【any%RTA】UNDERTALE『二人の地下世界』モード【自殺チャート】 作:波津木 澄
手に持っている木の枝を強く握り込む。ボクの視界が紅く染まる。
気が付けば強く、強く一歩を踏み出して目一杯跳んでAsrielへと拳を振るおうとしていた。
あと一瞬、あと一瞬あれば完全に拳は当たる。そのはずだったのにAsrielは嫌に余裕そうな表情をしていた。
「――ッ!!」
手が何かに弾かれる。殴りつけたはずのAsrielには拳は届かず、見えない何かによってボクの拳は弾かれてしまう。
そして無防備になってしまったボクに向けて星のような魔力弾が迫って――
「急に飛び出したら危ないぞニンゲン!!」
襲ってくるダメージを覚悟して目を瞑ったら突如ボクにかかる重力が大きくなった。地面に向けて引っ張られるボクのすぐ上を星が通り抜けるのを感じる。
地面に叩きつけられてから思い出す。これはPapyrusのブルーアタックだ。……どうやら、助けられたらしい。
しかしそう言ってもいられない。目の前に迫っていた弾は避けたが、さらにいくつもの弾が空から降ってきたのだ。
「ハッ! こんなぬるい攻撃で私に傷をつけられると思うなよ!!」
「ふわ~あ。なんだ、随分と
Undyneは自慢の槍で迫りくる星を砕いている。Sansは随分と余裕そうに攻撃を避けている。
皆の方を見て一瞬気が緩んだせいか、一つ弾を避け損ねて当たってしまう。けれど大したダメージじゃない。
……いや、むしろ自分に喝を入れるためにも丁度良かったかもしれない。
怒っているだけじゃダメなんだ。
確かに許せない。けれど怒るだけじゃダメだ。もっと、もっと冷静にいないとダメだ。怒りにだけ身を任せていたら、きっとVictimを助けられないから。
「アハハ! ムダムダ、君たちの攻撃なんてボクには届かないよ!!」
隙を見て飛んでいくみんなの魔法もAsrielに届く前に弾かれてしまう。どうやらバリアみたいなものを張っているらしい。
……まずは、あのバリアをなんとかしないといけない。
――――だったら。
「そんなバリアの中に居なきゃ何もできないんだ。カミサマなんて言っても随分弱虫なんだね」
まずは『
「ボクは弱くなんてない!!! だってボクはカミサマなんだから!!!!!」
Asrielは酷く傷ついたのか怒りだしている。
……バリアも、無くなっているらしい。最初から大当たりだ。
「――おいニンゲン、急に落ちるがアンタ骨太だから大丈夫だろ?」
急にSansが確認する。一体何が、なんて思う前にもうボクは落ちていた。ただし、
重力の向きが変わったのかボクは地面に落ちることなく横向きに飛んでいく。どうやら、これがSansの魔法みたいだ。
「そ、それなら…私だって!!」
Alphysの声が聞こえて、気が付けばボクの携帯電話がいつかのように形を変えて銃へと変化する。
……ボクに向けて星が降ってくる。けれど、この銃があればきっと撃ち砕ける。
「さぁ! 進みなさい、我が子よ!」
「もう一度、ケツイを抱くんだ!」
「最後の最後にこんなショーが待ってるなんて、本当に最高だよダーリン!!」
Torielがボクの背中を押してくれる。Asgoreはボクに道標を示してくれた。
Metattonがハイテンションに声をあげながらも道すがらに出会ったMonster達を守っていた。
もう一度、拳を強く握り込む。
今度は最初の時と違ってボクの渾身の想いを込めて。ボクの知っている皆を、助けるために。
「――ああああああああ!!」
「――ボクは、助けるんだ!!」
Asrielもまた拳を握る。けれど、ボクの方が一瞬速い。
そう思って突き出した拳は、Asrielにダメージを与えることはなかった。
さっきのバリアみたいに、物理的な壁があるわけじゃない。もっと
そんなことを感じている間にAsrielの拳がボクを大きく弾き飛ばす。
……攻撃力は、それほど高いわけじゃない。けれど何度も受けるわけにはいかない。
ともかく、『
もっと、別の手段を考えなきゃいけない。
――でも、どうやって?
