お久しぶりです。私は元気です。
魔剣使いのヤツルギ君をちょいとばかり「おいらボコ」状態にしてやった次の日。
俺達はギルドに来ていた。理由は先日受けたクエストの報酬を受け取るためだ。
報酬を受け取りに来たのは良いのだが・・・
「なんでよぉ~」とアクアの叫び声が聞こえる。
「あんだけ頑張ったのになんでこれっぽちしかないのよぉ~」
三十万エリスの報酬が十万エリスしかないようだ。
「檻の修理代もあるので・・・」
そういえば、ミツ、ミツ?ミツハニー?君がアクアを檻から出すときに檻を壊してたな。
一応、モンスターでも壊れなかった檻なんだがすごいな。
「私が壊したんじゃないのにぃ~」
うん、ここまでくるとアクアが可哀想だ。確かに、昨日のクエストで一番活躍したのはアクアだ。
アクアがいなければ湖の浄化なんてできないしな。
「ぐすっ」
涙目になっているアクアを見ていると可愛いなと思う。いや、酷い奴だなと自覚しているが、普段は生意気というか傲慢というか上から目線な女神がしょんぼりしているとなると可愛いなと思うじゃん。
そしてダクネスは俺のそんな思考を読み取ったか如く・・・
「バ、バサラは歪んでいるなッ、はぁ、はぁ」
「おい、黙れッ。それ以上なにも口出しするな」
俺は食べていたジャイアントドードの唐揚げをダクネスの口に放り込む。
「ふぐっ」
喉を詰まらせたようで、頬を紅潮させながら呑み込んでいる。
「・・・昨日はなんかカッコいいこといってたのに、バサラもカズマと同じでヤバい奴ですか?」
めぐみんがジト目でこちらを見てくる。
「昨日のことは忘れて欲しいなぁ~、俺もね、ちょいと臭い台詞いったなって思った」
「確かに昨日のバサラは私から見ても少しときめいたぞ」
「「ダクネスが乙女にッ」」
「お、おい、失礼だぞお前ら。私だって女だ。カズマもなんかいってやれ」
「変なもんでも食ったんだろ」
「はうっ」
「「「あっ、いつものダクネスだ」」」
とまぁ、いつも通り過ごしているとアイツが現れた。
「サトウカズマとバサラはいるかッ」
俺とカズマが呼ばれる。俺の方が名前しかないのは、俺の名字を知ってる奴が少ないからだろうか?
「なにしに来たんだ?また、ボコられに来たのか?」
やって来たアイツ、ミツルギに向けてカズマが嫌み成分たっぷりの返答をする。
「ゴッドブロおおおおおおお」
突然アクアがミツルギに向かって拳を放った。
「あんたのせいで檻の修理代払わないといけないじゃないどうしてくれるのよッ。三十万よ三十万」
まるでいじめっこのカツアゲを見ているかのようだ。それにしてもおかしいな。確か檻の修理代は二十万エリスだったはずだ。そしてミツルギは素直に三十万エリスをアクアに渡す。
ミツルギからお金をもらったアクアはすぐさま唐揚げとシュワシュワを注文する。
真っ赤になった頬をさすりながらミツルギはカズマに話をする。
「謝りに来たんだ。昨日はすまなかった。それでなのだが、その、僕の魔剣グラムを返してもらえないだろうか?」
「それは随分と都合がいいんじゃないのか?」
カズマがそういった。
俺はなにもいわないのかって?別にいうことはない。俺がいいたかったことはしっかりとミツルギに伝わっているみたいだしな。
ミツルギもアクアが俺たちの大切な仲間ということを理解してくれた。なら、俺からいうことはなにもない。
あとはカズマとミツルギの問題だ。そこに水を差すなんて俺にはできない。
「そ、それは確かにそうだ。し、しかし」
そこでめぐみんがミツルギの前にたつ。そしてこういった。
「まず、この男がすでに魔剣をもっていないことについて」
「サ、サトウカズマ・・・ぼ、僕の魔剣は?」
「売った」
「ちっくしょおおおおお」
ミツルギは仲間をおいて博打に負けた男かのように大声をだして冒険者ギルドからでていった。
そしてそんなミツルギを仲間の少女二人も追いかけた。
「いったいなんだったのだ?」
