イシからの始まり   作:delin

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『Dr.STONE』について話そう

「あ、脚が痺れ……! 銀狼! テメエ何笑ってやがる!」

「うわぁ! 暴れんなマグマ! こっちにくんな、俺だって脚痺れ、ってぎゃあああ!!」

 

脚の痺れに悶える一同を戻ってきた銀狼が指を指して笑っている。

すぐに金狼が殴って辞めさせたのだが、

 

「銀狼くん、金狼くんと一緒に正座」

 

時すでに遅し、杠の怒りポイントが溜まってしまったようである。

 

「えええ! なんで!? 僕が何かしたぁ!」

「今笑って馬鹿にしたのが原因だろうが! すまない杠、俺からもよく叱っておく。

で、俺も正座する理由はやはりスイカを置き去りにした件か?」

「うん、その通りです。分かってくれますよ、ね?」

「もちろんだ。だが、その件に関しては銀狼には罪はない、今回は許してやってくれないか?」

 

そう言って銀狼をかばう金狼だったが、

 

「その件に関しては、ですよね? 桜子ちゃんから聞き出しました、彼の所業」

「銀狼、何をしている、早く正座をするんだ」

 

これはかばいきれないと判断。

少しでも説教の時間が短くなる方を選択した。

 

「えええええ! 助けてくれるんじゃないのお!」

「限度がある! 無理なものは無理だ!」

 

ちょっとした阿鼻叫喚状態である、ちなみにそのせいで杠の怒りポイントは上がっていく一方だったりする。

そんな悪循環状態を断ち切ったのは大樹であった。

 

「杠、それは後にすべきだ。杠はまだコクヨウさんに挨拶をしていないだろう?

置き去りにしてしまった子供の件でただでさえ待たせているんだ、これ以上待たせてはさすがに礼儀に反するだろう」

 

その大樹の言葉に冷静さを取り戻す杠。

 

「大樹くん……。そうだね、これ以上はダメだよね。コクヨウさんってどちらに?」

「ああ、あの橋の向こう側の高い所にある家の中だ、ご挨拶しに行こう」

 

そう言って杠を連れて行く大樹。

二人の姿が見えなくなってようやく一同は息を吐いた。

 

「いや〜、随分と絞られてたねえ。前からあんなんだったの? 彼女」

「んなわきゃねえよ、初めてだわこんな説教食らったの。

まあ、ある意味桜子のおかげ……いや、せいって言った方がいいのか?

とにかくあのもやしの影響だってのは間違いねえな」

「あー、母は強しって奴? 母性本能を刺激されてって感じだねえ。

一足飛びに母親っぽくなっちゃうってゴイスーじゃない」

「……あいつがいなかったらどうなってたんだろうな」

 

上を向いてそうなった要因である桜子を思う。

もし、いなかったとしたら今こんな風に空を見上げていられただろうか?

感傷的な雰囲気を出す千空に少し目を細め軽く答えるゲン。

 

「さあて、ね。……って聞けるじゃん、それ!」

 

そして、桜子の話を思い出した。

そのゲンの反応で千空も漫画情報を聞きそびれている事に気づく。

 

「あん? ……って、そうだよ! 結局あいつの持つ情報精査できてねえ!」

「ちょっと衝撃的っていうか、お話ぐらいでしか聞かない人生だったからねえ。すっかり忘れてたよ、今桜子ちゃんはどこに?」

「今スイカに例の話を教えていったところだ、コハクの部屋でって言ってたから俺らも行くか」

 

尚女性の部屋に大勢で押しかけた事でコハクに怒られ、女性……?と首を傾げてしまった事で火に油を注ぐ事態になった。

後部屋だと狭いので別の場所に移す羽目になったので、慌てて押しかけたのは失敗だったと反省する千空達であった。

 

 

「それで、何を聞きたかったの?」

 

何故か短時間で二回も説教じみた事を言われて凹み気味な千空達に聞く。

ちなみにコハクはスイカと一緒に料理のお勉強である。

私からではなくニッキーや南さんに教わるらしい。

 

「いや、な、オメーの持つ情報を精査してえって言ってたろ?

