ベルディアさんが再びやってきましたよッ
前回までの簡単なあらすじミカルギ君となんとなく仲良くなった。
そしてあれから数日たった現在、《アクセルの街》には二人の来客があった。
一人は魔王軍幹部の首無しの騎士ことベルディア
もう一人は俺の天敵である魔王軍幹部眼が綺麗な怖い奴(←命名俺)がやってきた。
「おいアガレス、あの男は俺の獲物だから手出しをするなよ」
「なにいってるのよ、彼は私の方が先に目を付けていたのよ。あんたは雑魚どもを駆逐していればいいじゃない」
身に纏うのは完全なる強者の風格ではあるが、幼い子供のような言い争いをしているのを見ていた冒険者たちは困惑していると同時に駆け出しの自分達に何ができるのか?と考えていた。
そしてカズマたち一行はというと・・・
「どうするんだよアクアッ!」
「また来たのねあの腐れアンデッド、今日こそは私が浄化してあげるわ」
「ふふふ、我が爆裂魔法にかかれば魔王軍幹部など一撃です」
「あのデュラハンの目つきを見ろ。舐めまわすかのように女性たちを見ているぞ」
カズマたちは今日も平常運転だった。
「バサラァ~早くおいでなさい。私が可愛がってあげるわ」
「おい小僧、貴様は俺との再戦を望むのであろう。早くあの奇妙な鎧を纏い、俺と戦え!」
魔王軍幹部のお二人はお二人でバサラとどっちが戦うかでもめているし、何このカオス・・・
「そんなに人の名前呼ばなくても戦いますよっと」
「バサラッさっさと機竜使ってあいつらボコボコにするわよ」
心底めんどくさいという気持ちを持ちながら俺はベルディアとアガレスの前に立つ。
そして俺に続くようにアクアが俺の横に立った。
「ようやくでてきたか」
「ふふふ、ねぇあなた。なんで私のバサラの隣にいるのかしら?」
バサラが出てきたことによりベルディアは待ちくたびれたぞといいたげな反応をし、アガレスは自分のおもちゃを他人に取られたかのような反応をする。
「私は水の女神アクア様よッ。あんたたちみたいな腐れアンデッドにはぴったりのお相手ということをしっかり理解してるのかしら?」
「お、おいアクアッ」
自身満々にベルディアと戦おうとするアクアをカズマが取り押さえる。
「放しなさいよカズマッ、今いいところなんだから」
「お前は女神でも駄女神だろうがッ、あんな奴に勝てるわけないだろ。はやく下がれよ」
「嫌よッ」
「アクアッ!」
カズマがアクアを羽交い絞めし下がろうとする。
「頼むからいうことを聞いてくれッ」
「絶対に嫌ッ。これだけは何が何でも聞けない」
「アクアッ、いい加減にしろ」
断固拒否するアクアを見たカズマがついにしびれを切らし、アクアを叱りつける。
「だ、って、だってだってだってだって、バサラだけに任せられないじゃないッ!」
「ッ・・・アクア」
「バサラは確かに強いけど、無理ばっかりするもの。この前だって無理してた。だから、私も戦うのッ」
いつもの宴会芸を披露したり、酒をがぶ飲みしているアクアではなく、女神としてのアクアがカズマに訴える。
仲間のために自らも戦おうとするアクア。普段のアクアなら人任せにするであろうが、今回は自分も全力で戦うと目が物語っている。
「・・・そうだな、バサラだけじゃ無理するもんな」
「大丈夫ですよアクア、私の爆裂魔法が火を噴けばあんな奴らイチコロですから」
「私も攻撃は当たらないが壁としてなら戦える。クルセイダーを舐めるなよ」
そんなアクアの姿を見てカズマだけではなく、めぐみん、ダクネスも戦場に立った。
「お前ら・・・」
俺は本当なら下がってろと言いたかった。しかし、カズマたち、仲間たちの意思が籠った瞳を見て何もいえなくなる。ここで彼らに下がっていろなんていってしまったら、彼らの意志を無駄にしてしまいそうだからだ。
「回復魔法頼むぞ」
「えぇ」
「爆裂魔法の準備しとけよ」
「任せてください」
「あんまり壁になるとか言ってほしくないんだが、頼りにしてるぜ最硬のクルセイダー」
「あぁ、望むところだ」
「カズマ・・・作戦を頼んだ」
「おうッ、この町は俺達で守るぞ」