ダクネスが出ていったミツルギにたいしてそういった。
「それと、先程から女神様とはいったいなんのことなのだ?」
ダクネスがそういいかけたときに俺は冒険者ギルドからでていった。
とある武器屋の前
「僕の魔剣は売っていないのか?」
「悪いね、確かに昨日すんごい剣がはいってきたけど、すぐに売れちまったんだ」
二人の男が話をしていた。一人はもちろんミツルギ、そしてもう一人は武器屋の店主だ。
「クッ」
悔しそうにミツルギが声を漏らす。
「「キョウヤ」」
そんなミツルギの姿を見て仲間の少女二人も心配そうな表情を見せた。
「店主さん、誰がその剣を買ったのか教えてくれるますか?」
「えっと君の後ろにいる子だよ」
「「「えっ」」」
三人は一斉に振り返った。
「よう、ミツルギ」
鳩が豆鉄砲を食らったかの表情をするミツルギたちに俺はそういった。
場所は再び変わりとある街道のベンチに俺を含めた四人は座ってた。
「魔剣、返してほしいか?」
いつまでもミツルギたちがダンマリするものだから俺から話題をふる。
「あ、あぁ、返してくれるのかい?お金はいくらでも払う」
「お金はいらねぇよ。ただ、条件がある」
「ちょ、キョウヤ」
「わ、私たちがなんでもします。だからッ」
すると二人の少女が突然そんなことをいいだした。
「やめろよ、俺までカズマみたいに噂されるだろ。話は最後まで聞けよ」
なんとか三人を落ち着かせたあと、話を再開する。
「それで、条件と言うのはいったい?」
「ミツルギは魔剣に頼り過ぎているっていう自覚はあるか?」
「・・・あぁ」
「だよな、俺も自覚あるし。転生特典なんていうチートをもらったら誰だって楽にできる」
俺の話を三人は静かに聞いてくれる。
「もしだ、もしも転生特典が効かない相手や使えない場所にいったとき、そんな状況でお前は何ができる?」
「剣術スキルがあるから多少は戦える」
「確かにそうだ。そこでだ、少しの間、グラムを使わずに戦う練習をしてもらおうと思う。それができたらお前にこのグラムを返す。お金もいらない」
「その話ほんとうなんだね?」
「あぁ、嘘はつかねぇ」
「わかった。それで、具体的にどうすればいいんだ?」
「実はな、王竜の祠っていうダンジョンにとある竜がいるんだ。その竜に俺の名前をいって鍛えてくれっていえ。
そうすればその竜はお前を鍛えてくれる」
「わかった。そうすることにするよ。それにしても、君はどうして僕に優しくしてくれるんだい?昨日の件といい、僕は君に邪険に扱われても仕方ないと思っている」
ミツルギは俺の顔を見てそういった。
「同郷だからってのもあるが、パーティーメンバーに慕われているところをみると悪いやつではないってわかる。
そうだろ?」
「えぇ、キョウヤは優しくて強くて」
「私たちを守ってくれる。だから私たちもキョウヤを守りたいし、助けたい。ついていきたいの」
心の底からの言葉に俺も少し涙がでそうだ。
「ほら、可愛い子がこんなに好いてくれてるんだ間違った行動をとってしまっても、悪いやつじゃない。なら間違ったことを間違っているって教えてアドバイスする。そしたらただのいいやつになる」
「バサラといったね、ありがとう」
「気にするな。ひとついっておくが竜の試練は厳しいぞ、下手すれば死ぬかもな。俺も何度死にかけたことやら・・・」
「ッ・・・そ、それでも僕は頑張るよ」
「わ、私も」
「私だって頑張るわ」
「そっか、ならなにもいわない。じゃあな、今度あうときはお前が強くなったときだな」
そういって俺は魔剣グラムをミツルギに渡す。
「えっ?」
「王竜の祠までいく前に死んだらもとも子もないだろ?念のために持っとけ、たどり着く前に死んだらもともこもないしな。まぁ、それも含めて試練かもしれないが、俺はそこまでスパルタじゃねぇよ。じゃあな」
少しカッコつけて俺はカズマたちのもとへ戻った。
感想もらえると嬉しいです。