NEED FOR SPEED:Legend Of The Lan   作:天羽々矢

1 / 16
また性懲りもなく別の作品を書いてしまった・・・ホント、ネタだけはポンポン出るんですよね・・・
まぁ、暇見つけてちまちま進めていくしかないか・・・
という訳で、閲覧者の皆様は期待しない方向でお願いしますm(__)m


Opening Section 胎動

ストリートレーサー・・・それは自分の相棒である車に特別な改造を施し、公道というコースを誰よりも速く走らんとする者達の総称である。

 

我々の住む地球ではそのような事は決して認められる物ではないが、その認識に縛られる事を拒む者は確かに存在する。

 

それは我々から見れば異世界とも言える場所も例外ではない・・・。

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

深夜で人気の全くない港エリア。

そこに響き渡るエンジンの爆音と共に4台の車が猛スピードで倉庫の影からドリフトしながら飛び出してきた。そしてコーナーを立ち上がり先頭に出たのはメタリックホワイトのボディにフロントバンパーとボンネットにライムグリーンのストライプが施されている、TRD製の3000GTエアロボディキットで統一されHKS製大口径マフラーを装備した1997年式トヨタ・スープラ(JZA80)だ。

そしてそのスープラの後を追うのはオレンジの1970年式ダッジ・チャージャーR/T、薄く青みがかったシルバーの2009年式アストンマーティン・DB9、RE雨宮のエアロパーツで統一された緑のマツダ・RX-7(FD3S)である。

 

ここまででお分かりになった方もいらっしゃるかもしれないが彼らはストリートレーサー。この深夜の港にて賞金を賭けながら自身の腕を競い合っているのだ。

 

4台はコーナーを抜け最後のストレートへ。先頭のスープラにチャージャーR/Tが迫るが、スープラの運転手はギアをトップの6速へ叩き込みアクセルを強く踏み込む。轟く爆音と共に2JZ-GTE直列6気筒エンジンから発せられたパワーが余す事無く路面に伝えられ車が更に加速。スピードメーターは160kmに迫る勢いで振れ他車の追随を許さない。そして500m先の発煙筒が炊かれたゴールポストを1番に駆け抜けた。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「ふぅ・・・」

 

ゴールポストの先にある駐車場。先程のレース参加車の他にも別の車もちらほら見かけ、ギャラリーさしき聴衆も見受けられる。

 

そんな中で先程1着でゴールしたスープラからドライバーらしき若年の男が一息つきながら降りる。

赤のメッシュがかかった白髪で一見女性のような中性的な顔立ち。上着は黒い半袖のパーカーで下はカーキのカーゴパンツをはいた彼の名は“リュウ・アステリオン”。職業はかつては時空管理局と呼ばれる治安維持機構の三等陸尉とそこそこ上の位だったが2年ほど前に退役し今は第3管理世界ヴァイセンを中心に活動するカレドヴルフ・テクニクス社に鞍替えしている。

 

その彼、リュウにレースの進行を務めていたスターター役の人から、レース前に参加者から徴収していた3500ドル・・・参加者は4人の為合計14000ドルの入った封筒を渡される。

リュウはその封筒を受け取ると何処かに向かう。向かった先には1台の車が停まっておりそのボンネットに腰掛ける1人の若年の男。

長い金髪を首の後ろ辺りで束ねている為一見すると短い金髪のように見える彼はリュウを見つけると軽く微笑んで右手を挙げるが、逆にリュウはジト目を向ける。

 

「お帰りリュウ、今夜もやっぱり君の勝ちだったね」

 

「・・・ユーノ、それ俺の車なの知ってるよな・・・?」

 

リュウにユーノと呼ばれた彼は“ユーノ・スクライア”。

彼は管理局の無限書庫と呼ばれるまさに資料の山とも言える場所の支所長を務める重役だが、最近は刺激を求め時折こうして夜の公道に出て来る。

・・・そして、リュウの友人でもある。

 

「別にいいだろ?君に僕の車を貸してるんだから」

 

ユーノの発言にリュウはやれやれと言った具合で溜め息をつく。

そう、レースで彼が駆っていたスープラは元々はリュウの車ではなくユーノの車だったのだ。だが実際は今夜のレースがデカい山になると分かりリュウに無理矢理押し付けたのだが・・・。

 

「まぁ悪かったとは思ってるし・・・分け前は6:4でいいよ。僕が4で君が6って事で」

 

そんなリュウの心境を知ってか否かユーノが言葉を発し、リュウは軽く肩を竦めつつも封筒を漁って中身の14000ドルの内の5600ドルをユーノのスープラのキーと共にユーノの右掌に叩きつけるように渡す。

するとユーノが座っていたボンネットから降りリュウがその車に乗り込みエンジンをかける。

 

リュウの本当の所有車は黒いボディにボンネットと車体両側に赤い炎のバイナルをあしらい、DAMD製ボディキットとARC製GTウィングを装備した三菱・ランサーエボリューションⅨだったのだ。

 

「じゃあ、またな」

 

「うん、また頼むよ」

 

ユーノと言葉を軽く交わし、リュウは駐車場からランエボⅨを発車させる。

それを後目に残りのレーサーやギャラリーの人々も散り散りになっていく。

 

 

 

 

 

・・・だが既に、この時からだった。

 

カチり、と運命の歯車が音を出し動き始める・・・




イメージOP曲:THE MEANING OF TRUTH/HIRO-X

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。