アラガミ転生 猿神が征く   作:凍河の氷

8 / 29
第八話 これからの事を改めて考えてみる

かの小さな激闘から一夜明けて、太陽がこのダムに日の光を差す頃。洞窟と化した獣道にもたれ掛かって眠るコンゴウに風が吹きかかる。そしてそれが切っ掛けなのかコンゴウにビクン一揺れして、瞼が勢い良く開いた。 

 

(……ハッ!寝て、た。今何時!ワタシは……コンゴウ?……はい、コンゴウです。完全に寝てましたね。この身体になって初めてでしたがよく寝ました。……なんで無事だったんだろうか。) 

 

もたれ掛かっていた段差からずり落ちていたのか地面から起き上がり、大きく欠伸をしながらワタシは伸びをした、そして身体を解してる時になってようやく気が付いた。

 

(……左腕がある。感覚もちゃんとあるしこれ、もしかして寝てる間に生えてきた?しかもよく見ると復活してる左腕だけじゃなくて右腕も大きくなってる様な?大型のコアって肉体の拡大作用でもあるの?)

 

左手を何度も握りなおしたり軽くジャブを行ったり片腕で逆立ちしてみたりしたが、左腕だけじゃなく右腕もボルグ・カムランとの戦闘前以上の動きが出来る事に不安と疑問が生まれた。

 

(どれくらい寝てたかはこの際気にしない方向で行くとしても、なんか見た目通りパワーも増してるし色合いもハガンコンゴウみたいな金属質になってる様な?原因としてはボルグ・カムランを食べた事なんだろうけど……幾らアラガミ細胞と言ってもこの変化は流石におかしい。進化のスピードが速すぎる。)

 

そう、もしこれがデフォルトなのだとしたらこの世界はもうとっくにアラガミ細胞の勝利で終わって終末捕食が起こっていてもおかしくはない。だが、知っている情報と状況を纏めてもそうだったらゴッドイーターは人類はもっと悲惨な状況になっていることだろう。例えるならGE3の時代の様な更に荒廃が進んでいると考えられるのだが。

 

(仮説が違ってるのだとしたら、それ以外の異常進化の可能性で考えられるのは……)

 

頭に浮かべるはあらゆるモノを貪る王とも言える存在。喰う度に性質を変化させて奇策を弄すしか手が無くなり。神機すら通用しなくなる化け物となり、あの第一部隊の面々ですら総がかりでようやく打倒できた相手の大本。

 

 

『ワタシが特異点』と言う可能性。

 

 

ありえたくない、ワタシが特異点だなんてあってたまるものかと頭を振るって考えを振り払おうとする、が現在の状態と状況と記憶がそうではないかとワタシを蝕む。

 

アラガミを喰らうアラガミ。記憶の中にある情報にもこの条件が一つのキーだとあの榊博士が理論上だが実証していた。それこそワタシ自身が終末捕食のキーになるには十分すぎる。

 

(もし、もしもワタシが本当に特異点なのだとしたら……死ねない理由がまた出来てしまった。しかも今度はワタシだけの問題じゃないこの世界の存続に関わる大問題だ。)

 

このGODEATERの世界は各ナンバリングでのプレイヤーキャラ、主人公補正のおかげで助かってるが。実際になると薄氷の上の氷像の如く危うい状態で成り立ってる。どれもこれも本当に一手違っていたらそのまま世界の全ては一つとなり、この星は初期化される。大いなる意志によって……

 

(部外者であるならそれはそれでだと何処かで思ってたけど……だけど、ワタシの最初の想いは変わらない!ワタシはワタシを探すんだ。何処にあるかも分からない事だけど、何も分からないままなんて嫌。そうだ例えワタシがどんな存在であれ生きるんだ!この世界で……生きる事から逃げるな。これもきっとこの残酷で過酷でそれでも抗えるモノ達の真理の一つなんだろうな。)

 

心は決まった、これからもワタシはアラガミを喰らう。無論、特異点としてではなく一つの命として他の命を喰らうのだ。そして、冷静になってみるとアラガミを喰らうアラガミなんて幾らでもいる。ワタシとて所詮はその一端なのかも知れないと思うことにした。

 

そうしないとワタシが壊れそうだからね!精神の安定は大事!

