何とか書けましたので宜しければまた、この作品をお楽しみください。
ヌエが海底へと潜り凡そ、数時間が経った頃。意識下から覚醒、つまりワタシはちゃんとワタシとして覚醒できた。
どうも、ヌエです。本当に色々ありましたが目的を達成して帰ってこれました。あんな事は(わたしとワタシによる喰い合い)もうごめんですが……
さて、潜っていた砂から起きて一応の身体のチェックを大まかに進める。……よし、欠けてる部分も無いし特にこれと言った不調もなさそうだ。
っとなれば、動きにくい海底なんかに居るのは理由もなくなったので地上を目指して浮上する……ていうか、なんでワタシはグボロ・グボロとかに喰われなかったのだろうか?今までの襲撃からしてワタシはあちらから見てまず間違いなく美味しそうに見えてるのだけは確かだ。じゃなかったら、あんなに追われるのがアラガミの日常と言うのならば返り討ちにしてやるだけだ。こっちだって存在が掛かってるんだから抵抗は当然であると思う。
しかし、このまま上陸と同時に奇襲攻撃の可能性だってありえるとなると……やっぱりここは尻尾ちゃんだけ浮上させて確認をするのが良さそうだ。
限界まで伸ばした尻尾ちゃんを海面ギリギリで顔を出させる。……右良し、敵影共に障害確認出来ず。
左良し、敵影共に障害な……いや、ありだ。向こうからビル群の隙間から何かが来る。この形は知っているが……熱量が今までのアラガミとは桁違いな程高いのだ。
シルエットとこの熱量と今の時期を照らし合わせ存在するアラガミから推測すると……ヤツか。ならば狙いはワタシのコアだろうから一旦緊急浮上してまずは同じステージに立たねば。逃げるのも手の内の一つでもあるのだが……せっかくのパッケージアラガミの一体なのだから、一目見ておかないと何処かで後悔しそうだからね。
体内のアラガミ細胞を活性化させて作り出した空気を砲から放ち、飛び込んだ時並みの水飛沫を上げて海から飛び出して着地完了。
丁度ワタシが着地したのと位にヤツもこちらに到着した。正面に見据える位置に佇まうは、ヴァジュラ達の頂点。黒き体躯に暴雷を纏う獣の王。
ディアウス・ピター
そして、改めて逃げないでよかった。ここでこいつを確認出来たのは本当にラッキーだった。だってこいつの姿がリザレクション版の方のだったりしたらワタシは尻尾を巻いて逃げるのは確定だったのだが……こいつはどうやらあの個体とは別のディアウス・ピターの様だ。
詳しく言えば、こいつは天なる父祖っと言った所だろうか?それとも全くの別個体の可能性も考えられなくもないけど……とりあえず、ワタシの尻尾ちゃんの熱源探知で探ってみた結果だが……口内と脇腹部分に二つある筈のアラガミ以外の別の反応が無い時点でこいつは本筋とは関係がないただのアラガミの一体だ。
本筋に関係は無くてもコイツ自体はこの時期までなら非常に強力なアラガミである事に変わりはないので油断なく喰って行かなければならない。それにこいつ以上の雷属性アラガミと言うとなるとどちらも超大型に部類されるあの二神になるので、極東の為にもワタシの為にもこいつには糧になってもらいましょう。
思考を戦闘状態へ移行させていざや、先手と飛び出したがピターがいきなり咆哮を上げて自身に雷を纏った。そして即座にワタシはバックステップでスタート地点に逆戻りしました。いや、いきなり活性化とかズルくない?
ヴァジュラ神族の中で大本であるヴァジュラとその派生でラーヴァナではないプリティヴィ・マータとディアウス・ピターは活性化する事によって自身の細胞同士の結合を桁違いに強化出来る。簡単に言うならば異常に硬くなる、それも部位破壊した部位以外全部が。
(最悪。部位破壊どころかダメージすら与えてないのに開幕から……って、あー!相変わらず問答無用で来るなー!)
