問が輪廻の心を深く抉った。

 

『ほ、ほら…誰か男性の隊士を助けることが出来れば一緒にお酒を飲んで…えーと、いい関係が築けるかな~って…』

「ありえない事だな。期待するだけ無意味だと思う」

質問をされた輪廻は、若干の誤魔化しを入れながら答えたが縁壱にあり得ないとバッサリ斬り捨てられた。

『うっさい!まだ分かんないでしょ!?いい関係が築けなくても既成事実を作ったら私の勝ちなのよ!そのためにもお酒が必要なのよ!』

「輪廻…お前の肉体は、鬼の者だ。人の子を孕むことなど出来るとは到底思えないぞ?」

今度は本当の目的を教えた輪廻だったがまたもや縁壱にありえないと一蹴された。

 

『知ってるわよ!それくらい知ってるわよ!でも、私も女としての幸せを掴みたいのよ!私が気に入った男達はみんな死んじゃうか隠になるような腑抜けばかりだし!私よりも強い男なんていないし!それなら私好みに育てようと思ったら他の娘といい感じになってるし!邪魔できるわけないじゃないですか!?さびまことか!ぎゆしのとか!さねカナとか!最高に可愛いじゃないですか!あの中に入るほど私は屑じゃありませんよ!どっちかと言えば応援する側ですよ!他にも育てようとしたけど、全員が向けてくるのは好意の視線ではなく尊敬の眼差しなんですよ!誰一人としてこの私のような行き遅れに手を出さないんですよ!夜這いを掛ける勇気を持った男性隊士なんて誰一人として居なかったんですよ!私は!ただ!女として幸せになりたいんだ!!』

「そうか…まぁ、良い男が見つかるといいな。那田蜘蛛山(目的地)が見えて来たからそろそろ肉体の主導権を返すぞ。くれぐれも逃げるなよ?」

本音をぶちまけた輪廻に対し縁壱は、ひたすら走りながら何も答えずに身体の主導権を返す準備をした。

 

「ふぅ…落ち着け落ち着け。私は元柱…たかが蜘蛛なんかに怖がっていたら他の隊士達に示しが付かなくなる。落ち着け私…落ち着け天空時…落ち着け元天柱…私はもう人間じゃない。今の私は鬼よ。全ての鬼の中でも上から三番目に強い上弦の弐よ…たかが蜘蛛如きに怖がってたら上弦の鬼としても鬼殺隊の柱、そして何より天の呼吸の継承者としての名折れよ。ふぅぅぅぅぅぅぅ…………。よし!覚悟完了!!」

一人で精神統一をしながら覚悟を決めた輪廻、改めて天空時 輪は狐のお面を深くしっかりと被ってから入山した。

 

「輪廻。那田蜘蛛山ハ、アッチダ。コッチハ、極普通ノ山ダゾ」

「そ、そうでしたっけ?お、覚えてないなー」

「トボケルナ。サッサトアッチニ行クゾ」

「分かりました…分かりましたから頭を突かないで下さい」

そしてすぐに鴉に叱られて本物の那田蜘蛛山に向かってやっと入山した。

 

 

~移動~

 

 

那田蜘蛛山にて

 

「ここが那田蜘蛛山…全然蜘蛛が居ないわね」

「ココカラ隊士達ノ応援要請ガアッタ。報セニヨルト十二鬼月ト思ワレル鬼ガ出現シタトノ事ダ。ダカラオ前ニ報セタ。オ前ナラ大抵ノ鬼ヲ殲滅出来ルダロウ?元天柱殿(・・・・)

「小次郎さん…知ってたんですか?」

担当鎹鴉である小次郎の言葉に輪廻は仮面の内側で軽く目を開きながら驚いた様子で顔を向けた。

「俺ヲ嘗メテ貰ッチャ困ル。十年近クモオ前ノ鎹鴉ヲヤッテイタンダ。主人ノ気配クライ覚エルサ」

「小次郎さん。鬼に成った私の事を覚えていて下さってありがとうございます。改めてこれからもよろしくお願いします」

「コチラコソヨロシクナ。サテ、サッサト入レ。隊士達ノ様子ガオカシイトノ報セダ、キットコノ山ニ居ル鬼ノ仕業ダロウ…遠慮セズニ行ケ」

「はいはい…」

担当鎹鴉(小次郎さん)との会話もそこそこに輪廻は、軽い足取りで那田蜘蛛山に入山した。

 

『輪廻。この山の中から不思議と懐かしい気配がする。申し訳ないが気配のする方に向かわせて貰う。安心しろ。お前はかなり強い。そう簡単に負ける事はない。万が一の場合は私が助けるから安心しろ』

