どうも、看板アラガミに出会えてちょっとテンションが上がっている、ワタシ事コンゴウです。
あちらさんはこちらを見るなりいきなり威嚇して戦闘態勢に入ってきましたよ。ワタシが一体何をしたのだろうか?それとも出会ったら喰うか喰われるのどちらかですか、そうでしたね。
しかし、ワタシもあちらさんを喰う予定なので気合を入れて戦闘に入ります。あちらさんの基本的な動きは頭にあるし、こっちは腕の一本や顔面の半分を喰われても喰ってやる覚悟を最初からしてますよ!無傷で勝つ?寝言は捕食者のお腹の中でお願いします。
(さーて、おさらいだ。ヴァジュラはその体格のわりに素早いフックに体格を利用した体当たりにステップやらで意外と俊敏。雷を使って自身から放出やら雷弾にして展開やら発射とか遠近バランス良く纏まったアラガミだ。二回目の大型だけど、ヴァジュラ相手に出し惜しみは無しだぞ!ワタシィ!)
まずは挨拶変わりに左腕キャノンでバランス重視の弾を一拍刻みながら放つ、もちろんヴェノムはたっぷり付与しております!デッドリーヴェノムにそろそろ近いんじゃないかな?
流石にヴァジュラも色合いやら雰囲気で危険を察知したのかバックジャンプで華麗に避ける。まぁ避けられるのは計算通りこんなの毒々しい色の弾だなんてワタシだって浴びたくない。
慌てず騒がず戦闘前から同様に右腕でチャージしていた新しく考えてた弾、貫通と速度重視のランス形状弾をまだ空中に居るヴァジュラの着地地点に向けて放つ!
右腕がパワー型並みに反動で上の方に弾ける。込めたアラガミ細胞の量や時間もパワー型と同等程度なのでやっぱりそういう結果になった。
(おっし、左前足に貫通確認!でもランスがまだ小さいから塞がるのも早そうだな……貫通型の実践投入が大型はちょっと無茶だったかなぁッ!)
着地後に初弾を当てたとは言え、相手は大型。その位のダメージを無視してこっち突進を仕掛けて来たが、なんとか身を捩り回避にギリギリ成功。
ここから暫くはヴァジュラは突進に背中のマントから発雷した雷球をこちらに放ってきたりとその巨体に似合わぬスピードでワタシを中心に一定の距離を置きながら、チマチマと攻めてくる。ワタシも腕のキャノン弾をバラ撒いたり、たまにパワー型を撃ってみてはいるもののバラ撒きは当たりはすれど効果が確認出来ず、パワー型はどんなにタイミングを計っても避けられてばっかりだ。
(有効打は現状初回の貫通弾のみ、でこっちは削られる一方。右腕のチャージだけは一定状態継続して、そろそろこっちも仕掛けますか!)
バラ撒きを続けながら、ヴァジュラの突進を誘い……突っ込んでくる相手ギリギリで避けながら仕込みランスをヴァジュラの……腹部に命中!
しかし、ヴァジュラも反撃と言わんばかりにその場で帯電してからの放出。ランスが刺さりっぱなしなのと周囲の電気によるダブル感電。
(アバババ……じびれるでじょうーが!ヴェノムになっじゃえー!)
痺れながらも、至近距離状態でパイプから濃い紫色の空気弾を扇状に三発を二回放つ。ヴェノムももちろん忘れずに付与しています!計6発の空気弾が命中しヴァジュラは普段の顔より苦悶の表情を浮かべながら、ワタシもヴァジュラもお互いにバックステップで距離を取る。そしヴァジュラの頭部から紫色の気泡が立ち上るのを見てワタシは口角を上げる。
(ヴェノムが入った!正直、遠中距離は向こうの領分だしそろそろ殴り合いの時間だー!)
両腕とパイプを経由して体内に空気を集めてワタシはヴァジュラに向かっていく。ヴァジュラも迎撃のタックルを仕掛けてきてのを、ワタシは身体を捻りながら躱して左の仕込みランスをヴァジュラに刺し込む。放電に気を付ける為に即座にランスを引っ込めてタックル後のバックステップをしたヴァジュラの距離を詰める。
暫くはこんな感じのヒット&ウェイの繰り返しでヴァジュラの細胞を削っていく。本当はもっと至近距離で殴りたいのだが、まだ自身の弱点属性である雷を食らいたくないのも本音だ。正直、あの放電を食らってから右腕のチャージが上手く行かないのでイライラしている。多少体格が大きくなって力や能力が増幅しても、ワタシ自身は色々な意味でまだコンゴウと言う枠から離れられてないのだ。
ヴァジュラは放電や雷球生成を主にして、ワタシはまだ中型である自身の体格を利用して合間を縫って接近しながら仕込みランスによるヒット&ウェイを。幾度かの激突後にようやくと言うか来たかと言うか、ヴァジュラが活性化した。
(離れててもちょっとピリピリするな。だけど、向こうも焦っている筈だと思いたい!)
