アラガミ転生 猿神が征く   作:凍河の氷

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第九話 そして、運命は動き出す

今日も初めて感じた時と変わらずに、舞い上がる砂埃と朽ちていくだけの食べ残されたビル群に陥没した大地……この地に中心にある教会から離れてはいるが、位置的には大体同じであるで問題ないだろう。

 

 

贖罪の街に帰ってこれました。どうもワタシ事、コンゴウです。

 

(行きが丸三日で帰りが大体五日掛かっちゃった。主に拾い食いが原因なんですけどね……ただその寄り道は確かに意味があった。ワタシもここで目覚めた時と比べれば確かに強くなったのだ。)

 

寄り道と言ってはいるが、実際は挑まれたので喰ってやっただけなのだが。主にオウガテイル21体とザイゴート13体にコクーンメイデンは3体程と言ったちょっとした小型の群だったのだが。多分極東辺りはこの群を知っている可能性はありえそうなのだが仕方がなかったのだ。

 

(全部食べてたらどうしても時間が掛かってしまった……けど放置はちょっと嫌だったのです。食べ残しは精神的に。さーて、振り返りはお終いにして今は何が起きてるかを探さないとね。)

 

意識をいつもの聴覚に集中させてこの街を探知する。主に戦闘となるマップが頭の中にあるのは便利だ。恐らくゴッドイーター達もこんな感じでレーダーを見ているのではないかと?ワタシは思考するがすぐに破棄してマッピングを続ける。

 

(ワタシの手前前方……マップで言うならばCDLMNまで砂埃が舞う音だけか……と言うか今の時期は大体主人公達は何をしてるんだろうか?一週間以上離れてたのは結構響きそうだなー……お、教会奥の方で何か音がする?なんだろこの音?)

 

四足歩行だけど最初が大きくて次が小さくなる足音が複数、地面が固い何かで削れる音に何かにぶつかった音、ドシン!っと何かが倒れこむ様な音、ワタシには聞きなれてる空気を取り込み放出するような音……これらの音が発する物体を記憶から検索するがこれは。

 

(コンゴウ……かな?音からして多分二体で固まってる。四体はないよね?四体とコンゴウって言葉が並ぶと妙に寒気がする……雪景色、寺院、通路の様な細い全体マップ、わちゃわちゃコンゴウ軍団……ウッ!頭が。)

 

何故か画面狭しとコンゴウ四体と戯れる、と言うより蹂躙される場面が脳裏に走るが……忘れよう。忘れて今のワタシの状況とこれからの方針を確認しよう。

 

(……同型種との対戦をするかゴッドイーターを待ってその戦闘を観察するかのどっちか。あいつらはどうあっても霧散するのは決定だけど。ワタシはどうしたいかな?己の力を試す為に戦う?それとも今後の事を考えて、ゴッドイーター達の生の動きを観察するか……)

 

まずはメリットとデメリットを並べてみよう。前者は初の小型以上で複数との戦闘、正直まだボルグ・カムランとしか中型以上は戦った事がないのでこの機会に戦って経験を積みたい……が後々ゴッドイーターとの戦闘に巻き込まれる可能性がある。コンゴウ二体ならば主人公達との遭遇もありえなくはない。

 

後者は、まだ見ていないこの世界でのゴッドイーターとアラガミの戦闘がどのように行われるかと言うのを見てみたいからだ。ムービー版だったらもはや地獄だ。近接神機では一発で複数でもバッサリぶった切ってたし、遠距離でも風穴だらけか吹っ飛ばされそうになりそうな感じはする。こちらは来るのが何時になるか分からないっと言うのも問題だ。最悪コンゴウ達がどっかに移動するのも十分考えられる。

 

(リスクは絶対に避けらない、安全だと思ってもワタシと言うイレギュラーがどれくらいこの世界に影響を与えるか分かるのなんて、それこそ神様位なもの。ってアラガミのワタシが神様って言うのは皮肉になりそう。)

 

乾いた笑みを浮かべながら、ワタシは廃ビルの中層からポイントMとNを繋ぐ通路に降り立った。決めたは前者であるコンゴウ達相手に挑みに行く事にしたのだ。

 

(何処かでぶつかるなら早い方がいい。余程の事がなければ腕前もまだ低い、っと思いたい。それにここからはワタシ自身も複数戦が当たり前になるはず。ここは覚悟を決める時!)

 

少々大きくなった両腕で大地を蹴り、ワタシは教会へと足を進める。まだヘリコプターの爆音は聞こえてこないのだ流石にゴッドイーターと言えどこんな場所で日を跨ぐ危険を冒すとも思えない。ワタシはワタシの考えに賭けるのだ。

 

 

(やぁ、同種よ!ワタシの血と肉となれー!)