入山した直後、縁壱が言うだけ言って何処かへと消えてしまった。

「あっ、行ってらっしゃい…」

輪廻は、それを見送る事しか出来なかった。

 

 

 

産屋敷邸

鬼殺隊の本部であり鬼殺隊の最高管理者、即ち鬼殺隊当主である産屋敷(うぶやしき)家の者が住む場所。

その在りかは、秘匿されており周囲に鬼の苦手とする藤の花が咲き乱れる土地に在る事だけが分かっている。

この産屋敷邸で顔の上半分が爛れた一人の若い男性が座っている。この男こそ第97代目当主の産屋敷(うぶやしき) 輝哉(かがや)である。

 

当代の当主である産屋敷 輝哉が膝元で息を切らしながら報告を済ませた一羽の鎹鴉を優しく撫でながら口を開いた。

「そうか…那田蜘蛛山で私の子供たちが何人もやられたのか。十二鬼月が居るかもしれないから階級の高い子たちを向かわせたんだけど…なるほど。輪廻、いや輪さんが向かってくれたから大丈夫かもしれないけど…何故か凄く悪い予感がする。これは、柱を向かわせるしかないかな?」

そう呟きながら後ろをゆっくり振り向く。

 

「行ってくれるかな?錆兎、カナエ」

その視線の先には右頬に裂傷のある宍色の髪をした水柱の男性、鱗滝 錆兎と黒く美しい長髪を蝶の髪飾り二つで纏めた女性、花柱 胡蝶カナエ。

両者ともに本来あるべき歴史とは違い生き延びた鬼殺隊の最高戦力の柱である。

 

「「御意」」

産屋敷の言葉に柱の二人が同時に了承し頭を下げた。

 

「錆兎くん、輪さんが生きてるんだって。会ってみたいと思わない?」

「眉唾物だろう。それに所詮は噂だ。信憑性が皆無だ。」

カナエの質問に錆兎は、ただの噂だと否定した。

「だが…」

しかし続けて口を開いた。

 

「もし本当に生きているなら会ってお礼が言いたい。義勇を元気付けてくれた事や真菰と一緒にさせてくれた事。あとは…他にもいっぱい有るな」

「それなら後でお礼を言うためにも会わないといけないわね。ちょうど義勇くんとしのぶの事で相談したい事があったのよ!」

「その件について俺も聞きたい事がある…あの二人が一緒に居ると何故か嬉しそうな匂いがするんだ。理由を聞いたら輪さんのお陰だとしか言わないからな。色々と聞いてみたい」

二人で話ながら襖を開けて産屋敷邸から出て行き那田蜘蛛山に向かう準備を始めた。

 

 

「輪さん…まだ生きておられてたんですね」

 

『ご安心下さい若様。私は、貴方より先に死ぬつもりはありませんよ。はい、指切りしましょ?』

『輪さん…約束ですよ?』

『いいですよ。指切りげんまん嘘吐いたら針千本飲~ます!指切った!若様も勝手に死んだらダメですよ?』

『分かってます…』

 

「私は約束を守っています。今度は貴女が約束を守る番です」

夜空に浮かぶ月を見ながら産屋敷 輝哉(お館様)は小さく呟いた。

 

 

那田蜘蛛山の母蜘蛛鬼が待機している場所で甲の隊士2人と乙の隊士1人が上弦の壱である黒死牟と刀を構えた状態で向かい合っていた。

既に戦闘が始まってから3分以上経ち、三人とも満身創痍ではあるが目の前の圧倒的強者を相手にしても、その闘志は一切衰えていなかった。

「はぁ…はぁ……下弦の伍だけならまだしも、何故上弦の月が居るんだ!?」

「知るか!それよりも他の隊士達が逃げるだけの時間を稼ぐぞ!」

「それなら俺に合わせろ!炎の呼吸 伍の型 炎虎!」

 

三人の会話もそこそこに炎の呼吸を扱う甲の隊士が斬りかかった。

「あっ、待て!水の呼吸 肆の型 打ち潮!」

「勝手に動いてんじゃねぇ!風の呼吸 参の型 晴嵐風樹!」

 

「ふむ…」

しかし黒死牟は、腰に帯刀してある刀を一振りするだけでその攻撃を真正面から打ち破った。

 

「「ぐあっ!!?」」

「がはっ!ぐっ…うぐぅ!」

同時攻撃を打ち破られた三人の隊士達のうち二人は、地面に転がされ一人は生えていた大木に背中を強く打ち付けて肺の空気を一気に吐き出してしまった。

 

「貴様らは…中々強い…私を相手に…三分持った相手は…実に58年振りだ。誇りに思え…しかも本当に…下級隊士達を…逃がす時間を…稼ぐなど…あっぱれだ!」

ほぼ戦闘不能の隊士達を前に一切の隙を見せずに立っている黒死牟は、手放しに称賛した。

 

