学戦都市アスタリスクin黒の剣士   作:小説大工の源三

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天霧綾斗と桐ヶ谷和人

和人side

 

コーラを買い終えた俺は教室へ向かう。時間も余裕があり急ぐ必要はない。

 

夜吹「よー副会長」

 

教室に戻り最初に挨拶してきたのは夜吹だった

 

和人「おはよう夜吹」

 

夜吹「知ってるかこのクラスに転校生が来るって……お前はその場に居たか」

 

和人「天霧だろ」

 

夜吹「ああ、っとそろそろHRだ」

 

担任の谷津崎匡子が入ってくるとその後ろから天霧も入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

谷津崎「あー、とゆー訳で。こいつが特待転校生の天霧だ。テキトーに仲良くしろよ」

 

実におざなりな紹介だった。まああの先生だ天霧が望ましい対応がなかったのだろう、少し戸惑いの色が見える。

相変わらず釘バットのような煌式武装(ルークス)がとても物騒だ。

 

谷津崎「ほら、早くしろ」

 

綾斗「あ、はい。天霧綾斗です。よろしく」

 

天霧の挨拶も素っ気なかった。そんな天霧を見るクラス連中は興味津々なやつも居れば、探っていたり、警戒、無関心、様々なものだった。

 

谷津崎「席は……ちょうどいい。火遊び相手の隣だ」

 

ユリス「だ、誰が火遊び相手ですか!」

 

ユリスは顔を真っ赤に染め立ち上がる。

まあ、朝っぱらから決闘をすれば言われるだろうな。

 

谷津崎「ふふん。おまえ以外に誰がいるんだ、リースフェルト?朝っぱらから派手にやらかしやがって。売られたんならばまだしも、朝っぱらお前からふっかけてんじゃねーよ。うちはレヴォルフじゃねーんだぞ」

 

和人「先生の出身はレヴォルフだけどなぁ」ボソッ

 

谷津崎「なんか言ったか桐ヶ谷?」ギロッ

 

和人「な、何でもないっす!」ビクッ

 

やっべ、こっちに飛び火してきた。地獄耳かよあの先生は。

 

 

 

─────────────────────────

 

綾斗side

 

まさか朝知り合った二人と同じクラスだとは思わなかった。というかこの先生怖いなあ。確かレヴォルフ出身だったっけ。俺は先生に指された席に座る。

 

綾斗「まさか同じクラスとはね」

 

ユリス「……笑えない冗談だ」

 

ユリスは机に突っ伏してため息をつく。あまり歓迎されてはいないようだ。

 

綾斗「今朝は色々あったけど、これからよろしく」

 

ユリス「お前には借りができた。要請があれば一度だけ力を貸そう。だが、朝っぱらそれ以外では馴れ合わん」

 

それきりぷいっと顔を背けてしまった。

 

夜吹「ははっ振られたな」

 

後ろの席から陽気な声が聞こえた。

振り向くと、声の主は人懐っこい笑みを浮かべ、手を差し出していた。

 

夜吹「ま、相手がお姫様じゃ仕方ないさ」

 

その手を握るとぶんぶんと振り回される。

 

夜吹「俺、夜吹英士郎。おまえさんのルームメイトだ」

 

綾斗「ルームメイトってああ、寮の?」

 

夜吹「そそ。うちは基本二人部屋だからな」

 

綾斗「じゃあ今まではそこを一人で使ってたのか。悪い、狭くなっちゃうね」

 

和人「心配しなくていいぞ。むしろこいつは賑やかな方がいいやつだから」

 

夜吹「それに相部屋になるんだったら、面白いやつが良いしな」

 

綾斗「……いや俺は別に面白くはないよ?」

 

和人「いやいや、転入初日の朝に《冒頭の十二人(ページ・ワン)》相手に決闘して、さらにはお姫様を押し倒したやつが面白くないわけがない」

 

朝の事に関しては弁解したかったが、すでにその噂と印象はかなり浸透してしまったようだ。

実際、HRが終わると同時に自分の周りにはちょっとした人だかりができていた。

 

 

─────────────────────────

 

 

和人side

 

天霧への質問が殺到し落ち着いたのは放課後の時間だった。

 

綾斗「はぁ~……」

 

和人「お疲れさん。人気者は大変だな」

 

俺は天霧の肩を叩く

 

綾斗「おかげさまで色々わかったよ」

 

夜吹「ほぉ、例えば?」

 

綾斗「人気なのは俺じゃなくてユリスだってことかな」

 

天霧は隣のユリスを見ながら、肩をすくめる。

 

綾斗「みんな俺に興味があるんじゃなくて『ユリスと決闘した誰か』の話を聞きたい。そうだろう?」

 

和人「ご明察。でもユリスに聞けばいいと思うだろう?」

 

綾斗「まあね」

 

夜吹「それができれば苦労しないさ。なんせ、あのお姫様は人を寄せ付けない、そんな雰囲気が出てるだろ?」

 

