旅館の若き女将と小説書き   作:抹茶のぷりん

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最近ゆるキャン1〜9巻を書いました。
感想
・しまりん可愛い!
・キャンプ知識がすごい増える
・しまりん可愛い!
・基本自然の中なので心が安らぐ
・料理作りたくなりましたとも
・純粋にキャンプしたい(ぼっちなのでソロキャン)
・しまりん可愛い!
・しまりん可愛い!
・ちくわぁぁぁぁぁぁ!

以上です。

それと今回は前よりまた長くなっているのでまた誤字ががが…


第4話 フライパンで人を殴ってはいけません

「いやいや、なんで俺が…」

厨房の前で五月雨、つーちゃんは俺を無理矢理厨房に押し込もうとする。

「はぁ…君ならね…はぁ…あれも動いてくれると思うのだよ…あ…体力切れた。」

つーちゃんはその場にぶっ倒れる。

体力が無いのは本当だったのか…それにしても早すぎない?

「ど貧乳先輩。仕方なく付き合ってあげてるのにそれは酷すぎじゃないすか?」

俺を押し込みながらまだ余裕そうな表情の五月雨。

「先輩は余計…あ、間違えた。ど貧乳は余計なのだよ五月雨君。」

うつ伏せのままお団子髪をゆらゆら揺らしながらつーちゃんは返事をする。

つーちゃんや。もう貧乳受け入れてない?

俺は悪くないと思います。

「先輩やっぱ貧乳自覚してんすか……よし、お前はいい加減入れ。」

五月雨は今までで一番の力を出し俺を厨房のドアへ押し付ける。

鍵がかかってないためそのまま俺は厨房へと押し込まれた。

俺が入ったのを確認した五月雨は厨房のドアの鍵を閉める。

どうやら内側の鍵は壊れているようだ。

はい?

そしてドアの小窓から五月雨は俺を見る。

「解決するまでは出られないようにしたから。お前にはこのくらいがいいだろ?」

「よくねえよ!」

俺の渾身のツッコミは五月雨には届かず、五月雨はそのままどこかへ行ってしまった。

どうしたものか。厨房の問題というのもまだ分からないのに短時間で解決できるものだろうか。

とりあえず俺は真っ暗な厨房を捜索してみることにした。

その前に電気だな…

「せめて懐中電灯でもあればいいんだけど。」

小窓のお陰でその近辺は少し明るいが他のところは何も見えないほど暗かった。

近くの棚の戸を開けてみると懐中電灯が見つかった。

これは運がいい。

が、その時辺り全体が真っ暗になった。

小窓が閉められたのだろうか?でも外には小窓を閉める扉はなかったはずだ。

ってことはここに何かいるのか?

俺は懐中電灯をつけようとしたが電池が入っていないのか、いくらスイッチをonにしてもつく気配がなかった。

俺はその瞬間に後ろに何かの気配を感じた。

「ぶべらっ⁉︎」

後ろを向いたその時には遅かった。俺は何かで頭を殴られ意識を失ってしまった。

 

