SAO
和人の能力と相性が良いため、夜空の剣や青薔薇の剣を起動してから発動すると、無詠唱で放つことができる。
アインクラッド流
アインクラッド流は様々な武器の技がある。
和人はそのなかでも《片手剣》、《両手剣》、《二刀流》、《体術》を習得している。
また、《短剣》、《細剣》は一部の技を習得している。
作中ではあまり使用することはないが。
桐ヶ谷和人と特訓
三人称side
和人「これは間に合わなさそうだな」
時間に厳しいらしい(綾斗から聞いた)ユリスに怒られそうだ。
理由としては担任の谷津崎先生に雑用を押し付けられたのだが。
すると前の柱の影から人の気配がした。ぶつかる位置にいたので避けようと左に飛ぶと気配の人物が同じ方向に避けたのでぶつかってしまった。
和人「あいててて……」
???「す、すいません!」
和人「こっちこそすまない怪我はないか?」
???「あ、はい……大丈夫、です」
和人はイケナイ予感がしたのか視線を上にあげる。少女も逸れに気づいたのかわたわたと慌てた様子でスカートを直し、縮まるように両手で体を抱きしめる。
涙目で怯えるような姿はどことなく小動物を思わせる。しかしかえってそれが彼女の豊満な胸を強調してしまっているが、目の前の少女は気がついていない。
これではますます目のやり場に困る。
和人「その……とにかくごめん。急ぎだったからとはいえ不注意だったな」
和人は視線を逸らしながら手を差し伸べる。
???「い、いえわたしのほうこそごめんなさいです。音を立てずに歩く癖が抜けなくて。いつも伯父様に注意されるんですけど……」
和人「お互い様だよ。俺もあまり音を立てないから。ん?ちょっと待って。動くな、なにか髪についてる」
目の前の少女の銀髪に小指サイズの小枝が絡まっていた。
???「ふぇ……っ?ど、どこですか?」
少女はわたわたと髪に手をやったが、自分からは見えてないらしく、見当違いの場所ばかり探っている。
おろおろする姿を眺めていたい気分になる和人だったが、時間が迫っているので、小枝をとる。
和人「ほら動かない動かない」
???「あ、ありがとうです……」
和人は目の前の少女に見覚えがあり脳内のデータベースを開くとすぐさま出てきた。
星導館学園序列一位の刀藤綺凛だった。
どうしたものかと考えていると、ふいに中等部校舎から大きな声が響く。
???「綺凛!そんなところでなにをやっている!」
綺凛「……は、はい!ごめんなさいです、伯父様!すぐに参ります!」
綺凛は焦った様子で和人にお辞儀をする。
綺凛「そ、それでは……」
和人「あ、ああ」
そのまま小走りで中等部校舎の入り口にいる壮年の男の方へ行った。
ポケットの携帯端末の着信音が鳴り、急いで起動すると、ユリスの不機嫌な顔とやや困り顔の綾斗と直葉が写っていた。
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和人side
俺はオーフェリアとシルヴィとの出会った日の事を話してから数日、綾斗とユリスの特訓に付き合っている。
スグには審判を担当してもらっている。
初めてにしては二人のコンビネーションがとても良く何度かピンチになりそうなくらい、攻撃が激しい。
綾斗「せあぁっ!」
ユリス「咲き誇れ
綾斗が袈裟に黒炉の魔剣を振り、それを夜空の剣で流すようにいなすと目の前にユリスの鋭槍の白炎花が迫りくる。
俺はそれをアインクラッド流剣術中伝のシャープネイルとホリゾンタルスクウェアで致命傷になるもの以外を切り払う。
後ろから綾斗が追撃をしてくるので、青薔薇の剣で受け止めてアインクラッド流体術の水月で横っ腹を蹴り飛ばす。
そして振り向き様に
それをユリスはそれを易々かわす。
俺はそのままユリスに向かって飛ぶ。
ユリス「そこだ!綻べ、
しかしユリスの前には設置型の能力が仕掛けられており、俺の周りを五本の柱が取り囲む。俺は素因を
そこからユリスの胸元、綾斗の首筋に
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綾斗「……なかなか懐に潜り込めないね」
和人「そう簡単にはやられはしないさ。これでも俺は序列三位だからな」
ユリス「ホントに見事に切り裂くなお前は」
和人「それほどでも」
俺は得意げに胸を張る。
ユリス「しかしこうも攻撃が入らないと、自信がなくなっていきそうだ」
直葉「何度か惜しかったですけど」
ユリス「お世辞なら結構だ。結局今日も一本も取れずじまいだ。それも二人かがりでだ」
しかし二人の戦闘センスには驚きだ。
