能天使の右腕   作:答えてくれドルフRO

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スコーピオンが主人公みたいになってますが
一応オリ主が主人公です……




1-4:作戦報告

 

 

 

 

 再び待機している第3部隊。

 謎の光は消えたが、未だ攻略部隊との通信はできなかった。

 ドローンもなぜか戦場に近寄るとオフラインになる始末。

 そして、タイムリミット(撤退用のヘリ)が来てしまった。

 

 

「ここまで……なんですの……?」

 

 無線機からは雑音が流れるばかり。

 

「お嬢ちゃん、流石に限界だぜ! 早く乗ってくれ!」

 

「くっ…………」

 

 ヘリのプロペラは騒音レベルの音を掻きたてる。一時的に占領したとはいえ、ここは鉄血の管轄区。つまり、離れた鉄血の哨戒所が探知する恐れを孕んでいた。早急に離れる必要がある。

 StG44とてそれを理解しているからこそ、悔しさを顔を出しつつもヘリに乗り込んだ。

 

「最後に…………スコーピオン、こちらStG44。応答しなさい……こちらStG44。攻略部隊、応答しなさい!」

 

 とはいえ諦めきれない彼女は、一縷の望みをかけて最後の通信を行った。

 

『……………』

 

 しかし、無線は沈黙したまま。

 

(やはりスコーピオンたちはもう…………)

 

 彼女の電脳が最悪かつ、最も高い可能性を導き出す。

 

(せめてメンタルモデルだけは後で回収しに向かいますわ……)

 

 人形が破壊されるのは日常茶飯事だ。特に、鉄血との激戦区では。珍しくもない、日常の1頁。

 StG44はそう念じ込むことで己の無力感を封じ、鉄の揺り籠の微弱な振動と騒音に身を任せようとした。

 

 

 

 

 

『………い………あ………』

 

 

 

 

 

(…………!)

 

 しかし、どうやらそれは叶わないらしい。

 

 

 

「スコーピオン! スコーピオンなのですか!?」

 

 機内が慌しくなった。

 心臓(モーター)の鼓動が早くなる。

 

『……よ……こちらスコーピオン! StG44だよね? よかった、繋がって!』

 

(この声、信号……間違いありませんわ、スコーピオンのもの)

 

「本当によかったですわ、ギリギリでしたのよ!」

 

『あはは! ごめんごめん、ちょっとゴタゴタしててさ~』

 

「まったく……それで、ご無事ですのね?」

 

『無事……まあ、うん。一応無事だよ!』

 

「……引っかかりますが、合流を急ぎましょう。今どちらに?」

 

『合流地点Bに向かってるよ!』

 

「わかりましたわ。任務の方はどうでした?」

 

『あー…………一応完了かな!』

 

「……まあそれも後でお聞きします。それではまた!」

 

『うん、待ってるよ!』

 

 通信を終了した。

 

 StG44は操縦席の方を見ながら叫ぶ。

 

「パイロットさん、今のは聞こえまして!?」

 

「おうよ! 少し揺れるが、我慢してくれよな!」

 

 ヘリは方角を変え、進みだした。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────司令部施設

 

 部隊は無事に司令部へ帰還した。簡易的な検査を終えた後、執務室へ向かう。

 

 

 

「ごめんね、指揮官。一応メンタルモデルの回収は出来たんだけど、ボディは……」

 

「帰ってきたならいい。資材さえあればまた作れるからな……」

 

「うん……」

 

「それより、何があったか話して欲しい」

 

「わかったよ」

 

 

 Vz.61は自分が体験した内容を報告した。

 

 

「という感じかな。あの後辺りを軽く調べたけど、鉄血兵は大体倒されてたよ」

 

「作り話かと疑いたくなってきたな…………」

 

「あたしたちが指揮官に嘘をつけないのは知ってるでしょ?」

 

「わかっている。しかし現実離れした話で、理解が追いついていないだけだ」

 

「まぁ、そうなりますよね…………」

 

「それで、その【人形】はどうなったんだ?」

 

「ああ、それなんだけどね────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 PPSh-41の額から数ミリで、凶刃は止まっていた。

 

「斬ら……ないんですか」

 

「意味を感じない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とか言って、そのまま消えちゃったんだよね」

 

「消えた?」

 

「うん。文字通り、消えちゃった。少なくともあたしにはそう見えたよ。気になるところは後で記録データから確認して欲しいな」

 

