アラガミ転生 猿神が征く   作:凍河の氷

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第十八話 ワタシだからある強み

このある一角の場所の色が混ざる。白と黒と銀が包み込む世界に紫色の毒がこの地を蝕む……たった一つのかの神を討つ為だけに。

 

だがそれは気にも留めない、感じない。なぜならそれらもまたその神なのだから。ただただ本能のままに、叫ぶままに、貪る様にそれに襲う脅威となって。

 

どうも、ヌエです!あー、なんかていうかコンゴウだった頃のボルグ・カムラン戦を思い出すこの圧倒的な質と物量の暴力の嵐……中型なら躱せたかも知れないけど今は大型なワタシ。でも、それは過ぎた事で今のワタシには大型の耐久性はありがたい!

 

(喰らっても気にならないし、ヴェノムに対しての耐性が向上してるのは今のサリエル達を相手にしてるなら凄い助かる!さーて、この降り続く光弾弾幕をそろそろ何とかして突破しないと。)

 

走って、飛んで、止まって、方向転換などしたりしながら光弾の嵐を浴びながら今は逃げている。無論ただ逃げていた訳では無い。こいつらを区別するとなるなら……サリエルA、Bの確認は済んだので後はCを尻尾ちゃんで見るだけ。光弾に当たらぬように注意しながら尻尾の視線をCへと向け、それを見つめてワタシはある確信を得た。

 

(やっぱりだ、こいつら一匹一匹の熱量が違う!B>A>Cの順に中心部の、コアが持つ熱量が違ってる。見た目での区別は出来ないけど内部が違っているのなら、熱量で判別出来るワタシならではの判別方法だ。これなら狙う相手と順番が決められる!)

 

ワタシは一匹で相手は三匹、一匹としての能力ならワタシが勝っていると自負出来なくもないが数の差は個人の質を上回ってしまう。ならば、ワタシだけが持っているであろう強みを生かしてこの場を一気に抜けてやろう!

 

幸いな事に、サリエル達の攻撃は大体同じタイミングで仕掛けてくるので回避に専念するならそこまで問題は無かったのだ。それは今も変わらない、ならば後はタイミングを計って……来た、今だ!

 

こちら迫る光弾をまずは飛び跳ねて空中まで引き付けて、背後にサリエルCが居る事を尻尾ちゃんで再確認してパイプから空気を発射し、その反動を利用してサリエルCの頭上を越えて背後まで吹っ飛ぶ。

 

ワタシを狙っていた光弾は空中で目標を見失ってバラけて散り、着地と同時に飛び掛かったワタシにはこちらに振り替えるサリエルCと次弾を構えたAとBが見える。

 

(貰ったー!)

 

サリエルCの胴体を右手で掴んで、力任せに引きちぎる!

 

ブチブチっと嫌な音だがそんな事に意識を割いてる暇も無いので、引きちぎった胴体部分を口に放り込んで即再走。これで最初の頃に比べて状況を変えれた。次はA!お前がワタシのゴハンだー!

 

迫る光弾の総数の減少はワタシにとっては一番の問題だった。それが減ったならば後は前後の視界と聴覚を駆使すれば避ける回数を最小限にして、突っ込んで一気に持っていく。

 

Aに迫る中、後方から妨害してくるBには尻尾ちゃんから吐き出すヴェノム弾を浴びせて行動を妨害させています。本当にこの尻尾便利だなー。見て感じて攻撃出来てコアなら飲み込めて……これから大事にしていかないと。

 

Aは反撃として毒鱗粉を自身の足元に散布したが、それを飛び越してサリエルAにのしかかり光柱を発生させる前に胴体部分を噛み付いてそのままコアまで喰い千切りたかったが、尻尾ちゃんで見ていたサリエルBがこちらに体当たりをして来たのをで仕方がなくサリエルAから離れる。

 

視線をサリエルBからサリエルAに向けて後ろ足で踏みつけながら、普段地面を蹴る時より強く蹴り付けてサリエルAを傷つけながら一旦退避。尻尾ちゃんで追撃のヴェノムを浴びせながらだがスカート部分が結合崩壊した様なオレンジ色の破損部位が見えた、この攻撃方法も有効そうなので覚えておこう。

 

こちらにジグザグとこちらに迫るサリエルBには……よくやる両手ハンマーでカウンター気味にぶん殴る!いい感じに入ったのか一撃でサリエルBの頭部を結合崩壊させ、空中だった為に勢いよく地面に叩きつけられた。この機を逃す手はないので追撃の捕食タイムと行きますか!

