学戦都市アスタリスクin黒の剣士   作:小説大工の源三

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鳳凰乱武
桐ヶ谷和人と試合出場者


和人side

 

「あのぉ、《叢雲(むらくも)》の天霧綾斗先輩ですよね?」

 

昼休み、北斗食堂のテーブルで俺達が昼食を取っていると、栗色の髪の女生徒が満面の笑みで話しかける。

ああ、サインね。

 

綾斗「……え?」

 

「えっへへー、サインお願いします!」

 

色紙とペンをズイッと差し出してくる。

 

綾斗「ああ、うん……かまわないけど」

 

綾斗は勢いに押され戸惑いながらも色紙にペンで綺麗な楷書で書いた。

俺も書いたなぁ。もちろん俺もサインなんてなかったから即興で名前と剣二刀を書いた。

因みに綾斗は今様々なところからオファーが来たり匿名でメッセージ──ファンレターやプレゼント、嫌がらせや脅迫状──が送られている。

幸いここにはそれの対処をする部署があるので、一括して任せれるが、直接くるとなると当然自分で対処するのだが………そういえば綾斗は今回の件は初めてだったな。

 

「「……」」ジトー

 

綾斗「えっと……何?」

 

ユリス「──別に、相変わらず人気者は大変そうだなと思ったまでだ」

 

紗夜「綾斗はちょっと愛想がよすぎ。色々と心配」

 

綾斗「そ、そう……かな……?」

 

不機嫌そうな二人の圧に微妙に居心地が悪そうだ。

 

夜吹「そう逐一目くじら立てなさんなってお姫様も沙々宮も。リスト外の学生が一位を掻っ拐っていったんだから、そりゃあこうもなる」

 

かけそばを綾斗の隣ですする夜吹がニヤリと笑う。

過去の事例を見ても、星導館学園においてリスト外から一位になったケースはほとんどない。

俺はリスト外から三位にはなったが……あのオロロムントの使い手のファードルハは相当強かった。アインクラッド流の秘奥義である連撃を習得していなかったら負けていたかもしれない。

 

綺凛「私も運良く冒頭の十二人になれましたけどそれでも十一位。天霧先輩の場合はいきなり一位ですから、ずっとセンセーショナルだと思います」

 

夜吹「第一、お姫様も冒頭の十二人になった時はかなり騒がれただろ」

 

ユリス「そうだったが、所詮こんなもの一過性の騒ぎだろうに。私の時はもっと早くなくなったぞ」

 

和人「ユリスは完全にシャットアウトだっただろう。あんだけ冷たかったら普通に引くぞ」

 

ユリス「生憎と私はサービス精神なぞ持ち合わせておらん。応援はありがたいが、くだらん打算に利用されるのは御免だ」

 

和人「そういやこんなのあったよな……」

 

俺は携帯端末を操作しネットオークションのページを開く。そこには案の定綾斗のサイン色紙が並んでいた。その値段はアホみたいに高いものから妥当な値段まであった。俺はその画面を綾斗に見せる。

 

綾斗「ん?ああ!」

 

夜吹「あー、学生のポピュラーな小遣い稼ぎの一つだな。あるある」

 

綾斗は驚いた表情をしたあとショックなのか少し落ち込み、夜吹は「くくっ」っと笑う。

 

紗夜「気にしなくていいぞ綾斗。ちゃんと応援しているファンだっている。例えば私とか」

 

綺凛「そ、そうですよ!わたしのクラスにも天霧先輩のファンだっていますし!」

 

するとユリスが不適な笑みを浮かべながら二人に問いかける。

 

ユリス「そんなこと言って、私達と鳳凰星武祭で当たったらどうするつもりだ?」

 

綾斗「ああ、二人とも参加決まったんだっけ」

 

俺もその事を昨夜、綺凛から沙々宮に誘われて予備登録した話は聞いた。

先日、選手欠場枠に無事参加が決まったようだ。

 

紗夜「勿論、全力で迎え撃つ」

 

綺凛「わたしも同じです。それとこれとは別ですから」

 

鋭く、真っ直ぐな視線だ。とても気合いが入っているようだ。

 

ユリス「ふっ……そうでなくてはな」

 

綾斗「出来れば当たりたくないけどね」

 

