イシからの始まり   作:delin

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初投稿から半年、ようやくここまで来れました。
これもひとえに皆様の応援のおかげです、これからも完結目指して頑張りますのでどうぞよろしくお願いいたします。


空の上に光る星

「ヤッホー、千空ちゃん。おか〜」

「なんだその不気味な挨拶」

 

洞窟探索より帰って来た千空を出迎えたのはゲン。

夜遅くになり日が沈んでいるため辺りは真っ暗。

その状況で顎下から電球の光を当ててのお出迎えである。

 

「いやー、予定より早いお帰りだからねえ。ちょーっと困っちゃってるのよ」

 

そういいながらゲンが指を鳴らす。

そうするといつの間にか両脇に現れた司と氷月が千空をがっちり拘束し目を塞ぐ。

 

「なので、早いけど計画を発動しちゃおうかなってねえ」

「おいこら、計画ってなんだおい! って、どこへ運んでんだテメエら! 離しやがれー!!」

 

二人で担ぎ上げそのまま流れるように運んで行く。

残されたのは呆然とするマグマとクロム、そして満足げなゲン。

 

「なあゲン、あんな動きいつ練習してたんだアイツら」

「完全にアドリブだよ〜、できる? って聞いたらあっさりできるっていうから任せちゃった」

「出てくるまで気づかなかったぞ、おい」

 

どうやら呆然としてたのは運ばれた事ではなくそれをやってのけた二人に対しての模様。

そして運ばれている千空はというと、

 

(運ばれてる速度、時間、おおよその方角、十中八九クロムの倉庫前だな。

サプライズでもやろってか? もうちょい丁寧にやれっての)

 

意外と冷静であった。

まあ、落ち着いて考えれば焦る理由など何処にもないからなのだが……、突然運ばれて冷静でいる千空はやはり規格外だろう。

そしてクロムの倉庫前で止まったと思うと上に運ばれて行く。

千空の計算だとこの上昇距離では屋根を超えるはずなのだが……

 

「今、大樹片手で千空持ち上げなかった?」

「? そうだけど、何か変な所あった?」

「あ、うん、ごめん。それが杠の中では別に普通の事なのね」

 

聞こえる話し声にそんな場所に居られる訳がない人物の声が混じっている。

これは一体どういう事なのかと悩んでいるとサッと目隠しが取られ、

 

「「「「「「「「誕生日おめでとう!!!」」」」」」」」

 

目の前に望遠鏡と、天体観測所の中のような光景が広がっていた。

いや、天体観測所というには貧相だろうか?

だが、それをイメージさせるものであるのは確かなのだ。

 

「驚いただろう、千空。千空が出発した直後ぐらいにゲンから提案があってな、天体観測所を贈ろうとなったんだ」

「村の人も復活者の皆も総出で作り上げたんだよ、千空くんの為ならーって」

「望遠鏡は主にカセキさんと私でやりました! 調節までやってあるからすぐに星が見れるよ」

「壁や天井の木材を切り出したり加工したりは俺たちが担当したよ、他の人は運搬をやってもらったりだね」

「いやー、楽なお仕事だったよ? 俺がやったのなんて皆に声かけるだけだものねえ。

声をかければ後はアイデアから実行までぜーんぶお任せ、これも千空ちゃんが慕われてるって証拠だねえ」

 

周りを見れば仲間達、コレを作り上げるのにどれだけの労力をかけたのか。

しかし、誰にも疲れた顔など見えない、唯自分が喜ぶ顔が見たいとだけその表情が語っていた。

 

「はっ、良いもん作ったじゃねえか! これで船に必要なパーツが一つ出来上がったな!」

「えー、そこいっちゃう?」

「もっとワシらの頑張り褒めてくれてもいいんじゃよ?」

「実用第一主義なのだな、千空は」

 

照れ臭くなって別の使い道を言ってみたが……誤魔化せたのは少数らしい。

 

