アラガミ転生 猿神が征く   作:凍河の氷

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筆が乗りに乗ったので一周年に間に合ってしました。

それでは今後ともアラガミ転生 猿神が征くとお付き合いの程を宜しくお願い致しまする。

それでは本編へどうぞ。


第二十五話 ワタシとわたし

……どうも、ヌエです。ようやく意識がハッキリ?してきました。イメージ的に近いのはゲームで出てきたまどろんで夢と言うより過去を見ているソーマ辺りに近いのかも知れません。そんな感じでどこかふわふわしてるこの空間をゆっくりと降りて行ってます。

 

(……ビックリする位何もない真っ白に近い空間。今あるのは本当にワタシだけだしこの先に居るとしたら……レンやソーマのアラガミ見たいななので間違いなんだけど、アレは元が人間だったからヒト型を形作ってたっと仮定するとワタシは何が出てくる?トラウマとして出てきた記憶の結節見たいなのがわんさか出てくると思ってたんだけど。)

 

想定とは違う事態だが、自分自身を喰らうのは正直の所どうしようもないのであればヤる覚悟だったがこうも拍子抜けでは気持ちも少しだけブレる。もしかしたら下と言う地点に着いたら大歓迎される可能性だってある。抜けていく気をなんとか持ち直しつつワタシは下へ下へ……変わらずに向かって行く。

 

(……おっと、どうやら着いたみたいだけど。本当に何も出ないし何も無い。ワタシにGEの記憶を除けばろくにないから?いや、だったらボルグ・カムラだったりリンドウさんだったりが出てきそうだけど……)

 

下へたどり着いたワタシは辺りを見渡してみるが……見事に何もない尻尾ちゃんは何故か使えないしでまぁこんな空間だとヴェノムを吐く位しか使い道が無いので久々のお休みと言う事にしておいた。

 

しかし、本当に何もない3で見た廃墟見たいな風景も無く周りに飛び散っていた灰の様なモノも飛んでいない真っ新でワタシ以外には何もなく何処かワタシが異物としてあるかの様に示されていると言うか……纏めるなら落ち着いてるけど心の何処かが落ち着かない何とも言えない空間だ。

 

そんな風に思っていたら、目の前にワタシ以外のナニかが現れた。この空間が白ならばそれはそこに収束していく黒とも染みとも言えるナニかが。

 

(なんだろう?敵意は無いみたいだけど……)

 

するとその黒は揺れる様にワタシの目線の先を進みだし、そして一定の地点で止まった。これは着いて来いと言うのだろうか?

 

(案内役なのかな?どうせここに居ても埒が明かないし、いいよ行こうじゃないのよ。)

 

ワタシはそれの後を着いて行くことにした。しかし、ここで気が付いておけば良かったのかも知れない。ワタシの身体が今までのヌエの姿から大きく離れていた事を。ある意味元の姿に近付いていた事を。

 

 

 

 

 

感覚ではそこそこ歩いた感じだが、辺りに変化が無い為か進んでいるのか戻っているのかも分からないままワタシは進んでいる。そして、ようやく黒が止まるとその場で霧散して散り散りになってしまった。

 

(さーて、そろそろ出てくるかな?案内は終わったみたいだし。)

 

身構えて何が出てきてもいい様に待ってみる。音もワタシが発する以外何もないこの空間でどこからナニが出てくるのかすら分からないが、気持ちだけでも備えておいて損はないはずだ。

 

 

 

そんなワタシの気持ちを踏み躙るかの様にそれは背後からワタシの左腕を噛んだ。

 

(は?……え、なに。ワタシ……喰われて…………てか、この喰われてる形状ってまさか!……ヒトの腕!)

 

以前喰らった神機による捕食の様な感覚だがあの時ほどの痛みは無いが確かにワタシと言う何かが喰われていくそれ以前に何故今まで気が付かなかったのか。ワタシの姿がヌエの姿からシルエットだけとは言えヒトの姿になっていた事に今喰われてようやく気が付いたのだから。

 

理解を超える出来事の連続にワタシの思考は完全に止まってしまった。奇襲に気付けず、捕食されて更に自身の姿も何故かヒトになっているこの状況を理解しろっと言えるなら寧ろ会ってみたい。あ、なんかそろそろ意識が……飛びそうに……

 

そんな最中、突如ワタシを噛んでいたナニかがワタシから突如離れたと思ったら何を吐き出そうと咳き込んでいた。

 

(???なんだか良く分からないけど助かったのかな?……うわ、なんか噛まれた部分が再生してる!なんで、本当に何が起こってるのー!)