ここ最近の特訓は綾斗・ユリスペア、綺凛・沙々宮ペアで特訓しており勝率は五分五分である。実際に試合で衝突したらどうなるか楽しみである。

 

クロ「ふふふ……皆さん意気軒昂で頼もしいですね」

 

いつも通り柔和な笑みを浮かべるクローディアがやってくる。

 

ユリス「久しいなクローディアここのところ忙しいようだが……」

 

クロ「ええ、星武祭が近づくと仕事が増えますしね」

 

すると何か疑問を覚えたのか綺凛が俺に質問をする。

 

綺凛「あれ和人先輩は何か仕事はないのですか?」

 

綾斗「そうだね和人は副会長だから忙しいんじゃないの?」

 

和人「ほぼほぼ終わらせてる。煌式武装の調整、製作に比べたらそこまでだからな」

 

俺のところに来る仕事はほとんど片手間に終わるものばっかりだ。

 

クロ「和人の仕事なんですが……あれかなり時間がかかるものですよ?」

 

和人「嘘こけぇ!あんな簡単なのが時間かかるやつな訳あるか!」

 

クロ「そんなこと言われましても」

 

クローディアは不適に笑う。この腹黒め……

 

クロ「それと、先ほど鳳凰星武祭のトーナメント表が発表されましたのでお知らせしておきます」

 

綾斗「すごい人数たなぁ……」

 

流石の出場人数、どの星武祭より多いな。しかも今回は虎峰とセシリーのペアが出ないからより多い。

よく見るとアルルカントのエルネスタとカミラの二人の名前があった。

 

和人「綾斗とユリスがCでLか……本戦まで当たらないな。星導館としては良かったな」

 

綾斗「クローディアはわざわざこのために?」

 

俺はすぐ終わるがクローディアの仕事は俺より多いはずだ。それなのにこうして報告するということはそれだけ綾斗や綺凛に期待をしているのか。

確かに片や序列一位で片や旧序列一位のタッグだ期待も高まるな。それにクローディアは綾斗を特別視しているみたいだしな。

彼女の純星煌式武装である《パン=ドラ》で綾斗の何か見たのか?

それを知るのはクローディアだけだし俺も聞く気はないしな。

すると綾斗と綺凛が項垂れていた、おそらく二人とも謙遜していたのだろう、クローディアが期待しているのだろうし。

 

夜吹「特に今回、『こいつ優勝確定』っていう有力選手も出てこねーしな。実際お前さん方が優勝してもおかしくはねーぞ」

 

夜吹の言い方は軽いものだが、それは俺も同じだ。

 

クロ「幸いと言うべきか、獅鷲星武祭や王竜星武祭のような絶対的な人がいないですし」

 

綾斗「絶対的?」

 

綾斗は知らないので首をかしげた。

 

和人「獅鷲星武祭はガラードワースの銀翼騎士団、王竜星武祭はレヴォルフのオーフェリアだな」

 

実際俺はオーフェリアに勝ったことはない。

ただし彼女の毒で負けたことはない。ほとんどぼこぼこにされて終わりだ。毒に関しては普段から光素を身に纏って有害物質を浄化しているので毒が効かないんだ……

 

和人「ああ!」

 

俺は突然テーブルを叩き立ち上がる。

 

ユリス「どうした突然……」

 

和人「すまん!俺、用事思い出した!クローディア早退するわ」

 

そのまま俺は教室のカバンを走って取りに戻る。

何でいままでこんな単純なことを忘れていたんだよ!

 

和人「俺の星辰力でオーフェリアの毒が浄化できるなら俺の光素を基にして浄化作用を作れば良いじゃないか!」

 

─────────────────────────

和人宅

 

俺は飛び込むように玄関の扉を開けて、帰宅しそのまま研究室に入る。

そこには何時も通り設計図などを書く紙があるので、すぐに書き込む。

俺の光素は毒を対消滅させて解毒、浄化をしている。それをマナダイトでさせることが目的だが、もう1つ重要なことがある。それはオーフェリア自身で抑えられる瘴気だ。

彼女も完全には抑えられないのであってある程度は制御できる。あの星辰力コントロールを見れば可能なはずだ。だからそれを考慮しつつ設計する。

 

和人「早く完成させないとな……」

 

今夜は徹夜確定!

 

 

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