この素晴らしい機竜使いに祝福を!   作:ナカタカナ

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 前回、あっけなくやられてしまったベルディアさん。強化された感じではあったのだがまさかのアガレスさんによって半身を吹き飛ばされたのち、アクア様の浄化魔法によって浄化されてしまう。


アガレス・・・まさか・・・

 「えっ?」

 

 まさかのベルディアさん退場展開に俺は戸惑いを隠せなかった。しかし、それと同時にラッキーと思ったのも事実だ。

 

 「やったわバサラ。あとはそこの女だけよ」

 

 「お、おう、助かった」

 

 ひとことふたことくらい何かいいたい気もするが・・・一生懸命やってくれたアクアは何も悪くないはずだ。

ただ少しだけ空気を読めないだけで何も悪くない。一応、良い子だしな。これ以上責めるのも酷な物だろう。

 

 そう自分に言い聞かせたあと、俺はアガレスと対峙する。

 

 「うふふ、ようやくあなたを私のモノにできるのね」

 

 完全にヤバい人と化しているアガレスを前に俺も少しビビっていた。

 

 「一応いっておくけど、私には瞬間移動は効かないわよ」

 

 「それはご丁寧に」

 

 「あのときの黒いのは見せてくれないのかしら?」

 

 アガレスがいっているのはおそらく《バハムート》のことだろう。

 

 《バハムート》は確かに強力だが個人的には一体一の戦いに使うよりは何千もの敵を相手にした時の方が使い慣れている。それに黒い機竜に乗れば俺の居場所がアイツ(・・・)に伝わってしまう。

 

 「悪いけど黒いのは使えないんでね。代わりにこちらでもどうよ」

 

 そういって俺は《リンドヴルム》を解除して、赤い機攻殻剣を取り出す。

 

 「うふふ、一体どんな竜が出てくるのかしら・・・」

 

 詠唱符を唱えようとすると俺の体内を流れる血液が一気に沸騰するかのような感覚に陥る。

 

 「分かってるって師匠・・・目覚めろ、開闢の祖。一個にて軍を成す神々の王竜よ、《ティアマト》」

 

 その後、俺は赤い光に包まれた。

 

 「さてと、力を借りますよ師匠」

 

 言葉は発さないが師匠の言葉が伝わってくる。

 

 『ぶちのめせ』と・・・

 

 「美しいわぁ~本当にあなたは私を飽きさせないわね。うふふ、ますますあなたが欲しくなっちゃった」

 

 ペロリと舌なめずりをするアガレス。

 

 「それでは、楽しい楽しい舞踏会といきましょうかレディ。私のダンスは少々荒っぽいですがご了承ください・・・《七つの竜頭(セブンス・ヘッズ)》」

 

 すぐに《ティアマト》の特徴ともいえる高火力の特殊武装を展開し、ぶっぱなす。

 

 その竜の顎から放たれた閃光は爆裂魔法にも負けない一撃である。

 

 紅の光は一直線にアガレスの元へと向かう。そしてそのまま遠い彼方へと軌道を残し、消えた。

 

 「すごい威力ね」

 

 「やっぱり瞬間移動を使えるのか」

 

 直撃したかと思いきやアガレスは俺の背後で何事も無かったかのように佇んでいる。

 

 「ッ」

 

 そして直後、一瞬で俺の目の前に瞬間移動したアガレスは俺の唇を奪おうとしてくる。

 

 「もう喰らわないぞ」

 

 「あら、残念。せっかく堕としてあげようと思ったのに」

 

 三度目は流石に洒落にならない。二度の戦いで学習した俺はとっさにバックステップで回避する。

 

 「うふふ、私も少しだけ力を見せてあげる」

 

 「《ファンタズム・パーティ》」

 

 小さな声でそう呟いたアガレスの姿がブレる。一人から二人、二人から四人さらに八人へとアガレスは増えた。

 

 「「「「「「「「どう?面白いでしょ」」」」」」」」

 

 声が八つに聞こえて気持ち悪い。

 

 「マジかよ」

 

 ただでさえ面倒な相手が八人になるとか・・・これが幻術ならば本体は一体だけなのだが、某忍者漫画の影分身のように実体化しているとすれば面倒なことこの上ない。

 