最初はこちらの動きに振り回されていたのに、数試合するだけで俺の動き先回る行動をする。
綾斗「それにしてもユリスと和人は本当に技が多いよね。さっきのやつも、また見たことないやつだったし」
ユリス「う、うむ。そのあたりは私も自負するところではあるが……」
和人「アインクラッド流は手数がメインだからな。パターンを組み合わせて戦うから、臨機応変に戦うことができる」
ユリスは多少表情を緩めてうなずく。
実際、ユリスの技の多彩さは並大抵ではない。俺が目にしただけでも十数種類、それも攻撃、防御、補助と多岐にわたる。
ユリス「とはいえ、これくらい出来ねば《
俺は一つ綾斗に問題を出してみる。
和人「そうだな綾斗、《星武祭》において《魔女》や《魔術師》といった能力者とそれ以外では、どっちの方が勝率が高いと思う?」
綾斗「え?そりゃあ能力者でしょ」
やっぱりそう答えるよな。
和人「まぁ確かに《魔女》や《魔術師》の勝率は高い──その戦績の最初に限っては、な」
隣のユリスの顔には複雑な表情が浮かんでいる。
ユリス「だがある程度戦いを重ねると、能力者は負けが込んでくる。能力の特徴が明かされ、その情報が普及し、対処されてしまうからだ。ただその枠に当てはまらないような規格外の連中も中にはいるが、トータルではほぼ五分五分といったところだろう」
和人「ここの連中だって馬鹿ばかりいるわけじゃない。もしユリスと闘うこととなれば、少なくとも炎に対応をとる。例えばこの前の
先日闘ったサイラスは偽形体に耐熱処理を施してユリスに襲い掛かった。
直葉「裏切り者?」
そういえばスグは襲撃事件のこと話してなかったな。
和人「後で話す」
綾斗「なるほど。つまり《魔女》や《魔術師》は手の内が読まれやすいってことか」
ユリス「うむ。能力は偏れば偏るほど強力になるが、その分汎用性を失い勝ち続けることができなくなる」
和人「俺みたいな能力者は一芸だけじゃやっていけないしな。俺のは多彩だけど数がないとそこまで強力にはならない。ま、物量なら負けないが。だから俺は剣技と併用しているんだ」
ユリス「私は幸いにも工夫次第で幅を広げることができた。それを最大限利用するだけだ」
直葉「あたしの場合移動と牽制にしか使ってないですけど」
そういえば忘れていたけど綾斗の身体は大丈夫なのだろうか。そう疑問に思い、綾斗に聞こうとする前に、ユリスが綾斗の顔を覗き込んでいた。
ユリス「体の方は、なにか問題はないか?」
何気ない仕草であったが、顔が近く綾斗の顔が赤く染まる。
ユリス「っ!」
するとユリスもそれに気がついたのか、慌てて姿勢を戻した。綾斗と同じように赤面し、微妙に視線を逸らす。
綾斗「あー……うん、特に問題はないかな。普通に動く分には十分だね」
直葉「お兄ちゃん天霧先輩身体になんか問題があるの?」
スグには説明してないことだらけだな。
前に綾斗から確認はとっているので説明する。
直葉「天霧先輩も大変なんだね」
綾斗は少し後退ってから立ち上がり、妙な空気と埃を同時に払うようぱんぱんとズボンを叩く。
ユリス「しかし……三分が一つの壁か」
綾斗「みたいだね。これじゃ足りないかな?」
ユリス「正直、厳しいところではあるな」
星武祭で戦い抜くにあたって綾斗の制限時間のことがバレたらとてつもなく不利になる。
三分は綾斗が反動がほとんどなしで済むギリギリの時間だ。
綾斗「一応、これなら普通に闘うくらいはできるけど」
ユリス「闘えると言われても、その状態のお前ではな……いや、倒れられるよりはいいが」
隣に座る直葉は綾斗に質問をする。
直葉「一つ質問なんですけどその状態からまた封印を破ることはできないんですか?」
綾斗「無理だね。最低でも数時間は休まないと」
やはり封印を破るのに相当な体力が必要とするのだろう。
俺が封印を施されていたらどんな感じになるのか想像する。やはり対処方は浮かばない。封印されたことがないから想像もつかないのだが。
綾斗「一瞬だけなら、なんとかできなくもないけど」
和人「それってどんな感じだ?」
綾斗「鉄格子の隙間から手を伸ばす感じだね。それでも長くは続かないけど」
ユリス「それは緊急回避か、不意打ちがせいぜいだ」
綾斗「まあ、そうだね」
ユリス「とはいえ、無い物ねだりをしても仕方ない。お前が全力を出せる時間を三分と考えて作戦を練るとしよう」
和人「まあそれが現実的だな」
直葉「三分もあったら序列下位の相手ならすぐにやっつけちゃえばいいんじゃないかな」
和人「まあそれが妥当だな」
綾斗「ちなみにユリスより格上の学生ってどのくらいいるんだい?」
こいつ……本気で言ってるのか?