内心叫びながらワタシはピターの雷球連弾に対してこちらもあちらで知れた空気連弾で相殺しようとしたが、後半の数発だけ相殺出来ずにワタシに向かって来た。
(パワー不足だった!えぇい!)
サイドステップで残りを回避したが息つく暇も与えんっとばかりにこちらに飛び掛かるピター。ってなるとこれは範囲攻撃の、のしかかり放電。
パイプから空気を放出して今いる位置から後方へ大袈裟に逃げる。だけど、ワタシだってやられっぱなしじゃない。離れる時に尻尾ちゃんと手から吐き出したデッドリーヴェノムのたっぷり残しておいたからね!
ピターの着地と同時にドーム状の雷が生成され爆音が鳴り響く、離れたとしてもピリピリ来る程の圧倒的なエネルギーには参ってしまうがあの多量のヴェノムの踏んだからには多少なり効果はあるはずだ。何とか先手は取れたと思う、ワタシに出来る事を惜しみなくぶつけて行こう。ワタシは腕とパイプにエネルギーを回した。
???side
我は王、王の影 王でありながら王で無き影 影でありながら王でもある影
我はこの世界での王では無き王の影。されど、王でもあった影。それは王の威光から別れたる影であるモノ。
彼の王は自ら、あの地へと向かわれた。幾多の配下を連れてあの向こう側へと向かわれた。
我は残り、己を高める為にここで分け身を喰らい続けた。全ては己らを動かす大いなる意志のままに。何れ来たるその時の為に。悲願の為に……
ある日、こちら側にナニかが来た。たまに向こう側から来るモノは居るので何も変わらないはずだった。だが、それは一方的に喰らい、喰らい……ただ多く喰らった。そして何故かそれは我らとは違う気配を放っていた。外に一度身を投げたと思いきや発する気配がより濃く異様なモノに変わっていった。
アレはいずれ王に牙を向けるモノと考え、我はアレに挑む事を選んだ。そして、相まみえた。
我らと同じようで全く違う異物が多く混ざった様な風貌、我らであって我らで無い気配を発するこれは本当に己と同じモノなのだろうか?
己の本能のままに、身体が叫びアレに襲い掛かる。まずはこれで試しそしてそのままアレを押しつぶす。
何時ものように雷球を生成し複製、そして発射。だがこれは迎撃されそのまま横に避けるアレ、本能のままにアレに飛び掛かり押しつぶそうとするがどうやってか後ろに逃げた。
仕方なくアレが居た場所に落下しそのまま溢れる雷で周囲を焼く。……だが、違和感がある。落下した時に踏んだこれはなんだ?己が蝕まられる様な感覚が広がっていく。
しかし、ソレに意識が向く前にアレから何かが放たれる。避ける暇も無くアレから放たれた何かが被弾する。肉体に数ヶ所刺さっただけで終わったので即座に反撃に入る。
我の肉体が震える、集いし細胞が活性する……そのエネルギーが形になり力となりてアレを撃ち喰らう雷と化しアレの足元に生成されていく。
この技の形成速度は他の我らでは今まで避けられた事もなく、喰らったが最後王に自身を差し出す様に倒れる姿がから使ったからには確実にアレを始末出来たと思った……だが、アレは躱して見せた。それも足元に生成された直後にまた後方へ跳ねて、炸裂範囲外ギリギリへと避けて見せた。
ならばと四肢に力を回し、地を蹴りアレに向けて駆ける。駆ける。駆ける。アレはまた後ろに逃げるのだろう……ならば避けられない速度でアレに喰らい付き噛み砕く。そして、アレは再度後ろに跳ねた。
後、二歩……一歩!口を開きあの頭部を喰らう!最後の踏み込みと共にアレに再び飛び掛かり、これで我が感じたこの不快な感覚からも解放され……る事はなかった。
アレは迫った我を止めたのだ。後一歩、たった一歩先にあるアレを喰えずに居る。進む事は出来ず、されど引く事も出来ない。
我が腕を貫くコレはなんだ?これが我の動きを阻んでいるのか?しかし、押せど引けど状況は変化はなくむしろ我が腕にコレが深く深く食い込んで来る……そう来るのであるなら押しつぶす!