 

ワタシも落下しながら仕込みランスを両手から出して、サリエルBにランスを向けて落下。無事にランスはサリエルBを頭部と腹部部分を貫いて着地成功。手早く胴体部分からコアを抉り出し飲み込むと既にフラフラとしながらも空中に浮きだしたサリエルAに視線を向ける。

 

(弱ったあいつには……よし、例のトマホークの実験台になってもらう。)

 

空気の量は十分あるしトマホークの生成には……今は大体4秒程掛かるか。でも試さないとこれから先、上手く出来ないんだ。焦るな、慎重に正確にワタシのイメージで生成して……発射!

 

パイプから発射された空気弾トマホークはサリエルの頭上まで飛び、破裂して降り注ぐ小型の空気弾がサリエルBの身体を削っていく。大体一個から十発分の小型弾が降り注ぎ、それを浴びに浴びたサリエルBはそのまま地面に横たわる様に息絶えた。

 

(……ワタシの耳に入る音は今の所ないからこれで終わりかな?よかったー……そろそろ精神的に厳しくなってきたんだよねー。)

 

ようやく、緊張の糸を緩める事が出来てホッとしながらサリエルBの死骸を貪るワタシ。スカート部分はかなり抉れてるので多少無事な頭部から胴体にかけていただいてます。

 

(うーん、味は……なんて表現した良いのか分からない不思議な味。食感がふわふわしてる部分だったりカリカリしてたりしてて、今までにないタイプの噛み応え。後はちょっと痺れる位かな?とりあえず、これでサリエル種は合計4匹かー。期待したいのはヴェノムの強化とレーザー辺りだね。前者は必須で、後者はだめなら更に狩ればいい。)

 

 

いつも通り霧散していく元サリエルを見送りったワタシはとりあえずこの場から離れた。回数はまだしも最近は量が増え始めたアラガミとの遭遇を避けたいからであるのとそろそろ愚者の空母に向かいたいからだ。

 

(あそこなら、空母の中に入っちゃえば多少のアラガミにGE達を避けられるっと思いたい。それにしてもワタシってそんなに美味しそうに見えるのかな?なーんでかな?ワタシがイレギュラーなのは分かるけど……でも、気にしてても考えても分からないからこれはもう諦めよう。喰いに来るならこっちから喰ってやるだけだ!逆に考えれば向こうから喰って下さいっと言ってる様なものだし、お得と考えようそうしよう。後は……)

 

移動の最中に今のワタシが意識して使える技を改めて思い浮かべる。

 

フック、両手ハンマー、回転殴り、ボディプレス、後ろ回し蹴り、尻尾ヴェノム弾、両手のキャノンの通常、バラ撒き、パワー、貫通、仕込みランス、設置エアボム、暴風、扇型空気弾、トマホーク型空気弾、そう言えば落雷も……元がコンゴウだったとは言え、今では進化してそこそこ手札があると言ってもいい。だが、まだだ。まだワタシには落雷以外に属性がない。

 

(正直あった方がいいのかどうかは置いといて、やっぱり欲しい。どうあれ、今使える技にそれらを合わせられるとするならばあった方が良い。属性と言うか神機が追加されて強化された神融種はどれも厄介なんだし、他の原種だって付いたら弱点もあるが基本的には強化されたと言ってもいい。愚者の空母にプリティヴィ・マータ現れればいいなー。)

 

淡い期待を思いながら、雪原を駆けて大海原へと足を進める。これから先のあるいずれどこかでぶつかるであろう、ワタシにも世界にも迫る危機に備える為にも、今は風なって駆けなければ。

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