能天使の右腕   作:答えてくれドルフRO

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(同時投降なんてものを)始めちまった……ああ、始めちまった……
向こうも近日中に更新します

追記:本作品ですが、一章はスコーピオンの視点で進む形になります。オリ主君の視点は少々お待ちください


夜明け(Daybreak):鐘が鳴る。それは空へ羽ばたく翼
1-1:作戦行動


 

 

 

 

 

「なんでこうなるかなー!」

 

「動かす口があるなら、手を動かしてください! 的は余るほどあるんですから!」 

 

「だって、ボスがこんなにダミー連れてきてるとかわかる訳ないじゃん! おまけに指揮官と連絡取れないし!」

 

「だとしてもです! 泣き言を言っても状況は良くならないんですよ!」

 

 

 

 ここは硝煙舞う戦場の一角。

 不満を隠すことなくぶちまける少女と、それを嗜める少女が居た。

 何ゆえ戦場に少女? 巻き込まれたのであろうか。

 否。

 彼女たちの手には銃があった。片や両手に個人防衛火器、片や中型の短機関銃。

 そう、彼女らは戦いのために生み出された存在────戦術人形。

 それぞれ(型式番号)をVz.61、PPSh-41と言った。

 

 

 

「それはそうだけどさー! 嫌なものは嫌じゃんかー!」

 

「……! 次は右から来ますよ! 体勢を整えてください!」

 

「見えてる! 事前情報にもなかったし、こんなにどっから来たのかな」

 

「大方地下通路でもあったのでしょうが…………今確かめる術はありませんから気にしても無駄ですね」

 

「むーっ! ほんと反則だよ、正々堂々って言葉を知らないのかな!」

 

「戦場で無茶苦茶言ってますよスコーピオン…………」

 

 

 

 彼女たちは現在、敵に囲まれて篭城戦をしていた。

 なぜこうなったのか。それは少し時間を遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────民間軍事会社グリフィンのとある司令部施設

 

 

 

「鉄血司令部への強襲作戦?」

 

「そうだ」

 

「えー、ずいぶん急じゃない?」

 

 Vz.61と会話するのは、執務机で報告書と戦う女性────この司令部の指揮官だ。

 彼女は人形の問いかけに、確認した報告書をどけながら答える。

 

「どうやら本部の衛星が、山向こうの鉄血司令部に妙な動きを見つけたらしい」

 

「山向こう……ちょっと遠くない?」

 

「ああ。しかし、最近動きの鈍かった鉄血に急な行動……本部が気になるのも無理はない」

 

「なら本部がやればいいじゃん? 沢山部隊いるし。なんだってこんな小さい基地に言うのさ」

 

「スコーピオン……条約は知っているだろう」

 

「条約? ああ、そういえばそうだったね…………ってことは?」

 

「考えている通りだ。目標にやや近く、あまり重要でもない部隊がいる……後はわかるな?」

 

「やっぱり…………」

 

「文句はあるだろうが本部の会議で正式に決まった作戦だ。断るわけにもいかんだろう」

 

「それもそっか。作戦は何時から?」

 

「今だ」

 

「今!?」

 

「社長はともかく、せっかちな役員がいるからな…………嫌か?」

 

 指揮官の問いに、Vz.61は胸を叩いて答えた。

 

「ふふん、任せてよ!」

 

「その言葉が聞けてよかった。みんなを集めてくれ、これからブリーフィングだ」

 

 

 

 

 

 

 xxxxx

 

 

 

 

 

────2062年

 

 人類は戦いで疲弊し、その数を減らしていた。

 土地も荒れ、生存可能圏が大幅に失われたこの時代。

 人類に代わる労働力として、自律人形という存在が台頭した。

 生体素材が多用され、人間とほぼ見分けのつかないそれらは社会に違和感なく溶け込む。

 結果、労働力不足は解消されていった。

 そして当然、それは軍事目的にも転用される。

 その結果生まれたのが、戦術人形。

 しかし、その中で人類に反旗を翻すモノが現れた。

 

 それが鉄血人形、人類に敵対する反乱分子。

 

 その鉄血人形と戦い、人々を守るべく立ち上がったのがPMC(民間軍事会社)G&K(グリフィン&クルーガー)

 

 この2つの勢力は戦いの日々を送っていた。

 

 

 

 

 

xxxxx

 

 

 

 

 

「よく集まってくれた諸君。早速だが作戦の説明に移る」

 

 ブリーフィングルームにて。

 指揮官は集まった人形を見渡しながら、中央に設置された投影装置を操作した。

 

「今回の目標はカルパチア山脈の一角にある鉄血基地司令部だ。本部の手に入れた情報によると、鉄血部隊が集結中らしい」

 

