アラガミ転生 猿神が征く   作:凍河の氷

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第七話 ワタシにとっての最初の試練

はい!どうもワタシ事コンゴウです!

 

テンションが高い?ハイその通り、ワタシはなんせ絶賛……

 

キシャァ!

 

ドスドスドス!

 

(はい!現在ワタシはボルグ・カムランに襲われています!正直どっかでぶつかると思ってましたけど!遂に来ちゃいましたよ大型アラガミとの戦うこの日が!中型まだだったんだけどな~!因みにこうなるに至った経緯を説明するとコクーンメイデン堕天種を残り一匹で二行目だった時に見つかりました!潜水して奇襲してくるのは流石にズルい!お前、水中も動けたの!全身錆びて、動けなくなってしまえ~!)

 

声には出せたらそれはそれで隙になるので、心の中でボルグ・カムランに対して罵倒の嵐を浴びせるが、絶賛攻撃の嵐に見舞われているワタシにとってはこれくらい許されるだろう。許されろ!

 

(っていうか、キッツイ!尻尾のランスが正確にワタシを殺しに来てるし、近づて攻撃しようにも盾で防いでから尻尾でカウンター。距離を空ければ頭部から飛ばしてる針が思った以上に速い!回り込むと容赦なく尻尾回転攻撃でカバーしてくるし、なんのこの要塞は!)

 

さっきは突進してきて今度も連続突き刺しで面攻撃を続けてくる、前面をカバーされては回り込んでもまた回転攻撃を食らって吹っ飛ばされるのは本当に辛い。えぇ、一回無様に吹っ飛ばされましたよ!背中のパイプが壊れてないのが不幸中の幸いでしたけど!

 

(……って違う!今はこんな罵倒をしてても全く意味がない!考えろワタシ!他のアラガミとは違う点であるワタシの持ってる知識と戦略を使って作るんだ。この戦いに勝つワタシを!相手は本能で動くアラガミだ!知らない動きもあるかも知れないけどワタシの記憶にはこいつの動きは大体は分かる!)

 

バッ! ズドドド!

 

バックステップで距離を取れば頭部から放物線を描いた針がワタシに迫る、サイドステップを駆使しつつして一定の距離を保つが……既に裂傷は無数にあるし、背中はずっとズキズキ痛いし一回ぶっ刺された左腕が悲鳴しか上げていないが一応まだ使える。そしてこっちが与えたダメージは盾を何度かぶん殴ったのと貯めていた空気で放ったエアボムでの脚部へのダメージのみ。つまりダメージレースで既に完敗しているのである。

 

近づきすぎたのか奴はその場で回転してワタシの接近を許さない。劣勢と痛みと押し寄せる空腹感に頭を重くしながらワタシは必死に頭を動かし続ける。

 

(これ以上無駄に戦ってるとこっちが対格差と手数の差で押しつぶされて負ける。危ッ!……リスクももう度外視でこの後の事なんか今は全部捨てないと勝てそうにない。なら、もう割り切って往くしかないよね!ここからがワタシの生存競争だ!ボルグ・カムラン!)

 

グオオオォォ!!

 

自身の細胞を最大限に活性化させて痛みを抑えて全身に力を漲らせて、突撃する。自身を強制的にアラガミの怒り状態にさせたのだ。正直使った事は無かったからどこまで持つか分からないし、終わったら反動とかどうなるかさっぱりだ。だが、もうこれ以外にワタシが切れる手が存在しないのだから致し方ない。

 

ガキィン!

 

こっちの突撃に合わせてボルグ・カムランは両腕の盾を自分の前方に重ね合わせて待機状態になる、向こうはこちらに対して安全牌を切ったのだろう。だが、ワタシにはありがたい!その動きならこのまま突っ込めば……

 

シャッ!

 

(予想……通りぃ!)

 

真正面に突き出された尻尾のランスをワタシは自身の今までで最大に近い反応速度で左に最小限避け、そのまま尻尾を脇挟み。

 

(いただき、まーす!)

 

ガブリ!

 

限界まで口開けて尻尾とランスの接合部分に噛み千切る勢いで牙を立てる。言うならば戦闘中ディナータイムだ!ついでに追い打ちでヴェノムも牙に込めて更に尻尾に牙を食い込ませていく。

 

ギシャァアアア!!