俺が次に目覚めたのは薄暗い部屋の中だった。

すぐに目に入ったのはそこそこ大きいパソコンのモニター。薄暗さの正体はこれか。

幸いと言えるのかは分からないが殴られた頭は無事のようだ。

どのくらいの時間が経ったのかを腕時計で確認するために手を動かそうとするがそこで異変に気付く。

俺は縄で縛られていたのだ。

「い、今は16時40分です。ごめんなさい…男の人は力が強いから縛るしか私には考えられませんでした…」

俺が声をした方向を振り向くと、そこにはフライパンを持って立っていて怯えた目をしている女の子がいた。

髪は長くボサボサで随分と長い間手入れをされていないように見えた。

「君が俺を殴ったってことで間違いはないのかな?」

俺の言葉に女の子はフライパンを構える。

「はい…で、でも手加減はしたつもりです…」

手加減云々の話ではないんだけど。まあ事実怪我もしていないみたいではあるけども。

「ど、どうしてここに入ってきたんですか?」

俺も色々聞きたいことはあるがこの子の質問に答える方が早いと思った。

「俺は厨房を使えるようにしてほしいってつーちゃん…栗花落さんに頼まれたんだよ。」

すると女の子はフライパンを机に置き俺の近くへ来た。

そして俺を縛っていた縄を解き、頭を下げた。

「ご、ごめんなさい!栗花落先輩に言われてきたんですね…てっきり私を追い出しに来たものだと…」

追い出しに来たというのはある意味正解かもしれない。

やっぱりこの子も冬月旅館の従業員ってことか。

厨房に居候している一般人説は消えた。

「じゃあ君が料理長ってことでいいのかな?」

幸ちゃんによると冬月旅館に残っているのは幸ちゃんと五月雨、経理のつーちゃん、そして料理長だと聞いていた。つまりこの子がその料理長だということだ。

「そ、そうです。えっと…料理長の八重樫白穂です…料理長と言っても私1人ですが…」

女の子…もとい白穂ちゃんは下を向いたまま自己紹介をする。

「俺は神子戸湊。冬月旅館で働くことになったからよろしくな。一応前までは白穂ちゃん以外も料理人はいたんだよね?」

正直白穂ちゃんは幸ちゃんより1〜2歳年上なだけに見える。

この旅館全ての料理をそんな女の子1人で賄えるとは思えない。

いざ営業再開するとなればその人達の手も必要になるだろう。

「いえ…私1人です…最初から…」

冬月旅館は2年前に営業再開した、そういう意味で言うと新しい旅館だ。

昔は幸ちゃんのおばあちゃんとおじいちゃんが旅館を経営していたが、その2人が亡くなってからは幸ちゃんのお母さんは幸ちゃんを育てるために休業していたらしい。

その2年前からずっと1人でやってきたというのか。

「あの…私の料理…食べてみますか?」

本当に今まで1人でやってきたとしたらとてつもなく早く作ることができ、美味い料理だと言うことだ。

白穂ちゃんを疑うわけではないがその料理を食べてみたくなった。

いや、前に泊まった時食べているのだが。

「じゃあお願いしていい?」

俺の言葉を聞き白穂ちゃんは部屋から出ていった。

俺もその後ろからついていく。

俺の縛られていた部屋と厨房は繋がっていたみたいだ。考えれば当然なのだけども。

白穂ちゃんは厨房の明かりをつけ、調理を始める。

………いや、ちょっと待って。

俺は自炊はするから全く料理ができないわけではない。

だからこそ分かるのかもしれないが白穂ちゃんの手際が良すぎる。

とてつもなく早いだけでなく、工程での無駄がない。

料理をしながらも皿洗いや片付けを丁寧に行う。

これを年中やっていたのか…

とてもじゃないけど普通の人にはできないだろう。

白穂ちゃんはさっきまでとは違い真剣な目で調理を続ける。

これが俗に言う料理人の目というやつだろうか。

「ふぅ…できました!神子戸さん、食べてみてください。」

出来上がったのはオムライス。

ふわふわの卵は中のご飯を包み隠す。

その卵の更に上にはデミグラスソースが乗っている。

「いただきます。…………………美味い。」

卵とデミグラスソースの絶妙なマッチ。

デミグラスソースはただのソースとは違うようだ。何が入っているのかは分からないが。

中のチキンライスは卵の味を消さない程よい味だが、味が薄い訳ではなくきちんと味がついている。

白穂ちゃんは満足そうな笑顔を見せる。

「お口に合ったようで何よりです。」

俺はオムライスをあっという間に完食する。

「ごちそうさま。料理は美味しかったよ。だけど、白穂ちゃんどうしてここに引きこもったのかな?…言いたくなかったら言わなくてもいいから。」

つーちゃんに頼まれたのは厨房の解放。

そのためには白穂ちゃんが引きこもった原因を解決しないといけない。

だが、無理矢理解決するのは白穂ちゃんの負担になるだろう。

白穂ちゃんは顔を曇らせる。

やはり聞いてはいけない系の話だったのだろうか。

しかし白穂ちゃんは俺の方を向く。

「神子戸さんには迷惑をかけましたから…それに私は多分誰かに聞いて欲しいのだと思います。だから、私の話を長いですが聞いてくれませんか?」

「もちろん。ゆっくりでもいいからね。」

俺の言葉に白穂ちゃんは安心した顔をする。

「ありがとうございます。………私の料理は母の遺産なんです。」

白穂ちゃんはゆっくりと、だがハッキリと話し始めた。

 

