遅くなってしまいましたがとりあえず、書けたのでどうぞ。
「畜生!畜生!畜生!何だってんだよ!何で!何でこうなっちまったんだ!」
ある一人のGEが時々後ろを気にしながら走る続ける。その一歩前を行く一人も額に皺を寄せながらこちらも叫ぶ。
「あぁ、そうだな!まさかアイツがアラガミ化しちまったって報告があったなんて聞きくなかったし、オマケにそいつがヌエと一戦交えてるなんてこっちだって想定外にも程がある!」
この二人も極東のGEであるチームだったのが一人が独断出撃し、その果てにMIAとなり行方知らずとなってしまった……遺品の回収に向かった先に居たのは恐らく変わり果てた同僚と何処から嗅ぎ付けて来たのかヌエが、今も逃げる二人を気にも留めずに喰いあっている。
ここは愚者の空母、人の愚かさの象徴とも言えるこの場所で神に墜ちた人と人類側は知る由もないが人を宿した神が喰い合いを続けている。
片やヴァジュラ種の様なそうでないヌエが、そして対峙する墜ちた神は体格で言うのなら小さい髑髏の頭部に銅色の巨体で地を征く人の英知すら貪欲にその身に宿したクアドリガである。
駆け続けた二人はようやく、主戦場になっている滑走路から離れて跳ね橋付近の段差まで後退できた。既に戦場はヌエの放つ空気弾にクアドリガからも放たれるミサイルで既に、辺り一面が暴風の嵐となっている。
チームのリーダーである彼はこちらに迫ってこない事を再度確認し、カメラを構える部下である彼に目を離すなよっとだけいいインカムに向こう側で居るであろう竹田に通信を送った。
『こちら、極東支部の竹田です。モートさん、なにがありました!』
「わりぃな竹田!切羽詰まってるから簡潔に言うぞ!こちらはあのMIA野郎はアラガミになっちまってて会敵しようとしてたら例のヌエが乱入。今現在クアドリガになったアイツとヌエがやりあってる!」
『え、えぇ!』
ヒバリの驚きも持ってもであるがその直後に鉄柱付近に一発のミサイルが爆発した。
「ヌエの暴風で一発流れてきました!すんません!」
「こっちに当たんねーならいい!ちゃんと撮ってるよな!?」
「はい!」
「つー訳だ、竹田。こうなっちまったから任務をアイツの捜索から弔いと遺品の回収をメインにする……いいか?」
『わ、分かりました!モートさん達も無茶だけはしないでくださいよ!』
「わーってるよ、リンドウのケツを追うにはまだ早ーからな!んじゃな!」
通信を切って、今も撮影を続けている部下のちょっと前に移動する。お互いに第一世代であるのでモートは近接型のブレードとタワーシールドの組み合わせで、んで部下のこいつは遠距離型のブラストタイプだ。さっきみたいな流れ弾ならこのタワーシールドで防げる、後はどのタイミングで行動するかだが……
(しっかし、実際に見るとリンドウ抜きだったとは言えあの第一部隊が苦戦したのも納得だ。なんだよヴァジュラ種の体格とサイズでコンゴウ種やシユウ種みたいな俊敏な動きしやがって。あれじゃ狙撃位しかろくに当たらねーぞおい。)
巨体とミサイルと放熱で攻めるクアドリガを、持ち前の身体能力だけでそれらを捌きながら現状腕力のみでクアドリガを追い詰めていくヌエ。
「うっひゃぁ……クアドリガって装甲かなり固かった筈っスよね?なんすか、もうかなりベコベコになっちゃいましたよ?」
「あぁ、しかもまだヌエは腕のキャノンを使ってないし暴風もこっちにミサイルが来た時位だろ?こんな戦い方もあるのか……ある意味ここで実物を拝めたのはラッキーだったな。」
「でも、この後どうするんですか?まさかヌエと一戦交えるとかだったりします?」
「そうさな……」
提案っと言うより状況的にあのクアドリガはもう長くなさそうなのでもし、もしヌエがこっちに来たらどうあっても一戦は避けられない。そんなことを考えなが眉間に皺を寄せながら回収目的の残った遺品と腕輪と神機の回収をしておいたやりたいのだが……
目の前で行わている神々の喰い合いには現状割行ってもこっちが巻き沿いで喰われる未来しか見えない、だが今削り喰われてあんな風になっちまっても元は俺らの仲間だったんだ……せめては。
「とりあえず、俺が囮になってヌエを可能な限り引き付ける。お前はその隙に奴の神機と遺品の回収を頼むぞ。クアドリガが喰われ終わったら行動開始だ。」
「りょ、了解っス!あ、そろそろバッテリーが……」
緊急用のカメラだったからか、そこそこ年代物だったからかカメラから光が消える。まぁ最低限と言えど生のヌエの動きはこれに収めもした事だ、後は俺らがアナグラに無事に戻れば万々歳だ。
そんなこれからと言う時に突如、ベコベコにされていたクアドリガがヌエからこっちに視線と身体を向けたと同時にこっちに突っ込んで来た。
機械の駆動音の様な咆哮を上げながら、髑髏の眼球が収まる部分から流れる油をまき散らしながらまるで何かを訴える様に地を鳴らしながらこっちに向かってくる!
