「くっそ・・・」
ガスはもう残り半分を切った。これじゃあ幾ら刃があっても意味が無い。
「こんなのだったら――――」
ここで死ぬ事になる?・・・それだけは嫌だ。まだ生きていたい。まだ飛んでいたい。
ならば何をするか。
「さぁ、戦おうじゃないか。今度は私の番だ!」
~数十分前~
「リンミィ。先に行って。」
「お前何言ってんだ!?」
「このまま二人で逃げていても全滅するだけになる。だから、私がここで巨人を足止めするか
ら、先に行って。」
「そんな無茶な事・・・」
確かにそうかもしれない。近くには巨人が三体いる。これ以上巨人がやってこない保障はない。でも、それでもやらなくちゃいけない。
「大丈夫。私はこれでも次席だもの。ちゃんと追いかけるから。」
「・・・おい。」
「私の判断を信じて。恐らくだけど、今向かっている森には誰かしら人がいるはずだか
ら。」
「・・・お前は馬鹿だ。」
「・・・!」
「だが、俺もお前と同じく馬鹿だから――――お前の判断を信じる。」
ありがと。無事合流できる事を願うよ。そう呟いて後ろに向き直る。青空と奴らが目に飛び込んでくる。巧く撒く事が出来れば一番なのだが・・・。
――――こうして現在に至る訳だ。
私の目の前には三体、確認できる範囲にいるのも含めば七体。内、奇行種と思われるものは一体。まずは目の前にいる奴から片付けなくてはならない。
素早く目の前の13m級巨人の後ろ側に回りこむ。うなじに狙いを定め、アンカーを放つ。うなじに突き刺さるのを確認して、ワイヤーを巻き取り縦1m横10cmを削ぐ。鮮血が飛び散り、顔にべっとりと付く。時間はもう残されていない。そのまま、ある程度距離が離れている5m級巨人の項にアンカーを刺して急降下する。そして、その勢いで一気にうなじを削ぎ落とす。
次の巨人に狙いを定めるため一旦地面に降りた時、思わず自分を疑ってしまった。足が震えていたなんて。
「あ・・・」
何でだろう?認めたくない。何故こんなにも私は恐怖を抱いているのだろう。恐怖というこの感情を抱いている事を自覚した今、私の足は『動かなく』なっていた。
イヤだ。こんなの嫌だ。怖い。でも・・・もう、死んでも、いいかな。
そんな中フッと思い出したのは何だろう。何だっけ、懐かしいな。でも、はっきり覚えてないや。
あれ、ぼんやり映ってるこれは何?ずっと覚えていたはずなのに。あ、このブレスレットは・・・
――――姉さんの・・・生きていた証
遠くの森で紫色の煙弾が打ち上がるのが見えた。無事だったみたい。
ありがとう。それからごめんなさい、姉さん。私、戦うよ。絶対に生きて帰るから。
あ、れ?意識が・・・遠退いて行く。せっかく、生き抜くことが出来ると思ったのにな。
もう、ダメ、みたい、だね。本当にごめんなさい。姉さん。
そこで私の意識は途切れた。
「ふざけんなよ。あんたら、早く消えて。」
そう言って、スッと見開いたその眼は、まさに・・・
――――まさに、獣の眼そのものだった。