私のお母さんは料理人だった。お父さんは私の小さい頃にお母さんと離婚したのでお母さんは1人で私を育ててきた。

「お母さん!今日の夜ご飯は私も手伝うね。」

私はお母さんの料理が大好きだった。特にお母さんの作る唐揚げは絶品だ。

その日は私の10歳の誕生日でお母さんは私の大好きな料理をたくさん作ってくれた。

「ありがとう白穂。白穂が手伝ってくれるならお母さんいつもより頑張っちゃう。」

お母さんは手際良く料理を進め、私もそれに倣って料理を作っていく。

私はお母さんを尊敬していて私も将来はお母さんのような料理人になりたいと思っていた。

だから、お母さんが料理をするところをいつも見ていた。時にはお母さんに教えてもらいながら実践もしていた。

そんなこんなで出来上がった料理を私は並べていく。

私の大好きな料理ばっかりだ。

「よし。いただきます!」

私は手を合わせてから料理を口に運び頬に頬張る。

お母さんはそんな私の様子を見ているが料理を口に運ぼうとしない。

「お母さん?食べないの?」

「ああ、うん。お母さんも食べようかな。いただきます。」

お母さんは箸を持ち料理を口に運ぶもその手はいつもに比べると遅い。

そんなお母さんを疑問に思いつつも当時の私は気にせず食べ進めた。

「ごちそうさまでした!」

私は食器をシンクへ運び、皿洗いを始める。

「白穂。ちょっといい?」

夜ご飯を食べ終えても座ったまま動かなかったお母さんは私の名前を呼ぶ。

「?お母さんどうしたの?」

私は再びテーブルの椅子に座る。

「あのね。白穂。落ち着いて聞いてほしいんだけど……もうすぐお母さん死んじゃうの。」

「えっ?」

突然のお母さんの言葉に私の頭はその言葉を理解することを拒んだ。

お母さんの突然の告白から1ヶ月後、お母さんは癌で死んでしまった。

お母さんの告白から猶予があったとは言え私はお母さんの死を受け入れられなかった。

「もしかして初音さんの娘さんですか?」

お葬式が終わった後部屋の隅の方で体操座りをしていた私に声をかけて来た女性がいた。

初音というのは私のお母さんの名前だ。

私は涙を拭い、その女性の顔を見る。

隣は私より少し年下に見える女の子を連れていた。

「そうですけど…どなたですか?」

女性はにっこりと微笑む。

「私は冬月旅館で女将をやってる者です。と言っても今は休業中なんだけどね。初音さん…お母さんとは高校生の時に同級生で卒業してからも親しくさせていただきました。」

冬月旅館……お母さんから何度か聞いたことがある気がする。

確か最近流行りのなんとかという温泉地にあるとか。

お母さんはたまにその旅館へ行って料理を教えたりしているらしい。

「えっと……私に何か用事でしょうか?」

私は正直誰とも話したくなかった。気を遣って話しかけてくれたのだろうけど今はそっとしておいてほしかった。

「名前は白穂ちゃんだったよね。もしよければなんだけど私の旅館に来ない?聞いた話だと親戚の家に行くことになってると思うんだけど…」

私はお母さんと過ごした家に住みたかったけれども、流石に小学生1人では住めないためおじいちゃんの家に行くことになった。

おばあちゃんはまだしもおじいちゃんは酒癖が悪く、おばあちゃんやお母さんに暴力を振るったりしていたらしい。

そのせいからかお母さんは私が産まれてから1、2回しか家を訪れていない。

私はそんなおじいちゃんと仲良くできるのか心配だった。

そんな中女将さんのこの提案は私にとってプラスになるものだと思った。

「少しだけ考えさせてください…」

だけれども私はそんなことを考える余裕はなくその提案を保留にした。

それから3日ほど経って私は学校に復帰した。

最初は元気のなくなった私に声をかけてくれたクラスメイトも私が何も答えずにいるとだんだんと話しかけてこなくなった。

