〜アクセルの町から数十メートル離れた草原〜
レイ「痛た・・・いきなり落下とは思わなかったわ」
そう、天界から文字通り落下したのだ。一応荷物がクッションとなり一命は取り留めたが、死んでもおかしくなかった。
ドカーーーーーーン!
レイ「・・・は?」
いやなんだ今の大爆発。・・・まぁ時期に分かるか。
レイ「なんだこれ」
足下に見慣れないバッグが。メモが付いてる。
『支給品渡し忘れたから送る(๑˃̵ᴗ˂̵) byアルセウス』
・・・なんだこれ。
中には、ナイフとハンドガン、ポケモン用翻訳機3個が入っていた。後、この世界の通貨。2000円程か・・・おい。
レイ「エリスって・・・女神の名前が単位なのか」
取り敢えずここに居ても何も始まらないので町へ。
〜アクセル、冒険者ギルド前〜
さて、ここか。
ちょっと迷ったが、他の冒険者の後をつけてなんとかたどり着いた。ストーカー?知らんな。
よし、行くか。
ギルドは思っていたより空いていた。
今は真昼だから出払っているんだろう。
受付嬢「いらっしゃいませー!お仕事案内はこちらです!」
お、こっちか。
レイ「すみません、冒険者登録お願いしてもいいですか?」
その人の胸に、『ルナ』と書かれた名札が付いている。ルナさんか。
ルナ「はいでは登録手数料1000エリスになります」
レイ「あ、はい・・・」
いきなり貯金の半額を失った。それと交換する様に、身分証明書みたいなカードを渡される。
ルナ「冒険者についての説明は大丈夫ですか?」
レイ「大丈夫です」
これはポケモンと大して変わらんだろう。
ルナ「では、こちらの書類に身長、体重、年齢などの情報をお願いします」
戸籍にでも登録するのだろう。えっと、身長168センチ、体重59キロ、16歳、紺色の髪に黒目っと。
ルナ「それでは、カードに触れて下さい。ステータスが表示されます。それに応じて、職業を選んで下さい」
・・・・・
ルナ「ありがとうございます。レイさんですね。ふーむ、魔力がかなり高いですね。って、ええっ⁈幸運と器用さ、知力が平均の倍くらいなのですが⁈・・・それ以外は普通って感じですね。これなら、魔法使いやクリエイターなどになれますが、どうなさいますか?」
レイ「クリエイターって何ですか?」
ルナ「クリエイターとは、土属性のスキルを中心とした職業ですね。ゴーレムも作れる面白い職業ですよ」
微妙だなぁ・・・
かと言って魔法使いはやりたくない。折角アルセウス様が武具をそろれてくれたし・・・
そんなことを考えながら、職業リストを見ていると、あらゆるスキルを習得可能な初期の最弱職、『冒険者』が目に止まった。火力はポケモンと仲間で補えるので、これで良いだろう。
レイ「冒険者で」
ルナ「・・・え?いいんですか?」
レイ「はい」
ルナ「わ、分かりました。登録しておきます」
レイ「あざまーす」
用は済んだので、近くの服屋へ。変な目で見られないように、衣服も整えておきたい。
10分後・・・
悩んだ末に、紺色のズボンと灰色の長袖シャツ、黒と赤の革製マントを買った。とはいえ、全部中古だが。今の貯金は30エリス・・・食事代にもならない。
クエストは後で受けるとして、ギルドを出て見かけた不動産屋へ。拠点の確保は重要だ。というかこの荷物、さっさと下ろしたい。
レイ「伯父さん、ここらで安い土地ある?」
不動産屋の店主「ああ、ギルド裏が一番安いよ。冒険者がうるさいからね。8万エリスだよ」
安っ⁈・・・余程うるさいのか。
レイ「分かりました。クエストで稼いですぐ戻って来ます」
店主「あいよー」
すぐにギルドへ戻り、併設された酒場で美味しいと聞いたジャイアントトード5体討伐のクエストを受けた。頭以外はかなりの物理耐久を誇り、肉も旨いらしい。初仕事、テンション上がるなぁ!
