こことは違う、遥か遠い世界。その世界は怪物や魔女といった人間を超えた存在や力が人々を恐怖させていた。だからこそ・・・・・
誰かが言った。
「彼らがやって来る。コインで雇われる哀れな怪物殺しが・・・。」
ある集落の人間が語る。
「もし怪物に困ったら、彼らを雇え。」・・・と。
ある貴族は言う。
「忌々しい気味の悪い存在だ。だが、彼らの存在は不可欠だ。我々が生きるためにも。」
そんな魔法や怪物で溢れる不思議な世界。今宵はそんな世界から少し・・・いいえ、より遠く離れてもらいましょう。危険に溢れ、人が死ぬ。それに変われはありません。その世界はえらく哀しい人間と怪物の物語があること。彼の新たな出会いと戦い、そして別れ。時に哀しく残酷な真実に向き合わなければならないかもしれません。ですが、彼は決して屈しません。彼は最強のモンスタースレイヤー。彼の新たな物語。
人里離れた山。鬱蒼と生い茂る木々・・・不気味なまでに静まり返ったそんな場所。そこには良きを切らした少年と、おおよそ人間とは思えない怪物が立っていた。
少年の来ている黒い衣服には「滅」の文字。それは、彼が鬼を倒し、人々の生活を陰ながら支えている「鬼殺隊」の人間である証だ。彼らは鬼を倒すことができる。しかし、簡単ではない。常に命がけだ。いつ失うかもわからない極限の命のやりとり、それを年半ばもいかない若い少年が行っているのだ。常に勝てるとは限らない。
そう・・・今宵の相手「鬼」は酷く強いようで・・・
少年の周囲には元「人間」つまり「隊士」であった物が散らばっていた。
呼吸が乱れ、恐怖する。手に持っている鬼を唯一倒せる刃「日輪刀」は小刻みに震えている。
そんな少年を見て、鬼は鼻で笑い飛び掛かる。いくら自分達を殺せる武器を持とうと、恐怖の感情を前には手も足も出ない。死が近づくと人は自然と力が入らなくなるものだ。最も彼が一般隊士ではなく、鬼殺隊の最高戦力に値する「柱」と呼ばれる剣士ならば結末も恐怖する側も変わっていたかもしれないが・・・
「ヒッ!」
恐怖から足がすくみ、思わず悲鳴をあげる。自分が今どんな声を上げ、どんな表情をしているのか?それはわからない。きっと情けなく失禁しているかもしれない。きっと情けなく鼻水を垂らし、目じりには涙を浮かべているかも・・・ただ姉や妹の仇をとりたかった。
悲劇とは突然に起こる物だ。両親と買い物に出かけた。病に伏せた妹と、看病すると残った姉を置いて。ただそれだけ。近くの街にちょっとした買い物を。病気にかかった妹のために、自分に変わって看病している姉に、自分にラムネを3つねだった。きっと喜ぶ・・・妹と姉そして自分、3人で笑いながらラムネを飲むんだ。そう意気揚々と帰路につく。そこからはよく覚えていない。ただ・・・血の匂いと肉の塊が落ちていた。誰もいなかった。両親はその日からおかしくなった。やつれていき、飯も食わず、ある日冷たくなっていた。
両親を奪い、姉妹を奪った怪物。そんな怪物に復讐する一心でこの世界に足を踏み入れた。過酷で、血生臭い最悪な世界。だが。元々最悪だった。それだけで充分修行もこなせた。厳しい修行を受け、選抜にも合格した。約一週間も鬼のいる山に籠るというのは正気の沙汰とは思えなかったが・・・その頃は正気をうしなっていたのだろう。いつの間にかこなしていた。鬼を殺す自分の武器も手に入った。あとは殺すだけ。そう・・・それだけのはずだ。だが現実は甘く無いようだ。今自分は自分の仇に殺される。
眼を閉じ、最期に身体を任せた。
(あっけないな。結局何も果たせていないじゃないか。)
自分のことを鼻で笑ってやりたくなった。
奇跡というのは気まぐれだ。
突如その空間が歪み、オレンジ色に輝き出す。
「なんだ?」
鬼はその奇妙な現象に目を奪われる。少年はいつまで経っても痛みが無い事を不審に思い、鬼と同じ光景を目にした。
「なん・・・だ?」
すると、ドスンっ!と重いなにかが地面に音を立てて出て来た。
その男?は奇妙な恰好をしていた。白髪の大きな体格をした男で、身体は鎧のような物で覆われている。首から下げた何かの生物を模したペンダントと、背中に2本の大きな何か・・・刀?を差している。なによりも目がいったのは彼?の瞳だ。怪しく光る黄色い猫のような瞳・・・それだけで彼が人間ではない”何か”だと分かる。
「なんだお前?」
鬼が問いかけるが、男はそれを無視するように頭を押さえ、軽く息を吐きながら周囲を見渡し、こう呟いた。
「だから”門”は嫌いなんだ。」
ひどく落ち着いた様子で鬼を見る。
「・・・グールか?随分とデカイな・・・死体を食べ過ぎて育ったのか?」
男の口から”グール”と聞きなれない単語が突然飛び出し、鬼は困惑する。しかも彼は鬼を見ても怯えず、まるで友人に話すような自然な体制で語りかけていたから尚更だ。まるで鬼と出くわすのは”当たり前”であるように。
「なんだ・・・ぐーる?とは。」
「知らんのか。しかも喋れる奴とは驚きだ。」
男は腕を組み、少し馬鹿にしたような態度をとる。
「おいガキ。」
彼がこちらに目を合わせて来る。
「ハ、ハイ!」
