アラガミ転生 猿神が征く   作:凍河の氷

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今回は主人公であるコンゴウ自体は出ません。


幕間その1 極東での対策会議

ここは極東のアナグラ……にある医務室である。今扉が開き二人の男が一礼をして部屋を後にした。

 

「あー、酷い目にあったなー。三日もベットで寝てるだけってのは辛かったー。」

 

「起きてる間はバガラリーばっかり見ててそれを言うのか……ツバキさんも呆れてたぞ。」

 

身体を解すコウタと入院中の生活に関して苦言を零すユウ。そんな二人は同じ階の奥にある部屋にノックをして、返事を待たずに部屋の中へと進む。

 

「博士、神薙ユウ及び藤木コウタ。招集致しました。」

 

「しました!」

 

「うん、待っていたよ二人共。さて、ではリンドウ君はまだ掛かるようだから先に始めとしよう。」

 

部屋の主であるペイラー・榊の言葉で始まる今回の会議。四日前に第一部隊を撤退に追い込んだコンゴウ変異種に関しての情報共有、この二日間での調査結果とそれを纏めての出す対策等を共有する為に集まったのだ。

 

メンバーは先の三人に同じく例のコンゴウと戦ったソファーに座る橘サクヤに壁に寄りかかっているソーマが居る。リンドウに関しては外せない任務があった為に戻り次第参加という形になっている。そしてユウ達二人もソファーに座り、いよいよ開始となる。

 

「さて、君達が戦った例のコンゴウなのだが。この三日間で可能な限り贖罪の街周辺を調査してもらった結果なんだが、特にこれと言った手がかかりは掴めなかった。ただ、ヒバリ君や皆の協力である地域で発見されていたアラガミが消えていると言う報告もあってね。詳しくはその資料に書いてある。」

 

ソーマ以外がテーブルに置かれた資料に目を通す、地域は鉄塔の森近辺。消えていると確認されたアラガミは中型だけでも20体弱。小型は無数と記載されていた。

 

「見てもらった通り、あのコンゴウは鉄塔の森近辺に居ると思われる。ただ、あくまでこれは予測に過ぎない。例のコンゴウは群も作らずに一匹で行動している為か痕跡も少なくてね。見つけても、ただのコンゴウであったケースばかりだった。私から見てもこのコンゴウはアラガミとして見ても相当な知性があると考えている。」

 

「知性……ですか?博士。」

 

「うむ、この資料にある結果に君達との戦闘記録、更に君達と接触するまで見つからなかった事も含めて例のコンゴウは、我々を人類の力を理解するだけのが知性あると思われる。でなければ、もっと早期に発見されている筈だしね。」

 

ズレてもいない眼鏡を直しながらユウの質問に答えつつキーボードを叩き続ける榊博士。そんな博士の言葉にサクヤとソーマは小さく頷いている。戦ったからではない、今纏まっている情報だけ見ても違和感しかないのだ。

 

「でも、そうだとしたら。どうやってそれだけの知性を得たんだ?このコンゴウ?」

 

「残念ながら、現状の情報だけでは私にも分からないのだよコウタ君。何処かのゴッドイーターか人間を捕食したと仮定しても、ならば他のアラガミが知性を得ない理由にならないのでね。恐らく、もっと違う何かがある筈だと……私は考えているがね。」

 

もっともである、もしヒトを食べて知性を得れるとするならばこの世界に溢れるアラガミはもっと歯が立たないモノになっているに違いない。そうでない理由を考えるが……現状それを知る手立てもない。

 

「それで、博士。これからこのコンゴウに対しての対策はどうされるつもりですか?」

 

サクヤがこの招集の本題を切り出す、対策の為にと情報の収集に当たったが一部のGE達から「たかがコンゴウ」っと侮っているのも居なくない。オマケにやられたのがあの第一部隊っと言うのも噂やら批評やらが出てき始めてるのも大きい……幸いな事にコウタは後遺症もなく復帰出来たので再戦に至った場合をどうするか。

 

「各々、近接型は主にデトックス錠に遠距離型には主にアンチリーク剤の所持をお願いするのと……対峙した時は早々にこの左腕と背中のパイプを何とかしないとね。結合崩壊させれば、このパイプなら空気関連が腕から出されるオラクル弾を軽減出来るかもs」

 

「……いや、狙うなら両腕の方がいい。」

 

榊博士の言葉を遮る様にソーマが口を挟む、納得してる顔のサクヤとまだ分かっていないユウとコウタ、そしてキーボードから手を放す榊博士。

 

「……ふむ、理由は何かな?」

 

「ヤツの両腕は目測だが同じ大きさだった。なら、左しか使えない訳がない。」

 

「私も同感。あえて使わなかった事も視野に入れておいた方が良いわね。」

 

「後はこの腕の中ある何かか……それは何なのか、君には見当は付いてるかね?」

 

博士の言葉に首を横に振り否定するソーマ、報告には本人曰く金属類を叩いた様な感触だった事から金属製の物体なのだろうが、推測は出来ても情報が足りないのではどうしようもない。

 

「俺、最初の内に気絶しちまったから良く分かってないけど。戦ったユウ達は実際どうだったんだ?このコンゴウは。」

 

報告書の内容は理解して頭に入れているコウタだが、実際に戦った感覚と言うのだろうかそう言ったのを三人に聞いてみる。まずは最初はサクヤからだった。

 

「あの動きはまだ信じられないのよね、普通ならあんなに近づかれる事も無かったから焦っちゃったわ。だから次は勝たないとね。」

 

「……ヤツの固さは大体分かった。次はぶった切る、それだけだ。」

 

「あの動きは正直驚いてばかりだったけど次は勝とう!生きてれば何時かは勝てるかもしれないからな!」

 

各々の感想を言い、焦点は個々で違いはあれど皆の気持ちはあのコンゴウに勝つと言う明確な意思があった。そして、見計らったかのように入り口のドアが開き。

 

「そーだぞー、生きてれば次があるんだ。とにかく生きれてれば何とかなもんさ。」

 

「おや、リンドウ君。そっちは終わったみたいだね。」

 

仕事終わりのリンドウが顔を出してきた。榊博士に何かの書類を渡して、新入りである二人に絡む。

 

「おっと、そろそろ時間だ。最後になるがあくまで例のコンゴウには要注意だが、深入りだけはいけないよ。後でヒバリ君の方にも連絡を入れておくがコアが入手出来るのならそれが一番だが、どうあれ情報も大切だ。それに君達がアナグラに帰ってくる事の方が重要なのを忘れないようにね。」

 

『了解!』

 

ひとまず閉会となった今回の会議。皆が部屋から出ていき、リンドウから渡された書類を確認する……内容は例のコンゴウから採取出来たオラクル細胞の分析結果だ。

 

「……予想より数値が大型に近い。やはり、アレは特異点となるアラガミなのだろうか?……ヨハネス。君はこれをどう見る?」

 

 

その独り言もPCの駆動音と叩かれるキーボードの音に虚空へと掻き消えてしまった。

 

あのアラガミが果たして、我々人類に対してどのような結果を招くのかは……まだ誰にも分からない。

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