【any%RTA】UNDERTALE『二人の地下世界』モード【自殺チャート】 作:波津木 澄
Floweyが崩れ落ちる。恨みを込めたような目で、ボクを見る。
「そんな……いやだ! こんなことあってたまるか!!」
体の色んな所に傷をつけられて、全部を否定するように叫ぶ。
「お前……オマエ………」
けれど、ボクに向けていた恨みが唐突に嘲笑へと切り替わった。
その瞬間にまた頭の中を揺さぶられる。けれど、今度は戦闘中に起きたような軟なモノじゃない。もっと大きなものだ。
記憶が一度すべて消えて、なかったことになる。それなのに
それだとしても、止まるわけにはいかない。
『さぁ、覚悟を――』
一度聞いた声が耳に入る。
前を見れば怪物となったFloweyが無傷でボクを嘲笑っている。
「フフフ……。そう言えばキミ、あのもう一人のニンゲンはどうしたんだい?」
余裕の表れなのか、Floweyはボクに対して言葉の刃を向ける。
「あれあれぇ? もしかしてもう死んじゃったのかな?」
言葉がボクに対して飛んできて、ボクを打ち倒そうとする。
「だったらボクがちゃーんとソウルを回収してあげた方が良かったかなぁー!!」
ゲラゲラと下品に笑うFloweyを真っ直ぐに見据える。
そこまでされてFloweyはようやくわかったみたいだ。その言葉の刃は、ボクに確かなケツイを抱かせるだけだってことが。
「な、何なんだよその目は――」
『…………私のソウルはキミに預けたんだ。あんな奴に取り込まれたりなんてしないよ』
ボクのケツイはまた、かつての戦闘が始まるときと同じように……いや、託されたものがあるのだから、それ以上に漲っている。
「そんな目をしたところで今更――!!!」
Floweyがボクを囲うように植物のつるで囲む。そして攻撃が確かにボクを貫く。
けれど次の瞬間には巻き戻される。そしてまたボクが攻撃を受けて、すぐに戻ってくる。
確かに"死んで生き返ってまた死ぬ"というのは途方もないようなことなんだろう。けれど、
ボクを絶望させるには。ボクを嘲笑うにしても、全くもって足りるわけがない。
ケツイが死にかけているボクを動かす。そんな僕の周りを最初に見た白い魔力の弾が囲む。
なんて言われようと、ボクは立ち続ける。何をされても、何があっても!
ボクのケツイを表すためにも、一歩、前に出て叫ぶ。
Floweyがボクを見て大きく笑う。
白い弾がボクに向けてゆっくりと進んでくる。隙間なんてないし、避けることもこの体じゃできるわけがない。
――――それがどうした。
確かに進める道なんてない。けれど、それはボクが止まる理由にはならない。
ボクは、こんなところで立ち止まるわけにはいかない!
これまでに何度も抱いてきたケツイを、更なるケツイで上塗りする。そうやって積み重ねてきたボクのケツイがボク自身を動かす。
一歩、前へ進む。弾が迫ってきていることなんて構うものか。その程度で立ち止まるわけがない。例え弾に当たったとしても、たどり着いて見せる。
『――――ごめん』
「……………は?」
Floweyがボクを見て確かに驚きの声をあげる。ボクも、目の前の事実が分からなかった。
ボクの中から飛び出たソウルが、ボクの代わりに白い魔力の弾を受け止めたのだ。
『キミは、生きて……』
たったそれだけの言葉を残して、ソウルがバキバキと音を立ててひび割れていく。
Floweyの言葉なんかよりもよっぽど大きな衝撃がボクを襲う。
「…………ああ。あのニンゲンのソウルはキミが持ってたんだ。安心しなよ、こうすれば――――」
Floweyが力を使って、世界を撒き戻そうとする。
そんなこと、許せるはずがない。
確かに巻き戻せばVictimは生き返るってことになるだろう。でも、そんなことじゃあ今この場にいたVictimの覚悟はどうなるんだ。
自分が死ぬとわかっていることをするなんて、まったくもってあの子らしい。けれど、そのために必要だった覚悟を……当事者以外が嘲笑うなんてあっていいはずがない。
世界が全部をなかったことにしようって言うのなら、そんな流れにボクは逆らってやる。巻き戻すなんて許さない。
「な……力が使えない!?」
目の前にいるFloweyが狼狽える。
ボクのケツイに共鳴したのか、ボクに託してくれたソウルたちがFloweyに逆らう。そして、それぞれが自分の想う信念を持って動く。
Floweyは自分が完全に支配したはずのソウルが自分に牙を向けたことが納得いかないみたいで子供みたいに叫んで、駄々をこねる。
けれど、もう遅い。
完全にソウルたちがFloweyとのつながりを断ち切って、Floweyがソウルたちの力を使うことでとどめていたエネルギーがすべてあふれ出て視界が真っ白に染まる――