〜アクセル郊外、草原〜
レイ「居たな。確かにでかいな」
数メートル先には、ジャイアントトードが5匹。
流石にまとめて相手したくないので・・・
レイ「よし、出番だぞ、お前ら」
ルアーボールからドラミドロ、ネットボールからマルヤクデ、モンスターボールからドダイトスが出てきた。因みに翻訳機が付いてるので言葉を話せる。
ドラミドロ「ほー、ここがミュウツーが目撃された世界か」
マルヤクデ「おいレイ、何故草原で呼び出した?」
レイ「あそこにいるでかいカエルを倒すんだよ。頭以外は物理耐久高いらしいから気を付けろよ?」
ドダイトス「了解だぶっ殺してやる」
レイ「よし、取り敢えず遠くから銃で一体仕留める。そっからは一人一体だ」
そう言いながらハンドガンを構え、ジャイアントトードの頭を撃つ。綺麗にヒットし、頭の砕かれたカエルはドサリと倒れた。それに気づいた他のカエルがこちらに向かってきたので、
レイ「突撃ー!」
ポケモン達「うおおぉぉぉ・・・」
3分後・・・
ドラミドロ「すまん、肉が食えるとは知らなかった」
レイ「いいんだよ。っはー、死ぬかと思った、サンキューマルヤクデ」
ドダイトス「いやあれはカエルをレイの方に追いやったマルヤクデが悪い」
マルヤクデ「・・・すんません」
僕たちは、無事(?)ジャイアントトード5体を討伐し、帰路についていた。
僕が説明を忘れたせいで、ドラミドロがヘドロ爆弾でカエルを一体溶かしてしまった。
ドダイトスはウッドハンマーで頭を数回殴っていた。
マルヤクデはハンドガンで2体目を仕留めた僕の方にうっかりカエルを追いやったため、僕が食われかけたがなんとかその前に吸血で殺してくれた。
ドラミドロ「そういやお前、レベルはどうなんだ?」
レイ「・・・あ、5に上がってる。スキルポイントも5増えたみたいだ」
マルヤクデ「そうか。何か覚えたらどうだ?」
ドダイトス「銃の威力と射程上昇、なんてのが良さげだな」
レイ「だな、誰かに教えてもらうか」
そんな話をしてたら門についた。
門番が3匹を見てびっくりしてるが、僕と仲良くしているのを見て安心したようだ。何故って普通に通してくれたから。
レイ「ドダイトスの大きさじゃギルドには入れないか、ボールに戻れ」
ドダイトス「・・・仕方ねぇ」
ギルドに入ると、みんなドラミドロとマルヤクデを見て門番と同じ反応をしている・・・確かにコイツら目立つな。
レイ「ルナさん、ジャイアントトード5体討伐して来ましたよ」
ルナ「・・・あっ、はい!肉はこちらで回収しますので、カードを確認させてください・・・はい、レイさんが2体、ドラミドロさんが1体、マルヤクデさんが1体、ドダイトスさんが1体ですね」
そんなことも分かるのか、凄いなこのカード。
ルナ「因みに、レイさん以外の皆さんの名前は・・・?」
レイ「この海藻みたいなのがドラミドロ、赤い百足がマルヤクデです。ドダイトスはデカすぎるので今はボールの中で待機してますが、見た目はこんな感じです」
そう言いながらクエストの紙の裏にドダイトスの絵を描く。
マルヤクデ「つくづく思うがお前って絵上手いよな」
レイ「伊達に器用さは高くないからな」
ドラミドロ「海藻・・・海藻って・・・」
なんかドラミドロが落ち込んでるが気にしない。
ルナ「はい、それでは報酬と肉の買い取り額を合わせて12万エリスです。お疲れ様でした!」
レイ「ありがとうございます。行くぞお前ら。戻れ」
マルヤクデ「了解」
ドラミドロ「海藻・・・」
ルナさんや他の冒険者がポカーンとしているが、気にせずに不動産屋へ。
レイ「はい、8万エリス」
店主「毎度ありー!」
前の世界で作った6人用簡易シェルターを持ってきたため拠点はすぐに建てることができた。
