NEED FOR SPEED:Legend Of The Lan   作:天羽々矢

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OP:THE MEANING OF TRUTH/HIRO-X


Section10 砂嵐

クラナガンまでの距離・・・4,312km

 

リュウの現在の走行順位・・・172位

 

 

フォーチュンバレージャンクション。前方の集団を追いR34GT-Rを走らせるリュウだったが、ふと彼方の方の空を見ると茶色く曇り始めていた。

それが何を意味しているか、この地域の事情を考えれば推測は難しくなかった。

 

「こんな時に砂嵐か・・・!」

 

小さく悪態をつきながらも、リュウはエアコンをオフにし送風口も閉じる。

少し経つと、辺りに砂を孕んだ風が吹き荒れ、視界は赤茶けた砂埃で阻まれ砂の粒が車体を激しく叩き始める。

 

遮られた視界を前にリュウはハイビームライトを点灯させながらもギアを5速に入れGT-Rを加速させる。

この砂嵐の影響で前の集団のペースが少し落ちたようだ。

視界が効かないこの天候下では何時一般車が現れるか分からない。ましてや相手をパッシングすべく対向車線に出れば何も知らない一般車がいきなり飛び出してくる危険を孕んでいるのだ。

だが良い腕を持ちかつ鋭い勘を持ったドライバーであれば一瞬でも隙があれば追い抜きが出来るチャンスでもある。

 

そして、その隙というのは存外早くやって来た。

前の一般車と対向車線の一般車が途切れたのだ。この一瞬の好機を逃さずリュウはアクセルを踏み込み前を走る緑の2016年式フォード・F-150ラプターをパスし、勢いそのままに連なるように走っている黒と紫ツートンの1971年式ダッジ・チャレンジャーR/T、赤のポルシェ・930型911、白の日産・S13型180SXの改造モデルであるシルエイティ、黒のトヨタ・MR2 GT-S(SW20)の4台をごぼう抜きし168位までジャンプアップした。

 

リュウはその顔に笑みを浮かべるもそれはすぐ消える事となる。

路肩の廃屋の裏に隠れる形で潜んでいた2台のパトカーが見えたからだ。

それは現地管理局警邏隊所属の“フォード・トーラス・ポリスインターセプター”。

 

[10-81、コード3で追跡する!]

 

2台はリュウ達を見つけるや否やけたたましくサイレンを鳴らし砂嵐という悪天候の中急発進。追跡を始める。

 

[了解、目標車両を教えてくれ]

 

[目標は・・・あった、こいつに違いない!目標はシルバーのスカイラインGT-R!ただ何かあったんだろうか?目標車両にはかなりのダメージが見れる]

 

タブレットの隣に取り付けたクリスタル型デバイスが点滅しながら管理局の無線を傍受し始める。

リュウの背後では管理局の登場に浮足立ったレーサー達が何人か逮捕されている。そんな彼らを後目にリュウはペースを上げ管理局を引き離しつつ前の集団を追いかける。

 

[ズールー3-6、コード6の一団を発見。コード3に移行!]

 

だが前でもパトロールしていたらしいポリスインターセプターが前にいたレーサーの追跡を既に始めており、前の集団はパトカーに妨害されペースを落とさざるを得ない状況となっている。

そんな混戦である中でもリュウは加速を止めずペースを落としたレーサー車両4台を再びごぼう抜き。164位に上がる。

この調子でいけばシルバーロックまでの希望は見えてくる。

 

[デルタ4-5、バリケードの設置完了。目標を追い込んでください!]

 

ジャンプアップしたリュウの前方には10台ものレーサーの集団、これを追い抜けば第1関門突破に大きく近づく、だがそんな中でデバイスが傍受した管理局の無線。どうやらこの先の道、シルバーキャニオン・トレイル・ハイウェイは既に封鎖されているらしい。だが後ろには追ってきているパトカー、前進も後戻りもできないといった最悪の状況であろう。

 

やがて前方に管理局が構築したバリケードが見えてきたが、もっとタチの悪い事態が起きていた。

本来であれば後続のパトカーの為にある程度通れるスペースは開けておく物だが、無理に突破しようとしたレーサーの3代目ロータス・エキシージがバリケードを構築する車両と激突事故を起こしており、更にそれに巻き込まれたクラッシュしたレーサー車両4台によって道路は完全に通れない状態となっていた。

 

残された道は停車し投降するか、バリケードに突っ込んでクラッシュしかないという絶望的な状況だが、リュウは第3の選択肢という突破口を見つけた。

それはバリケード左側、岩の谷間に奔る砂利道だ。幅はかなり狭く車1台がギリギリ通れるかの幅しかないが、やるしかない。

 

「・・・!!」

 

覚悟を決めバリケードに突撃する直前にギアを5速から一気に3速に落とし目一杯サイドブレーキを引いてハンドルを左へ。GT-Rは左に急旋回しオフロードに入った。

 

[クソッ!目標が道路を逸れた!繰り返す、目標が道路を逸れた!!]