 

〈オエオエ……ワタシハ、オイシク……ナイナ。〉

 

(え?喋った?しかも『ワタシ』?もしかしてアレが……なんだか初めて見た気がしないアレが。)

 

改めてワタシを噛んだ『ワタシ』と言った奴を視る。姿は……今までよく見ていた姿だ。言うならばアバドンサイズまでに縮んだヌエとしてのワタシの姿がそこにあった。そして、アレはまだ咳き込んでいる。襲われた手前だが、とりあえずこれを聞かない事に始まらないと思いワタシはそれを口にした。

 

「……あなたは誰?」

 

言った、言ってしまった。何となくでフワフワと曖昧な感じでだがワタシの中で、アレが何なのかと言うのも記憶からもワタシの本能でも殆ど答えは出ている事だがワタシは言った。いきなりこっちを噛んで来たんだ、聞いたっていいじゃないか。

 

そして、ミニヌエはようやく落ち着いたのかワタシの言葉に反応したのかどうなのかは知らないが、こちらを真っすぐ見つめてワタシと自身を指さしながらこう答えた。

 

〈わたしハワタシ。ワタシハわたし。……ヤット、アエタ。〉

 

(ワタシ=わたし。つまりアレがワタシのある意味本体でもあるアラガミ細胞の意識体。そうなるとやっぱりワタシは他所から入れられた異物……なのかな?あっちはワタシをどう思ってるの?会話は出来るっぽいからまずは聞こう。そうしよう。)

 

「ワタシに会いたかったの?その割にはいきなり齧って来たけど、なんで?」

 

〈タベテミタカッタ。デモ、ワタシガイツモタベテタア、ア……ア、ラ、ガミ……アラガミノホウガオイシカッタ。ワタシハオイシクナカッタ。〉

 

(ワタシが不味い?てか、今言い直したけど確かにアラガミって言ったの?ていうか、妙にたどたどしいな。あのわたしは……)

 

どこか落ち込みしゅんっとしてるわたしと名乗ったミニヌエ……不味かったって言うのはあれかな?アラガミにある偏食。それがワタシを食べても美味しくないっと言った理由なのかも知れない。あくまで推測だけどワタシの偏食が実に偏食で助かった。バリバリ美味しいって喰われてたらあの時にワタシと言う意識は死んでたであろう。

 

「それで、不味かったワタシをこれからどうするの。わたし?」

 

〈……ドウシヨウ?〉

 

「考えてなかったの!」

 

首を傾げるミニヌエに叫ぶワタシ、なんだか妙な気分になってしまったがこのまま流される訳には行かない。ワタシがここまで来た目的を果たさねば。

 

「ん、ならワタシの事をやらせてもらうよ!ワタシがワタシである為にも!」

 

〈ソレナラ、ダイジョウブ。サッキノデわたしハ、モウワタシヲタベナイヨ。〉

 

「え?」

 

いざ!っと思ったらミニヌエから言われたもう食べない宣言。不味かったのはさっき言っていたが……信用してもいいのか?いや、ちょっと待てよあのミニヌエってまさか本当は……

 

<ワタシガコッチニクルマデハわたしハチョットズツタベテタケド、サッキイッパイタベテワカッタ。わたしニハオイシクナイ。ダカラ、わたしハモウタベナイ。>

 

最初からずっとまっすぐこっちを見つめながらそうミニヌエは言い切った。てか、やっぱり喰われてたんだワタシ……精神汚染とか浸食とかはもう大丈夫かな?多分あのミニヌエは嘘は言っていないっと思う。いや、多分嘘をつける程の知識は無いとかも知れない。

 

(たどたどしい言い方に食欲優先な言い方。考えたらコンゴウの時からの付き合いだけど、まだそこまで日数は経ってない。10年間神機として付き添ったレンや生まれる前から一緒だったっぽいソーマとは絶対的に時間が足りてないんだ。だから、幼いから何処か素直に受け入れられてるワタシが居るのかも知れない。ワタシがわたしを相手にしてるから?)