荷物もおき、各部屋の使い方も決めたので、今日は寝る事に。ギルドで食事を済ませたとき、ドダイトスは扉が通れないだけと判明した。
次の日、仲間集めのためにまたギルドへ。因みにポケモン達は留守番してもらっている。
パーティ募集掲示板に、『敵感知、潜伏を覚えた盗賊、氷に耐性のある前衛職(出来れば騎士かクルセイダー)、中級魔法以上が使える魔法使い系職業各一名ずつ募集。』と書いた紙を貼っておいた。
盗賊の敵感知などは、ミュウツーの捜索に間違いなく役立つ。ドダイトスは硬いが、氷に弱すぎる。また、火力を出せる奴がもう1人欲しい。特に遠距離。
そんな考えでテーブルにつくと、隣から声が聞こえてきた。
???「すみませんそこの人。何か食べさせて下さい。あとパーティメンバーの面接もお願いします」
びっくりして見ると、黒いとんがり帽子をかぶった黒髪赤目の少女がこちらを見ていた。
レイ「奢るくらい構わないが。お前、魔法使いか?」
少女「はい、そうです。それより早くして下さい、もう3日も何も食べていないんです」
レイ「3日って・・・すいませーん、カエルの唐揚げ定食2つお願いしまーす!」
僕も朝食にするか。本当はテイクアウトしてあいつらと一緒に食うつもりだったが。
少女「ありがとうございます。あ、名乗りがまだでしたね・・・
我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者!」
レイ「ちょっと何言ってるか分からない」
めぐみん「な、なにおう!」
激昂するその子に、冒険者カードを渡される。
スキルの所に『爆裂魔法』と書かれているし、魔力もめちゃくちゃ高い。嘘ではないだろう。爆裂魔法以外にスキルがないのが気になるが、それよりも・・・
レイ「・・・お前何歳だ?」
めぐみん「13歳です」
レイ「う、うん。その眼帯は?」
めぐみん「これは我が力の封印です。これが外れれば、この世に大きな災厄がもたらされるだろう・・・」
レイ「なるほど」
めぐみん「というのは冗談で、ただのオシャレです」
レイ「・・・そうか」
コイツアレか、いわゆる厨二病か。殴りたい。
めぐみん「私は魔法のエキスパート、紅魔族の中でも随一の力を持っています。我が必殺の魔法は山をも崩し、岩をも砕く・・・!モグモグ」
レイ「唐揚げ食べながら喋るな、行儀が悪いなお前」
めぐみん「・・・唐揚げ美味しいですね」
レイ「誤魔化すな、おい・・・まぁ、採用かな。僕はレイ、冒険者だ。知力と器用さと幸運が高い」
そう言いながら、カードをめぐみんに見せる。
めぐみん「ほー、確かに高いですね。ではこれからよろしくお願いします」
レイ「分かった。よろしくな、めぐみん」
めぐみん「それでは、クエストへ行きましょう!我が力、見るがいい!」
レイ「その前に荷物を纏めてついてこい、拠点に案内する。後アイツらにも合わせないとな」
めぐみん「・・・?分かりました」
〜自宅〜
まぁ、予測通りだ。
ドラミドロ達を見て固まるめぐみん。
気を遣って話しかけれない3匹。
因みに3匹にはもう朝食を食わせた。
その後紹介したのだが・・・
ってか、めぐみんの変な自己紹介もない。
ダメかぁ・・・と思っていると・・・
めぐみん「カッコいい・・・」
他4名「「「「はい?」」」」
めぐみん「カッコイイじゃないですか、最高です!こういうのが見たかったのですよ私は!」
レイ「おい落ち着け、3匹が固まってる」
めぐみん「はっ!す、すみません・・・」
3匹「「「・・・・・・・・」」」
〜アクセル郊外、草原への道〜
今回もジャイアントトード5体討伐を受けた。