 

怒号と悲鳴が混じったような局員の無線を聞き、リュウはしてやったりといったような笑みを浮かべ岩の谷間に差し掛かる。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

シルバーキャニオン・トレイル・・・

 

今尚車列先頭では、カストロール・トムス・スープラ擬きの青い80スープラとパトカー擬きのエクスプローラーとのバトルが続いていた。

変わらず的確なブロッキングでエクスプローラーの進路を塞ぐトムス・スープラ。

 

「チィッ!!」

 

その悪辣な手にエクスプローラーのドライバーの哲也はフラストレーションがマックスまで溜まりそうな程憤慨しており、その右手には力が込められている。

このままでは車窓越しでも車1台を吹き飛ばせる程の威力を持つパンチが炸裂してしまいそうだ。

 

しかし、その均衡は次の高速右コーナーで突然崩れる事となる。2台はコーナーに差し掛かる、その瞬間、

 

 

ブォォォォォンッ!!

 

「何っ!?」

 

「なぁっ!?」

 

トムス・スープラのドライバー、タツミと哲也が同時にその方を向き驚愕した。

向いた先には、左側の崖から飛び出してきたシルバーのR34GT-Rが盛大に着地し、バトル中の2台の前に出たのだ。

そのGT-Rとは、もちろんリュウの操るマシンだ。

 

《お見事ですマスター!先程のショートカットで150位以内に入りました!》

 

「そうか・・・!!」

 

ウルスからの報告にリュウは顔を綻ばせた。何しろ147位を走っていたタツミの前に出たという事は既に自分は第1関門のラインである150位以内に食い込んだという事なのだから。

 

「クソ、今度はワイスピモドキか!?誰だよあのムチャクチャな野郎は!?」

 

リュウのGT-Rが飛び入ってきた為に順位を1つ落とした哲也は飛び込んできたGT-Rのドライバーの情報をインパネに固定したタブレットで調べる。だがその後に言葉を失くす。

 

「・・・リュウ・・・?」

 

呟くように口を開き言葉を漏らす哲也。

飛び込んできた現147位のドライバー、リュウ・アステリオンはこのミッドチルダにおいて彼の親友とも言える人物であったからだ。

彼は独自で今回のリュウの指名手配の件を調べ、それらがカラハン家の陰謀である事を薄っすらではあるが突き止めていた。

 

「出過ぎた真似を・・・!!」

 

だが今の状況が一番気に食わないのはタツミである。今まで自分が集団の先頭だったのにそれに割り込み、尚且つ自分の前を走っているリュウに向け恨めし気に吐き捨てると、ギアを1段低い5速に入れスープラを加速。

前を走るリュウのGT-Rのリアに加速の勢いそのままにぶつけに行ったではないか。

 

「リュウ!」

 

その光景を見て哲也が声を荒げる。

GT-Rは僅かにバランスを崩し失速。その感にタツミのトムス・スープラがリュウのGT-Rの右隣に並び1度右にハンドルを切って距離を取った後に思い切り左に切ってGT-Rに迫りリュウを舗装路の外に突き飛ばそうとしたではないか。

 

このままリュウがスープラに押し出され道路外に弾き飛ばされるかと思われたが、リュウはギアを4速に落とし急ブレーキをかけて減速。タツミのスープラは攻撃を外しそのままGT-Rの前を左へと横切っていった。

 

「クソッ!」

 

タツミはすかさずハンドルを右に切り直しスープラを戻そうとするが勢いがついたスープラはそのまま外側に流れていき、リアが大きくスライドしてしまいその際に左の外側にあった岩の壁にリアウィングの左端を引っ掛けてしまいリアウィングを破損させてしまう。その上ウィングを引っ掛けたせいで失速しリュウに離されただけでなく先程まで後ろを走っていた哲也のエクスプローラーにも先行を許してしまった。

 

「ふざけるな下種共がっ!!」

 

怒りを隠す気も無くタツミは憎々し気に叫びクラクションに右拳を叩きつける。

 

「へっ、ざまあみろ!」

 

後ろでクラクションを鳴らすトムス・スープラを見て哲也が勝気な笑みを浮かべる。だがそんな哲也に悲劇が訪れるとは知る由もなかった。

 

[10-72、別のコード6が接近中!]