綾斗「多少取っつき難いかな」

 

和人「ま、どんな理由かは知らないけどな。」

 

綾斗「ちょっと待って。今さらだけど何でみんな彼女のことをお姫様って呼んでいるんだい?あだ名みたいなものなのか?」

 

夜吹「あだ名っつーかなんというか……正真正銘のお姫様なんだよ彼女は」

 

綾斗「……は?」

 

天霧は夜吹の情報に驚いた表情をする。

 

綾斗「お姫様って、あのおとぎ話に出てくるようなお姫様?」

 

天霧まだ半信半疑のようだ。

 

和人「ああ。《落星雨(インベルティア)》以降、欧州のあちらこちらで王制が復活して、実質的に政治を取りまとめてる統合企業財体(とうごうきぎょうざいたい)にとって、象徴としての王家が色々便利なんだろうな。」

 

夜吹「とにかく、その一つリーゼルタニアって国の第一王女が、あのお姫様ってわけよ。全名はユリス=アレクシア・マリー・フロレンツィア・レナーテ・フォン・リースフェルト。ヨーロッパの王室名鑑にも載ってるぜ」

 

綾斗「やけに二人共詳しいね…」

 

和人「俺はたまたま知ってるだけで、夜吹は新聞部だからな」

 

夜吹「今後ともよろしく」

 

綾斗「よろしく……で、何でまたお姫様がこんな所で闘っているのさ?普通お姫様って言ったらもっとおしとやかにしてるものじゃないの?」

 

夜吹「さすがにそこまでは知らねーよ。てゆーか俺が聞きたいくらいだ。副会長はどうなんだ?」

 

和人「何となく理由はつくけど、あまり口外できるもんじゃないな…特に夜吹お前みたいなヘリウムクラスの口の軽いやつには」

 

夜吹「ひっで~。ま、あれだけかわいくて、強くて、しかもお姫様ときたら、誰だってほっときゃしないだろうさ。彼女がここに来たのは去年なんだよな」

 

和人「それこそ今日の天霧なんて目じゃないくらいの人だかりだったぜ?あっという間に集まって質問攻め、目に浮かぶだろう?」

 

綾斗「うん、今の説明を聞けばね」

 

夜吹「ところがどっこい、お姫様は連中になんて言ったと思う?『うるさい。黙れ。私は見世物ではない』だ」

 

綾斗「……目に浮かぶようだな」

 

和人「まあ大半は引いたな、当然そんな態度に突っかかってくる連中もいるさ。で、お約束として次々と決闘を挑むも、見事に全員返り討ち。あっという間に《冒頭の十二人》入りだ。あれは見てて面白かったな」

 

夜吹「とまあ、結果として誰もが一歩引いてしまう孤高のお姫様の出来上がりってわけだ」

 

和人「今じゃあ真っ正面きって話しかけようとする度胸のあるやつは滅多にいないぜ」

 

綾斗「ふぅん……ってことは友達も…」

 

夜吹「少なくとも、俺が知る限り知らないな……っと悪い、ちょっと待った」

 

夜吹は片手を上げて会話を止め、携帯端末を手に取り出した。

 

夜吹「はいはーい、なんすか部長?」

 

『なんすかじゃなーい!今日の朝一がゲラ校正の締切だって言ってたでしょー!なにやってんのよー!』

 

画面が開くなり、女性の怒鳴り声が聞こえる。

 

夜吹「あー、すんません。朝はちょっと忙しくて……」

 

『言い訳無用!いいから部室に来なさい!五分以内よ!』

 

ぶつんとウィンドウが消え夜吹は苦笑いをする

 

夜吹「……ま、そんなわけだから、俺は出頭しないとマズイのでじゃな」

 

綾斗「ああ俺もそろそろ寮に戻るよ」

 

夜吹「俺もまた寮で」

 

綾斗「っとその前に……夜吹!」

 

夜吹「おおっ?」

 

天霧の投げた煌式武装の発動体をキャッチする

 

夜吹「なんだ気づいてたのかよ」

 

ニヤリと笑う夜吹

 

綾斗「一応、ありがとうは言っておくよ。それがなければ、ユリスと決闘することはなかっただろうけど」

 

夜吹はそのまま部室へ向かっていった

 

和人「あの状況でよく一観衆にすぎなかった夜吹の声を覚えてたな」

 

綾斗「姉さんに口酸っぱく、借りたものはちゃんと返すよう言われてたもんだから」

 

和人「やっぱお前、面白いやつだな」

 

俺は頬がにやけそうになる

 

和人「なぁ天霧。今朝の決闘、本当に勝てなかったのか?」

 

綾斗「ああ、今の俺じゃ無理だろうね」

 

和人「へえ……今の、ね。まあいいや寮まで行こうぜ」

 

俺は天霧を誘い教室を出る

 

綾斗「思ってた以上に大変そうだなこの学園は……」

 

天霧が後ろで一人呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

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