結局やってねえ事に気づいてな、慌てて押しかけたってワケだ」

「そんなに焦んなくてもよかったでしょうに。

でも意外な姿みちゃった、まさかコハクが拳じゃなく言葉でのお説教を選ぶなんて」

 

コハクに怒られた時の千空の、何を言われたか分からないって顔かなりレアだった。

なんというか、『ああ、まだ15歳だったんだよね』って思った。

でもゲン以外の追いついてきた他のメンバーには見られてないから安心するといいと思う。

 

「ほっとけ、とりあえずもう起きねえ事件ぐらいは聞いても影響はねえだろ。

ついでにオメーが漫画情報から相談した方がいいって思う事も話しとけ、ほっとくとまーた今回みたいな事になりそうだかんな」

「もうやらないってば、じゃあ話しても問題ないような、もう起こらないだろうことから話してくね」

「おおお! 俺たちの活躍の話なんだよな、それ!」

「面白そうじゃないのー、それ!」

 

興味深々と言ったクロムやカセキ、そう言うそぶりは見せないが羽京さんや司も期待はしてそうだ。

 

「えーと、期待してるとこ悪いんだけど、まだ話せない事も多いのよ。

なぜかっていうと、漫画だとね復活液の作り方を見つけるのに一年かかってるの。

で、千空が目覚めた日はどうも現実も漫画も変わらなかったりするの」

「え゛! ってー事は……御前試合が終わってんじゃねえか!

で、千空や司がいなかったらマグマか金狼が優勝してるよなあ……」

「番狂わせが無ければマグマだろうね、間合いが取れない金狼ではマグマに勝てないよ」

「あの頃のマグマだと……余所者が作った薬って妻に飲ませるか?」

「いやー、ないじゃろそれは。そもそも村に入れんよ、……あれ?

今色々作っとるのってルリちゃんの病を治す為じゃよねえ? それが出来ないって事は、まさか……」

 

すごい勢いでクロムとカセキがこっちを見振り返る。

その眼光に少し怯みながら必死に否定した。

 

「ないない、そんな最悪の事態。お話としてはろくでもないし、現実だったらもっと救いがないでしょ。

大丈夫、そんな事にはならないから。千空がクロムやカセキの力を借りてちゃんと助けたから」

「漫画ではルリの病気は肺炎だったって事だな、しっかりと治せたって事は」

 

即次の展開を予想して当ててくるのは勘弁してもらいたい。

 

「正解よ、今現在のルリさんの病気が肺炎かどうかは分かんないけどね。

漫画では肺炎だったのは本当、それでも薬作りに数カ月かかってたのよね。

そういえばガラス容器作りはどう? 上手くいってるの?」

「ああ、カセキの爺さんのおかげで順調どころかほぼ終わったぜ。

酒や酢はあっちから持って来た奴があっから後は硫酸だけだ」

 

さすがカセキ、でも服を弾き飛ばすのはもうちょっと自重してほしい。

 

「硫酸の在処は見当ついてるんでしょ?」

「そりゃな、コハクがいつも温泉汲みに行ってるとこの先だろ?」

「うん、やっぱり予想付くよね。で、硫酸がある場所に付き物の危険と言えば?」

「あん? おい、まさか硫化水素や二酸化硫黄が即死レベルで溜まってんじゃねえだろうな?」

「現実に確認は危なすぎてしてないけど、漫画ではやっばいレベルで溜まってたよ。

描写としては飛んでたカラスがいきなり落ちて、死体もすぐに溶けちゃうぐらい」

「そりゃ硫酸湖に落ちりゃあそうなるだろうよ。

先ずは銀の槍とガスマスク作ってからだな、硫酸採取は」

 

よしよし、漫画の描写確認二周目でなんでマスク作ってからにしなかったんだろうと思ってたのだ。

四周目で時間足らないからだと分かったけどね、今は時間があるのだから作ってから行くべきなのだ。

 

「あの硫酸湖盆地状になってたからね、もしかしたら火口湖だったのかも」

「盆地状はやべえな、ガスが溜まり放題じゃねえか。

つーか強風の日は近寄れねえぞ、下手したらガスが流れ出てくんじゃねえか?」

「漫画でも死人が出てたしね、強風の日は気をつけるようにコハクにも言ってあるよ」

 

そこまで話したところで一回話すのを止める。

なぜか? 何か考え込んでた司が何かに気づき凹み始めたからだ。

 

「どうかした司ちゃん? いきなり凹み出したりしたら変な人って思われちゃうよ?」

「すまない、いや、なんでもないんだ。……桜子、確認したいんだが、俺はその漫画に出ていたね?」

 

本当にただの確認でしかないな、その質問は。

気づいちゃったかー、なんで千空がわざわざ遠く離れた箱根辺りまで来たのかの理由に。

 

「あの、さ、司、漫画は漫画であって今の現実じゃないんだから気にする必要ないよ?」

「そーそー、漫画の司ちゃんが千空ちゃんを追い出したー、なんて気に病む必要ないでしょ。

現実にはやったりしてないんだからさあ、そんな事気にしてたら逆に桜子ちゃんとかに負担になっちゃうよ?」

 

からかうようにゲンが宥めるが司は更に凹んだようだ。

そんな要素今の言葉にあった?