仲の良かった友達とも一緒に帰ることはなくなった。

お母さんのために何ができるか。

そう考えた時、私は自分の夢を思い出した。

お母さんのような料理人になりたい。

私はその日から料理の研究に没頭した。

学校のない日は朝から晩まで研究をした。

授業中や休み時間も料理ノート作成に励んだ。

お陰でお母さんが死んで3ヶ月後にはかなり上達してきた。

でも、そのせいでクラスからは浮いてしまうようになった。

学年が変わりクラス替えがあったのも原因かもしれないが、1番は私が毎日料理の研究をしていることにある。

周りからは私の陰口がたくさん聞こえてくる。

言われるだけなら大丈夫。

お母さんの教えてくれた技術を磨くこと。それがお母さんへの恩返しになると信じていた。

だから他人の目なんて気にしなかった。

だけど、それは起きてしまった。

私がいつもの通り学校帰りに近所の図書館に料理本を借りに行こうとした時、クラスのリーダー的な存在の男子とその取り巻きの男女数名が私を裏路地へ連れ込んだ。

「なんだぁ?このノート」

私が胸に抱いていた料理ノートをリーダー的な存在の男子が取り上げる。

「か、返して…!」

私は必死に取り返そうとするも取り巻きに取り押さえられる。

「りょうりのーとぉ?なんだこれ。」

その男子はそう言いながらノートを破っていく。

「や、やめて!」

私はなんとか抜け出してノートを取り返そうとするも相手は男子。

グーで殴られ返り討ちに遭う。

「キメェんだよ。教室でいつも何か書いてんのが。」

ノートだったものを私の髪に叩きつけ、男子とその取り巻きは下品に笑いながら帰っていった。

私の努力の結晶がバラバラになってしまった。地面散らばる紙片に涙が溢れる。

これによって私は学校に全く行かなくなり、部屋からもほとんど出なくなった。

そんなある日、私は机の奥に入れてあった1枚の小さな紙を見つけた。

それはお葬式の日に冬月旅館の女将さんから貰った電話番号などが書いてある紙だった。

こんなところからは逃げたい。そんな気持ちが私は強かったのかもしれない。

私はすぐに電話をかけ、女将さんへと会いに行った。

冬月旅館へ着いて女将さんに私は第一声でこう言った。

「私を厨房に1人で住まわせてください。」

 

「前女将さんはそんな私の無茶振りにも快く応えてくれてこの場所を用意してくれました。そして、私はその時から今まで厨房で旅館のご飯を作りながら料理の研究を続けました。いじめにあってからも夢は諦めきれませんでしたから。…………………すみません。涙が…」

俺はハンカチを取り出し白穂ちゃんの目から流れる涙を拭う。

「色々辛いこと重なってここに閉じこもったんだね。だったら俺は諦めるから。」

俺は白穂ちゃんの頭を撫でる。

「ありがとうございます。だけど、私も幸ちゃん達と協力しないと…だから、私頑張りたいです。」

白穂ちゃんは俺の顔を真剣な眼差しで見上げる。

「無理はしなくていいからね。俺も出来る限り手伝うから。」

白穂ちゃんは笑顔を見せる。

「神子戸さんは優しいお兄ちゃんみたいですね。」

「あはは、お兄ちゃんって呼んでもいいんだぞ。」

「……お兄ちゃん…」

白穂ちゃんは照れ臭そうに言う。

破壊力は抜群で尊さの許容量が限界値を超えてしまった。

「……おっと、そうだ。まずはその髪のボサボサ具合をどうにかしないとね。」

俺は逃げで言ったがそう思ったのは事実だ。

白穂ちゃんは自分の髪を触り、驚いた顔をする。

「え⁉︎こんなにボサボサだったんですか?恥ずかしい…」

俺は近くにあった段ボール箱とビニール袋を取りに行き白穂ちゃんの元へと戻る。

「俺が切ってあげるよ。これでも妹の髪を切ってあげてた頃もあったからね!」

 