「構えて散開して挟むぞ!あんなのに引かれるなよ!」
俺の声と共にカメラをしまい、即座に神機に手を掛けて臨戦状態になったのを確認してから俺らは左右に分かれた。……こっちに来たのはヌエに勝てないと踏んだからか、それとも……嫌そんな事はありえない。そんなんだったら……そんな事を頭の片隅に考えながら弱ったとはいえこの元部下をどうするか考えていたら。
この場に居るモノ達で一番早かったのは、蚊帳の外にされていたヌエだった。
ヌエは俺達に迫っていたクアドリガの後ろ足を掴んで、一旦勢いを殺してその後はそのまま後ろに倒れる様にあのクアドリガの重量を自身の力だけでぶん投げた。
「んな!」
資料によって奴がパワー系であるコンゴウ種であるのは分かっていたがこれは流石に予想外だ。アラガミの中でもウロヴォロスを除けば現在発見されている中で最も重いと予想されるあのクアドリガを、投げたのだ。それも確か……ジャーマンだったか?それっぽい動きで投げたクアドリガは空母に出来た大穴に吸い込まれる様に落ちていった。
下の方で海に落ち切ったクアドリガの水柱が立ち上がり、海水が俺達に降り注ぐ……そしてこちらを投げ終わった後起き上がった、その確か猿っていう動物の顔をしたヌエがこちらから見つめてくる。
(動くなよ、絶対動くなよ。)
後ろで神機と共にカタカタと震えてる部下にそう心で祈りながらだが、俺でもこの顔を正面から見続けるのは辛い、正直極東じゃそこそこ生き残ってた部類なんだがこいつの視線はまた異質だ。報告にもあったが殺気と言うべきかこちらを喰うと言う意志がこもっていない。
こちらをただただどこまでも冷酷に観察している。恐らく自身に相対するか?脅威となるかと言った具合。
そんな時間にしたらほんの数秒だが間違いなく俺達には永遠に感じたこの睨みあいであって欲しいこの瞬間はヌエがクアドリガの後を追った事で終わりを告げた。
再び海に大きな着水音がし、また海水が降り注ぐ中で俺らはようやくそこで思い出したかの様に呼吸をした。
「……はぁはぁ。無事か?」
「ハハハ……はい、なんでかぶじです。」
何で助かったのかは本当に分からない。あっちからすれば小粒とはいえ食糧がそこにあったにも関わらずそれを無視して最初の獲物の方へと行った。余りにも普段とはかけ離れた状況に本当におかしくなりそうな頭を抱えながら。ひとつ深呼吸をする。
「……スゥ…………ハァ。……よし、とにかく一応の危機は乗り切ったんだ。生きてるんだ、ならさっさか戻らないとな。アナグラに。お前はとりあえず、ヘリの要請と竹田に帰還の報告を頼む。それまでに立てる様にしておけよ。」
「は、はい。…………あ、竹田さん。こちら……」
帰還の準備を任せてまだ少しふらつく足で静かになってしまったこの空母の終着点でもある管制室付近へと向かい、目的のモノを探す。
行きの時には見当たらなかったモノだ。なら後は……っと思った通り瓦礫の下敷きになっている神機を見つけた。
こう言った時、GEの身体能力には助けられる。わりと歳食ってる俺だけでも瓦礫位を投げるのなんて楽勝だ。そして邪魔な瓦礫を投げ捨てながら奴の相棒だった神機を回収する。
神機を拾い上げたその時に、千切れたコードが引っかかっており持ち上げた時にそれは地面に無造作に落ちた。
「ん?このヘッドホンは……腕輪は無いか。まぁなんかが残ってるだけマシなんだぞ、おい。」
奴が愛用した壊れたヘッドホンに呟きながら、奴の元相棒共々俺達の帰る所に持って帰る。それくらいしか今の俺には出来ない。敵と言うか成ってしまった奴はもう居ない。ならせめて……
回収は成功、なら後は俺らが帰ればこれで終わりだ。最後にヌエが飛び込んだ空母の大穴を帰る前に覗き込む。
(本当に何なんだろうなアレは……今までやりあって来たアラガミとは思えないアイツは、一体何なんだろな。)
とにかく、今はアナグラに帰ろう。今はそれ以上考えたくはない
何故なら俺達はまだ生きているんだ。なら生きないとならない。思い出というしがらみにまたひとつデカい墓標を出来たとしても俺達は生きないとならない。