「やっぱりいつも通りだ、そういう風に照れ隠しするんだよな千空は」

「嬉しい時は、素直に嬉しいって言ってくれた方が私達も嬉しいよ?」

「大樹と杠がこう言うって事は、昔からの癖なのね、あの照れ隠し」

「ある意味予想通りの反応じゃないか、逆に言えば照れ臭いぐらいに喜んでくれている証拠だよ」

「むしろ素直に嬉しいって言った方がビビる気がするぜ」

 

大樹と杠はまあ仕方ない、だが、司に桜子、登ってきたばかりらしいクロムにまで分かってる顔で笑われるとは。

それが悔しいよりむずがゆくて誤魔化すために望遠鏡をのぞき込む。

そういえば先ほどチラッとだが光る流星らしきものが見えた、確か前に桜子が流れ星云々言っていた方角だ。

もしや流星の時期なのだろうか? 詳しく観察しようとそちらに望遠鏡を向ける。

 

「……なんだこれ」

「? どうしたの千空?」

「おい、桜子、こっち来い」

 

手招きに素直に応じ近寄る桜子。

促されるまま望遠鏡を覗き込む。

 

「……何、これ」

「オメーの知識に心当たりはないんだな?」

「知らない、私、あんなの知らないよ」

「つまり、完全なる未知のものって訳か、唆るじゃねえか、最高によ!」

 

呆然とする桜子と興奮しっぱなしの千空に周囲も何かとんでもない物が見えたのだと理解する。

そして我も我もと望遠鏡を覗き込み全員が二人の反応に倣うことになった。

全員を驚愕か興奮のどちらかに叩き込んだその光景。

望遠鏡からはまるで宗教画に描かれる天使の羽のように太陽光発電パネルを広げる衛星が見えていた。

 

 

「さあて、謎の人工? 衛星についてなんだが……、気づいた事あっか?」

 

千空の質問に誰も答えられない。

それはそうだろう、この時代に人工衛星が残っているなど想像すら出来ない。

3700年もの年月を超えられる物などあるはずがないのだから。

 

「あれはWHYマンの打ち上げたもの、って認識でいいのかな?」

「それだと一々光らせる意味が分からねえ、通信技術がねえのに人工衛星を打ち上げる奴はいねえだろ」

 

あの光はわざとだと仮定しての話だがな、と付け足した後アレについてより深く考える。

わざとでないならなぜ? 光ってしまうのは一体どんな理由が考えられる?

通信でないならエネルギー送信? ならあの羽のように太陽光パネルを広げている事に何か理由が?

ダメだどう考えても情報が足らない、観察不足の状態ではろくに推論も立てられない。

 

「ってそうだ、観察と言えばクロムはどうした?」

「望遠鏡を覗いた後、何か思い出したかのように倉庫に急いでったけど?」

「何か知ってんのかもしれねえな、ならしばら「ヤベーぞ千空!! スッゲー事が判明だー!!!」……これが噂をすれば影って奴か? で、何が分かったってんだ」

「コイツを見てくれ! これは俺がガキの頃アレが光る場所に印つけてった奴なんだけどよ、これって文字だよな!」

 

クロムが持ってきたのは一枚の布、規則正しく印が連なっておりそれはこう読めた。

 

「『ビャクヤワタシココニイル』だとぉ! どういう事だ、おい!」

「何これ、何これ! なんで百夜さんの名前が出て来るの? なんで!? どうして!?」

「百夜って千空くんのお父さんのこと、だよね、多分……」

「いや、だが、随分昔に亡くなったと聞いたが……、はっ! まさか蘇ったのか!」

「いや、まさか、そんな事が、石化ならあり得るかもしれないが……」

 

場は混乱の坩堝と化していた。

そこに“パーン”と破裂音が響き思わず全員の注意がそちらへと向かう。

 

「さ、驚くのに満足した? それじゃ次の話をしようか、冷静に、ね」

 

皆が振り向いた先には何かをしまうゲンの姿。(アレは紙鉄砲だったね by司)

 

「一つ一つ分かる事から理解してこ? それが結局一番早いんだから、ね?」

 