一度、前腕を大きく上げて勢いを付けて叩きつける。コレが更に深く食い込んだが構うのは止めだ。アレを喰う事が我らにとって最良の結果になるっと我はこの選択を突き通す!
叩きつけた衝撃で粉塵が舞う、その瞬間に正面を思い切り噛み砕く今度こそ我の勝利で……突如突風が我の下から現れ我を上へと押し上げた。
上へと放り出され四肢をばたつかせるしか出来る我。無論そんな醜態を晒す我をアレが逃すはずもなく……最初に放たれた何かが我に刺さり、それが爆ぜた。
放たれ続けるソレは我を削り抉っていく。それだけならず我が身を蝕んでいく感覚が強くなっていく……これはアレが放っているモノに含まれるナニかが?
思考する、行動する、しかしその双方どちらも意味が無い。我は今だに地に足が付いておらずあの丸い小型や踊る様に舞う姿をしてない。その機能を持ち合わせていない……
削り喰われる身体、抵抗すら許されず一方的に喰われるだけの我。これでは我が、我が喰われると言うのか?
蝕み続けてきたナニかが等々全身に回ってしまった、そうなったからかアレは発射を止め我の腹部へと飛び掛かり大地へと叩き落された。
動きが鈍くなった身体を無理矢理動かし細胞を活性化させ雷撃を浴びせようとするが、頭部と腹部に深々と槍で貫かれそのまま動くことすら叶わなくなった我を尻目にアレは我の貪りだした。
我が端々からとは言えアレに喰われて我が消えていく……喰い喰われはこの世の定め故に我はそこには何も感じぬが。
アレは何故そこまで彼方まで至ろうと必死なのだろうか?我らは所詮、一へとなる欠片であり王へと至る餌でもある……何を恐れて我を喰らう……貴様は…、一体……
ゴリッ
(ふー……ごちそうさまでした。流石にこの時期ではヤバい分類にされる奴だけあってタフだったなー……あんだけ打ち込んでヴェノムまで喰らってるのにあそこでまだ反撃する余裕があるとか思わないよ。ランスのサブが生成出来るようになってなかったら終わってたのはワタシだったかも知れないな。)
塵と化して風に舞っていく元ディアウス・ピターを見送りながら先程のまでの戦いを振り返る……勝因はヴェノムと取り外しと再生成が可能になったこのランスのお陰と思って。
膂力で負けて押しつぶされそうになった時に、ダメ元でランスをへし折って脱出して粉塵が舞った瞬間に貯蔵しておいた空気をエアボムとしてピターの真下に発生させて上空へと持って行ったのだ。
(パワーもそうだけど生成速度も上がってる気がする。ボルグ・カムランを追加で喰ったからか針飛ばしまで出来る様になってたし、これを破裂させて内部から破壊する攻撃手段も得れた事だし……後は食べたピターが何処までワタシに反映されるかだよねー。はー、先はまだまだ長い。)
一難去って何とやら……ここで喰ったピターはどっかで何処かで復活するだろうからほっといてまた廃墟に戻ってここら辺のアラガミ荒喰いパーティでも始めましょうか。
リンドウさんの敵であるピターを倒した第一部隊はユウを中心にこれからもぐんぐん実力を付けていく……立ち止まるのは緩やかなワタシ自身の終わりへと道。こっちはこれからもコソコソ隠れながら力をつけ続けなければならない。
アラガミは個体としての死はないが存在としての死は、特殊な例であり未来の話になるが鬼神母子を見る限り個体が消えたら意識も消えるのは明白。
ワタシが負けたら今まで見てた通りに塵になって何処かで再生成されて何処かで種して定着するのだろう、だがそれはもう今のワタシでは絶対ない。抗うのだ、何処までも何処までも。
(さーて、ワタシのお気に召すアラガミはここにまだいるかなー?)
黄昏に染まった廃ビル群へと歩み出す、いつまでもここに居るつもりはないが……せめてワタシが満足出来るよなアラガミとかが居る事を願いつつ。聴覚と尻尾ちゃんにワタシは意識を向けた。