NEED FOR SPEED:Legend Of The Lan   作:天羽々矢

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OP:THE MEANING OF TRUTH/HIRO-X


Section05 再起

リュウがトライシティを脱出した時とほぼ同時刻。

 

「リュウさん・・・」

 

クラナガンのスポーツジム、“ナカジマジム”の建物内で1人の少女、フーカ・レヴェントンが小さい声で呟く。

 

突然ニュースで発表されたリュウ・アステリオンの指名手配報道を受け、平常心を保てるほど彼女は図太くないのだ。

そんなフーカの周りには4人の少女がいる。

 

「だ、大丈夫ですよフーカさん。リュウさんはそんな悪いことなんて絶対しませんよ!」

 

「そ、そうですよ!ほら、リュウさんって結構真面目でカッコいいし・・・」

 

「そうそう!やるとしてもせいぜいスピード違反くらい・・・」

 

『リオ!!』

 

その中の3人が必死にフーカを励まそうと言葉を送るが、その内の1人が冗談とはいえ不謹慎な発言をし他の2人にどやされる。

 

1人目は短いツーサイドアップの綺麗な金髪で、左眼が赤、右眼が緑の異色光彩の少女“高町 ヴィヴィオ”。

2人目はグレーの髪をキャンディを模した髪留めでダウンツインテールに纏めた少女“コロナ・ティミル”。

そして上記の2人にどやされた3人目はショートの黒髪に頭頂で大きめの白いリボンを結んでいる少女“リオ・ウェズリー”。

 

ヴィヴィオとコロナがリオをどやしつける中、残ったもう1人の少女がフーカの頭に手を乗せあやすようにする。

 

「大丈夫ですよフーカ。リュウさんを信じましょう」

 

「ハルさん・・・」

 

フーカにハルさんと呼ばれた碧銀の髪をツインテールにし右のテールに大きな赤いリボンをつけた左眼が青で右眼が紺という異色光彩の少女は“アインハルト・ストラトス”。

フーカの格闘技の師でもある。

 

「あぁ分かった。今から行くよ」

 

そんな中、事務室から赤いショートヘアで金色の瞳をした少年的な雰囲気を持った女性が携帯で誰かと話しながら出てくる。

彼女こそ、このナカジマジムのオーナー兼コーチを担当する女性“ノーヴェ・ナカジマ”だ。

 

ノーヴェは電話を切りズボンのポケットにしまうと、床に置いてあったバッグを手に取った。

 

「悪い皆、スバルの奴に呼び出されてこれから地上本部に出向することになっちまって」

 

『え?』

 

「しばらくジムの方は休業だ。あたしが戻るまでは各自自主練ということで」

 

ノーヴェは困惑するヴィヴィオ達にそれだけ言うと早足でジムを出てエントランス正面に停めてある乗用車に乗って出発した。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

時空管理局・地上本部。

ミッドチルダ首都クラナガンで天まで届くような超高層ビルとそれを取り巻く高層ビル群の総称。

 

その地上本部の一角にある会議室に、ある意味異色とも言うべき面子が揃っていた。

 

 

栗色の髪をサイドテールで纏めた白い制服の女性、エース・オブ・エース・・・高町 なのは

 

豊かな金髪に整ったスタイルの黒い制服の女性、金色の閃光・・・フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウン

 

茶色のショートボブに少し小柄で茶色の制服の女性、夜天の主・・・八神 はやて

 

 

・・・彼女ら3人を筆頭に今この会議室に集められたのは、5年前にミッドチルダを揺るがした大規模テロ“JS事件”を解決に導いた伝説の部隊、“機動六課”のメンバー・・・そして、リュウのかつての仲間でもあった面子だ。

そう、時折出てきたリュウのかつての上司というのはこの機動六課の隊長陣のことである。

 

1年という運用期間を満了し部隊は解散したはずだが、そのメンバーが今こうして再び揃っている。

但し、集められた面子の中にはその当時にいなかった人物もいる。

 

 

右目に黒い眼帯を付けた銀髪の小柄な女性・・・チンク・ナカジマ。

 

跳ね気味の茶髪を纏めた少しぼんやりとした目つきの女性・・・ディエチ・ナカジマ。

 

濃いピンク系色の髪を後ろで纏めた女性・・・ウェンディ・ナカジマ。

 