こちらも細胞を強制的に活性化させて、相まみえる。マントの帯電から雷球を設置せず扇状に展開もしない……つまり。
(ドーム型!なら、アレを狙う!)
足元から広がるドーム型の雷撃を今出せる最高速度で走りながらヴァジュラに接近。後ろで大きくなる雷音には耳を傷めるが、ワタシは意図的に切り離して右腕をヴァジュラの顔面に向けて殴りつける。
しかし、その一撃は大きく口を開けたヴァジュラに拳事噛みつかれてしまう。そしてその拳に牙を立てながらヴァジュラは帯電の準備に移った。
(残念!その帯電は遅すぎるよ、ヴァジュラ!)
拳事喰われるのはワタシの予想通り!口内にまだある自分の手を広げて、今こそ貯めに貯めてワタシの弾を直接体内プレゼントタイムだ!返品は受け付けません!
体内にヴェノム弾が叩き込まれた瞬間にヴァジュラは目を大きく開ける。そして即座にその忌々しい腕を噛み砕き本体を電撃で焼き焦がす為に顎に力を入れると同時に放電を始める。
一度跳ねるコンゴウだったが、即座に右腕に力を入れて腕を可能な限り硬化させつつ、体内に送り込む弾の供給を途絶えさせない。少し動きが鈍くなったが、コンゴウは空いている左手をヴァジュラの左半分の顔面を鷲掴みして仕込みランスをお見舞いする。一発ぶち込んだら即座にランスを内部に戻し、左手の位置を動かしてランスの貫通箇所を増やしていく。
ヴァジュラは放電と顎の力を強め、コンゴウは次第に体内に放つ弾が大きくなっていきランスで突き刺す時間が長くなっていく。
雨と廃ビルがその熾烈な生存競争を見守りながら、先に弱ったのは……コンゴウの方だった。
口内への弾が途切れたその瞬間にヴァジュラのアゴはブチリとコンゴウの右拳を噛み砕く。コンゴウの体制が崩れたその一瞬の合間にヴァジュラのタックルが入り焦げてやや黒くなりだしたコンゴウは後方へと吹き飛ばされる。そしてヴァジュラもバックステップで一旦距離を取ったが着地に失敗し倒れ込む。
ヴァジュラも起き上がろうにも体内は既にズタズタな上にヴェノムを大量に摂取した為か、足が震えるがヨロヨロと立ち上がりマントに電撃を送り雷球生成の準備に入る。視線を忌々しいあの中型に向けると……そこには既に中型は居らず、横で何かが動いたと思った瞬間には自身の腹部を何かが貫いた。
意識を右に向けると倒れ込む様に己の腹部に左手を当てる中型、そして繰り返さる何かが腹部を抉る感覚。そのまま何度か貫かれて、細胞の結合自体が脆くなった所にその貫いた何かが下に引っ張られて身体が崩れて感覚が消えていった。
最後に見たモノは己を見下す中型と折れた槍状の物体だった。こうしてこのヴァジュラのアラガミとしての生はここで終わった。
(……勝ったぁ。)
動かなくなったヴァジュラに倒れ込みそのまま霧散する前に引き裂いた腹部をそのまま貪りながら思考する。対大型相手にワタシは二度目の勝利した。
右手は食い千切られて、更に全身雷に焼かれて残った切り札の左仕込むランスも無茶がたたって根元から折れてしまった。今のワタシにはとにもかくにもアラガミ細胞が欲しかったので今ちょっと行儀が悪いですが……アラガミだから気にしない方がいいかな?
(やっぱり弱点属性って辛い。対格差もあったけど属性あるなしだけでこんなに変わるモノなんだなー……あ、コアみっけ。)
コアを飲み込んだら後は霧散するまで貪ります。腹部部分の三分の二程を勢いよく食べた頃に死闘を繰り広げたヴァジュラの細胞は霧散して雨の中に溶けていった。
(ごちそうさまでした。……ふーとりあえず、なんとか普段通りに動ける位には回復出来たかな?この後は一旦何処かに隠れて……!?ちょっと待って!嘘でしょ!なんで、なんでこのタイミングで!しかもよりによってこの人なの!)
思考を戦闘モードから切り替えようとしようとしたら雨音に交じって聞こえてきた神機の駆動音。しかもよりによってこの異様に大きい音はワタシがこの世界で初めて聞いた神機の起動音の一つなのだ。そう、ワタシがこの嘆きの平原でのゴッドイーター達のスタート地点方面に顔を向けた先には。
「新入り達にソーマやサクヤが世話になったみたいだな。そんじゃちゃっちゃと終わらせますかね。」
知っているより濡れているので垂れている濡羽色の髪に、茶色いフェンリル印の制服、そして彼の相棒である紅く染まったチェーンソー状のブレードとシールドのみの第一世代型神機を携えた。
現極東最強である、雨宮リンドウがワタシの視線の先に居た。