「なるほど、よくわからない奴だ……それでも危険なのは確かだ。本部にも伝えておく」

 

「お願いします」

 

「にしても、あの時はペーペーシャも無茶してくれたよ! びっくりしたもん!」

 

「あれは、ただ……私はスコーピオンを守りたくて…………」

 

「あはは! 可愛いこと言ってくれるよね!」

 

「そういうスコーピオンこそ、あの後『危ないことしないでよ!』って泣きわめ────」

 

「あー、あー! 聞こえなーい!」

 

「まったくお前たち……報告は以上か?」

 

「あ、うん。そうだね、このくらいかな」

 

「わかった、怪我しているのにすまなかったな。修理は優先でといっておく」

 

「あ、ほんと? ありがとう指揮官!」

 

「それとペーペーシャ」

 

「……はい」

 

「お前の行動は、1歩間違えば情報も、メンタルモデルも全て失った危険なものだ」

 

「……わかってます」

 

「だが……お陰でスコーピオンは助かった。命令違反を良しとする訳でもないが、今回は不問とする」

 

「……ありがとうございます」

 

「以上だ。ご苦労様」

 

 

 

 2体は退出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……帰ってきやがりましたね、サソリ」

 

 執務室から出たVz.61に、横合いから声が掛かる。

 出所はニヒルな笑みを浮かべた少女。両手を組んで壁に背を預けた、タンクトップにホットパンツという出で立ちの、生傷が絶えない戦術人形────イングラムM10。

 

「うん、帰ってきたよ~。ただいま、イングラム」

 

「ふんっ……随分身軽になったじゃないですか。落し物でもしたんですか?」

 

「それが強盗に出会っちゃってさ~。腕集めが趣味の変な人形だったんだ~」

 

「……片腕だけ残すなんて間抜けな人形ですね」

 

「そりゃあたしだって抵抗するよ! 黙って腕取られる趣味ないし~」

 

「そうですか。で、ソイツはどうしたんです?」

 

「それが逃げられちゃったんだよね~。いや~、残念!」

 

「……命拾いしましたね」

 

「まあ、今回はちょっと危なかったけどさ~」

 

「サソリを壊していいのは私だけです。勝手に壊されたら承知しませんよ」

 

「あはは! 大丈夫大丈夫、そんなに柔じゃないもん」

 

「…………」

 

 そっけない態度で話す少女。しかし、薄っすらと目元に赤い線があった。

 

「イングラム、あたしは大丈夫だよ~?」

 

「…………」

 

「ちゃんと帰ってきたよ。だから、そんなに震えることはないの」

 

 足を引きずりながら少女に近づき、片手で引き寄せる。

 

「泣かなくていいんだよ」

 

 背中を一定のリズムで叩く。子供をあやすように。

 

「……馬鹿ですか? 私は泣いたりしません。サソリの見間違いです」

 

「うーん。なら、そういうことにしておくよ!」

 

 

 

「…………」

 

 そして、まるで2体だけの空間を作られると面白くない人形(乙女)がいた。

 

 

 

「イングラム、スコーピオンは怪我しているんですよ。さっさと離れたらどうです?」

 

「……あら、居たんですかイワン。興味なかったので気がつきませんでした」

 

「……ええ、いましたよ最初から」

 

「そうですか。あなたは怪我してないようですし、宿舎に戻ったらどうです?」

 

「残念ながら私も点検があります……スコーピオンを修理場に連れて行く途中なんですよ」

 

「……それならご心配なく。サソリは私が連れて行きます」

 

「いえいえ、指揮官から聞きましたよ。イングラムは後方支援帰りで疲れているんですよね。どうぞどうぞ、お部屋でごゆっくり」

 

「生憎、あなたみたいに柔な鍛え方をしてないので全然平気ですよ、お気遣いどうも。だからさっさとどこかへ行ってくれませんか?」

 

「嫌です」

 

「どうぞお帰りください」

 

「嫌です」

 

「帰れ」「嫌です」「帰れ」「嫌です」「帰れ!」「嫌です!」

 

 

 

 言葉の殴り合いに挟まれたVz.61は。

 

(うーん。あたしを想ってくれてるっていうのは嬉しいけど、もうちょっと仲良くしてくれたらもっと嬉しいんだよね~)

 

 随分暢気だった。

 

 

 

 

 

「ぜー……はー……頑固ですね……」

 

「はー……はー……イングラムこそ……」

 

 

 

「はいはい、2人ともそのくらいにね~?」

 

「「でも!」」

 

「ここ、執務室前だよ?」

 

「「あっ……」」

 

 俯く2体。

 独占欲と嫉妬の発露に、あとから羞恥が追いついてきたからだ。冷静になったともいう。

 

「2人が心配してくれてるのは嬉しいよ。ありがとっ」

 

「…………」

 

「…………」

 

(まぁ、気まずくなるよね~。大丈夫大丈夫、あたしに任せて!)

