NEED FOR SPEED:Legend Of The Lan   作:天羽々矢

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OP:Never Ever/今井翼


Section15 熱砂

クラナガンまでの距離・・・3,847km

 

リュウの現在の走行順位・・・130位

 

 

日の出から間もない午前7時程、ルノ州ジリオン・ナショナルパークのエッジロックビルに砂煙を上げながら疾走する11台の車団。その最後尾に遂にリュウのC7コルベットが追いついた。

後尾から順に、

 

白の三菱・ランサーエボリューションⅣ、

青の日産・フェアレディ350Z、

青のスバル・インプレッサWRX STI(GRB)

黒の2010年式6代目フォード・マスタング、

シルバーのフォルクスワーゲン・ゴルフⅦ GTI クラブスポーツ、

紫の三菱・エクリプスGT、

赤の1983年式トヨタ・セリカXX、

黄色のポルシェ・964型911、

緑のBMW・E89型Z4、

白の1999年式ホンダ・インテグラ タイプR(DC2)、

 

そして車団の先頭を走るはGT4レースカーのようなボディキット、GTウィング、GT500タイプダクト付カーボンボンネット、CERVINIのカットバックサイドエキゾーストを装着したトリプルイエローの2015年式7代目フォード・マスタング。

 

ここから先は第1関門を突破した強者揃い、リュウとて一筋縄ではいかないだろう。

内心そんな事を頭の片隅で考えつつもリュウはハンドルを握りしめコルベットを走らせる。

 

岩場に挟まれた未舗装の砂利道をラリーのごとく疾走していく車団。より正確にはレース形式で行われるラリークロスに近いだろうか。

 

未舗装故にタイヤのグリップも大きく落ち込み少しの操作ミスがマシンの制御不能に陥りかねないこの状況下でありながらリュウは着実にライバルとの距離を詰めてくている。

 

しかし無理に勝負を仕掛ければコントロールを無くし自滅する事はリュウも分かっている為、砂利道では無理せず飛ばすという対局的な2つの要素を上手く纏めている故に、車団最後尾のランエボⅣをパスし勢いそのままに350Zとインプレッサも追い抜いていく。

 

その先は切通しのような岩壁の間を縫うように通る入り組んだ区間。無理に追い抜こうとして壁に接触し大破という事態を避けるべく前走のマスタングにピタリと張り付き。切通し区間を抜けると一気にペースを上げマスタングを抜き去る。

 

ここまでで126位までジャンプアップ、次に狙うはゴルフ クラブスポーツだがここで再度岩壁の間を抜ける切通し区間に突入。これでまた無理は出来なくなった。

だが少しのチャンスでも物にする、それがリュウだ。

 

「・・・ここだ!」

 

区間の右ヘアピンにてオーバースピードによりアンダーステアを出して立ち上がりで大きくもたついた前走のエクリプスGTに閊えゴルフの加速が遅れた。それに乗じリュウはマシンを適正速度にコントロールし滑り込むように2台の内側へ入っていく。

 

次は左ヘアピン。テール・トゥ・ノーズのセリカXXと964が順位を争っているが後続のセリカXXが勝負を焦り接近する964を避けようとコーナリングしながらブレーキングし結果アンダーを出してしまった。その間にリュウのコルベットがセリカXXを抜き去り今度は964をロックオンする。

この先は切通しが狭くなる。両端目一杯に寄れば車2台がギリギリで通れるかの幅しかない区間でコルベットが964に並びかける。そうなれば964のドライバーはクラッシュの恐怖からブレーキをかけリュウが前に出る。

 

《マスター、次のヘアピンの先は舗装路です!》

 

「分かった!」

 

相棒(ウルス)からの声にも耳を傾けつつ目の前を走るZ4、インテR、マスタングGTを狙うリュウ。

連なったまま右ヘアピンを抜けた3台にコルベットが追い縋る。だが、

 

[ハイウェイパトロールへ、エッジロックビルにて大規模な違法ラリーレースとの情報!]

 

ここでコンソールに取り付けている傍受用デバイスが点滅しながら管理局の無線を傍受した。

どうやらリュウ達の動きが知られたようである。

 

その無線に思わずリュウは顔をしかめるが、すぐに車団は緩い左コーナーを抜け舗装路に合流する。

だが最悪な事に、鉢合わせてしまった。

 

[地上部隊へ、ストリートレーサーらしき車両の一団を発見。コード3!]

 

舗装路に合流してくるリュウ達を発見しサイレンを鳴らし出したのは“日産 GT-R(R35)”。シルバーロックにてなのはが乗っていたGT-R NISMOに比べればスペックは劣るがそれでもスーパーカーを十分に相手取れる性能を持つ車だ。

 

舗装路と合流してすぐに管理局の追跡部隊、それもハイウェイパトロールに見つかってしまった不運を嘆きそうになるリュウだったが今は考える時間も惜しい。ここからは管理局の追跡を避けながら他のライバル達の前を行かねばならないのだ。

 

合流した舗装路のシルクのような滑らかな走り心地に浸る間もなく、リュウは目先の緩い右コーナーでなく切通しになって封鎖されている直進の砂利道へ突っ込む。

 

[クソ、被疑者が道から外れた!]

 

尚もデバイスが傍受し続ける管理局無線を後目にレースを続ける前走3台を切通しを突っ切る事でパスする事に成功。リュウが舗装路に戻った頃にはリュウが車団の先頭に立っていた。

 

[10-73は行けそうか!?]

 

[スペクター及びビクター了解、バリケードを設置します!]