 

そして最後にノーヴェも会議室に入り、この場に集められたのは全員がリュウの関係者である。

少しした後に眼鏡をかけスキンヘッドの中年の管理局将校とその秘書らしき男が入室する。

 

「傾注!」

 

秘書が声を上げなのは達全員がスキンヘッドの将校に向け敬礼する。

 

「楽にしたまえ」

 

「此方はマサノリ・シドウ少将である。今回の事件の為に諸君らを招集してくださった方だ」

 

秘書が将校、マサノリ・シドウを紹介するとマサノリはなのは達に着席するよう促す。

 

「今回君たちに集まってもらったのは他でもない。市民の平和を脅かす凶悪犯を何としても逮捕するためだ」

 

マサノリがそう言いながら手元のタブレットを操作すると背後の大型モニターにある写真が写された。

それはこのミッドチルダでは違法とされる武器、日本刀を持ちそれと自分の身体に血が付着しているリュウの写真である。

当然これはリュウを貶めるべく捏造された物だが、事情を知らない六課メンバーの大半と新ナカジマ家の4姉妹、N2Rは大きくざわついた。

 

「リュウ・アステリオン。自らの利益のために罪も無い民間人を手にかけ既に多数の金品を強奪した強盗傷害の容疑がかけられている。そして最も新しい物ではあのカラハン家からも車両1台を盗んだ車両窃盗の容疑も・・・」

 

「ちょちょ、ちょっと待ってくださいッ!!」

 

本人が聞けば絶対激怒しながら反発するであろう罪状をスラスラと述べるマサノリに青いショートヘアでボーイッシュな雰囲気の女性スバル・ナカジマが椅子を吹っ飛ばしそうな勢いで立ち上がりながら異を唱えた。

 

「こんなの、全部でっち上げじゃないですか!!リュウは絶対にそんな酷い事はしませんッ!!」

 

スバルは声を荒げながらマサノリに叫ぶが、それに対しマサノリは態度を崩すどころかスバルに対し少し悪辣な笑みを浮かべた。

 

「デタラメだでっち上げだとどう捉えようとも自由だが、私は事実を述べているだけだよ」

 

スバルの言葉をまるで気にも留めなかったマサノリは言葉を続ける。

 

「リュウ・アステリオンは現在、車両にて逃亡中と思われる。最後に目撃されたトライシティの交通局からの報告によれば最後に目撃された時の使用車種はシルバーの日産スカイラインGT-R。最終記録ではシリバリオ・ゲートブリッジを東進。このまま進めばアヴローラ・ナショナルパークに向かう可能性が高い」

 

「ナショナルパークだと?何故そこに向かう必要がある?」

 

マサノリの言葉に銀髪隻眼の小柄な女性、チンクが問うがそれに答えたのはマサノリの秘書だ。

 

「現在リュウ・アステリオンはミッドチルダを横断する大規模な違法ストリートレースに参加しているとの事。スタートは西のトライシティはゴールは東のここ、クラナガンまで。参加者の総数は200人以上と思われます」

 

「に、200人も・・・?」

 

秘書の言葉に腰まで届きそうなピンクの髪を首の後ろ辺りで纏めた小柄な少女“キャロ・ル・ルシエ”が驚きを隠せないまま小さく呟く。

だがそれをマサノリは聞き取ったようで、僅かに嘲笑を浮かべながら言葉を続ける。

 

「何、君たちには問題にもならんよ。リュウ・アステリオンの被害にあったアダム・カラハン氏が勇敢にもこのレースに囮要員として参加してくれている。彼からの情報もありコースの大凡の把握も完了している」

 

「これより皆さまにはシドウ少将直轄の特殊高速機動部隊“Midchilda-Perfect-Defend-Task-Forth(M.P.D.T.F)”の指揮下に入り任務に就いていただきます。既に移動司令部として次元航行艦も用意しました」

 

「それでは各員検討を祈る。解散!」

 

秘書の説明が終わりマサノリが解散を宣言すると、マサノリは秘書を連れ退室する。

残されたなのは達の空気は非常に重く冷たい物であった。

 

信じられずとも、かつて自分たちと共に過ごし、共に戦ってきた家族同然とも言える青年と戦わなければならなくなってしまったのだから・・・




ED:Blast My Desire/m.o.v.e

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