やっとショックから立ち直った3匹は今はめぐみんと仲良くなっている。
めぐみん「ドダイトス、背中の木にある木の実って食べれますか?」
ドダイトス「ああ、俺たちポケモンの好物の木の実、オボンの実がなる。人間も食べれる木の実だ」
レイ「最悪コイツの実を食べて生き延びるつもりだ」
めぐみん「そうですか。あ、カエルが居ますね」
ドラミドロ「3体固まってるな。こういう時こそ、めぐみんの爆裂魔法の出番じゃないか?」
めぐみん「そうですね。それでは・・・(詠唱)参ります!エクスプロージョン‼︎‼︎」
その叫び声と同時に、杖から放たれた閃光がカエルに当たり・・・
大爆発を引き起こした。
マルヤクデ「・・・すげー火力。オーバーキルにも程があるな」
確かに異常な破壊力。だが・・・
レイ「めぐみん、どうした?反動で倒れたか?」
めぐみん「・・・・・果たしたので・・ません」
ドラミドロ「なんて?」
めぐみん「魔力を使い果たしたので動けません」
ドダイトス「つまり1日1発ってことか。燃費悪いな」
マルヤクデ「おい、後ろから新手が2体だ。やるぞ!『フレアドライブ』!」
レイ「援護するよ!ハンドガン発射!」
ドダイトス「食らいやがれ『ストーンエッジ』!」
ドラミドロ「吹き飛べ、『気合玉』!」
4つの攻撃にジャイアントトード2体はなすすべなく崩れ落ちた。
めぐみん「皆さん強いですね。レベル幾つですか?」
レイ「僕たちは7だ。さてドダイトス、めぐみん乗せてやれ」
ドダイトス「分かった」
めぐみん「すみませんねぇ。あ、私はレベル8です」
そんな話をする中・・・
マルヤクデ「お前気合玉外したよな」
ドラミドロ「うっせぇ!」
喧嘩するな。
その後報酬を受け取り、さっさと寝る事に。
3匹はボールに戻し、めぐみんは自分が選んだ部屋に移動した。
僕はベッドに寝転び、考え事をしていた。
めぐみんはポケモンで言う、技が1つしか無くPPも低い奴だ。しかし火力はとんでもない。すなわち、使い所を間違え無ければ強いという事。帰り道、中級魔法を使っている冒険者を見かけたがハッキリ言って僕達の方が威力が高い。つまり募集しても意味なかったという事だ。
そんな事を考えながら、目蓋が重くなってきたので、そのまま身を任せ目を閉じたーー。
ここから先はキャラクター紹介
メンバー1:レイ
職業:冒険者 16歳
創造神アルセウスの使い。3匹のポケモンを連れて、遺伝子ポケモンミュウツーの保護を目指す。
見た目はペルソナ3の主人公に似ている。
メインウェポン:ナイフとハンドガン
メンバー2: ドラミドロ
タイプ:毒、ドラゴン 特性: 適応力
ルアーボール入りのレイの相棒。気合玉やハイドロポンプが当たらないことが悩み。水の中が好き。
技:ヘドロ爆弾 流星群 ハイドロポンプ 気合玉
メンバー3:マルヤクデ
タイプ:炎、虫 特性:貰い火
ネットボール入り。レイが初めて自力で捕まえたポケモン。平たいため、狭い隙間も通れる器用な奴。以外と温厚だが、口が悪い。実はキョダイマックス個体。
技:フレアドライブ 吸血 はたき落とす 雷の牙
メンバー4:ドダイトス
タイプ:草、地面 特性:シェルアーマー
モンスターボール入り。ナエトルの頃行くあてもなく彷徨っている所をレイに保護された。体が大きく、どっしりとしているため、前方で仲間を守ることが得意だが氷に弱い。
技:ウッドハンマー 地震 ストーンエッジ 逆鱗
メンバー5:めぐみん
職業:アークウィザード 13歳
最強火力の魔法、『爆裂魔法』を愛する紅魔族の天才かつ恥さらし。最高の爆裂魔法のために全てを捧げることができるくらい爆裂魔法が好き。
メインウェポン:爆裂魔法