 

「そうだね、実際にはもっと悪いんだろう? 推測だが、漫画では俺が千空を殺そうとして逃げられたんじゃないかい?」

「……桜子ちゃん、もうちょっとポーカーフェイス覚えよっか。予想外の事が起きた時に、君表情に出すぎだから」

 

あ、ゲンの言葉への私の反応でより悪いものだと気づいた訳か。

 

「ごめんなさい、以後気をつけます」

「人と接する機会少ないからだろうし、あまり気にしなくてもいいけどね。

今度そのあたり教えてあげよっか? その方が俺も想定外が起きなくていいし」

 

さっきみたいに私から情報が漏れたりですね、分かります。

私に出来たのは頭を下げてお願いすることだけだった。

 

「よろしくお願いします」

「はい、よろしく。んじゃあ続きをどーぞ」

 

ペシペシと司の肩を叩きながらさっさと次に移るよう促してくるゲン。

しかし続きって言ってもなあ。

 

「どんな事を話せばいいの? ちょっと思いつかないんだけど」

「全員ちょいちょい気になる事はあんだろうがな、先に対策しとかなきゃやべえって事を聞かせてくれ。

例えば白金がなきゃ詰むような事態、とかな」

 

覚えてるんだ、ポロッと言っただけなのにー。

呆れた記憶力だ、実は完全記憶能力持ってるのでは? もしそうだったらお揃いだね!

んなわきゃないとセルフツッコミを心の中でした後、その場の全員を一回見る。

メンバーは千空、クロム、カセキ、司、羽京さんにゲン。

ちょうど頭の回るメンツが揃っている、話すのにはちょうどいいだろう。

 

「うん、私が知ってる中で対策しとかなきゃいけないのはそれぐらいかな。

白金を手に入れに行った所で数名だけ偵察に行ってる最中に起きた事なんだけど……」

 

ここからが言いにくいんだよね、正直信じられないから。

 

「無線で連絡を取ろうとしても応答がないって状態だったから、高い所から本隊である機帆船を見たの。

そしたら、応答がない理由が一発で判明したわ。何故なら……機帆船に乗ってたメンバーがほぼ全員石化させられてたから」

 

さすがにこれは衝撃的だったらしく皆驚愕の表情を見せている。

狙ったわけではないのだが言い澱んだ事が溜めになってしまったようだ。

 

「結構ショッキングな話だねえ、それで偵察隊のメンバーだけで逆転ホームランを決めたってわけ?」

「そこまではわからないんですよね、助っ人が来たのかそれとも忍び込んで白金だけ手に入れたのか……。その先を読む前に前世は死んじゃってますので」

 

本当になんでもう少し先の展開を読んどいてくれなかったのか。

コミックス派だとか言わないで雑誌で読んどいてくれれば特に重要な部分が分かったのに。

 

「石化したって事は装置があるって事で、そこが人類石化の犯人のいる場所って事だろうな」

「……? ええっと石化現象の中心は別の所のはずだけど?」

「その辺の情報は出てたんだな、だが俺の予想だとそこまで中心地は遠くねえはずだぜ」

 

なぜ? 漫画だとブラジルだったはずなんだけど。

 

「あの緑の光はなんでも透過してただろうがよ、中心地が遠かったら足元から来るはずだぜ。

まあ、あの光が地表面にしか走れなかったりすんなら話は別だがな。

まあまずねえだろ、地下鉄に乗ってりゃ大丈夫ってわけでもないみてえだしな」

「んん〜? ああ、そうか円を二つ近づけてくと、最初にくっついたとこと逆の場所へは内側から来るもんな」

 

確かに、そんな事考えてもみなかった。

漫画情報が全て正しいとは限らないし、それ以外の細かい情報が必要でないわけがない。

 

「そのあたり確認しないと駄目かー、この件は薬作り終わってルリさん治してからね」

 

私がそう言うと千空が何かを得心したように頷いた。

 

「おい桜子、この村の連中はISSの乗組員の子孫だろ」

「えっ」「はい?」「ええっ!」「「?」」

 

反応はそれぞれ私、ゲン、羽京さん、クロムとカセキの順だ。

司は片眉をピクリとさせただけで声は上げなかった。

……なんでそこまで推理完了してるの!?

 

 

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