【any%RTA】UNDERTALE『二人の地下世界』モード【自殺チャート】 作:波津木 澄
黒く、暗い世界。
何もなく、ただの闇が広がるだけの世界。
そのなかでVictimは背中を丸めて座っていた。
ただ一人だけ、色を持って。
「…………」
泣いているわけでもなく、何もせずにただそこに座っているVictimは何もしていなかった。
Asrielに協力しているわけでも、何でもなくただそこにいた。
だから、横に座ってみる。そうしていると、少ししてから、Victimがボクを見た。
『……なんで、ここにきてるのさ』
「ボクが勝手に来たいって思ったから。だから来たんだよ」
『こんな、何もないところに?』
「うん。キミを助けたくて、こんなところにまで来ちゃった」
ぽつりぽつりと言葉を交わす。
けれどVictimはやはり何もしていない。Asrielが勝手にVictimの中にある『想い』の力を使っているだけ。
だから、ボクだって勝手に助け出してやる。
――手を差し伸べる。
手を取られることはない。ただ静かに首を振られてしまう。
――楽しく話をしようと、正面に立って言葉をかける。
話は弾まない。それは望まれてはいないようだ。
――もっと、たくさんいろいろと試してみる。
どれもこれも、Victimの心を動かすには足りない。
――もう一度、何もせずに時間を過ごしてみた。
すると、何かが見えてくる。
黒しかなかった空間に、別のものが現れ始める。
ただ一人で何もせずにそこにいただけの誰か。
何もせず、何も考えず。そんなところに、声が聞こえてきた誰かの影。
声は、必要としてくれた。
声は、意味があると言ってくれた。
声は、私を呼んでくれた。
意味のなかった誰かに、答えをくれた。
だから、そのために生きることにした。ただそれだけの事。
意味のない時間を過ごしていたけれど、意味があると言ってくれる存在がいた。だからそのために生きる。
そうして言われるがままの行動をしてきた。ただ言われたから、そうすれば喜んでくれるから。
ただそれだけを理由にして、動いてきた。自分の事なんて微塵も考えずに、ただその存在の為だけに自分を使い潰そうとしていた。
それがその存在の喜びになるのならっていう一心で。
――――そんなのは間違っている。
そう叫びたかった。声高らかに言い切ってやりたかった。けれど、それは許されない。
その道を歩んできたんだ。歩んできた道を否定することなんてできやしない。否定したところで、過去は変えることなんてできない。それこそ、"世界の針を戻す"なんて馬鹿げたことでもしない限り。
何も言うことができない。言わないんじゃない。
口を開いたところで、言うべき言葉が見当たらない。影の主が歩んできた道は、ボクの想像を超えていた。
何も、できなかった。
何かを選ぶことができず、ただそこに突っ立っていた。
こうしている間にも、時間は過ぎ去っていく。けれど、目の前には選択肢なんて見えない。
何も、思い浮かばないんだ。
『――――――』
ただ、うつ向いて何もせずにいるボクの耳に、あの子の声が聞こえた。
何もせず、何もできない無力なボクだけれど聞くことだけはできた。あの子の思い出を聞ける。見える。
そこにいたのはボクだった。
名前を知って、その体から離れていくソウルを見て、つい体が動いてしまったボク。
何度も何度も忠告されたのに、それを聞かずに意地を通したせいで呆れたようなため息を吐かれてしまったボク。
そんなボクが、鮮明に映っていた。
形くらいしか映っていたかったこれまでの人影とはまるで違って、はっきりと映っていた。
ボクの言葉が、ボクの行動が。
『――――て』
もう一度、声が聞こえた。今度は、さっきよりもはっきりとした声が。
『―――けて』
あの子は……Victimはボクをしっかりと覚えていてくれた。
ボクという存在が、しっかりとこうして形に残るほどにはっきりと、覚えていてくれたんだ。
大丈夫、ボクはもう迷わない。周りがどういおうが関係なんてない。
――――ボクはただ、想ったことを貫き通すだけなんだから。
もう一度、改めて想いを、"決意"を固める。
純粋な、ボクだけの。ボクの決意を。
『――助けて』
「うん、助けるよ。絶対に――」
選択肢は相変わらず見えてこない。
けれど、そんなことは関係ない。
そう。自分で作ればいいんだ。
新しい選択肢を。
「しんじつのラボ」を飛ばすか否か
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飛ばしてヨシ!
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飛ばすな書け