 

「あぁ~、整備行きたいけど、腕はないし足も動かないしで歩き辛いんだよね~。誰か一緒に来てくれる人いないかなぁ。2人くらいいるといいんだけどな~」

 

 わざとらしいくらいの口調で、交互にちらちらと見る。

 

「!」「!」

 

 すると、飼い主に呼ばれたペットがごとく、凄まじい勢いで顔を上げる人形たち。

 そこにVz.61は勢いよく振られる尻尾を幻視した。

 

 

(ほんと可愛いなぁ、2人とも!)

 

 

 無言で両手──実際は片腕だが──を広げるVz61。その意味を2体は完全に理解していた。

 イングラムが左側に、PPSh-41が右側に。2体に支えられるようにして、彼女たちは整備へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勿論というべきか、Vz.61たちの声は執務室に丸聞こえだった。

 

「スコーピオン、いつか背中を刺されるんじゃありませんの…………?」

 

「人形同士の殺傷沙汰か? 笑えないぞ」

 

「そうならないように願いたいものですわ……」

 

「全くだ。これ以上私の胃を壊されたら困る」

 

「誰も壊したくて壊しているのではないのですわ」

 

「わかっている……」

 

「それで指揮官、解析結果はどうでしたの?」

 

「ああ……大急ぎでペルシカに連絡を取った甲斐があった。どうやら、あの光はフォトンの崩壊現象によるものらしい」

 

「有害ではないと?」

 

「一応はな」

 

「心配事がひとつ減りそうですわね」

 

「アイツへの借りは増えたがな……」

 

 指揮官はため息をついた。

 

「今回は私のミスだ……衛星で見えた情報をすべてだと思い込んでしまっていた。情報の精査を怠るとは、指揮官失格だな」

 

「……指揮官、あまり自分を責めないで。本部からの急な連絡だったし、出来ることは限られていましたわ」

 

「…………」

 

「それに、責任はわたくしにもありますわ。もう少し深く侵入できていたなら……」

 

「いや、それは適性判断を誤った私が悪い。お前は出来ることをやってくれた」

 

「……でしたら指揮官。なおのこと思いつめたりはしないで。スコーピオンたちは帰って来れた、その結果を喜びましょう?」

 

「……そうだ、な。……それにしても、謎の戦術人形か」

 

「スコーピオンたちを助けてくれたらしいけど?」

 

「だが攻撃もしてきた。言ってることも断片的すぎて訳がわからない」

 

「まぁ……そのあたりは、本部が判断しますわ」

 

「それもそうか。私にそこまでの決定権はない……だが、備えておかなければ。次も助かるとはわからない」

 

「ふふ、ご一緒させて貰いますわ」

 

「こちらからも頼む」

 

「ところで指揮官、気になるシャンプーがあるのだけれど」

 

「…………ほんと、いい性格してる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────16Labの研究室

 

「これは……」

 

 運びこまれた人形の腕を解析しているのは、猫の耳がついた白衣の女。

 

「溶断? いえ、もっと根本的な……」

 

 様々な計器のほか、パソコンのディスプレイにはいくつもの数値が表示されていた。

 

「擬似神経のショート、電子筋肉の寸断……」

 

 細い指でキーボードを操作すると、新たなタブが表示される。それは複数の球体がくっつき、また離れていく様子。

 

「間違いないわ……これは分子の結合崩壊……」

 

 周囲の計器も異常な数値を見せていた。

 

「でも……こんな技術、誰が……」

 

 女────ペルシカリアは立ち上がった。

 

「まさか…………」

 

 

 

 






次回、オリ主君にこちらでの名前がつきます

(展開が)遅い……遅くない……?

なおここの指揮官は後方幕僚不在のため胃がマッハです



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