始動
電子機器の駆動音だけが暗闇に木霊する室内に人影がひとつ
「セキュリティの突破完了。必要なデータは・・・」
僅かにモニターの光で照らされた人影は、頻りに周りを警戒しつつキーボードを打ち込んでいく
その容姿は齢15程度の少女であった
「っ!これと、これ?いや、これはダミー?ちっ!時間が無いってのに」
モニター上にはファイルが頻りに開かれては閉じられていく
少女は苛立ちを滲ませつつも的確にプロテクトを掻い潜っていく
「あった!後はさっさとトンズラっ!?」
突如大音量アラームが鳴り響くと共に警報が流れ出す
『侵入者を検知しました。繰り返します、侵入者を検知しました。』
「データを抜き取ったら警報がなる仕組み!?クソッタレ!」
目を見開き焦りを見せるが少女はすぐ様、常人からしたら仰天物の跳躍力で侵入してきたダクトに潜り込む
次の瞬間扉が開き武装した大柄な人物達が部屋になだれ込んで来る
「お仕事が早い事で!!」
ダクトを素早く前進し、脱出ルートを走って目的地へ急ぐ
「居たぞ!?逃がすな!」
「もう見つかった!要らない所にばかり力注いでんじゃないわよ!」
武装集団が引き金を引くより僅かに早く横へ続く通路に逃げ込んだ少女はすぐ様腰にぶら下げている球体に付けられたピンを引き抜き銃弾の放たれている方へ放り投げる
背を向け走り出した少女の背後で眩い閃光と轟音が響き渡る
「っ!外に出れた!さっさとズラかるに限るわ!」
背後の施設の近くに隠して押したバイクに跨るとすぐ様エンジンに火を入れフルスロットルでかっ飛ばす
バイクを走らせ30分程過ぎ、街の灯りが見え始めた所で周囲を警戒しつつバイクを停めて耳に着けてあるインカムにスイッチを入れ連絡を取る
「此方アイエフ。データを入手したわ」
「了解しました。申し訳ありませんがデータを届けてくれますでしょうか?」
「そこまでが仕事だから気にしなくていいわ。それより危険手当はちゃんと払って貰えますよね?」
インカムから聞こえた子供の様な声にアイエフと名乗った少女は溜息を吐きながら発言する
「それは勿論です。違法研究を行っている証拠ですから危険手当とボーナスをお出しします。それより怪我は有りませんか?」
「問題ないわ。少しコートが汚れた程度よ。じゃあ、これから教会に戻るわ、後の仕事はそちらにお任せしますね、イストワール様」
返事が返ってくるより前に通信を切ると星空を見上げながらアイエフは深く溜息を吐く
「はぁ、もう少し危険が無い仕事は無いのかしら。本来のアイエフはこんな危険な仕事は・・・してたかもしれないけど、ギャグよりの作品でしょゲイムギョウ界って」
頭を振るとバイクに跨り夜道を走らせていく
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超次元ゲイムネプテューヌ
前世でプレイしていたゲームハードやゲームメーカーの擬人化したロールプレイングゲーム
そして私はその登場人物の一人
アイデアファクトリーのに擬人化キャラ
ゲイムギョウ界に吹く一陣の風
厨二病のツッコミ役
主人公ネプテューヌの親友の一人
作品の一つで自身も主人公になる
など細かい所を挙げれば他にもたくさんある
そんな存在に自分が為ってしまった
最初は当然戸惑った
本来のアイエフに自分の様な異物が混ざってしまったのだ
ネット小説で良く見る憑依転生と言うやつなのか?とか、原作崩壊を引き起こしてしまうとか色々考えた
しかし、そんな他人事はすぐ様現実的な問題へと変わっていく
自分が住んでいる孤児院はプラネテューヌの都心部に存在しているが経営が火の車で何とかやり繰りしている状態だったからだ
プラネテューヌの治安は比較的良く、女神による統治も悪くは無いが、どうしても富の行き渡らない弱者とは存在してしまう
親の居ない或いは親より棄てられた子供達とはどう足掻いても社会的弱者だ
その上、自分は齢7歳ときた
この孤児院が潰れてしまえば悪意あるもの達にすぐさま食い物にされてしまうだろう
故に経営が少しでも楽になるようにお金を稼ごうと思った
考えた結果行き着いたのはギルドの採取系の依頼を受けて少しでも資金を稼ぐという物だ
原作どうこう等より自分が生きていけるかの方が重要なのだ
その為なら原作崩壊など知らぬ存ぜぬで行こうと思う
というか、この次元がどの作品でも戦いに挑めるほどの度胸は持ち合わせていないから
取り敢えず今は院長に話をしておこう
戦いはゴメンだが、ファンタジーワールドは少し楽しみだ
今後の目標はエタらず完結させること
したいね