攻撃は通じない。話すにしても、あの様子じゃ何にもなりそうにない。
もっと、もっともっと別の方法があるはずだ。
けれどそれは今じゃない。漠然とそんな感覚がボクを襲う。……今は、耐えることしかできなさそうだ。
耐えることを決めて、ケツイを抱く。
「あれ? もしかしてもう諦めちゃった?」
Asrielが両手に大きな剣を握る。そして振るわれるそれをなんとか避ける。
準備と攻撃の間がない分、避けにくいけれどまだ集中していればなんとかなる。
まだ、違う。もう一度ケツイを重ねて抱く。
「まだまだ始まったばかりだよ!!」
Asrielが今度は腕を振るう。するとボクの目の前を雷が駆け抜けた。
……今度の攻撃は、また一段と早い。
「ンガアアアアア!!! ニンゲン、これを使え!!」
Undyneが叫んで、何かをボクに向けて投げる。
思っていたよりも勢いをつけて飛んでくるそれをなんとか掴んでみれば、いつかUndyneから闘いを挑まれた時のように攻撃を防ぐための槍がボクの手に納まっていた。
「ダーリン、雷の飛んでくる方向を言うよ!」
Mettatonがボクに教えてくれる。その方向から飛んでくる雷を槍で防ぐ。
一度、間違えてしまった時には踏みしめている地面から生えるように伸びた骨が防いでくれた。
「はぁ、あんまり戦うことは趣味じゃないんだがな……」
そんなことを言いながらもSansがボクのサポートをしてくれる。
「あら、我が子そんなふてくされてたら腐骨になっちゃうわよ?」
「そりゃ怖い。だったら守る
「あらあら」
「へへへへ」
「本当に今日は最低な日だ!!!!!」
……何と言うか、まるでさっきの通りだ。
みんなで一つの目標に向かって、進もうとしている。みんなで笑い合って、話し合って……。
「そこの集団!! 戦いに集中しろ!!!!」
「……わたしだってUndyneとお話ししたいのに」
「ちょっと! いい加減参加してくれないとツライんだけど!!」
こういうのも変だけど、いつまでもこうして居られたら、なんて思った瞬間だった。
「――はぁ、もういい。もう全部終わりにしてあげるよ」
唐突にAsrielがそう言って、膨大な魔力があたりに満ちる。
Asrielのいる場所に向けてすべてが吸い込まれていく。その中には魔力弾まで流れてきて、避けきるのはとてもじゃないけど出来そうにない。
けれど、それは一人であったらだ。
「はぁ……トンだ厄介事だよな」
「兄ちゃん!!!」
SansとPapyrusが目を合わせて、少しするとSansがめんどくさそうに首を縦に振る。
そして二人が声を合わせる。
「「ガスターブラスター
二人の前に人のものではない、何かの頭蓋骨が現れて、口を開く。
するとその口からビーム状の魔力が発射されて、迫ってきていたAsrielの魔力弾を弾いてしまう。
なんというか、すごい。さすが兄弟とでも言うべきか、息ピッタリだ。
「おいニンゲン、ボーンと骨休めなんてしてる暇はないみたいだぜ?」
「――へ?」
目の前を見れば、変わらずにAsrielがそこにいた。
あの攻撃をしのいだことには驚いているみたいだけど、まだ全力じゃないってそう言ってくる。
そして、また大きく頭がアラートを鳴らす。するとAsrielの姿がブレて――
「これが、本物の『神』さ!!」
姿を大きく変えたAsrielが、ボクたちの行く手を阻む。
「しんじつのラボ」を飛ばすか否か
-
飛ばしてヨシ!
-
飛ばすな書け