 

[了解、奴等を追い込め!]

 

と、ここでクリスタル型デバイスが再び管理局の無線を傍受。内容から推測するに次の緩い右コーナーの先に別のバリケードを設置したようだ。

リュウのGT-Rを筆頭に3台が間もなくバリケードに差し掛かる。

 

「行くぞ!」

 

GT-Rは更に加速しバリケードに接敵。

今度は道を塞ぐ邪魔なレーサー車両は無い。リュウは冷静に、そして的確に後続車用に開けられたスペースを突破。哲也のエクスプローラーとタツミのトムス・スープラもそれに続いた。

 

[奴等が通過!通過したぞ!!]

 

[目標は回避、奴等に逃げられた!!]

 

バリケードを突破した事による局員達の焦りの声がデバイス越しに聞こえてくる。

 

[俺たちはここまでだ・・・ネビュラ州のハイウェイパトロール隊に手配犯の情報を送る!]

 

どうやら警邏隊の管轄域から外れたようでこれ以上追ってはこなかった。

するとリュウのGT-Rが突然スローダウンし始め、エクスプローラーとトムス・スープラを先行させたではないか。

 

リュウの訳も分からない行為に哲也はおろかタツミも困惑するが理由は至極簡単だ。

 

「うぅ~・・・」

 

悔し気に唸るリュウの視線の先には、オレンジの燃料警告灯が点いた燃料系があった。

ここまで無補給で走ってきたGT-Rが、もう腹ペコだと訴えていたのだ。ここからは燃料を労るエコドライブで走らなければ燃料切れでリタイアという何とも恥ずかしい結果になってしまう故、やむを得ない選択だったのだ。

 

だがここに来て砂嵐が晴れ始めそのお陰で視界が戻っていく。

そして砂漠の右脇に立っている看板を見て胸を撫で下ろすと同時に、ここまで来たんだと更に気合が入る。

 

 

“シルバーロックまで、あと10km”

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

同時刻・・・

 

シルバーロック北の街外れにある廃棄された飛行場“エアフィールド73”。

そこに機動六課メンバー達の拠点である次元航行艦ヴォルフラムが腰を下ろしていた。

 

そして同内格納庫では、はやて、リインとN2Rメンバーを除いた六課メンバーとギルバートが各々の相棒であるマシンに乗り込みギルバートのチャージャーを先頭に2列4台に並び静かに時を待っていた。

そして、格納庫内のスピーカーからはやての声が聞こえ出す。

 

《艦内各員、たった今現地のスピードカメラがリュウを捉えたのを確認しました!目標はこのままインターステイト20を西進。シルバーロックに向かってるのは間違いあらへん。何としてもシルバーロックから逃げ出す前に確保する事!各員、作戦開始!!》

 

『了解!!』

 

アナウンスが終わりメンバー達は威勢よく返事すると格納庫内にブザーが鳴り響き、目の前のハッチが重い駆動音を上げながら開放されていく。

それを見てなのは達は鋼の獣達を目覚めさせる。

爆音を上げながらエンジンがスタートし、目の前のハッチが完全に開放された。

するとなのは達の前に3カウント式のレーシングシグナルを模したホログラムが現れ、3つのシグナルが左から順に赤く点灯していき、

 

「・・・GO!!」

 

シグナルのブラックアウトと同時にギルバートのチャージャーが強いトルク故のウィリーを決めながら発進。それを見てなのはのGT-Rとフェイトのエンツォフェラーリを始めとした六課メンバーのマシンも盛大にホイルスピンをかましながら急発進していく。

チャージャー、GT-R、エンツォを先頭にして9台のマシンはエアフィールドを出て073号フリーウェイをけたたましいサイレンを鳴らしながら南へ高速で疾走していく。




劇中曲:EXPLESS LOVE/MEGA NRG MAN

ED:Blast My Desire/m.o.v.e


今回は哲也とタツミとのバトルはともかく、端折りすぎたかな・・・?
読者方がついてこれているが不安です・・・
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