私には、こんな世界で生きる意味なんて無いと思っていた。
「サーヴァント、セイバー参上致しました」
だけど、今は少しだけ。
「問おう、貴方が私のマスターか?」
「嘘でしょ……」
生きていたいと、そう願ってしまった……。
不肖、この私、水野蓮『みずのれん』には友達が居ない。うん、ボッチだ。
学校の教室では何時も一人で本を読んでいる、愛読書は『僕は友達が少ない!!』。志熊理科が推しだ、あの変態なのに実は誰よりも他の人を見ているところが好き。
あと、あの変態性が好き。
話を戻そう、学校が終われば私は寄り道をすることなく家に帰るのが日課だった。そう、日課だった。
「蓮、ようやく終わりましたか。それでは行きますよ」
「ねぇ、セイバー?」
私は思わず尋ねてしまう。
「はい?なんですか、蓮?」
『私、何かおかしいですか?』みたいな顔して、私を見つめてくるが……。
「何時からそこに居たの?」
校門を出ると、すぐ目の前の歩道に私の英霊《サーヴァント》のセイバーが居た。
「そうですね……、頼まれていた洗濯物を干し終えて、先日連れて行ってもらった図書館で本を読んでからでからなので……」
洗濯物干してくれたんだ、良かった。一人暮らしだと大変で。それに図書館行ってたんだ、この前何かの本を静かに読んでいたからそれを読んでいたのだろう。
「およそ、三時間ほど前でしょうか?」
「何でそんなに早くいるの!」
セイバーの解答に、思わず声を大にしてしまう。
「それは…、蓮には確かに自宅待機と言われてましたけど…。やはり不安でして……」
彼女なりの心遣いで動いたのだろうが、流石に三時間前は早すぎるよ。
「だから、セイバーの周りにはそんなに猫が集まってるの?」
真面目な彼女だから、地面に座って待っているという事はなく。綺麗に背筋を伸ばして待っている、と思っていたが……。
「こ、これはですね、蓮。この猫たちが勝手に寄って来て…」
私の質問に慌てるセイバー。
「ふ〜ん……」
その姿が面白くてつい意地悪したくなる。
「でもね、セイバー。その猫たちは連れていけないんだ〜」
「なっ!」
「だからね、もしセイバーが行くならその猫たちはここに置いていかないとだめだよ?」
どうしよう、凄い真剣に悩み始めた……。お腹痛い、ちょー笑いたいんだけど。
「仕方がない、白玉、小豆、貴方たちとはここでお別れです」
『みゃ〜』
「ぅう……、駄目です……。貴方たちは来ては駄目なのです……」
やばい……、本気で面白い……。小さな猫に真剣に語りかける、セイバー……、しかも涙目……。
「ぷっ、ぷぷ……」
「ま、マスター。い、今笑いましたね」
やべ、堪えに堪えていたのにバレてしまった……。でも、バレちゃったら仕方ないか……。
「だって、セイバーが、セイバーが。猫に、子猫に真剣に語りかけているんだもん」
セイバーの顔がみるみる茹でだこのように真っ赤になっていく。
「あははは……、は〜……。名前のチョイスも……」
あ、駄目だ。せっかく収まったのに、また笑いが止まらない……。
あんまりにも私が笑い出すので、遂に……。
「もう、良いです!蓮の事なんて知りません、行きますよ、白玉、小豆」
『みゃ〜』
二匹の猫を拾い上げて、私を置いて歩き初めてしまった。
「え、ちょっと。セイバー、何処に行くの?」
慌てセイバーの後を追い、彼女の肩をそっと叩く。
「教えません、マスターは意地悪ばかりするので」
完全には怒ってないけど、これはこじらせると厄介だな……。
「セイバー、先に言うけど」
「何ですか……」
むっとした表情で振り返る。
「もしその猫たちを飼うなら、お世話は勿論、ご飯とかも自分で用意してね」
「え、う、嘘ですよね……」
壊れたブリキ人形のように、カタカタと震えながらこちらを見つめてくる。
「だって、まず私は自分の生活費とセイバーの生活費で手一杯だもん」
貯金があったから良かったけど、セイバーがご飯をよく食べるから食費が消える一方。
「だから、お世話に必要な道具、ご飯、病気にならない為の予防接種、全部自分でなんとかしてよね」
「そ、そんな……」
この猫たちをお世話するのに、そこまで大変だとは思っていなかったようで、先程のまでの態度とはうって変わり……。
「れ、蓮……」
セイバーが目元に涙を浮かべて、
「お願いします……、この猫たちを一緒に住まわせてください……」
お願いしてきた。
「だからね、もう私の方でも」
「だったら、一週間に三回の蓮との買い食いを三週間に一回にするので……」
「うっ、そうくるか……」
『一週間に三回の買い食い』とは私とセイバーが、学校の帰り道に自分たちへのご褒美として何か買ってたべる日の事。
「でも、良いの?毎週の楽しみじゃないの?」
「私が我慢をして、この猫たちが幸せになれるのなら……」
猫たちを抱きしめながら、微笑むセイバー。
「はぁ……」
こんな風にお願いされたら無理だよ、どんなのか?セイバーは光り輝く黄金色の髪に、透き通るよう碧眼を持ち合わせている。そんな彼女が胸元に猫二匹を抱きかかえて見つめられているんだよ。耐えられると思うの?
大きく溜め息をして、胸元に抱きかかえられた二匹の猫の頭をそっと撫でる。
『みゃ〜』
こいつら中々可愛いな……。駄目と言ってはずなのに、はずなのに……。
「分かった、良いよ……」
「ほ、本当ですか!」
結局、私が折れることにした。
「但し、三週間に一回じゃなくて、一ヶ月に一回ね」
「はい!」
条件は変わるがこれはこの猫たちを飼うために必要なのだ……。それに……。
「良かったな、白玉、小豆」
「セイバー、やっぱりセイバーは笑顔でいる時が一番素敵だよ」
誰にも聞こえない、風の音に巻きこれて程の小さな声でそう言った。
「じゃあ、セイバー。今からその猫たちの生活道具を買いに行くよ」
「……」
あれ?反応がないけど?
「セイバー?」
「っ!は、はい。そうですね、この猫たちの生活道具ですね」
何故か顔を真っ赤にして、私の前を歩くセイバー。
「全く、しっかりしてよね」
セイバーに追いつくために、少し早歩きで向かい背中から抱きつく。
今日も私とセイバーは仲良く暮らしています。
始めましての人は始めまして、知っている人はどうも。
この度、Fateの二次創作を書かせて頂きました。
Fateとはアニメで『Fate/EXTRA Last Encore』と『Fate/Grand Order絶対魔獣戦線バビロニア』しか見ていないので、にわかファンですみません……。
ですが、Fateの二次創作を読んだり、Pixivのイラストを見ていてFateの魅力にどっぷり浸かってしまいした。
拙い文章ですが、よろしくお願いします。
ご閲覧していただきありがとうございました。
感想など、お待ちしております。