 

パン!

 

(よっし!そうと決まればそろそろ物語の状況も気になるし、極東付近に戻る事とワタシの今使える能力の事も考えないとね!まずは……この腕にワタシの欲しい能力があるかどうかなんだけど。なんだろう、この手の平の真ん中にある穴?)

 

顔を叩いて心機一転、これからの事を考えながらワタシは手の平の穴を見る。大きさ的には大体30cm程だ。もしワタシが欲しいと思ってるモノがここに再現されてるのだとしたら……ワタシは手の穴に背中のパイプに空気を送り込む要領でこの穴に空気をアラガミ細胞から摘出したエネルギーを収束させると、その穴から何処かで見た様な砲塔が飛び出した。

 

(発射!)

 

バス!

 

穴から出てきた砲塔からエネルギー弾が発射されて壁に激突。ちょっとした窪みが出来た。

 

うむ、ワタシの思い描いた通りの結果だ。そうこれが欲しかったのだコクーンメイデンの持ってる頭部砲台が!それもワタシの思った通りに手の位置に。これでワタシはパイプからの空気攻撃以外の遠距離攻撃の手段を得た。

 

(おぉ、思った以上に良く出来てる。発射は出来たから後はこれの応用で……)

 

キィィィ……バシュン!

 

ババババババ!

 

まずは威力と速度を重視したパワー型、そして面制圧&デバフ用の連射型、そして最初のその中間に当たるバランス型の三種。そして今度は反対の腕で同じように試す。

 

無論、全てヴェノムを込める事に成功したので多分会得しているであろうリーク能力もこれと同じく込める事が出来るとワタシは踏んでいるが……妙な違和感が残っている。

 

(変だな?砲塔以外にも何か出せそうな気がする……ワタシの感覚で腕の奥に何かあるっぽいな?こう言う時は己の感覚を信じるんだっけ?ならば……おりゃー!)

 

ジャキン!

 

ワタシの目が点になった、なんせ今のワタシの左手の平から出たのは自身の腕の全長程の長さで幅は25cm程だろうか?つまりこの穴から出るにはピッタリなサイズの……ボルグ・カムラン最大の武器である尻尾先端に付いたランスが飛び出たのだ。

 

ジャキン!

 

もしやと思い右腕も突き出す。今度は先程出した時の感覚を意識すると……同じ形状のランスが同じように飛び出した。因みに何度も出し入れしたが特に問題もなく痛みもない。

 

(これはラッキーって事なのかな?あの戦いの結果がこんな結果で返ってくるなんて。ならこの大きくなった両腕はこの二つの機能を収める為にって事でいいのかな?でも、これでワタシの思い描いてたあのアラガミにかなり近づけた。)

 

ワタシが思い描いたアラガミ、それはGE2RBの看板アラガミであるクロムガウェイン……の変異種であるオロチなのだ。

 

口の様な形状の副腕から放たれる火球状のエネルギー弾に多くのGEを切り伏せてきた隠しブレード、ワタシが見た記憶の中でこれはいいと思ったアラガミの一体だったので遠慮なく模範させて貰った。因みに他にはGE3のバルバルスも良いと思っていました。

 

(正直、この隠し近接武器はもっと後になると思ってたのに……手に入ったからいいけど。後はこれを試しつつそろそろこの地から一回離れよう。主人公達の動向も気になるし、それにこのリーク能力も試し打ちしないと。アラガミで試せたら良かったんだけどなー。)

 

ワタシは振り返らずに放水口の方面から蒼氷の峡谷から脱出した。

 

この先本当に様々な陰謀や試練がワタシに襲い掛かるだろう。だがワタシは心と己に決めたのだ。

 

めげない。しょげない。挫けない。そして生きる事から逃げない。これを胸に秘めてワタシはたった一人……いや一神でゴッドイーター達とはまた違う戦いに赴くのだ。

 

さぁ、行こう。この残酷でくそったれな世界へ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。