そして続けてある提案(・・・・)をする。

「貴様ら…全員…鬼に成ってみないか?」

「「「…っ!?」」」

その言葉に三人の隊士達は、驚愕の表情を浮かべたがすぐに口を開く。

 

「ほざけ…六つ目野郎!」

「鬼に堕ちるくらいなら…今この場で腹を掻っ捌いて、自分の首を刎ねるわ!!」

「俺達は、鬼殺隊に入った瞬間、鬼と戦って死ぬ覚悟を決めた!全ての鬼の中でも最強の上弦の壱と戦って仲間を逃がし死ねるなら本望!」

三人とも鬼に成らないと宣言した。

「そうか…残念だ。非常に…残念だ」

その宣言を聞いた黒死牟は、心底残念そうに頷いてから刀を構えた。

 

「ならせめて…武士らしく…相手してやろう」

三人の不屈の闘志と覚悟に敬意を表し月の呼吸を使って相手する。

 

「そいつぁ…嬉しいねぇ!」

「最強の鬼が本気で相手してくれんだ…俺の人生も捨てたもんじゃねぇな!」

「我が人生に…一片の悔い無し!」

三人の隊士も息を切らしながら何とか立ち上がり日輪刀を構えて、黒死牟の元へと一斉に斬り掛かった。

 

「炎の呼吸 玖の型 煉獄!」

「水の呼吸 拾の型 生生流転!」

「風の呼吸 捌の型 初裂風斬!」

三人の隊士が放てる最強の一撃を前に黒死牟は、少しだけ微笑んでから刀を振るった。

 

「素晴らしい…月の呼吸 拾肆の型 兇変(きょうへん)天満繊月(てんまんせんげつ)

黒死牟が刀を振ると同時に広範囲に無数の斬撃を縦横無尽に放ち、三人の隊士達の技を楽々と打ち破り三人の命を同時に奪った。

 

「中々の…使い手だった…お前は…この者達より…強いのだろう?…輪廻よ」

「さぁ、どうでしょうね?」

三人の鬼殺隊士達の命を奪った黒死牟が帯刀しながら振り向くと、すぐ後ろに母蜘蛛鬼を一瞬で始末した狐の仮面を被った輪廻が立っていた。

 

「まあ…堅苦しい話は後にして一杯付き合ってくれません?どうせ死ぬなら十二鬼月最強の貴方と一対一(サシ)で飲んでから戦って死にたいですね」

「貴様…戯けているのか?」

輪廻の誘いを受けた黒死牟は、刀を抜き放ち切っ先を輪廻の頸に当てるが当の本人は至って真面目に言葉を続けた。

 

「戯けていません、割と本気です。どうせ死ぬなら悔い無く死にたいです。ほら、ちょうど良い椅子やお酒と盃もありますし一杯付き合って下さいよ」

そのまま母蜘蛛鬼が座っていた岩の上半分を日輪刀で斬り落とし、平らな切断面に座って黒死牟を手招きした。

 

「貴様…「それとも…」…?」

「武士の癖に女とお酒も飲めないんですか?もしそうだったら謝るわ。ごめんなさい」

「……っっっっ!!!!!」

一向に誘いに乗らない理由を考えた輪廻の煽りは、黒死牟のプライドを強く刺激した。

 

「良いだろう…付き合ってやる」

プライドを強く刺激された黒死牟は、輪廻の真正面に座って酒がなみなみ注がれた盃を受け取った。

 

「じゃあ…乾杯」

「ふん…」

こうして上弦の鬼同士の世にも奇妙な飲み会が始まった。




はい、と言う訳でした。
今まで幾つもの鬼滅二次創作を読んできましたが上弦の壱である黒死牟さんと一対一(サシ)でお酒を飲んだ鬼殺隊士なんて見た事がありません。
なので他の方々の参考になるような展開にしたいと思っています。


追記.
現在の輪さんの状態。

肉体.
上弦の弐

血気術.
表裏反転、他二つ。

呼吸法.
天の呼吸(最適性)
炎の呼吸(使用可)
水の呼吸(使用可)
風の呼吸(使用可)
雷の呼吸(使用可)
岩の呼吸(使用可)

状態.
痣発現
透き通る世界入門
全集中の呼吸・常中修得完了
日輪刀を赫刀化可能

年齢.34歳

現在の実力.
童磨以上、黒死牟以下。

結論.
結構強いけど黒死牟さんには、敵いません。


では、また次回!

輪廻が天柱だった頃の過去編(?)みたいな話を読みたいですか?

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  • どっちでも
  • 時間があればで良いよ
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