 

〈デモネ、ワタシ。サッキタベタブンハオイシクナカッタケドイロイロトシレタ。ゴチソウサマ、ワタシ。〉

 

「い、色々知れたって、まさかさっきのアラガミって意味も……」

 

〈チョットダケ。わたしガコノホシヲクウソンザイノヒトツデジンルイノテンテキ。ソシテワタシガドンナコトガアッテモイキタイッテノモワカッタ。ダカラ、わたしモイッショニイキタイ。〉

 

ミニヌエはワタシの知識を記憶喰ってそれを学習したようだ。こっわ、我が本能と言えどここまで短時間で再生したとは言えあれだけの量を喰っただけでここまで知られたのは純粋に恐怖を覚えた。そしてアラガミの無限とも言える貪欲っぷり引いてる自分が居る。元々そういう設定でなんだろうけど……ヒト型アラガミの情報吸収スピードの理由はこれもあるのだろうか?逆にアラガミ全体は……

 

閑話休題

 

「……もう食べないならいいけど。また聞くけどそれでわたしはこれからどうするの?こっちは一応、本当に一応だけど目的は果たせたからいいけど……わたしはまだ、ワタシに何かある?」

 

〈……ア。ジャア、アソボウ。わたしトアソボウ!〉

 

「嫌な予感しかしないけど、何をして遊ぶの?」

 

〈ゴッドイータータチトアラガミガヤッテタコトヲヤリタイ。わたしがアラガミデ。ワタシガゴッドイーターデアソボウ。〉

 

嫌な予感が当たった。じゃれると思いきや思いっきり命懸けの戦いになりそうだった。だけど向こうのわたしは完全にやる気満々だ。ピョンピョン跳ねながら嬉しそうにしている。……逃げる手段もないし逃げたらどんな目に合うか分からないので受けないと行けないけど、ワタシがゴッドイーターやるとしても大きな問題がある。

 

「やるのはいいけど、神機はどうするのよ?アレは人類が作った物だからアラガミのワタシには元々アレを持ってないのよ。」

 

〈ソレハダイジョウブ。ココハカンガエルトダイタイノコトハデキルヨ。……ホラ。〉

 

ミニヌエがそう言うと、ミニヌエの後ろに突如シルエット状のボルグ・カムランが現れた。それを唖然と眺めているワタシを尻目にミニヌエはそのボルグ・カムランの頭部に飛び乗った。

 

〈ネ?ダカラ、ワタシモデキルヨ。ヤッテミテ。わたしモイマシッタケド。〉

 

思考を具現化してこの空間限定の創造……なのかな?もしくは記憶からの再現かもしれないが……わたしは相変わらずこっちをまっすぐ見ている。

 

(期待が重いなー。もうこれじゃあもうやる以外道は無さそうだし。仕方ないそれじゃ……)

 

溜息を一つだけついて目をつむる。ワタシも今まで見てきた、喰らってきたそして記憶に無数とある知っている限りの神機を想像して形を作ってみる。

 

 

 

ガキン!っと音を立ててワタシの目の前に神機が降ってきた。目を開けた先にはこの時代の極東には本来ならばほぼ無いポール型神機が突き刺さっている。ボルグ・カムランの素材で出来たスピアのエスクワイア、コクーンメイデンの素材で構成されたスナイパーの鉄乙女砲、ヴァジュラの素材で形作られたバックラーの虎甲で構成されて知っている神機より何処か生体っぽい部分が多くみられるワタシの創造した神機が。

 

(これがワタシが使ってた神機……なのかな?見た感じワタシが喰って来た奴等の集大成みたいな感じで何処かシオちゃんや復帰リンドウさんの神機モドキ見たいな感じになったけど……まぁ創造出来ただけありがたいかな?次の問題は今のヒトの姿で何処まで動けるかなんだけど……)

 

神機を手にしてそれを適当に振り回してみる。突き、払い、薙ぎ、振り下ろし、ジャンプして空中でも振り回し、チャージグライド、バックフリップ……等々記憶にあるスピア神機の使い方を思い出しながら一通り試してみる。……ちらりとミニヌエに視線を向けるとミニヌエはそれを何処か楽しそうに眺めている。本当にわたしは遊びたいだけの様だ。

 

(うん、身体は何でか知らないけど動く。まるでずっとこれを使ってかの様に思える位に手に馴染む。本当に想像したから?色々と要因がありそうだけど、とりあえずこれで瞬殺されるとか無様な死に方はしないで済みそうだけど……ワタシもわたしもヒートアップしてやる過ぎない様に気を付けないと。どっちかが欠けでもしたら絶対に良くない事になるかも知れないし。)

 

〈イーイ?わたしハイツデモデキルヨ。〉

 

「……ハァ、いいよ。色々と思う所はあるけど。でもやるからにはワタシはやるだけやるよ。」

 

〈ウン!ヤロウ!〉

 

ミニヌエはボルグ・カムランを風化させながら地面に降り立ち、少しだけサイズを大きくしながらそう言った。言うならばオウガテイル位なり上に向かって吠えた。やっぱりこの空間に居るだけど退屈だったりするのだろうか?

 

なんだか良く分からない事になったが、ワタシとわたしと言う異色の戦いがワタシしか知らない場所で幕を開けた。

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