 

ボルグ・カムランもメインウェポンを失うのを嫌がり尻尾をよく見る定位置に戻しながらブルンブルンと左右に振りましてワタシを振り払い続ける。だが、そうはさせまいとワタシは更に尻尾の細胞を噛み千切っていく。

 

(絶対離してやるものか!これが失敗したらもう打つ手がワタシには思いつかない……このまま噛み切ってワタシの細胞にしてくれる!ちーぎーれーろー!)

 

ブチブチブチ……ブチィ!

 

ギシャァアアアア!!!

 

(噛み切ってやった!いや、喜ぶのはこいつのコアを食べた後!このまま一気に持っていく、これでもし逃げられたらワタシの大失態で大損失で終わる。勝ち逃げなんて絶対にさせるものかー!)

 

空中で両手を合わせてワタシと千切れた尻尾は重力に従ってボルグ・カムランへと落ちていく……そしてそのままダブルスレッジハンマーからワタシの反撃を始まった。

 

(この!この!このこのこの!ワタシも痛いけど今は全部気にしない!このまま!息の根を!!止める!!!)

 

ボルグ・カムランは背中がコンゴウは両腕に双方結合崩壊しているかの様にひび割れや破損が目立つようになる。またコンゴウがボルグ・カムランの背中に拳を重ねた両手を背中に落とす。とどちらの細胞か分からないが細胞片が飛び散り続ける。

 

ボルグ・カムランも先端を失った尻尾や手の盾でコンゴウを追い払おうとするが、尻尾は決定打がなくなり盾も本来の蠍なら持っている筈の鋏が無い為、どちらもコンゴウを小突く事しか出来ずにいた。つまり、コンゴウはとうとう戦いの主導権を握ったのだ。

 

ドゴンドゴンと鈍い音がこの峡谷に鳴り響く、それは時間で見ればほんの僅かな時間でしかないが当事者達には終わりが何時までも見えない永遠に感じた事だろう。

 

 

 

何時しか攻撃は手刀へ変わり右腕がそのまま背中への突き刺さる。限界を迎ていたのかコンゴウの左腕は肘部分からボロボロと霧散していく……が、その下でボルグ・カムランの方はコアを抜かれてその場にうつ伏せで活動を停止していた。

 

この人類は誰も知らない小さな戦いは、中型種であるコンゴウが大型種相手に勝利する形で幕を閉じた。

 

死骸を見つめ下ろしながらコンゴウは右手で握っていたボルグ・カムランのコアに飲み込んだ。一息吐いた後はボルグ・カムランだったモノが霧散するまでコンゴウは、主に盾と尻尾のランス部分を重点的に口に詰め込んでいった。

 

結合出来なくなったアラガミ細胞は霧散し、ボルグ・カムランだったモノは風に乗って遠い何処かへと飛んで行く……それを見えなくなるまで見つめ続けたコンゴウは突如大の字で後ろへと倒れた。

 

(…………勝っっっっっったーーーー!本当にギリギリだったけどワタシはまだここに居る!あー、身体の力が抜けていくー。全身痛いー。左腕無くなっちゃったよー……だけどおめでとう、ワタシ。この勝利はこれからの事を考えると小さな勝利かも知れないけど今のワタシにとっては記念すべき大きな一歩の日だよー。)

 

緊張の糸が完全に切れたワタシはこの戦果に己を褒めちぎる、正直あの時尻尾に噛み付かなかったら先程霧散していたのはワタシの方だったはずだ。まだヴェノムが使えるだけのコンゴウが大型アラガミであるボルグ・カムランに勝てたのは奇跡の筈だ。だが、ワタシは生きている……ちょっとでも諦めていたらと思うとゾッとして、改めてあの言葉の重みを実感した。

 

(生きる事から逃げるな……いや本当に逃げないのは辛いなぁ。でもでも、だからワタシは生きてるんだ……あ、不味い今まで寝た事は無かったんだけど急に眠気が。……うー、でもこんな所で寝たらナニかに喰われちゃう。)

 

フラフラと何とか起き上がり今いるのはポイントDの広間……ポイントDの奥にある獣道が視界に入ったので飛びそうな意識ではあるが聴覚で可能な限りの索敵をし、ワタシはドサリと段差にもたれ掛かった。

 

(なんでだろう、いっぱ、い細胞失ったから?……ダメだ、もう意識が保て…s………な…………)

 

そして、隻腕になったコンゴウは泥の様に眠りについた。幸いな事か付近にアラガミの気配もゴッドイーターが来る気配もない。失った何かを取り戻すかのようにコンゴウは眠る。ただ、眠る。

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