思わず上ずった声で返事をしてしまった。彼の纏っている気迫?のような物が直感で自分に伝える。”コイツはヤバい”と。
「目の前の怪物は・・・知り合いか?」
男は慎重に相手を観ながら聞く。隙があるようでない。彼は間違いなく人間ではない、かといって鬼の仲間であるとも限らないと理解した。・・・賭けだ。彼が何者か知りたい。だからこの言葉を選んだ。
「そ、そいつは敵だ!俺の家族を殺した怪物だ!」
そう叫んだ瞬間、鬼の手首が吹き飛んだ。男は片方の刀で鬼の手首を切り落としていた。
「話が見えて来たな。さあ来い、怪物。遊んでやるぞ。」
言うや男は素早く鬼の懐に飛び込み刀を振る。自分達とは違う、素早く切り裂く・・というよりは体重と剣の重さに合わせて叩き切るといえるような少々荒々しい戦い方だ。そしてその刃が首筋に届きそうなところで、鬼は素早く後ろに下がった。
「・・・野郎!調子に乗んな!鬼血術!かまいたち!」
鋭い風の刃が男を襲う。だが彼は全く動じなかった。
パチンっ!風の刃が彼の身体をいつの間にか覆っていたオレンジ色の膜のようなものに弾かれる。
「なに?」
「ほう、面白い。」
男は何事もなかったかのように剣を構え直すと、鬼へと向かっていく。
その一方で鬼は焦っていた。
(傷の治りが・・・遅い。)
男によって切り落とされた手首が生えてこない。そんなはずはない。鬼は再生能力に特化している。太陽の光か、日輪刀で首を切り落とされたりしない限りは再生可能だ。
「どうした?顔色が悪いぞ?」
男は煽るように笑い、剣を振り下ろす。
それを避けると同時に、鬼の顔にとてつもない熱が襲った。いや・・・熱ではない、炎だ。
「イグニ。」
男は口からそうこぼすと、右手から凄まじい炎を出し、鬼の顔面を焼いた。
「ギャアアアァ!熱っちィィィ!何だァ!なんなんだァ!」
見たことも体感したこともない戦い方に驚く。だがそれは鬼だけではなく、それを間近で見ていた鬼殺隊士もであった。
(す・・・すげえ)
「終わりにしようか。」
男が言うや否やその剣は首元にあり・・・
「ここが弱いんだろ?」
核心を持った瞳で鬼の首をはねた。
「銀はお気に召したかな?」
鬼からの返答はなく、ただ静寂だけが男の勝利を意味していた。
少年はただ呆然と見ていることしかできなかった。
男がこちらに視線を向け、ゆっくりと迫って来る。少年は恐怖した。なんだあの強さは?みたところ自身の身体能力を向上させるような「呼吸」を使っているようには見えなかった。それになんだ、あの奇妙な術は、まるで鬼血術ではないか。聞いたことが無い、人間が手から炎を出せるなんて。それに彼の刀。彼の切った部位は再生していない、もしくは再生に異様なほど時間がかかっていた。それだけで恐ろしい。鬼を超える存在の可能性だってある。そうなれば鬼殺隊も危うい可能性がある。彼が敵なのか味方なのか、それが分からなければ。自分を助けてくれたのは事実だが、気まぐれの可能性だってある。恩をあだで返したくないのも事実だが、まるで何事も無かった様に鬼血術を使う相手を簡単に倒した。それだけで警戒するには十分だ。
「おい。」
「ひっ!」
少年の悲鳴を聞くと、ヤレヤレまたか?と言わんばかりに首を振り
「なにも取って食おうとは思ってない。ただ、ここは何処で、お前が何者か?あとは・・・あのグール擬き以外にも怪物がいるのか教えてくれ。」
男がそう問いかけたので、少年は自分の名を言い、事情を語った。無論鬼のことも。話さなければ殺されるかも、という恐怖と、少なくとも助けてくれたお礼がしたいという複雑な感情からだった。
「つまり、ここはニホン?という世界で。お前達「キサツタイ」とかいうガキの集まりがあの怪物を倒していると。」
「ええ。」
「で、その「オニ」とかいう怪物を倒すのはお前らの特別な剣か日光だけ・・・だが俺の「銀の剣」は効いたぞ?なぜだ?」
「さ・・・さあ。」
男は少し難しい顔をしながら、閃いた様子で
「奴からはほんの僅かだが、魔力の匂いがした。エルフの魔術師やイェネファーに比べればずっと弱いが・・・そうか!ディメリティウムか!?ディメリティウムは魔力の流れを抑止する。奴らの再生能力が体内に流れている魔力に頼っているものだとしたら納得がいくしかし・・・「あの・・・あの!」
しばらくブツブツと呟いていたので心配になり声をかけた。
「・・・すまない。独り言が癖なんだ。考えるとついな・・・。」
男は少し申し訳なさそうに頭をかいた。
そうだ、忘れるところだった。彼の名前を・・・
「あの。」
「どうした?」
「お名前を聞かせてもらっても良いですか?」
そう聞くと、男は少し考え、やがて口を開きこう名乗った。
「リヴィアのゲラルト・・・・・
ウィッチャーだ。」
さあ、読者の諸君!最強のモンスタースレイヤーであるウィッチャーとともにこの世界を満喫しよう!
WITCHER Demon's Hunt
ゲラルトさんイケメン。そういや鬼滅って鬼と戦うよね?なら、怪物退治の専門家が必要じゃない?あるかな?・・・・・・いない。無い。欲しいなら作れば良かろうなのだァ!ってことで書きました。多分続きません。もっと文才ある人・・・書いて欲しいな(結局他力本願です。スンマセン!)