 「だがしかし、分身が増えた所でこの機竜には相性が悪かったな」

 

 俺が纏っている機竜は神装機竜《ティアマト》その真なる力神装の能力とは・・・

 

 「喰らえ《天声(スプレッシャー)》」

 

 俺が神装を発動させると宙に浮いていた八人のアガレスは地面に這いつくばる。

 

 そう、この機竜の神装の能力とは重力制御。

 

 いくら人数が増えようとも重力制御の前では動きが封じられる。

 

 「なっ」

 

 そしてアガレスもこの神装に驚いたのか先ほどまで八人だったのが一人、つまり本人だけになる。

 

 「くっ、から、だが、重い」

 

 「これで終わりだといいたいが・・・」

 

 《リンドヴルム》に続き、《ティアマト》を操作したため俺の体力は既に底をつきかけようとしていた。

本来ならもう一度《七つの竜頭(セブンス・ヘッズ)》を使って終わらせたいところだが、ここで特殊武装を使うと下手すれば機竜が暴走する可能性がある。

 

 暴走した機竜は搭乗者を命に危険に招くだけではなく《アクセルの街》にも被害を与えてしまう。

 

 「めぐみいいいいん。準備は出来てるかッ」

 

 「は、はいっ」

 

 「撃てッ」

 

 「任せてくださいッ。我が最強の爆裂魔法を受けるがいい《エクスプロージョンッ》」

 

 だからこそ、俺はパーティメンバーで一番の火力を持つ厨二ロリのめぐみんに託す。

 

 おびただしい量の魔力が集まり、闇を作り星を作りそして爆裂を生み出す。

 

 「ぐっ・・・」

 

 爆裂する直前、アガレスの声が聞こえた。これでアイツもベルディアと同じ場所へ行くだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 爆裂魔法が平原を焼き尽くしたあと、砂ぼこりが巻き上がり、視界が遮られる。

 

 少しずつ煙は晴れていく。そして、完全に煙が収まったあとに残っていたのが焼尽と化した平原。

アガレスの姿はそこになく。勝ったのだと確信した。

 

 冒険者たちも勝どきをあげようとしたその直後

 

 「危ないッ」

 

 ダクネスが機竜を解除した俺の正面に立つ。

 

 「ガハッ」という声がしたと思ったらダクネスは倒れる。

 

 「ダクネスッ」

 

 「だ、いじょうぶだ」

 

 すぐに抱き起すと軽い打撲で済んだダクネスに安心する。

 

 そしてダクネスを攻撃したのは・・・

 

 「よくもやってくれたわね」

 

 アガレスだった。

 

 顔を隠していたフードは完全に燃え尽きてしまい素顔が見える。

 

 人形のように整っている顔だが、一か所だけ明らかに人間とは違う場所がある。頭だ。

アガレスの頭からは二本の角が生えていた。

 

 そしてその角は俺も似たようなものを見たことがある。というか、なじみ深い角だ。

 

 「お前・・・竜なのか?」

 

 「ッ・・・見られちゃったら仕方ないわね。吹き飛びなさいッ《デストロイ・ジャッジメント》」

 

 顔を見られたことで逆鱗に触れてしまったのかベルディアに向かって放ったものと同じ魔法を《アクセルの街》へと向けて放つ。

 

 「避けろッ」

 

 声が張り裂けそうな勢いで叫んだ。

 

 そのおかげで冒険者たちは直撃を免れたが四肢をなくした者とかもいる。これくらいならアクアの回復魔法でどうにかなるだろうと思ったが、《アクセルの街》の城門は吹き飛ぶ。

 

 「つ、次こそは必ずあなたを私のモノにしてあげるから覚悟しなさいよッ」

 

 怒りが収まったのか冷静に戻ったアガレスがそう吐き捨てて消える。

 

 「また逃げられた」

 

 その後、俺の意識も途絶える。

 

 最後に感じたのはめちゃくちゃ硬い鉄の感触とふわりと俺を優しく包む甘いいい匂いだった。

 

 

 

 

 

 





 アガレスの正体はまさかの竜ッ

 これは何かのフラグなのか?原作通り《アクセルの街》は破壊されてしまったのだがこの修繕費は一体だれが出すのやら・・・
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