いつも通りの薄っぺらい笑いを浮かべながらメンタリストの本領発揮をして見せるのだった。

 

 

「じゃ、先ずはクロムちゃんに最初の質問。あの光って毎日見れた?」

「おう、毎日大体おんなじ時間に来てたぜ」

「うんうん、じゃ二つ目の質問。それ、毎回おんなじ形? 偶然その形になったんじゃなくて?」

 

その質問にはっとなるクロム。

あまりに出来過ぎていたため、そうに違いないと思い込んだことに気づかされた形だ。

 

「! そうだった、すまねえ、先走って勘違いさせちまったみてえだ」

「だよねえ、いくつか別の場所にも印ついてるもんねえ。ただ、あながち嘘じゃないかもね」

 

今否定したばかりなのに? 全員の頭に疑問符が浮かぶ。

 

「千空ちゃんには三つ目の質問、あれってどのくらいの頻度でここの上空に来る?」

「あー、さっき速度の計算してたのに気づいてたか。あくまでISS、旧世界の国際宇宙ステーションとおんなじ高度を飛んでておんなじぐらいの大きさと仮定してだが……一日に約一回ってとこだな」

「その仮定間違ってる可能性は?」

「月と山、月とアレの比較が上手い事できたからまず間違っていねえと思う、肉眼でかろうじてだが確認できたしな」

「なあるほどねえ、つまり毎日おんなじぐらいの時間におんなじぐらいの行動をしてるって見ていいわけだねえ」

 

そこで一回ゲンは言葉を切り全員を見回す。

 

「さて問題、毎日同じ場所を通る時目立つ行動をする人がいます。その人は何を望んでいるでしょうか?」

 

皆少し考えてすぐに同じ答えを返す。

 

「気づいて欲しい?」

「そういう事、誰にって部分はともかくとしてそこだけは間違ってないんじゃない?

あの光がわざとであった場合だけどね、そうじゃない場合は知らないよ。

後は敵であった場合の対処方法かな、千空ちゃんどう?」

「そうだな、まとめて一網打尽を回避するために高速で移動できる乗り物が必要か?

後復活液を時間差で被れるような装置でも作っとくか? ピタゴラスイッチで座れば何十分か後に復活液がかかるような奴でも」

 

ゲンの言葉によってようやく方向性がまとまってきたらしい。

千空の頭が音を立てて回転し始めたようだ、次々に対処方法が浮かんでくる。

ゲンはそんな千空の様子に満足げに頷き自分のお仕事終わりというかのように最後の言葉を投げやりに放つ。

 

「ま、敵かもしれないし味方かもしれない、中立ってこともありうるよねえ。

その辺り俺には全く分かんないから千空ちゃんが判断よろしくね」

「ククッ、分かんねえなら聞いてみりゃいいだけだ。少なくとも宇宙を飛んでるのは間違いねえし、電波キャッチ出来そうなアンテナも存在してたんだ。こっちから届くようにでっけえ奴送ってやりゃあいい」

「つまり、通信機を作って通信してみようってことね」

「そういうこった、テメエら! 次の目的が決まったぞ!」

 

千空がそういうと前から用意してあったのか桜子が一枚の大きな紙を持ってくる。

それはプラスチックやバッテリーなどの構成素材の材料から書かれたロードマップ。

 

「とうとう俺らは人類最強武器、情報を制する通信機を、ケータイを作り上げるぞ!」

 

このストーンワールドに通信技術をもたらすための遥かな道のりが描かれたものだった。

 

「まあ、ロードマップの半分くらいは埋まってるんだけどね」

「なんでテメエはオチをつけんだ桜子」

 

気分が盛り上がった分ずっこけてしまう一同であった。

 

 




ちなみにロードマップはすでに色々チェックがついてたりします。
だって半分くらい終わってからようやく披露する形になっちゃったから、つい桜子はオチをつけてしまったんです。
後、桜子が言わなくても千空が言ってたので……。
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