 ホログラムに山脈の全体マップと、鉄血を示す赤いマークが現れる。 

 

「我が基地はこれを強襲、撃破する。本来なら占領しておきたいところだが……そうは出来ない。StG44、なぜかわかるか?」

 

「ええと……ここから距離が遠いから……ですの?」

 

「その通り。しかし距離だけなら本部は占領しろというだろうな」

 

 黒い軍服を来た人形の答えにうなずきながら、指揮官は続ける。

 

「まぁ、なんだ…………拡大する戦線に見合うだけの指揮官が足りないのだ」

 

「ああ……無い袖は振れませんものね…………」

 

「業界の中では死亡率も高い……先日増員を決定したとはいえ、まだまだ足りない。そういうわけで、今回は強襲だけに留まる。つまるところ、問題の先送りだ」

 

「ぶっちゃけますわね…………」

 

「気にするな。だが先送りだとしても、放置はできない…………話を戻す」

 

 マップに部隊の接近経路が追加された。

 

「作戦は3つのフェーズに分かれる。第1フェーズは座標V6J69-HJYRVから南20kmにある、鉄血小規模拠点の確保。部隊を1つ残してここを当基地との連絡拠点にする。その際、取れる情報は取っておけ」

 

 赤い拠点のひとつが、グリフィンを示す青に染められる。

 

「第2フェーズは敵拠点への強襲だ。2つの部隊を使い、北の山地と南の旧市街地から挟み撃ちにする。その後司令部に爆薬をセット、破壊しろ」

 

 やや大きな赤い印に上下から青い矢印が突き刺さり、×と表示される。

 

「第3フェーズは鉄血管轄区からの撤退。総員合流地点Bへ集結せよ………ここまでで質問は?」

 

 指揮官が問うと、ロシア帽を被った人形が手を上げた。

 

「いいぞ、ペーペーシャ」

 

「ありがとうございます。敵の戦力はどの程度確認されていますか?」

 

「良い質問だ。これを見てくれ」

 

 表示されたのは、ガスマスクをつけた戦術人形の姿。

 

「知っているだろうが、こいつはスケアクロウ……鉄血のボスだ。鉄血司令部にはコイツの存在が確認されている」

 

「ボスが……根城でもない司令部に?」

 

「ああ、妙だろう? 本部はコイツが今回の事を指揮していると見ている。私も同意見だ」

 

「てことはさ、指揮官。このガスマスク女もやっちゃえってこと?」

 

「その通りだスコーピオン。大まかに目標は【鉄血部隊の殲滅、及びボスの撃破】だな」

 

「スコーピオン、今は私が聞いていたんですけど?」

 

「あはは、ごめんごめん!」

 

「はぁ…………」

 

「許してやれ、ペーペーシャ。スコーピオンのキャンディ(報酬)は1つ没収しておく」

 

「ええ!? 理不尽だよ指揮官!」

 

「……続けるぞ」

 

「まさかの無視!?」

 

「まぁ、そうなりますわね……」

 

「山脈の近くに破棄された飛行場が見つかったため、そこまではヘリで輸送する。が、敵に発見されることを防ぐため以降は徒歩になる。カモフラージュマントを忘れるな……ああ、帰りはヘリを寄越すぞ」

 

「よかった……帰りも徒歩って言われるかと思ったよ!」

 

「流石にそんなことはしないぞ…………」

 

「嘘だー! あたし、冬の雪山に置いていかれたの忘れてないからね!」

 

「それは訓練ですよ、スコーピオン。大体、そんな薄着してるのが悪いんです」

 

「ふーん。いいよねペーペーシャはあったかそうで、あたしの気持ちなんてわからないんだ!」

 

 あーだこーだと言いあう2体。

 

「痴話喧嘩は後にしてくださいまし…………」

 

「締まらないな…………お前たち、静かにしろ」

 

「むぐぐ……指揮官が言うなら」

 

「どうして私まで……」

 

「まだ説明は終わってないんだからな」

 

「はーい…………」

 

 静かになったのを見計らい、指揮官が告げる。

 

「これは不確定な情報だが…………どうも奴ら、新型のジャミング装置を開発したらしい。各自、通信強度に気をつけろ」

 

 一拍置いて。

 

「最後に大事なことを言うぞ」

 

 目を細め。

 

「必ず()()()()()…………以上、行動開始!」

 

 

 

 

 

 こうして作戦は発動し、基地から3つの戦術人形部隊が派遣された。

 

 

 

 

 






口調や行動におかしなところがあったら作者の理解不足
ご指摘くださると嬉しいです



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