 

無線によれば本来通るルート上にバリケードが築かれ通れないようだ。だが舗装路がダメであれば、()()()()()()()()()()()

そのルートは管理局のトレーラーにより封鎖されている舗装路のすぐ左にあった。生憎とまたしても未舗装の砂利道だがこの際贅沢は無しだ。

 

「ウルス、突っ込むぞ!」

 

《はい!》

 

何度もバリケードを経験したリュウは最早臆する事無くバリケードに正面から挑む。

砂利道までも封鎖するパトカーの間を、正に針の穴に糸を通すような正確なコントロールで抜けていく。

 

[バリケードに失敗、失敗したぞ!追跡車両は砂漠の小道に入る!]

 

左の90度コーナーを曲がりながら局員の焦りの声に耳を傾ける。

他のレーサー達もマスタングGT以下6台は多少危な気でありながらも突破に成功するが、後続のマスタングがバリケード車両と大事故を起こし結果的にその後続のレーサーと管理局車両が通行不可能になってしまった。

 

《前方より追跡車両接近!》

 

「分かった!」

 

GT-Rの追跡をかわしながらも、ウルスがリュウに警告。見れば前方から別のGTRパトカーが接近し眼前でスライドしながら停車。簡素なバリケードだが幅が狭い砂利道なら効果は見込めるだろう。

しかし相手が悪かった。既にウルスから方を受けていたリュウは冷静に対処し、空いている左側のスペースにコルベットを滑り込ませて行く。

 

[クソ、抜けられた!追跡続行!]

 

後続のGT-Rが追跡を続ける中、リュウは順調に右ヘアピンを抜け緩い2連続S字を抜け左ヘアピンへ。その先は本来のルートである舗装路へ再度合流出来る地点だ。

後方からGT-Rパトカーが迫るもお構いなしに走り続け遂に舗装路と再合流。それを見計らっていたかのようにリュウは更にコルベットを加速させていく。

 

「・・・逃がさないよ」

 

しかしその後方からトリプルイエローのマスタングGTが加速しながら追ってきている事にリュウは気づいていない。

淡いオレンジ色の豊かな髪に微かに鋭いオレンジ色の瞳。女物のレザージャケットと虎柄のシャツ、タイトなレザー式ミニスカートとバイカーブーツを身に着けているマスタングGTのドライバーは“トラミ”という女性。

 

リュウより遥か前方にいるドライバー・・・トモエ・シズマリの一味の1人だ。

 

 

 


 

 

 

エッジロックビルにてリュウ等がハイウェイパトロールを交えた順位争いをしている頃、その車団よりも前方を走る車団に“彼”はいた。

 

フォーチュンバレーのシルバーロックにてリュウを攻撃し脱落間際まで追いやった憎き輩。GTレースを彷彿させるボディキットに車体両サイドにギリシャ神話の巨鯨ケートス、ルーフに鯨の尾鰭のバイナルをあしらったメタリックブルーのカストロール・トムス擬きのトヨタ・80スープラを駆るタツミ・ウェイブである。

 

タツミは今、前を走る1978年式ポンティアック・ファイアーバードに狙いを定めているが、ここで自分の端末にインフォメーションの更新が入っている事に気づいた。

大した情報でないだろうと内心思っていたタツミだったが、その内容を見て驚愕する事になる。

 

Ryu(リュウ)Asterion(アステリオン)、諸事情により車両変更の報せ

Nissan Skyline GT-R Vspec(R34)→Chevrolet Corvette Grand Sports(C7)

走行順位:119】

 

「ふざけるなぁぁぁぁッ!!!」

 

報せを読んだタツミは怒りのままに拳をクラクションに叩きつけた。

このザ・ランにタツミは何としても勝利したい、だからこそ邪魔者を潰しその1人であったリュウもシルバーロックで潰したはず・・・それがマシンを変え再び走り出している事に酷く憤慨した。何故タツミが他者を脱落させてまでこのザ・ランでの優勝を狙うのか、それは両親だ。

 

タツミの両親は5年前、巷ではJS事件と呼ばれる大規模テロが起きた頃だ。

その時のクラナガンに彼と両親はいた。しかし魔導士としての才が無いタツミに両親を助けられる訳もなく、襲い来る爆風や崩れ落ちゆく瓦礫に成す術が無かった。タツミがクラナガン郊外の病院で目覚めた時には両親は重傷で昏睡状態に陥っているという。

 

両親を助け暖かい生活を取り戻すにはどうしても金が要る。その為に財産を売ったり非合法なストリートレースで他者を蹴落としてでも勝利して賭け金を手にしたりとで資金を稼ぎ両親への医療費に充てているのだ。

 

今の彼にとってこのザ・ランは正に千載一遇のチャンスなのだ。絶対に負けたくない、負けられない・・・。

必ずこのザ・ランに勝利し両親を助ける。その思いだけを胸にタツミは前走のファイアーバードと共に左ヘアピンに差し掛かるが、タツミのスープラは全く減速せずにファイアーバードのリアに当たりに行った。

リアをどつかれたファイアーバードは大きく体勢を崩し、対してぶつけた事で減速したタツミのスープラがその内側へ切り込んで行く。ヘアピンを立ち上がる頃には完全にスープラが前に出ていた。

 

しかしまだ先にはまだ別の車列がいる、その車列に追いつくべくタツミはアクセルを踏み込み更にスープラを加速させていく・・・。




ED:真理の鏡、剣乃ように/鈴木このみ

最後の更新から1年も空く羽目になるとは・・・いや~難産だったぜ・・・(-_-;)
あと今は亡き(アカBANて意味で)オストラヴァ様のキャラ再登場です。

本音を言えば今回の描写には納得してないけど更新を優先したのでどうかご容赦くださいm(__)m
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