俺が頼れる仲間たちにそれだけ伝えるとカズマたちだけではなく、その後ろにいた冒険者たち全員が武器を手に取った。
「いくぞお前ら、アイツらだけに良い格好させんじゃねぇ」
「たりめぇだッ」
「バフ魔法頼むぞ」
「切込み隊長様のお通りじゃあああああああ」
駆け出し冒険者が集まる《アクセルの街》の全冒険者の思いが一つとなった。
「・・・くだらない・・・」
静かにそう呟いたのはアガレス。
「くだらないわね、いくら数が増えようと羽虫は強者に勝てないのよ。バカじゃないかしら」
「さて、俺はそろそろ貴様を斬るとするか。ハッ」
アガレスが冒険者たちに毒を吐いているうちにベルディアは大剣を構え一瞬でバサラとの距離を詰めた。
「ッ」
とっさになんとか防ぐことのできたバサラだったが様子がおかしい。
「どうだ、魔王様によって強化された俺の力は。先日の俺と思って戦うと貴様の首は飛ぶことになるぞ」
「クッ」
「バサラッ《セイクリッド・ターン・アンデッド》」
足元が地面に埋もれてしまっているバサラを見たアクアがすぐに浄化魔法を発動しベルディアの弱体化を図る。
「グッ・・・本当に貴様は駆け出しのアークプリーストなのか?魔王様に強化されてなかったら今のでやられていたかもしれないな」
「サンキュアクア」
決定打にはならなかったものの、ベルディアの体制を崩すことに成功し、即座にバサラは体勢を整える。
「早くあの機竜とかいうものを呼べ」
「いわれなくてもわかってるよ」
バサラは細剣の機攻殻剣を取り出し《リンドヴルム》を呼び出す。
「さぁ、ウォーミングアップはおしまいだ。本気で行くぞ」
「来い小僧」
「「ハァァァァァッ!!」」
大槍と大剣がぶつかりあうと火花が散る。
「ちょっと、何二人で楽しんでるの?」
そういって二人の戦いに割り込んできたのはアガレス。浮遊魔法を発動しているようで空中に浮いていた。
手には禍々しいオーラの漂う杖を持ち、魔法の準備をしている。
「今だッ矢を放てッ」
するとカズマの声が後方からする。その後、百以上の矢がアガレスに襲い掛かった。
「小賢しいわね」
といって矢はアガレスに当たる直前で見えない壁のようなものに弾かれる。
「効かないか・・・聖水の用意をしろ」
再びカズマの声が聞こえる。なんだ、やっぱりカズマには指揮官としての能力があるんじゃないか。
なんて思っているとベルディアの攻撃が機竜の装甲を僅かに傷つけた。
「なんて硬さの鎧だ。貴様もしや日本人か?ならその強さも納得だ」
ベルディアは日本人のことをしっているらしい。
「しかし、俺も何十人と日本人を葬ってきた。貴様にはここで死んでもらうぞ」
「それは困るわベルディア。バサラは私のモノになるのだから」
「ええい、邪魔をするなこのアバズレ」
「誰がアバズレよッ。もう怒った。《デストロイ・ジャッジメント》」
アガレスが魔力を込めて魔法名を唱えると杖の先が紫色に輝く。
「お、おいっ、それは洒落にならないぞ」
ベルディアも焦っている。それほどまでに強力な魔法なのか?
警戒しているとアガレスはベルディアに魔法を放つ。
「ぐあああああああああ」
「えっ?」
まさか、本当に同士撃ちをするとは思っていなかったため、アガレスの行動に目を丸くする。
そして、魔法を喰らったベルディアは体の右半分が消滅し、左半分と左手に持っていた頭だけが残った。
「私を怒らせた罰よ。うふふ」
ローブから見える表情は恍惚としており、なんともいえない気持ちになる。
「き、貴様ッ馬鹿なのかッ本気で仲間を撃つ奴がどこにおるのだっ」
「あらやだ、私は一度もあなたを仲間だなんて思った事は無いわ」
「今ねッ《セイクリッド・ターン・アンデッド》」
「ぬおおおおおおおおおおお」
そこに追い打ちをかけたのは頼れる俺のパーティメンバーの回復担当アクアだった。
完全に弱り切っていたベルディアにはアクアの浄化魔法は流石に効いたらしく、蒼い光の粒子となって消えていく。
それを見届けていた全員は・・・
「えっ?・・・えっ?」
シリアスだと思った?苦戦すると思った?
まさかの展開キタコレ。これがこのすばクオリティ。
ベルディアさん・・・ドンマイ