場所を俺が縛られていた部屋に移し、俺は白穂ちゃんの髪を切り始める。

どんな感じにしようか。白穂ちゃんにはおまかせでって言われたし。

女子のおまかせは罠って聞くしな…

この部屋は白穂ちゃんの寝室のようで部屋の隅に布団が畳まれて置かれてある。

目の前のパソコンのモニターには料理のレシピが細かく書かれたものが映っていた。

「これは白穂ちゃんが書いたやつ?」

白穂ちゃんは俺の言葉に少し頷く。

「はい。ここに来てからはノートじゃなくてこっちに書いてます。でも、このパソコンのモニター大きいからゲームとかもしやすいんですよ。ゲームとか好きですか?」

「もちろん。俺の仕事上そういうものに触れておかないといけないからね。」

作家という仕事はアイデアが思いつかないとどうにもならない。

そういう時はゲームや漫画などを楽しんだりすることはよくある。

それによって結構アイデアとか浮かぶもんだよ。

「仕事?何か他にもやってるんですか?」

しまった。口が滑った。

別にバレても問題無いんだけど。

「えっと…俺、一応作家やってるんだよ。って言っても売れたのは少し前までで今は全然なんだけど。」

白穂ちゃんは少し考え込む。

「……?お兄ちゃんの名前って神子戸さんでしたよね。あっ!もしかして天弓のパライソの著者の!」

「知ってんの⁉︎」

白穂ちゃんは俺の作品を知っていたようだ。

俺の作品は男子受けはいいが女子受けは悪いので女子のファンはいないと思っていたから意外だった。

「はい。って言ってもアニメから入ったにわかですけど。キャラクターの戦闘シーンとかすごくてかなり好きでした。あっ、ちゃんと小説版も読みましたよ。」

小説も読んでくれたのか。ありがたき幸せ。

「でも、そんな人がどうして冬月旅館に?」

幸ちゃんのため!というのはやめておいた方がいいな。

「前の女将との縁でね。幸ちゃんを助けようと思って。」

少しだけ話をいじったけどこのくらいならバレないバレない。

「うーん?…まあいいか。でも書いてくださいね。次の作品も。楽しみにしてますから。」

最近ようやくまともに書け始めたけどまだスランプ気味だから完成はまだ先になりそうだ。

それに何か今のままではいけないような気がする。なんとなくだけど。

「まあ小説は書き始めたら結構早いから。……えっと、こうやって…ほいできた。」

俺は鏡を白穂ちゃんに渡す。

「三つ編みだ!一度やってみたかったんです。ありがとうございます。お兄ちゃん!」

どうやら三つ編みは白穂ちゃんのお気に召したようだ。

「喜んでくれたようで何よりだよ。白穂ちゃんは元が可愛いから何でも似合うと思うけど三つ編みは絶対いいと思ったからね。」

他にもツインテールとかはいいと思う。

「元が可愛いなんて…お兄ちゃんのセンスがいいからですよ。」

そう言いつつも嬉しそうな白穂ちゃん。妹キャラっていいっすな。今度キャラとして書いてみよう。

「何かお礼できるものは…そうだ!今日届いてるはずのあれがあるはず…少し取りに行ってきますね。丁度トイレにも行きたくなってきたし…」

そう言って白穂ちゃんは部屋から出て行った。

お礼とかいいのに…料理も食べさせてもらったし。

という間もなく出て行った。

あれ?ちょっと待って。五月雨が鍵閉めてなかったっけ?

俺がそれを思い出した時白穂ちゃんは青ざめた顔で戻ってきた。

「お兄ちゃん…厨房のドアが開きません…」

 

「お、お兄ちゃん…もう…限界かも…」

白穂ちゃんはスカートを押さえへたり込む。

18時が過ぎるも俺と白穂ちゃんはまだ閉じ込められたままだった。

白穂ちゃんはトイレを我慢していたみたいで今は顔が青ざめ汗が出ている。

俺も何度も誰かを呼んでいるが全く反応がない。

みんな出かけているのだろうか。

こういう時に限ってスマホも持っていなかった。

「私…こんな歳になって…」

白穂ちゃんは諦め気味で呟く。

「白穂ちゃん。諦めたらダメだよ。まだ来るかもしれないから。」

そういう俺もなかなか人が来なく、ずっと放置されるんじゃないかと思ってしまった。

「お兄ちゃん…」

白穂ちゃんは俺のズボンの裾を掴む。その時だった。

「ふぅ…やっと帰り着きました。湊さんいますか?」

これは幸ちゃんの声だ!