ユリス「……お前、それを本気で言って──いや、いい。お前のことがようやくわかってきた」
綾斗「はぁ」
ユリス「綾斗、お前が私のことを評価してくれるのは嬉しいが、私より強い学生はある程度いる。少なくとも両手両足では数え切れないくらいはいる。例えばそこにいる桐ヶ谷やガラードワースの生徒会長とか界龍の生徒会長だな」
アーネストか。
個人的にガラードワースの最強のチーム名に少し違和感があるんだよな。ランスロットってアーサー王の妻を寝取った円卓の騎士なんだよな。アーネストの称号が
星露には目をつけられたし。厄介なんだよな頻繁に勝負を挑まれるわけではないけど、いつ来るかわからないから少々怖い。
ユリス「界龍の生徒会長はまだ星武祭には出られないが。それにここには学生以外にも実力者は多いぞ。例えば警備隊の隊長はアスタリスク史上最強との魔女と言われているし、我々のクラス担任である谷津崎女史も私などより遥かに強いだろう」
綾斗「谷津崎先生が?」
和人「あの人
直葉「なんで昔のレヴォルフ出身の人が星導館で教師しているのかわからないけど……」
ホントそれ。なんであんな気性の荒い人が教師になったんだろう。
それがディルクが生徒会長になってからレヴォルフが落ち着いたからなぁ。昔がどんなとこなのかは知らないし俺。
ユリス「さて。だが今挙げた連中よりも、おまえが有利な点が一つある。なにかわかるか?」
綾斗「えっと……全然」
綾斗のその一言に思わず俺は転けそうになる。こいつ本当に掴みどころがわからない。
和人「綾斗の実力が広まってないことだな。先日の件は公になってないし、目撃者もいない」
綾斗「なるほど、さっきの話に繋がるわけだね」
ユリス「うむ」
先ほどの話しの様にいうなら、綾斗の手の内はまだ知られていないということだ。
直葉「学有の純星煌式武装の貸与情報だけはオープンになっていますが、その点は警戒しなくていいですね。知っていても対処のしようがないですし」
ユリスは綾斗の手にある準備状態になっている黒炉の魔剣に視線をやると、小さなため息をついた。
ユリス「本当は今の状態でもそいつが使えれば良いのだが……」
綾斗「こればっかりはどうしようも、ね」
ユリス「ところでおまえの姉がそれの使い手だったというのは本当なのか?」
綾斗「多分そうじゃないかってだけだけどね」
直葉「だとしたら、なかなかのレアケースですね」
綾斗「それは俺もそう思うよ。まさか姉弟で同じ純星煌式武装を使うなんて……」
和人「いや、そうじゃなくてだな」
俺はゆっくりと首を横に振る。
和人「綾斗のお姉さんは魔女なんだろ?本来、純星煌式武装は能力者とは相性が悪いんだって俺が言っても説得力はないけどさ」
綾斗「へぇ、そうなんだ」
ユリス「話しが逸れたな。そんなわけだから
綾斗「了解」
綾斗の返事にユリスは満足そうにうなずき、腰のアスペラスピーナを手に取ろうとしたとき鈴を転がしたような音が響いた。
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