 

ポイントFとKの間にある採取ポイントで二匹仲良くポリポリと何かを摘まんでいたので先手必勝、手の平キャノンでまずは一発ずつお見舞いしてやった。

 

同種だったからか、こちらに振り向きはしたのだが完全に無防備だったその顔面に見事にヒット。二匹纏めて顔面が片目部分が潰れて傷跡の様に割れた。

 

グオオオォォ!!!

 

流石に不意打ちかつそこそこのダメージだったのか一発で活性化状態になった二匹はワタシを挟む様に展開して右ののコンゴウAからはフックパンチ、左側のコンゴウBからは空気弾攻撃とかなり面倒な事をしてきたが。

 

キィィィバシュン! ガシィ!

 

左側にはチャージキャノンで相殺させて、右のフックは普通に受け止められた。どちらも面を喰らったかの様に一瞬怯んだ。受け止められたのはワタシもビックリだけど……それじゃ。

 

ドシュ! ブチュ

 

右手からランスを突き出してコンゴウAの左腕を内側から潰して、怯んだその隙に左手で顔面を鷲掴みにしてこっちもランスで顔面を串刺しに。先端に何かが当たった気がする恐らくコアだろうか?せっかくなので抜き取ってワタシの糧にする。

 

崩れる様に倒れるコンゴウAからコンゴウBに視線を移動させ、右手に持っているコアを口に放り込んで噛み砕く。既にBは上体を上げて空気を集め続けている様だ。これは知らない、ワタシがやっている以上に集めてるようだ……また一つ勉強になった。

 

勢い良く、放たれた大型の空気弾。サイズはちょっと視認しずらいが大体コンゴウ一匹分位の大きさ、そんなBだが発射後の衝撃で後ろに倒れた様なのでこれで決めに行く。聞き逃したかった音を拾ってしまった。

 

まずは空気弾を右に大きく飛びのけ回避、空気弾がワタシの居た位置に着弾と同時にBへと飛び掛かるが相手も体制を立て直してこちらの両手をがっちりと掴んでくる。

 

(力比べ?いいよ!思いっきり行ってみよーう!)

 

答える様に敢えてランスは使わずにワタシは力の限り握りしめ、Bも握り返してくる……ギリギリときしむ音が響いたが拮抗はほんの数瞬だけ。ワタシの握力に耐え切れなかったBの両手はバキバキと音を立てて砕けていった。

 

(ごちそう様でした。)

 

崩れる様に倒れかけたBの顔面を鷲掴みし、Aと同じくランスをコアまで届かせて抜き取り、再び口に放り込むが今度は味わってみる。

 

(ん~、小型とかと食べ比べるとより濃くなった感じかな?……ボルグ・カムランのコアももうちょっと味わっておけばよかったかな?さて、コアだけじゃ物足りない。その残った身体も頂くことにしましょう。)

 

コアの味については何とも言えぬがとにかく密度が濃いとしか言いようが無いのだ。噛み砕くと口の中に広がる感覚は実にたまらない。そんなコアもだが身体も方も中々パイプは噛み応えが良くさっぱりとしている、両腕の部分は食べてきた中では固い部類だが噛めば噛む程味が深まると言うのだろうか飽きない味だった。

 

(……あっさりと終わっちゃったけど終わり良ければ総て良し、この押さえつけてランスで貫通は雑に強い。後は本当にこの手の平キャノンのヴェノムとリークがどこまで有効かを確かめるには……あぁ、こっちに来ちゃったか。)

 

思考の海に溺れていたかったが、ワタシの聴覚はそれを許さない。ここはポイントFで廃屋の陰で向こうからは見えないだろうがワタシにはさっきから聞こえていたのだ足音や神機の駆動音に会話なども……人類がゴッドイーター達が来てしまった。

 

「あら、こっちに居たのね。」

 

「一匹だけ?なら、早い所片づけてないと!合流されちまう。」

 

「よし、やろう!」

 

(こいつ、本当にただのコンゴウか?)

 

ワタシから見て、手慣れた動きで銃身をこちらに向けるスナイパー型のステラスフォーム持ちの服装が凄い女性が右後方、ややたどたどしく構えるアサルト型のモスティブロウ持ちのファッションが派手目は少年が左後方、肩に担いだままこちらを睨んでくるバスターブレード型の黒いイーブルワンを持った紺色のフードの男が二人の遠距離型の壁になる様に中間に。

 

そして先頭に立っているロング、アサルト、バックラー、っと手堅い組み合わせをした新型神機を携えた主人公が後ろの三人に一言掛けてこちらに突っ込んでくる。

 

 

 

これが、これから非常に長い付き合いになる。ワタシと第一部隊の面々と初遭遇の記憶である。

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