「幸ちゃん!厨房のドアを開けて!」

俺は出せる限りに声を出し幸ちゃんのを呼ぶ。

「厨房?何で鍵が?すぐ開けますので待ってください!」

幸ちゃんが走ってくる音が聞こえる。

「白穂ちゃん立てる?」

俺はへたり込んでいる白穂ちゃんに手を差し出す。

「はい…なんとか…」

白穂ちゃんはゆっくりと立ち上がる。ドアさえ開けばトイレは目の前だから間に合うだろう。

「湊さん!開けましたよ!」

鍵の開く音とともに幸ちゃんの声が聞こえ、扉が開く。

開いた瞬間に白穂ちゃんは飛び出してトイレへと向かう。

「わっと⁉︎白穂さん?」

幸ちゃんと白穂ちゃんはぶつかりそうになるも幸ちゃんがギリギリで避けた。

「ずっと厨房に閉じ込められていたからトイレを我慢してたんだよ。五月雨のやろうめ。」

五月雨が鍵を閉めさえしなければこんなことにはならなかったのに。

まあ五月雨を責めても仕方ないが。

「和樹さんも多分良かれと思ってやったことだと思いますから…」

幸ちゃんは苦笑いをする。

五月雨も悪いやつじゃないことは分かってるんだけどね。

「でも、白穂ちゃんとは仲良くなれたし良かったよ。」

俺の小説を知っていたりと気も合いそうだし。

「近々、旅館も営業再開できそうですかね。」

幸ちゃんは嬉しそうに言う。

「お騒がせしました…」

白穂ちゃんはハンカチで手を拭きながらトイレから出てきた。

「間に合ったようで良かったよ。厨房は再開できそう?」

幸ちゃんとしてはここが一番気になるところだろう。

白穂ちゃんの気持ち的にはできるんだろうけど、食材がないことには再開できない。

「食材的には厳しいかと思います。食材の供給が完全にストップしてるみたいですから。」

どうやら臨時休業した時にそこらの契約が切れてしまったのかもしれない。

「あ…そのこと完全に忘れてました…白穂さん、再契約頼めますか?」

大事なことを忘れているのはしっかりものの幸ちゃんとしては珍しいことだ。

「この旅館のためですからね。私も頑張らないとですね。お兄ちゃん、一緒についてきてくれませんか?」

女の子1人で行かせるのは危険か。それに1人で行くよりも複数で行った方が契約をしやすいだろう。

「もちろん。それとつーちゃんも一緒に来た方がいいかもしれないね。」

経理担当のつーちゃんが一緒であればよりスムーズに話が進むだろう。

「私を呼んだかね。神子戸君。そう言う話は私の得意分野だから任せてくれたまえ。」

話を聞いていたのかつーちゃんがドヤ顔で現れる。

やっぱつーちゃんは心強いぜ。

「私はどうせ学校だから行けないですもん…」

あれ?幸ちゃんは拗ねてしまったのだろうか。

学校行ってない組の俺、つーちゃん、白穂ちゃんは平日暇だからできるものの幸ちゃんは学校に行かなくてはいけない。

どうしようか。

「幸ちゃん。土曜日に一緒に出かけない?」

せめてそれだけでもできればね。

俺も幸ちゃんと出かけてみたいし。

「むっ。湊さん。それで私の気分を取ろうと?取られてやりますよーだ。」

そう言いつつも嬉しそうな幸ちゃん。

「とにかく明日から湊さん、白穂さん、つーちゃんお願いします。」

いや、幸ちゃんもつーちゃん呼びなんだね。

営業再開にはまだまだ課題があるが、それでも初めの一歩目を踏み出せた俺達だった。

 

 

 

 




あれ?主人公の作家要素だんだん減ってね?
うん。分かってます。
もう少し我慢してください…

つーちゃんのキャラブレブレですが、そういう設定なのでお願いします。
湊と五月雨の身長を調整しました。
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